看護問題の書き方|基本の型や例、よくある間違いまでわかりやすく解説

「アセスメントはできたけど、看護問題をどう文章にしていいかわからない」「指導者にいつも書き方が違うと注意されてしまう」
このように看護問題の書き方に悩む看護師や看護学生は少なくありません。患者さまの情報をアセスメントし、問題を書き出すプロセスは、コツを掴むまで難しく感じるものです。
この記事では、看護問題の基本の型や例文、よくある間違いを解説します。今日から実践できるコツを押さえることで、記録の時間を短縮し、自信を持って書けるようになるでしょう。
看護問題とは?まず押さえる基本
看護問題とは、患者さまが健康な生活を送るうえで妨げになっている課題を、看護の視点から整理し、言語化したものです。施設によっては、看護問題はNANDA-I(ナンダ・インターナショナル)などの看護診断を用いて体系的に整理することもあります。
2021年の日本看護協会の調査によると、看護師の85.3%は病院に勤務しています。多くの医療現場で看護過程が実践されていることから、看護問題に触れる機会も多いため、書き方に悩む方は少なくありません。
NANDA-Iは看護診断を13領域に分類した国際的な診断体系であり、臨床ではこの枠組みに沿って問題を抽出することもあります。多くの現場では、優先順位をつけて「#1〇〇」「#2○○」と2〜3個の問題を挙げるのが一般的です。
病気による身体や心への影響、生活上の困りごとを言葉で整理したものが看護問題であり、チームでケアの方向性を決める重要な指針となります。
看護問題の正しい書き方【基本の型】
看護問題を正しく伝えるためには、誰が読んでも同じ解釈ができる基本の型に当てはめて書くことが重要です。次のポイントを意識して書き方を整理しましょう。
- 基本的な項目に沿って書く
- 「〇〇に関連した△△のリスク」と書く
- 現存型とリスク型の違いがわかるようにする
- 医学的診断と看護問題の違いをはっきりとさせる
これらの型を使うことで、患者さまの病状や将来に起こるリスクをチームで共有できます。ただし、病院や施設によって書き方のルールが異なる場合があるため、自施設の規定を確認しましょう。
基本的な項目に沿って書く
看護問題を書く際には、次のように項目に沿って書きましょう。
| 項目 | 内容の例 | 書き方のポイント |
| 看護問題 | 筋力低下に関連した転倒のリスク | 原因と問題をセットにし、患者さまへの影響を具体化する |
| 患者目標 | 手すりを持って安全にトイレまで歩ける | 「〜ができる」と患者さまを主語にする(看護師を主語にしない) |
| 評価日 | 1週間後(◯月◯日) | 振り返る日程を決める |
| 計画内容 | ・下肢の筋力の状況(OP) ・リハビリに付き添う(TP) ・ナースコール使用の説明をする(EP) | 「OP(観察)」「TP(実施)」「EP(指導)」でそれぞれ複数挙げて書く |
表のように項目に沿って書くことで、看護師のやるべきことが整理され、チームで同じ目標に向かってケアができます。
「〇〇に関連した△△のリスク」と書く
看護問題は、原因と結果(起こりうる問題)をセットにして表現するのが基本です。
たとえば、転倒リスクとだけ書くのではなく、「筋力低下に関連した転倒のリスク」と書きます。筋力低下が原因だとわかれば、リハビリテーションや環境調整といった具体的な行動計画になります。
また、すでに起きている問題については、「症状や客観的データ(S)」を付け加えたPES形式で書くと、より説得力が増します。
| 例:「ふらつきがある(症状)ことで示される筋力低下(原因)に関連した歩行困難(問題)」 |
このように原因と問題を書くことで根拠のある記録になります。
現存型とリスク型の違いがわかるようにする
今すでに起きている問題(現存型)と、これから起こる可能性がある問題(リスク型)は違いがわかるようにして書きましょう。
たとえば、現存型なら「気道分泌物の増加に関連した非効果的気道浄化(痰が詰まっている状態)」、リスク型なら「筋力低下に関連した転倒のリスク」とわけます。
ケアが必要な状態か、予防のためにケアが必要かを区別することで、チームで適切なケアを選択できるようになります。
医学的診断と看護問題の違いをはっきりとさせる
病名をそのまま看護問題にしてはいけません。医師は病気を治すことを目的にしますが、看護師は病気によって起きる影響を和らげることを目的とするため、焦点が異なるからです。
肺炎を看護問題にする場合、次のように言い換えましょう。
- 肺炎によるガス交換障害
- 肺炎による分泌物の貯留に関連した非効果的気道浄化
病名ではなく、その病気が患者さまの身体や心にどう影響しているかという看護の視点を持つことが正しい書き方です。
看護問題の書き方3ステップ
情報収集から看護問題を書き上げるまでには、正しい順番があります。スムーズに導き出すための3つの手順を解説します。
- 情報収集から問題を抽出する
- 因果関係を整理して原因を明確にする
- 優先順位を考えて問題を絞る
この手順を踏むことで情報が整理され、患者さまに必要なケアを明らかにできます。慣れるまでは型を意識して、丁寧に進めることから始めてみましょう。
1.情報収集から看護問題を抽出する
患者さまの言葉や観察したこと、検査データなどを集め、看護問題を見つけ出します。
- 患者さまの言葉:「食欲があまりないから食べられない」
- 看護師が観察したこと:食事の摂取量が3割程度、ベッドで過ごすことが多い
- 採血結果:TPやAlbなどの値より低い
看護問題を見つけるヒントは、どこに隠れているかわかりません。患者さまの様子から「いつもと違う」と気づくこともあれば、血液データの数値を見て異常がわかることもあります。
とくに、看護学生は、観察するポイントやデータの重要性の見極めに難しさを感じることが少なくありません。しかし、患者さまの言葉や数値、観察した事実を組み合わせることで、看護問題が見えてくるようになります。
2.因果関係を整理して原因を明確にする
看護問題に対して、「なぜそれが起きているのか」という原因を探ります。原因を間違えると、患者さまの状態に合わないケアとなり、苦痛を解決できないかもしれません。
食事量が少ない原因が、「口内炎が痛いから」「お腹が動いておらず空腹感がないから」によって、痛み止めを使うのか、歩行を促すのかとケアが変わってきます。原因を突き止めることで、患者さまに必要なケアをおこなえます。
3.優先順位を考えて問題を絞る
複数の問題が見つかった場合は、命に関係するものや苦痛が強いものから優先して解決できるように取り組みます。
たとえば、「転倒のリスク」と「息苦しさ」があれば、命に直結する「息苦しさの改善」をまずは記載し、次いで転倒予防の計画を立てます。
優先順位をつけて重要な問題から取り組むことで、患者さまが最も苦痛としているところをケアできるでしょう。
看護問題の書き方の具体例【領域別】
現場でよく使われる看護問題の例文を分野別にまとめました。
- 呼吸についての看護問題の例
- 栄養についての看護問題の例
- 転倒リスクについての看護問題の例
例文はあくまで目安です。患者さまの状態に合わせて原因や言葉を調整しましょう。
呼吸についての看護問題の例
| <看護問題> #1 肺炎に伴う分泌物貯留に関連した非効果的気道浄化 <患者目標> 自力で痰を出すことができ、息苦しさが軽減する <評価日> 3日後の2月5日 <計画内容> (OP) バイタルサイン 呼吸回数、呼吸状態 喀痰の量、性状 副雑音の有無、性状 食事や水分摂取量 抗菌薬投与状況 In/Outバランス 検査データ(CRPやWBCなど) 画像データ(胸部レントゲン、CTなど) (TP) バイタルサインを測定する 呼吸音を聴取する ベッドのギャッチアップや離床を実施する 体位ドレナージを実施する 医師の指示に従い1日4回(食前、眠前)にネブライザーを実施する 必要に応じて吸引を実施する (EP) 咳嗽や吸引、吸入の必要性を説明する 体位ドレナージや離床の必要性を説明する 必要に応じて酸素療法の必要性を説明する わからないことがあれば看護師に伝えてもらうように説明する |
栄養についての看護問題の例
| <看護問題> ♯2 摂取量不足に関連した低栄養リスク状態 <患者目標> 適切な食事量を摂取できる <評価日> 3日後の2月5日 <計画内容> (OP) 自覚症状の有無、程度(嘔気や疼痛など) ADL、嚥下機能 食事状況(主食や副食の摂取量など) 排泄状況(失禁や下痢の有無など) 食事に対する思いや考え 検査データ(Alb、TPなど) (TP) 状態に合わせて食事形態を整える 状態に合わせて食事環境を整える 安静度に合わせて活動量が増えるように介入する(PTに相談) 医師に相談して補食を追加して食事形態を変更する 医師に確認してNSTへの介入を依頼する (EP) 食事摂取の必要性を説明する 疑問点があれば看護師に伝えてもらうように説明する |
転倒リスクの看護問題の例
| <看護問題> #3 長期臥床によって筋力が低下したことによる転倒リスク状態 <患者目標> 転倒せずに生活できる <評価日> 3日後の2月5日 <計画内容> (OP) 意識レベル 自覚症状の確認(倦怠感、息切れ、疼痛など) 歩行時の姿勢やふらつきの有無 筋力の評価 生活環境(ベッド周囲や履物、衣服など) 日中の離床状況、活動状況 睡眠状況 使用している薬剤の確認(睡眠薬、抗不安薬、利尿薬など) (TP) 転倒転落アセスメントスコアで評価する 状態に合わせて歩行を介助する 歩行状態に合わせて補助具を選ぶ ベッド周囲の環境整備を実施する (EP) ベッドから移動する際にはナースコールで知らせてもらうように説明する 歩行介助の必要性を説明する 転倒転落リスクが考えられることを患者さまやご家族に説明して、同意を得る |
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看護問題の優先順位の決め方
複数の看護問題が挙がった際、どれから実施すべきか迷うことも多いでしょう。安全を守るために優先順位を決める方法を解説します。
- 生命の危険度はABCで判断する
- 緊急性と重症度で整理する
- 生活への影響と患者の価値観を考慮する
まずは命にかかわる「呼吸や循環」の異常に優先して対応しましょう。そのうえで、患者さまが困っていることや、回復を妨げている要因を考え、解決の順番を決めます。
生命の危険度はABCで判断する
優先して対応すべき看護問題は、「気道(A)・呼吸(B)・循環(C)」です。
息ができない、血圧が下がっているなどの状態は、命を落とす危険性があり、適切な対処が必要です。「歩行時の転倒リスク」と「痰がうまく出せないことによる息苦しさ」がある場合、まずは呼吸を確保する「息苦しさの改善」を優先の看護問題として対応します。
生命維持に直結する呼吸や循環の看護問題を優先にすることで、患者さまの命を守ることにつながります。
緊急性と重症度で整理する
「今すぐ対応しないと悪化するもの(緊急性)」と「ダメージが大きいもの(重症度)」を優先します。放置することで後遺症が残ったり、治療期間が大幅に延びてしまったりすることを防ぐためです。
「強い痛み」と「便秘」がある場合、強い痛みは血圧上昇や精神的な苦痛など全身に悪影響を及ぼすため、便秘の解消よりも痛みの緩和を優先します。
身体へのダメージの大きさを考えて、迅速なケアが必要なものから対応しましょう。
生活への影響と患者の価値観を考慮する
患者さまが困っていることや、大切にしていることにも対応する必要があります。
看護師の役割は患者さまの生活を支えることです。患者さまの声や価値観を反映させてケアすることで、本人も納得して前向きに治療に参加できるようになります。
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指導者に指摘されやすいNG例
看護問題を書き慣れないうちは、無意識のうちにあいまいな表現や間違った型を使ってしまいがちです。看護師や看護学生が指導者からよく指摘を受ける代表的なNGパターンをチェックしましょう。
- 「〇〇の可能性がある」と書く
- 医学的診断をそのまま記載する
- 原因が書かれていない
- リスクと現存が混在している
現場で実際に起きた事例として、「肺炎は医師の診断。看護師ならその影響を考えて」や「原因が不明確だから観察項目が薄い」という指摘がありました。これらのNG例を避け、看護の視点を意識することで、チームで共有できるようにしましょう。
看護問題がうまく書けない原因
看護問題がうまく書けない場合、書く前の準備段階に原因が隠れていることが多くあります。
- アセスメントが事実の羅列になっている
- 優先順位が整理できていない
- 問題を抽象的に書いてしまっている
ただ情報を並べるのではなく、「なぜこの状態なのか」という根拠を深掘りすることが大切です。原因を突き止めることで解決策が見える看護問題になります。
アセスメントが事実の羅列になっている
患者さまの状態をそのまま書き並べるだけでは、解決すべき看護問題は見えてきません。血圧の数値や発言は情報であり、それらが患者さまの身体や生活にどう影響しているかをアセスメントすることが大切です。
「熱が38度ある」「汗をかいている」と並べるだけでなく、「熱と発汗があるから、脱水になる危険がある」と解釈することで看護問題が浮かび上がります。
集めた情報を「だからどうなるのか?」と考えることで、看護問題を導き出せるでしょう。
優先順位が整理できていない
看護問題のつながりを整理し、原因を絞り込むことで、シンプルで書きやすくなります。個別の問題として挙げようとすると、何に介入すべきか焦点がぼやけてしまいがちです。
「眠れない」「食欲がない」「足が痛い」と別々の問題にするのではなく、「足の痛みがあるから、眠れず食欲もないのだ」と原因をつなげてみます。身体と心、生活は絡み合っているからこそ、原因を特定して優先順位を考えることが大切です。
問題を抽象的に書いてしまっている
誰が読んでも同じ状況が思い浮かぶように、原因と結果をセットにして書くことが重要です。体調不良や安全面の不安といったあいまいな言葉は、看護師によって解釈が変わり、行動計画に結びつきません。
看護師は交代勤務のため、情報が抽象的だと「自分は大丈夫だと思った」という判断のズレが生じ、患者さまの安全を脅かします。実際の現場では、転倒・転落リスクの原因がはっきりしないために1人で歩けると誤解され、転倒事故につながったケースもありました。
「転倒・転落のリスク」ではなく「ふらつきに関連した転倒のリスク」と書けば、歩行時の見守りの必要性を理解できます。
看護問題の書き方についてのよくある質問
看護問題を立てる際、多くの人が疑問に思うポイントや、現場でよく迷いがちな質問についてわかりやすくお答えします。
Q1:看護問題はPES形式を踏まえて書いた方がいいですか?
看護問題は、「問題(P)、原因(E)、症状(S)」の3つの要素を組み合わせることで、詳しく書けるようになります。
「痛みの訴えと顔をしかめる表情で示される、手術の傷に関連した急性疼痛」というように整理することで、ほかのスタッフも状況を把握できるようになるでしょう。
Q2:NANDAを必ず使わないといけませんか?
病院のルールによりますが、必ずしもNANDAを使う必要はありません。
私が取材したところ、NANDAをベースに病院独自の表現を作成しているところもあれば、NANDAに準拠しているところなど、病院や施設によってルールはさまざまでした。
チームが患者さまの状態を正しく把握できることが大切であるため、まずは自分の病院が「どのような基準で書くルールになっているか」を確認してみましょう。
Q3:看護問題がリスクばかりになりますが大丈夫ですか?
予防が重要な患者さまの場合、リスク型の看護問題が多くなることは問題ありません。
看護師の役割の1つは状態の悪化を防ぐことであり、リスクを事前に察知して対策することは大切です。手術直後である場合、「出血リスク状態」や「感染リスク状態」を立てて患者さまの観察を強化することで、万が一の異常にすぐ気づき、命を守ることにつながります。
看護問題の書き方のコツは型を知っておくこと!
看護問題の書き方に迷ったときは、「〇〇に関連した△△」という基本の型に立ち返りましょう。患者さまのデータを事実として捉え、原因と結果を整理すると、説得力のある記録がスムーズに書けるようになります。
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<参考サイト・文献>
NANDA-I看護診断 定義と分類 2024-2026 原書第13版|医学書院
齋藤, 看護学生の看護過程におけるアセスメントの現状と困難-臨床推論としての考え方の特徴-,医療看護研究, 2023年20巻1号p. 19-30
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
