未経験でも訪問看護に携われる体制を~働きやすさを重視した環境づくり~アロハナースステーション 管理者池田様と取締役CEO前垣様にインタビュー

公開日:2025/04/17 更新日:2025/04/17
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利用者さまのサポートだけでなく、アプリ開発により地域に根差したサービスを提供しているアロハナースステーション。管理者の池田様と取締役CEOの前垣様にステーション設立やスタッフへの想い、今後の展望について伺いました。

管理者 池田様の経歴 訪問看護への興味は幼い頃の思い出

看護学校を卒業後、企業の病院で3年間働きました。結婚をきっかけに病院を退職し、地元の九州から千葉に引っ越したんです。看護師をやめようかなと思いつつも、やっぱりまたやりたいという気持ちがあり、2人目の子どもを出産後、保育所付きの病院に就職しました。そのころから訪問看護には興味がありましたね。

そのきっかけは、子どもの頃にあります。近所に小児麻痺の男の子が住んでいて、一緒にボーリングをして遊んだときに、男の子のお母さんが「ありがとう」とすごく感謝してくれたんです。私はただ、一緒に遊んで楽しかっただけだったのですが、お母さんの言葉がすごく印象に残っているんですよね。

障害を抱えた人と同じ目線に立つことの大切さは、その頃から強く感じていました。だからこそ、訪問看護が始まったとき、病院ではない場所、つまり患者さんが普段生活する環境で看護ができる点に、とても惹かれました。

職場の人たちに『訪問看護をやりたいです』と話したことがあるのですが、キャリアが3年しかないのは経験が足りないと言われてしまって……。

当時から、看護師としてある程度の経験がないと在宅医療に携わるのは難しいと言われていました。キャリアを積みたいという思いは強くありながらも、子育てと両立しながら働くことに不安も感じていました。特に、子どもが小さかったため、時間や体力の面で大変さを感じることも多かったです。

自身の経験をお話しされる池田さん。訪問看護に携わる前から、訪問看護をやりたい気持ちをずっとお持ちだったそうです。

訪問看護指導からのスタート 「利用者の変化」に感じた達成感

夫の転勤で千葉から川崎市にきたときに、社会福祉協議会が主軸で全国ではじめて「訪問看護指導」という形を始めることを知りました。そこで1週間に1~2回、携われるようになったんです。

私が最初に受け持った利用者さんはひとり暮らしの50代半ばの男性でした。片麻痺を抱えていたので食事にすごく大変な思いをされていたのですが、私が看護で介入させてもらうようになり、食事や運動、生活の状態がぐんぐん良くなったんです。

本人の持っている力を発揮できるようになったんですよ。精神的な面でも変化があり、これまで病気に対して無関心だったのが関心を持つようになったり、介護サービスの利用も声かけするとできるようになったり……。消極的だった方が意欲をもって取り組めるようになるサポートの醍醐味を感じましたね。

再度夫の転勤で川崎市から町田市に引っ越しましたが、町田市でも訪問看護指導があり、携わらせてもらいました。週に1回訪問させてもらっていた利用者さんで、寝たきりだった方が、私が半年間関わって歩けるようになったことがありました。

原因がよくわからないまま寝たきりになっていた方だったので、精神的なものがかなり強かったのかもしれません。看護師と一緒にリハビリテーションをコツコツ積み重ね、利用者さんの目標を達成することに、自分の看護に対するやりがいを感じました。

晴れて訪問看護の世界へ 福祉の視点も大切に

1991年頃に訪問看護ステーションが全国的に導入開始になり、町田市の医師会では平成7年に訪問看護ステーションが導入されました。その際、町田市で訪問看護指導に携わるメンバーのなかから医師会に入ってほしいという依頼が来ましたが、当初私は30代でまだまだ経験不足なところがありました。

でも先輩方は医師会への入会には消極的でしたので、訪問看護をやりたい想いが強かった私は立候補したんです。晴れて訪問看護に携わるようになり、実際に携わった1年で10年分くらい経営やノウハウを勉強させてもらいました。

管理者として一からスタートして、スタッフや先生たちと協力しながら作りあげていく醍醐味がありましたね。そこから転々と異動はしましたが、これまでの経験のなかで、訪問看護における看護師と利用者さんはお互いにwin-winの関係だと感じています。

訪問看護師自身もいろんな利用者さんと出会えるし、利用者さんもいろんな看護師に出会えるんですよ。訪問看護は人の人生の一部に関われる仕事だと思っています。

2000年に介護保険制度が開始されたときにケアマネジャーの資格を取得し、一時期は訪問看護から離れて地域包括支援センターで相談業務に従事したこともあります。

あるとき、一緒に働いていた社会福祉士の方と私との意見がすれちがうことがあったんです。そのときに「医療職と福祉職が手を組まないといけないのに、考え方が違うのはなぜだろう」と疑問に思い、福祉職の視点を知りたいと思い通信制の学校で社会福祉士と精神保健福祉士の資格をとりました。

福祉の資格を取ったことによって、訪問看護の必要性を、福祉と看護の視点から考えられるのが自分の強みになったと思います。両方の視点からより良いサービスに繋げられますし、福祉分野のスタッフとも意見を交わしやすくなりました。

「アロハナースステーション」の名前通り、ハワイの温かさでスタッフさんを迎え入れるような入り口です。

スタッフへの教育 新人でも訪問看護に携われる体制づくり

スタッフへの教育や指導関連の研修を受けたときに、マニュアルに沿うことで新人さんが迷わなくて済むと学びました。ある程度マニュアルに沿って訪問に出てもらい、スタッフが困ったときにこちらがアドバイスできる状態にしておけば、訪問看護って新人でもできるのではないかと思っています。

訪問看護は経験年数がなければだめだという考え方を変えていかないといけないと考えています。

病院の患者さんを訪問看護に引き継ぐときには、必ず病院に出向き、病棟の看護師との関わりも大切にしています。病院に出向くことで、退院前にご本人とご家族と顔見知りになっておけば安心してもらえますし、病院の看護師とも連携が取りやすくなるんです。

もし体調を崩したら、またその病院で入院しやすくなることもあります。現在は訪問診療が進んできて、退院前カンファレンスで在宅の医師も出向いてくれることがあるので、連携にもしっかり関わってもらって、臨床経験の浅い方でも体系的に育てる取り組みを大切にしています。

当ステーションの体制は担当制ではなく、スタッフ同士で補い合いながら進めています。若い看護師と先輩看護師が一緒に同じ利用者さんに関わることによって、お互いに刺激し合える部分もあるんですよ。

訪問看護の経験が豊富にあるからいいというものではなく、人それぞれで思い込みが強いこともあるので、そこをなくしていくためにも、いろんな人の視点から利用者さんを支えられたらと考えています。

アロハナースステーション設立への想い

いろいろな職場を転々としましたが、自分も年を重ねてきて定年退職のことを考えたときに「定年のない会社を作るには自分が立ち上げるしかない」と思ったんです。

当ステーションが長く続くためには、しっかりと基盤を作って利用者さんにサービスを提供しながら自分たちも生活できるように、ボランティア感覚ではいけないという想いが根底にはあります。

当ステーションは多職種でのサポートという視点に重きを置き、ヘルパーとケアマネジャーと看護師を配置していますし、時間外サービスも提供しています。利用者さんのサポートを私たちのステーションで一貫して提供したいという想いからです。

利用者さんもですが、ご家族にもいろんな年齢の方がいて、介護経験もさまざまです。初めての介護で不安や「どこまでみれるだろうか」という想いがあると思うんですよね。それを受け止めつつ、介護者があっての在宅介護なので、介護者が倒れないように支えていくことを大切にしています。

前垣さんは経営者として「理想の介護には利用者さんのためとスタッフが働きやすい職場づくりが最優先」という想いをお持ちです。

管理者と経営者 役割はちがっていても「現場を大切にしたい」想いは同じ

前垣様:

池田管理者は福祉の心がすごく大きくて、理想の介護には利用者さんのためとスタッフが働きやすい職場づくりが最優先なんです。

実務に入っている経営者は実際なかなかいないと思いますが、働くスタッフの気持ちがわかるからこそ、訪問から事務所に戻ったら必ず「おかえり」という声かけを大切にしています。

スタッフも「ただいま」と返してくれ、家族みたいな存在ですね。みんなで助け合ってやっていこうという温かい雰囲気の職場です。

コロナ禍のときには、訪問看護の体制が崩れそうになりましたが、すぐにスタッフは直行直帰してもらうように体制を変更し、コロナウイルス抗原キットも全員に配りました。朝のミーティングもオンラインに変えましたよ。

「あのとき会社がすぐに職員のことを考えて守ってくれた。そんな会社ないと思う」とスタッフが言ってくれましたね。当ステーションの離職率が低いのは、スタッフを大事にしたいという想いと行動が伝わっているのかもしれません。

ただ、介護保険の報酬が下がった今、経営が厳しいのは事実です。補助金や助成金を利用しながら、介護報酬以外で収入が得られるように取り組んできました。

やはり訪問看護は大変な仕事ですし、スタッフにはきっちり報酬をあげたいという池田管理者の想いもあるので、私もそれに応えるためにどうすればいいか考えながら進めています。

たとえば、介護保険以外で収入が得られないかと考えたのがアプリの開発です。ほかにも別の事業に取りかかっており、訪問看護ステーションとしてなんとか継続していけるだけの収益があればと思っています。

当ステーションは現在9年目になります。最初はスタッフ5名からスタートし、少しずつ大きくなりました。経営の厳しい部分はありますが、池田管理者と私とで役割分担をしっかりしつつ、利用者さんやスタッフへの想いは同じ方向を向いて、現場を守りたいと思っています。

地域の人をつなぐ取り組みと長く働ける職場環境

池田様:当ステーションで開発したアプリは、高齢者や学生、主婦の方など時間が空いた人たちとアルバイトをマッチさせるものです。

たとえば、利用者さんが「電球を変えてほしい」「掃除してほしい」などちょっとしたことを誰かにお願いしたいときに、このアプリに登録している人が出動できるようにマッチングします。

実際、看護師やヘルパーさんでなくてもできることってたくさんあるんです。「寂しいから誰かと話したい」という方や、遠く離れたご家族からの依頼で「ちょっと父親の様子を見に行ってきてほしい」など……。

そのようなことであれば資格は必要ないし、学生さんでもちょっと様子を見に行って、自宅のチャイムを鳴らして、ご様子の写真を撮ったりして「お元気そうでした」と報告できますよね。この取り組みは地域の人たちをつなぐマッチングとも考えています。

訪問看護ステーションの私たちが開発したからこそ安心してもらえるのではないかと思います。

今後の目指すところとしては、子育てや介護があっても仕事をやめないで長く続けてもらえるように基盤を作り、訪問看護に携わる人材を育てていきたいと考えています。

自分の生活を主体として働ける場所を探しているのであれば、ぜひうちの門を叩いてほしいです。働ける時間が限られていても、子育てや介護が終わっても、また同じところで働ける職場を目指したいと思っています。当ステーションで生きがいを見つけていただけたらうれしいですね。

インタビュアーより

利用者さんはもちろん、スタッフを大切にし、働きやすさを重視されているアロハナースステーション様。スタッフ同士の「家族のような」関係を大切にし、職場の温かい雰囲気が魅力です。訪問看護未経験絵も安心して訪問できる環境が整っているため「訪問看護をやってみたい」と考えておられる方はぜひお問い合わせください!

事業所概要

アロハナースステーション(東京都町田市)

住所:東京都町田市森野5-21-1 シブヤツインビル303

運営方針・理念:

私たちは豊かな高齢社会の創造に貢献します

事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/14530

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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