脳卒中看護認定看護師になるには?資格取得の流れや必要な費用、教育機関一覧を解説

「脳卒中の患者さまにもっと専門的なケアを提供したい」「SCU(脳卒中ケアユニット)や脳外科病棟での経験を活かしてキャリアアップしたい」と考えている看護師の方はいらっしゃいませんか。
脳卒中看護認定看護師は、急性期から生活期まで一貫して患者さまを支えるスペシャリストです。脳卒中看護認定看護師は、新たな制度(B課程)へ移行しており、特定行為も同時に取得できるようになりました。そのため、現場での判断や処置の幅が広がり、専門性を評価する施設が増えています。
この記事では、脳卒中看護認定看護師になるまでの流れや気になる学費、年収などについて解説します。資格取得に向けて具体的にイメージできるようになるはずです。
脳卒中看護認定看護師とは?
脳卒中看護認定看護師とは、日本看護協会が認定する資格であり、脳卒中患者さまの「超急性期から在宅までの切れ目のないケア」を提供するスペシャリストです。
- B課程が始まり脳卒中リハビリテーション看護認定看護師から名称変更
- 脳卒中看護認定看護師の役割
- 脳卒中看護認定看護師が活躍する職場
脳卒中(脳血管疾患)は日本人の主要な死因の一つで、厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」によると、年間で184万2,000人(入院と外来の総数)が治療を受けています。寝たきりや介護が必要になる原因の1つでもあるため、専門的な知識とスキルを持つ脳卒中看護認定看護師は、現場でますます重要になっています。
B課程が始まり脳卒中リハビリテーション看護認定看護師から名称変更
2020年度から始まったB課程において、「脳卒中リハビリテーション看護」は「脳卒中看護」へと名称が変わりました。
特定行為研修を組み込んでいるため、急性期から生活期まで一貫してケアできる実践力が求められるようになっています。2026年度でA課程(脳卒中リハビリテーション看護)の教育は終了するため、これから取得を目指す方はB課程の教育機関を受講することになります。
脳卒中看護認定看護師の役割
脳卒中看護認定看護師の役割は、重症化の予防と早期リハビリを両立させ、患者さまの生活を守ることです。「実践」「指導」「相談」の3つの役割があります。
- 実践:SCUや脳外科病棟で瞳孔や麻痺の変化などを察知し、早期治療につなげる
- 指導:スタッフに脳卒中のアセスメント方法を指導する
- 相談:医師やリハビリスタッフと連携し、個別性のある計画を立案する
このように、患者さまのケアだけでなく、スタッフの指導や多職種との連携まで幅広く担うのが脳卒中看護認定看護師の特徴です。
脳卒中看護認定看護師が活躍する職場
脳卒中看護認定看護師が活躍するのは、次のような職場です。
- SCU
- 脳外科病棟
- 回復期リハビリ病棟
- 訪問看護ステーション
脳卒中ケアは急性期から在宅まで支援が必要なため、どの施設でも専門職の需要は高くなっています。
関連記事:認定看護師とは?認定看護師の種類と教育機関の一覧を詳しく解説
脳卒中看護認定看護師になるには?
脳卒中看護認定看護師を目指すには、臨床経験を積んだうえで教育課程を修了する必要があります。
- 脳卒中看護認定看護師になるまでの流れ
- 脳卒中看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
- 脳卒中看護認定看護師の試験内容と合格率
各段階の内容を事前に把握しておくことが重要です。それぞれのステップを詳しく確認していきましょう。
脳卒中看護認定看護師になるまでの流れ
脳卒中看護認定看護師になるには、受験資格の確認から認定登録まで5つのステップを踏む必要があります。
| 流れ | 内容 | ポイント |
| 1 | 受験資格の確認 | 看護師免許取得後5年以上の実務経験(うち3年以上は脳卒中看護分野) |
| 2 | 教育機関への出願と入学 | 教育機関の入学試験(筆記・小論文・面接)を受験 |
| 3 | 教育課程を修了 | 約1年間、特定行為研修を含む教育課程を修了 |
| 4 | 認定審査 | 日本看護協会が実施する筆記試験を受験 |
| 5 | 認定・更新 | 認定看護師として登録し、5年ごとに更新 |
まずは、自身の臨床経験が受験資格を満たしているか確認するところから始めましょう。
脳卒中看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
2026年4月時点で、脳卒中看護認定看護師(B課程)の教育機関は、熊本県の「熊本保健科学大学(定員数:7名)」のみです。開講の状況は年度によって変わるため、最新情報は日本看護協会の公式ホームページでご確認ください。
カリキュラムには、認定看護師の共通科目や、「脳卒中看護概論」「脳卒中の病態生理と診断および治療」などの専門科目、臨地実習があります。また、「栄養および水分管理に係る薬剤投与関連」「精神・神経症状に係る薬剤投与関連」といった特定行為も含まれます。
脳卒中看護認定看護師の試験内容と合格率
教育課程を修了した後、日本看護協会が実施する認定審査を受験します。
試験はマークシート方式(40問、150点満点)です。合格率は公表されていませんが、教育課程の内容を十分に理解していることが求められる可能性があります。
なお、2025年12月時点で教育機関は1校のみであり、入学試験の倍率が高いと予測されるため、教育機関への入学準備が資格取得の最初の関門といえます。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
脳卒中看護認定看護師になるために必要な費用と期間の目安
B課程になり、特定行為研修が加わったことで、必要な時間や学費が変わっています。あらかじめコストと期間を把握して、無理のない計画を立てましょう。
必要な学費
学費の総額は130万円程度が目安で、その内訳は次のとおりです。
| 費用の種類 | 目安 |
| 入学検定料 | 5万円 |
| 入学金 | 5万円 |
| 授業料 | 120万円 |
| 委託徴収金 | 5,470円 |
| 認定審査料 | 5万1,700円 |
| 合計 | 135万7,170円 |
費用負担を軽減するために、勤務先の資格取得の支援制度や日本看護協会の奨学金、厚生労働省の教育訓練給付制度を事前に確認しておくことをおすすめします。
必要な期間
教育機関での受講期間は、4月に入学式があり、翌年3月に修了式があるまでの約1年間です。入学試験の準備から認定審査の合格までを含めると、資格取得まで約2年を見込んでおくと良いでしょう。
研修期間中は休職や出張扱いとなることが多いため、職場やご家族との事前調整が重要です。

脳卒中看護認定看護師の年収
脳卒中看護認定看護師の年収は、およそ600万〜700万円前後と試算できます。
日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」によると月給は43万628円であり、この額をベースに賞与2〜4ヶ月分を加算した数字です。資格手当として月1万円程度が加算されるケースもあるため、一般の看護師よりも年収は高くなる傾向にあります。
ただし、勤務先や役職・夜勤の有無によって年収が異なる点に注意が必要です。
脳卒中看護認定看護師の仕事内容
脳卒中看護認定看護師の仕事内容は、SCUや脳外科病棟で意識レベルや麻痺、瞳孔の変化などを観察し、急変の早期発見と治療につなげることです。
また、嚥下評価や離床支援、再発予防の生活指導などリハビリスタッフと連携しておこない、患者さまの機能回復と生活の質の向上を支援します。さらに、スタッフへの教育をとおして脳卒中ケアの質向上に貢献することも仕事の1つです。
脳卒中看護認定看護師になるメリット
脳卒中看護認定看護師の資格を取得すると、専門性・キャリア・転職の面でメリットがあります。
- 脳卒中看護の専門性が高まる
- 看護師としてのキャリアアップにつながる
- 転職で有利になる
職場での信頼が厚くなるだけでなく、看護師としての市場価値が高まり、将来の選択肢が広がります。
脳卒中看護の専門性が高まる
医学的根拠にもとづいたケアを提供できるようになることが、脳卒中看護認定看護師になるメリットです。
脳卒中の病態を理解することで、患者さまの変化の意味が理解でき、医師と意見交換できるようになります。急変予兆への的確な対処や、個別性の高い離床計画の立案が可能になり、ケアの質が向上します。
看護師としてのキャリアアップにつながる
資格を取得することで、看護主任や看護師長への昇進に有利になります。
ただし、資格を取得してすぐに昇進するわけではなく、次のような活動を通して評価される流れが一般的です。
- 院内勉強会の企画
- 看護手順の見直し
- 他病棟の患者ケアのコンサルテーション対応
実際の現場では、資格取得から2年程度で看護主任や副看護師長に昇進するケースもあります。病棟内のリーダー業務にとどまらず、病院全体に貢献できる人材として認められることがキャリアアップには大切です。
転職で有利になる
脳卒中看護認定看護師の資格は、転職市場において即戦力の証明になります。
日本看護協会が認定する専門資格であるため、SCUを新設する病院や在宅分野へ注力する施設からのニーズが高く、より良い勤務条件や環境を自分で選べる選択肢が広がります。
ただし、職場から資格取得を支援してもらっている場合、取得直後の転職は難しいケースが多いため、数年間は現職で実績を積むことが一般的です。
実際に、認定看護師としての専門性を活かして訪問看護分野へ転職し、キャリアの幅を広げている看護師もいます。
脳卒中看護認定看護師の大変なところ
資格取得には多くのメリットがある一方で、挑戦する前に知っておくべき現実的な課題もあります。
- 勉強と実習の負担が大きい
- 資格取得には費用がかかる
- 必ず給与が上がるわけではない
事前に課題を把握して準備を整えることが、スムーズな資格取得には欠かせません。
勉強と実習の負担が大きい
資格取得までの約1年間は、講義や演習に加えて、レポート作成、実習、特定行為の手技習得などが続くハードな学習期間です。
働きながら準備を進める場合は、ご家族や職場の理解を事前に得ておくことが、最後まで乗り越えるための重要なポイントになります。
資格取得には費用がかかる
学費だけでなく、研修中の生活費・交通費・専門書籍代など想定外の出費がかさむことがあります。
教育訓練給付金といった公的支援制度や、勤務先の取得支援制度を事前に調べ、資金計画を立てておくことが大切です。
必ず給与が上がるわけではない
病院によっては資格手当がない、あるいは少額にとどまる場合もあります。実際に、日本看護協会の調査によると、認定看護師のうち58.8%は「資格手当がない」と回答しています。
また、資格取得後はこれまでの業務に加えて、他病棟からのコンサルテーション対応やカンファレンスへの参加などが求められるため、残業が増えるケースもあります。業務量の増加に見合った手当が支給されるかどうかも、事前に確認しておくべき点です。
資格取得を検討する段階で、就業規則を確認したり、看護師長や人事担当者に手当の有無や金額を確認したりしておくことが大切です。取得後に「思っていた待遇と違った」とならないよう、職場の制度をよく把握しておきましょう。
脳卒中看護認定看護師に向いている人
次の3つの特徴に当てはまる方が、脳卒中看護認定看護師に向いています。
- 緊急時に冷静な判断ができる人
- 患者さまのわずかな変化を見逃さない観察力がある人
- 患者さまの予後に貢献したいという意欲がある人
脳卒中ケアは一瞬の判断が命にかかわる急性期の緊張感と、患者さまと共に一歩ずつ回復を目指す長期的なケアの両方が求められる分野です。患者さまの表情や動きのわずかな変化に関心を持てる人に適しています。
脳卒中看護認定看護師についてよくある質問
多くの看護師が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。制度が新しくなったからこそ生まれる不安も、ここでスッキリ解消しておきましょう。
Q1:脳卒中看護認定看護師になる難易度は高いですか?
認定審査の合格率は高いといわれていますが、入学試験の倍率の高さと入学後の学習量の多さが最大のハードルです。
実務経験を積みながら受験準備をおこない、さらに1年間の研修を修了する継続的な努力が求められます。同じ志を持つ仲間と学ぶ期間は、看護師人生においてかけがえのない時間になるでしょう。
Q2:脳卒中看護認定看護師になると特定行為ができるようになりますか?
B課程を修了すると、所定の特定行為が可能になります。
脳卒中看護分野では、「栄養および水分管理に係る薬剤投与関連」と「精神・神経症状に係る薬剤投与関連」がカリキュラムに含まれており、医師があらかじめ作成した手順書にもとづき、包括的指示の範囲で特定行為を実施できます。
ただし、特定行為の範囲は教育機関のカリキュラムによって異なるため、志望する教育機関の公式ホームページで確認してください。
Q3:2026年度開講している認定看護師の教育機関の調べ方はありますか?
日本看護協会の公式ホームページにある認定看護師のページを確認するのがおすすめです。
脳卒中看護から自分の地域で募集がある機関を探してみてください。募集要項の配布時期や試験日程は機関ごとに異なるため、気になる学校があれば早めに資料請求をおこないましょう。
関連記事:認定看護師の種類一覧とは?19分野の一覧と難易度を詳しく解説
脳卒中看護を専門にするなら認定看護師は有力な選択肢
脳卒中看護認定看護師は、急性期から在宅まで患者さまの命と生活を支えるやりがいのある専門職です。
資格取得の難易度は決して低くありませんが、そこで得られる知識と経験は看護師としての自信と誇りになります。
「脳卒中後の在宅療養を支える訪問看護に興味が出てきた」「もっと専門性を高められる環境で働きたい」と感じているなら、環境を変えることも1つの選択肢です。
ナスキャリ(NsPace Career)は訪問看護に特化した求人サイトであり、脳卒中後の在宅療養を支える事業所や、キャリアアップ支援が充実した求人をご紹介しています。まずはお気軽にご相談ください。
<参考サイト・文献>
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関):B課程認定看護師教育機関|日本看護協会
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
