自分たちだからこそできるサポートを目指して~利用者も家族も安心して過ごせる生活を~めぶき訪問看護ステーション橋本 松井さんにインタビュー

製紙会社での経験を経て、介護用品の卸会社を設立された法人代表取締役松井様。そんな松井様が訪問看護ステーションの立ち上げに至ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか。訪問看護への想いや今後のビジョンをうかがいました。
介護用品の卸会社を設立したきっかけは、「お客様の困りごとに応えたい」という想いから
私は元々、静岡にある家業の製紙会社で、工場のオペレーターとして製品の加工を行う業務に就いておりましたが、自身が作ったものがどのように販売されていくのかに興味を持ち、販売していく側の仕事も、学びたいと決意。東京の衛生用品を扱うメーカー会社へ就職をしました。
この会社での仕事は、紙おむつをはじめとするペーパータオルなどの紙加工がかかわる製品の販売営業を主軸とし、多くの病院や介護施設に直接訪問する営業職でした。
工場の中では、想像でしかない、看護介護に携わる職種の方々の声や、実際に製品をお使いになる方々の、生の声に触れることが出来ました。
特に排泄ケアといった閉ざされた場面でも、現場に入り込み、数多くのお困りごとに対し深くお客様と、取り組む機会を頂くことで、アドバイザーのような役割も担っていました。
当時は、お客様に自社で販売する商品を、お勧めするのが当然の仕事で、それだけでも、お客様には喜んで頂いていましたが、更に深く患者さんやご利用者の側に立って考えることが多くなり、自社製品だけでは、解決しきれない数々の場面に遭遇するようになりました。
本当に適切なケアを行うためには、自社、他社の製品に拘らないおひとりおひとりに合った医療介護用品の提案が必要なのではないかと、自問自答を繰り返すようになりました。
そんな、葛藤を抱える日々を過ごしていた頃、厚意にしていただいていたお客様から『顧客が本当に必要としているものを提案し、持ってきてくれる事業を運営してくれないか』というお話をいただいたのです。
私には、これまでの現場経験や製品知識、幅広い医療介護用品各社との交流があり、このことを活かし、多くの方々の励ましやご協力を得て、医療介護に関わる「これぞ」と思う商材品を扱う卸会社を立ち上げることになりました。これは2009年のできごとで、現在の株式会社アース会社の出発点となります。
あれから早くも16年が経ちました。2025年は、新事業として訪問看護ステーションを、立ち上げることを決めました。お客様のニーズに寄り添ったサービス提供は、その思いのままに、最適なヒューマンサービスを柱に地域の在宅医療を支えていきたいと考えています。

病気や障碍を抱えた方が在宅で過ごす大変さを経験。訪問看護ステーション設立のきっかけ
私が訪問看護ステーションを立ち上げたきっかけは、身内が事故で心身に障害を負ってしまったことにあります。医療依存の高い重症心身障碍を負った身内の在宅看護介護は、それを支える家族の心身だけに関わらず生活の負担も強いられることを、身をもって体験しました。
言葉を聞く限りでは珍しいことではなくなった在宅療養ですが、幼い乳児から高齢者まで様々なケースがあり、家族を含む身内や地域、行政の理解はもちろん、一人一人の状況に応じた適切な医療・介護、地域支援サービスを受けることが必要となります。
何をどのように活用できるのかを知ることも大変ですが、提供されるサービスの実際は、サービス提供事業所やそこで働く個々の医療従事者や介護従事者によってケアの質に差が生じ、時に本人や家族の求めるサービス提供と乖離してしまうことも少なくありません。
この乖離を少しでも埋めるべく質の高いケアを提供できる訪問看護ステーションが必要だと考えました。
介護保険制定後、在宅医療サービスは一見、誰でも受けられる簡易的なサービスの様に見受けられますが、まだまだ本当に必要な人に必要なケアが行き届いているのかは、定かではないように感じます。
また、私は現代社会において先天的、或いは後天的な事故や病によって障碍を負った重度身体障碍児の受け入れがままならないことも課題だとも考えています。
その課題の中に、やがて老いていく親の「親亡き後の介護」という問題があります。
高齢者に満たない若年層成人や小児における、障碍者施設はいくつか存在しますが、それらのほとんどが知的障害や精神疾患を持つ方を対象としており、重症身体障碍者(児)対象の施設は、少なく入所には、長い待機という困難が生じます。
その間の在宅介護には費用が掛かり、夫婦共働きをするにも、障碍を抱えた子どもたちを家で看ておかなければなりません。そうすると親のひとりは仕事を辞めざるをえないことも生じます。ひとり親の時はどうでしょう?
待機の間にもしも、主力の介護者である親に何かあればたちまち在宅看護は崩壊します。
やっとのことで入所がかなっても、入所にかかる費用の負担や、家族に会いたいときに面会時間や人数に制限が生じ、自由に会うことも、ままならない状況もあります。
私は、この問題に対し、重症心身障碍を抱えた子どもたちが生活できる場所を創りたいと考えています。
施設設立には、24時間の看護体制を確立することが設営の基準です。それが実現できる方法に訪問看護があるということを知り、まずは訪問看護ステーションの立ち上げから、動き始めました。
この計画を立てたのは3年ほど前ですが、コロナ禍の影響でなかなか進まなかったのです。ようやく当初の予定を進めるために動けるようになり、漸く訪問看護ステーションの立ち上げに至りました。
どのような施設形態が好ましいか、まだ構想を練っている段階ではありますが、質の高いケアと子どもや家族に会いたいときに会えるシステムは必ずつくりたいと考えています。
施設コストの面では、医療機器や福祉用具に係る支出を一般の量販店を通さず購入することで抑えることができるはず。さらに、消耗品に関しては、一般の人は手に入れづらい低コストの業務用の商品を提供できるという強みを活かしたいですね。
将来の目標は今も変わらず、重症心身障碍を抱えたお子さんと親御さんが抱える、あらゆる問題を解決する施設をつくることです。施設の形態は検討中ですが、当訪問看護ステーションは、そのための第一歩です。法人としては、訪問看護ステーションを通じて、介護看護用品をご提案したり低価格でご提供をしたりと、少しでも介護力の軽減に貢献できたらと考えています。
めぶき訪問看護ステーションだからこそできるサポート
法人本部である株式会社アースの販売事業は、売上のほとんどが紙おむつです。私も製紙会社をしていて紙おむつを扱っていますが、よく在宅で介護されている方から「現物が見たい」や「サイズが合っているのかわからない」という選び方の問い合わせです。
サイズについてはウエストのサイズを聞きますが、大きさや吸収量、利用者さんの体型によって、使用するものは大きく変わります。一番問題なのは介護認定等級で、要介護度によっても変わります。
介護の現場では、排泄の困りごとが在宅復帰を左右するともいわれています。
これらのご相談に低コストで製品を提供、更に自社で販売しているものであれば訪問の際、看護師がお届けし、サイズ選びから使い方の指導も行うことができるので、ご家族のお買い物の負担までも軽減できる手立てもあります。
また、弊社には、介護福祉士・福祉用具専門相談員・介護口腔ケア推進士など福祉系の資格を持つ職員もおります。歯ブラシなどの小物から、吸引器などの医療機器の販売も、認可を取得しているので、必要性に合わせて提案が可能です。
このように、介護用品や医療機器の販売会社で経験してきた私たちだからこそ、質の高い在宅ケアを提供できると考えています。

働くスタッフに向けて、学べる環境を整備
今後入職する方にとって、私たちの事業と訪問看護を組み合わせた取り組みを学べることはメリットだと思います。勉強会の内容も充実しており、たとえば吸引器について勉強したいと思えば、複数のメーカーを呼んで研修が可能です。
紙おむつでも、社内に認定排泄ケア専門員が常駐しており、適切なフィッティングが可能となります。
ほかにも重度化予防や褥瘡予防、拘縮予防についての、在宅介護に向けた外部研修も参加可能です。当社では、拘縮をなくすための「こうしゅくゼロ推進協議会」に会員登録しているため、学会発表があった際には、これらの講演を聴講することが可能です。看護師の研修はさまざまな提案ができるので、これも大きなメリットではないでしょうか。
学びながら働きやすい職場づくりを目指して
私は会社の代表ではありますが、医療スキルは持っていません。しかし、高いケアの質を備えた訪問看護事業を築いていきたいという思いはお伝えしたいと思います。そのためにも、スタッフの皆さんが常に働きやすい環境づくりに尽力していきます。
めぶき訪問看護ステーションでなければなし得ないサービス提供を一緒につくっていきましょう。皆さんの意見を尊重します。看護記録やレセコン等のソフトウエアについても皆さんと相談して進めて参ります。
今後入職される看護師さんたちに対しては、生活スタイルに応じ、常勤・非常勤などの勤務形態、時短勤務にも、できる範囲お答えしたいと考えています。この他、福利厚生として、住宅手当やこども手当の支給、オンコール待機手当、緊急対応手当、インセンティブ手当など個人実績に対し金銭的インセンティブをお支払いいたします。皆様の頑張りや働きに対する対価については極力還元していきたいと考えていますよ。
私たちは介護系の分野に長く携わってきているので、その経験を訪問看護に活かしていきたいと思っています。在宅のサービスを受けるご本人やご家族で、困りごとの手助けをいろんな面からサポートしていきたいです。
業務用の商品の提供や研修など、自分のスキルアップと在宅へのサービスを充実させたいと思っている方には最適な職場だと思いますので、是非ご検討いただけたらうれしいです。勉強しながら在宅の看護に興味のある方であれば、大歓迎です。
インタビュアーより
自らも介護の経験を持ち、利用者様とご家族の生活をサポートしたいという強い想いをお持ちの松井様。訪問看護ステーションを基盤に、将来的には地域のケア体制を強化する施設の設立を視野に入れておられます。在宅のケアについて学びたい方にぴったりのステーション様です!
事業所概要
めぶき訪問看護ステーション橋本(神奈川県相模原市)
住所:神奈川県相模原市緑区下九沢1579番地
運営方針・理念:
介護用品・医療機器の販売経験を活かし、在宅で生活する利用者や家族に適切なケアと商品提案ができる訪問看護ステーションを目指す

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