看護で使う関連図の書き方を5ステップで解説!つまずきやすいポイントも紹介

「関連図が苦手で何を書けば良いかわからない」「時間がかかってしまう」
このような悩みを抱える看護学生や看護師は少なくありません。
関連図は、患者さまの情報を整理して全体像を把握するためのツールです。書き方のコツを押さえると、アセスメントの質が高まり、看護問題の優先順位も立てやすくなります。
この記事では、関連図の基本から実践的な作成手順、よくあるつまずきポイントと改善方法まで解説します。看護学生の実習はもちろん、現場で働く看護師にも役立つ内容です。
看護の関連図とは患者情報を整理し視覚化するための図
関連図は、看護における思考をまとめるためのツールです。患者さまに関するさまざまな情報を矢印でつなぎ、因果関係を視覚化することで、アセスメントの根拠が明確になり、看護問題の優先順位も把握しやすくなります。
日本看護協会の「看護業務基準」では、患者さまを、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルの側面から総合的に捉えることの重要性が示されています。
関連図は、こうした多面的な情報を整理し、患者さまの全体像を把握するために役立ちます。
看護過程で作成する関連図の種類
看護師が作成する関連図には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 病態関連図
- 全体関連図
それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けましょう。
病態関連図
病態関連図とは、疾患のメカニズムを整理するための図です。以下のような流れを視覚化できます。
- 病気の原因
- 病態
- 症状
- 治療
- 看護問題
病態関連図では、教科書に載っている病態生理を参考にしながら、患者さま固有の情報を組み合わせて作成します。具体的には、患者さまの年齢や性別、既往歴、現在の症状、治療内容などを記載し「なぜその症状が出現するのか」を論理的に整理します。
全体関連図
全体関連図は、病態関連図に患者さまの生活背景まで含めて整理したものです。以下のような内容を含みます。
- 家族背景
- 入院前の生活習慣
- 心理面
- 社会面
同じ疾患でも、生活背景や心理状態は1人ひとり異なります。病態だけでなく、患者さまを取り巻く環境や状況も含めて整理することで、より個別性の高いアセスメントができるでしょう。
なお、訪問看護では利用者さまの生活の場でケアをおこなうため、住環境やご家族の介護力なども含めた全体関連図が役立ちます。
看護の病態関連図の基本的な書き方5ステップ
患者さまの状況を理解するためには、まず病態関連図から整理すると考えやすいです。ここでは、以下の患者さまの事例をもとに、病態関連図の作成手順を紹介します。
| <事例:90歳代女性、Aさん、肺炎(入院5日目)> 既往歴:脳梗塞後遺症(嚥下機能低下) 生活歴:独居、食事内容が簡素である傾向 現在の症状:発熱(38.0℃)、湿性咳嗽、痰貯留、SpO₂ 90% 治療:抗菌薬投与、酸素療法、吸引 |
また、関連図を書く際は、以下の5つのステップで進めます。
- 中心に患者情報(年齢・性別・疾患名)を書く
- 既往歴から疾患の原因を矢印でつなぐ
- 症状や治療について記載する
- 症状が生活に与える影響から看護問題を導く
- 治療による副作用とそのリスクを追加する
それぞれのステップについて見ていきましょう。
1. 中心に患者情報(年齢・性別・疾患名)を書く
まずは、患者さまの基本情報を中央上部に記載します。個人情報に注意し、氏名の代わりにイニシャルを使用する場合もあります。
Aさんの場合は、中央上部に「Aさん、90歳代女性」と書き、その下に主疾患「肺炎(入院5日目)」を記載しましょう。

この部分が関連図の出発点となり、ここからすべての情報が広がっていきます。
2. 既往歴から疾患の原因を矢印でつなぐ
患者さまの情報をもとに、考えられる原因から疾患までの流れを論理的につなぎます。Aさんの場合の例を見てみましょう。

病態が詳しくわからない場合は、教科書などの文献で調べて書き出します。患者さまによって病気を引き起こす原因は異なるため、それぞれに合わせた情報を記載しましょう。なお、原因となるような情報がなければ省くこともできます。
矢印には「〜により」「〜のため」などの言葉を添えると、因果関係がわかりやすくなります。たとえば「脳梗塞後遺症により嚥下機能が低下」「嚥下機能低下のため誤嚥が起こりやすい」といった形です。
3. 症状や治療について記載する
症状と、作成時点でおこなっている治療を記載します。症状が出現する理由(病態生理)も含めて記載しましょう。
<Aさんの場合の例>


治療は、症状に対しておこなわれるため「症状 → 治療」ではなく「治療 → 症状」の向きで矢印を書きます。
まだ出現していない、出現する可能性の高い症状は点線の矢印でつないで記載します。たとえば「発熱→脱水のリスク」といった潜在的な問題も、点線で示すことで予測される状況を可視化できます。
4. 症状が生活に与える影響から看護問題を導く
症状から派生する生活への影響を考え、看護問題を導きます。複数の症状がある場合は、小さな関連図を複数作るイメージでつなげていきます。
<Aさんの場合の例>


症状が患者さまにどのような影響を与えているかを段階的に書き、最終的に看護問題につなげます。看護問題は「#」をつけて示すと、一目で把握しやすくなります。
5. 治療による副作用とそのリスクを追加する
治療の作用・副作用がどの程度患者さまに影響を与えているかを考慮し、看護問題につなげます。
<Aさんの場合の例>


実際に出現している症状は実線で、起こりうるリスクは点線で区別します。治療の影響が大きい場合は詳しく記載し、影響が小さい場合は簡潔にまとめましょう。
これで病態関連図の骨組みが完成します。この流れを押さえることで、ほかの疾患の関連図にも応用できます。
関連記事:看護評価の書き方がわかる!例文・記入の流れ・注意点を解説
看護の全体関連図の書き方
全体関連図は、病態関連図に患者さまの生活背景や心理面、社会面を加えたものです。病態関連図をベースに、患者さまの個別性を反映した情報を追加していきます。
Aさんの場合の例を見てみましょう。
<生活背景>

<心理面>

さらに、患者さまの個別性を出すために、以下のような具体的な情報を組み込むと効果的です。
- 入院時の基本情報:「入院前は2階建ての家に独居」「子どもは県外に住んでいる」
- Aさんの発言:「家に帰りたい」「いろいろ心配で食事が入らない」
- 看護師による観察内容:「食事摂取量は5割程度」「夜間に不眠の訴えあり」
患者さまやご家族の発言は「」で記載すると、事実としてわかりやすくなります。
なお、訪問看護では利用者さまの生活全体を見渡す視点が求められるため、全体関連図がとくに重要です。関連図を活用することで在宅での課題を整理し、適切なケアプランにつなげやすくなります。
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看護師が関連図を作成することで得られるメリット
関連図を作成することで、看護師にはさまざまなメリットがあります。
- 患者さまの状態をより深く理解できる
- 適切な看護計画を立案しやすくなる
- チーム医療で情報共有がスムーズになる
ここでは上記3つのメリットを紹介します。
患者さまの状態をより深く理解できる
関連図を作成することで、バラバラの情報が因果関係で整理され「なぜそうなるのか」が明確になります。たとえば「発熱」という症状ひとつをとっても、関連図では以下のようにつながります。
- 「発熱 → 発汗増加 → #脱水のリスク」
- 「発熱 → 倦怠感 → 食欲低下 → #低栄養のリスク」
- 「発熱 → 体力の消耗 → 活動量の減少 → #筋力低下のリスク」
このように、ひとつの症状が複数の問題に派生していくことを視覚的に把握できます。病態だけでなく生活背景や心理面も含めて、患者さまを総合的に理解しやすくなるでしょう。
適切な看護計画を立案しやすくなる
関連図を書くことにより、看護問題の原因を見つけやすくなります。たとえば「血糖コントロール不良の原因は、経済的な不安により受診ができず薬を飲んでいなかったため」のように、背景にある要因まで含めて問題を把握しやすくなるのです。
また、矢印をたどることで生命に直結する問題や、複数の症状に影響している問題が一目でわかります。その結果、対処すべき問題の優先順位がわかりやすくなり、効果的な看護計画を立てられます。
チーム医療で情報共有がスムーズになる
関連図を用いることで、医師、薬剤師、理学療法士など多職種間で患者さまの状態を共有しやすくなります。申し送りやカンファレンスで視覚的に説明できるため、口頭では伝わりにくい複雑な情報も短時間で理解してもらえるでしょう。
厚生労働省「チーム医療の推進について」では、目的と情報を共有し、互いに連携・補完し合うことの重要性が示されています。関連図は、情報共有のツールとして活用できます。
看護師が関連図でつまずきやすいポイントと対処法
関連図を作成する際、看護師がつまずきやすいポイントがあります。ここではおもな3つのポイントと、その対処法を紹介します。
- 情報を詰め込み過ぎて整理できない
- 憶測と事実が混同している
- 原因と結果の間を省略して看護問題に飛んでいる
事前に知っておくことで、スムーズに関連図を作成できるようになります。
情報を詰め込み過ぎて整理できない
カルテの情報をすべて書き込もうとして複雑になり、矢印が多過ぎて何がつながっているのか分からなくなることがあります。疾患や生活と関係のない情報まで記載すると、本当に重要な問題が見えにくくなります。
その場合は、重要な情報に絞り、優先順位をつけましょう。患者さまにとって生命にかかわる問題や、日常生活に大きく影響する問題を中心に整理します。関連する内容はグルーピングしてまとめると見やすくなります。たとえば「糖尿病による合併症」とまとめて、そこから「腎症」「網膜症」「神経障害」と分岐させる方法です。
また、ふせんを使って情報を書き出していくと整理しやすくなります。思いつく限りの情報をふせんに書いて、並び替え、最後に矢印で結んでみましょう。
憶測と事実が混同している
「患者さまは不安に思っているはず」のように憶測で書いてしまうと、根拠のない関連図になってしまいます。とくに全体関連図で生活背景を書く際は、視覚的に観察できない家族背景や入院前の生活習慣を憶測で書くことは避けましょう。
具体的には、患者さまやご家族から直接聞いた情報をもとに記載します。また「表情が乏しい」「会話が減少」など、看護師が実際に観察した内容を記載することで、客観性が保たれます。
原因と結果の間を省略して看護問題に飛んでいる
原因と結果の間のプロセスを飛ばして矢印でつなぐと、根拠が弱くなります。たとえば以下のように書いても、なぜリスクがあるのかが伝わりません。

途中の説明が抜けていると、なぜその看護問題が起こるのかが分からなくなります。
このような場合は、途中のプロセスを段階的に記載しましょう。

たとえば上記のように、過程を丁寧に説明します。
また、矢印をたどって「なぜ?」と自問自答してみてください。つながりが不明瞭な部分は、途中の内容が抜け落ちている可能性があります。
関連記事:看護ケアとは?内容一覧と基本から具体例までわかりやすく解説【記録対応】
看護の関連図の書き方についてのよくある質問
関連図の作成について、よくある質問に回答します。
Q1:関連図は手書きとパソコンどちらが良いですか?
状況や目的に応じて使い分けることをおすすめします。
手書きの場合、付箋を使って配置を変えられるため、試行錯誤しながら作成できます。パソコンで作成する際は、修正や追加が手軽で、形が整ったものを出力できます。
実習の場合は提出形式が定められていることもあるため、教員の指示を確認しましょう。
Q2:関連図を効率よく作るにはどうしたら良いですか?
最初に骨組みを作ってから、詳細を追加する方法が効果的です。最初は「疾患→おもな症状→おもな看護問題」のみ記載し、骨組みができてから、詳細な情報や矢印を追加していきます。
よくある疾患(糖尿病、心不全、肺炎など)のテンプレートを準備しておくと、応用しやすくなります。
また、関連図や疾患別看護過程の参考書があると、参照しながら作成できるため便利です。
Q3:関連図を書く際の矢印のルールを教えてください
矢印は「原因→結果」の因果関係を示すのが基本です。迷った場合は「AによってBが起こる」と声に出して確認すると良いでしょう。
治療については、矢印の向きが通常とは逆になります。「問題に対するケア」から「問題」に対して矢印を向けるためです。
また、実際に起きていることは「実線」、起こりうる事象は「点線」で区別することで、現在の状況と予測される状況を視覚的に判断できます。
看護の関連図は書き方と考え方を押さえよう
関連図は、患者さまの情報を整理して全体像を把握するために役立つツールです。病態関連図の基本ステップを押さえることで、どのような疾患にも応用できるようになります。
全体関連図では、病態に加えて生活背景、心理面、社会面も含めて患者さまを総合的に理解できます。
また、関連図を作成する際は、矢印をたどりながら「なぜ?」と問い続け、因果関係を論理的に考えましょう。
最初から完璧な関連図を書く必要はありません。ふせんを使って情報を整理しながら、少しずつ経験を積み重ねることで、自信を持って作成できるようになります。
<参考文献・サイト>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
