訪問看護の利用者、よく見る疾患・対象とは?

公開日:2021/12/21 更新日:2024/02/11
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訪問看護は主治医に訪問看護の必要性が認められた赤ちゃんから高齢者まで全ての年代、ターミナル、精神、小児、難病等の全ての領域が対象となります。

その中でもよく出会う疾患、ケースに関して、

『訪問看護の現状とこれから 2021年版』
(著:公益財団法人日本訪問看護財団、発行日:不明)
https://www.jvnf.or.jp/global/The_Present_and_Future_of_Visiting_Nursing2021_JP-memo.pdf

を参考にしながら説明します。

疾患分類

訪問看護ステーション利用者の傷病別内訳では、脳血管疾患が15.4%で最も多く、次いで筋肉骨格系が9.0%、認知症(アルツハイマー病含む)が8.6%、悪性新生物が8.3% の順になっています。

その他、パーキンソン病、呼吸器疾患、心疾患、糖尿病、統語失調症等が同等の割合です。傾向としては、医療依存度の高い重度・最重度の割合が増加しており、緊急時の対応など24 時間対応体制が必要な利用者が増加しています。

※参考:『訪問看護について』
(著:中央社会保険医療協議会、発行日:2011年11月11日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uo3f-att/2r9852000001uo71.pdf

全体としては上記の分類となりますが、ステーションによって疾患分類は大きく変わります。また、病院(病棟)との大きな違いは、小児や精神等の領域に特化しているステーションでない限り、原則として疾患・対象の分類を限定せずに、訪問看護を必要としている様々な利用者に対して幅広いサービスを提供していくことが在宅の大きな特徴です。

ただし、メンバー(主に管理者)の得手・不得手や、そのステーションで訪問する地域の特性次第で、ステーションへの依頼内容やニーズの高い疾患分類に偏りが生じることもあります。もし、在宅で特に興味のある領域が決まっているのであれば(例えば、在宅での終末期ケアに関心が高い、等)、その領域での依頼をよく受け入れているステーションを選んでいく必要があります。

看護内容

訪問看護の内容をみると、病状観察が93.6%、本人の療養指導が57.5%、家族の介護指導・支援が37.5%です。また、リハビリテーションが52.1%等となっており、看護とリハビリのセットで訪問看護依頼が来るケースが多く、疾患分類で脳血管疾患が多いことからも納得できます。一方で、吸引や点滴・注射、膀胱留置カテーテル、薬物のよる疼痛管理・がん化学療法といった医療処置に関しては各10%未満となっています。

このことからは病院の看護で求められるような「直接ケア」は訪問看護の中で実施する機会が少なく、「観察」、「指導」をしながらセルフケア能力を高めるように働きかけることが訪問看護の大きな役割であることが見えてみます。

以上となります。

疾患分類も看護内容も大きな傾向は上記になりますが、利用者・家族に求められる看護を提供できるように知識・技術を常にアップデートさせていくことが必要です。また、セルフケア能力を高める働きかけをするためにはコミュニケーションスキルや多職種を巻き込む力も訪問看護師には必要となってきます。

▼執筆者プロフィール

藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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