ケアマネと管理者、二つの視点で紡ぐ訪問看護〜衣病訪問看護ステーション 安田さんにインタビュー〜

ケアマネージャーと管理者の二つの役割を担いながら、日々利用者に寄り添う安田真琴さん。子育ても両立しつつ、仲間と「楽しい看護」をつくりあげてきました。その背景には、安田さん自身の経験から生まれた視点と、仲間と築いたチームの力がありました。
安田さんのキャリアと訪問看護との出会い
安田さんが看護師として歩み始めたのは、内科外来のクリニックでした。その後、外科と整形外科の混合病棟、内科病棟、外来や手術室など、さまざまな領域での経験を重ねてこられました。
そんな折、ある患者さんとの出会いが安田さんの心に深く残ります。
「病院では食事がなかなか食べられず、主治医と一緒にさまざまな工夫をしていた患者さんがいました。その方が『妻と一緒にいたい』と退院され、訪問看護で様子を見に行ったら…驚くほどモリモリ食べていたんです。環境がこんなにも人に影響するのかと、強く感じた瞬間でした」
「あの笑顔がまた見たい」と、訪問看護師への想いが強まった安田さん。
訪問看護を始めるにあたり「ケアマネージャーの資格が役に立つ」とアドバイスを受けた安田さんは、在宅分野への移動を見据えて資格を取得。こうして訪問看護の世界に足を踏み入れました。

子育てと両立しながら、変化する働き方
訪問看護師として常勤勤務を始めて間もなく第一子を出産。夜間オンコールが難しいため非常勤へ切り替えました。
「ありがたかったのは、非常勤でも産休・育休が取れたことです。子育て中も無理せず働き続けられる環境でした」
第二子出産後はしばらくケアマネ業務に専念。ライフステージに応じて柔軟に働き方を選べる職場の風土が、安田さんを長く支え続けています。
そしてコロナ禍による看護師不足をきっかけに、再び訪問看護の現場へ。現場への想いとこれまでの経験を買われ、管理者の役割を任されることになりました。
「訪問看護ステーションだけの視点ではなく、“誰に相談すれば利用者さんにとって最適か”を常に考えられるようになりました」
ケアマネージャーとして培った俯瞰力が、管理者としての判断や多職種連携にも大きく活きています。
コロナ禍で見えた、チームで守る連携体制
安田さんが管理者として働き始めたころは、コロナ禍による人手不足や利用者さんへのサービス提供の制限が続く厳しい時期でした。
「コロナ禍は本当に大変だったんですけど、その時からいてくれるメンバーも新しく入ったメンバーも、みんな頑張ってくれました」
こうした経験が、チームとしての結束力をあげているそうです。また、安田さんはステーションで働くスタッフの良さをこう語ります。
「うちは“利用者さんのために納得できるまで”を大切にしています。便秘ひとつでも根本から考えようとするスタッフばかりです」
毎朝のカンファレンスで疑問や不安を共有し、議論が長引けば夕方に再度集まることもあります。
「利用者さんのことを考えて、“あれがいいんじゃない”“いや、こっちの方がいいんじゃない”と熱く話し合える方が看護の質を高める上でおもしろいんじゃないかなと思うんで」と、スタッフの成長やモチベーションの高さを温かく見守る安田さんの姿があります。
また、訪問中に感じたことや悩みも、素直に吐き出せる風通しの良さもあります。
「愚痴でも感想でも、何でも話せる環境だからこそ、長く続けられると思います」
辛いこともある中で、安田さんは「楽しい看護ができる職場にしていきたい」と話します。

新人看護師への教育とキャリアアップ体制
新しく加わった看護師には、まず1週間の同行見学期間を設け、その後も3回程度の同行訪問で徐々に慣れてもらいます。独り立ち後もプリセプターが付き、成長に合わせて支援します。
「訪問中に少しでも不安があれば、すぐ電話してほしいと伝えています。」
実際に訪問の際に慌てて連絡してきたスタッフにも、丁寧に対応しているそうです。
「例えば、訪問中に『この排泄量は利用者さんにとって問題ないことなのかな』と不安になったスタッフが、電話をかけてきたことがありました。利用者さんに長く訪問している先輩看護師であれば、誰でも答えられるようにしています。」
法人全体でも看護師の成長支援にも力を入れており、クリニカルラダーを導入し、段階的にスキルアップを図る体制が整っています。
「認定看護師や専門看護師、特定行為研修に関しても、学費の補助制度があります。学びたい気持ちを応援してくれる仕組みがあるのも、心強いですよね」
利用者・地域とつながる日常の積み重ね
衣病訪問看護ステーションでは、利用者さんのために多職種を巻き込んだカンファレンスが日常的に行われています。
「必要があれば、病院や訪問診療の先生、ケアマネにも声をかけて、カンファレンスで丁寧に整えていくんです」
こうした場を実現できるのは、多職種それぞれが「利用者さんのためなら必要な時間」と理解しているからこそ。
「衣笠病院の先生も、ケアマネージャーも、訪問診療の先生も、みんな“巻き込まれてくれる”ので、本当にありがたい環境だなと思っています」
また、地域とのつながりづくりにも積極的です。町内会を巻き込んだ会議や地域連携会議への参加、横須賀の拠点ブロックで行われる看護師同士のグループ研修など、顔の見える関係を大切にしています。
「“ひと”が相手の仕事だからこそ、関係性を大事に。職場の内外を問わず、自然につながり続けていけたらと思っています」
こうした姿勢が、利用者や地域の人々に「ここに相談すれば安心」と思ってもらえる信頼の土台となっています。
インタビュアーより
穏やかな語り口で、時に笑いも交えてお話しくださった安田さん。利用者にもスタッフにも誠実に向き合い、笑顔で働ける職場を目指す姿が印象的でした。ケアマネージャーと管理者、二つの視点を持つ安田さんだからこそ描ける訪問看護の形が、ここにはあります。
事業所概要
■ 衣病訪問看護ステーション
- 開設:1996年10月1日
- 法人名:社会福祉法人日本医療伝道会(衣笠病院グループ)
- 所在地:神奈川県横須賀市小矢部2-23-1(衣笠病院内)
- 管理者:安田 真琴
- 最寄駅:JR横須賀線「衣笠駅」徒歩5分
- 電話:046-852-1471 FAX:046-852-1485
- メール:health@kinugasa.or.jp / soumuka@kinugasa.or.jp
- Webサイト:http://www.kinugasa.or.jp
- 介護保険事業所番号:1461990043
- 事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/16744
■ ステーション紹介
地域密着の衣笠病院グループが運営する訪問看護ステーション。自宅での療養生活を支えるため、ご利用者のQOLを大切にした看護を提供。教育体制や福利厚生も充実し、子育て中の方や訪問看護未経験者も安心して働ける環境です。

【横須賀市/常勤】年間休日122日!衣笠病院母体で安定勤務◎訪問1日1〜4件/オンコール手当あり
事業所名
雇用形態
給与
就業場所

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