災害看護専門看護師とは?6つの役割と仕事内容、なり方をわかりやすく解説

公開日:2026/02/19 更新日:2026/02/20
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ニュースやSNSで見る被災地の光景に使命感を抱き、「被災している方の役に立ちたい」と考えたことがある看護師の方はいらっしゃいませんか。一方で、自分に何ができるかわからないと悩んでいる方も多いはずです。

地震や豪雨など災害が多いといわれる日本では、被災地で人々の健康と生活を支える専門職「災害看護専門看護師」が求められています。

この記事では、災害看護のスペシャリストである災害看護専門看護師の役割からなり方、他資格との違いまでを解説します。漠然とした憧れが具体的な目標に変わり、明日からの行動が明確になるでしょう。

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災害看護専門看護師とは

災害看護専門看護師とは、専門看護師制度の一分野として2017年に災害看護分野が特定された資格であり、災害サイクルのすべての段階(災害発生直後から静穏期まで)において質の高い看護をマネジメントする災害医療のスペシャリストです。

災害の種類や規模、地域特性によって被害の様相は異なります。その中で、限られた資源を活かして被災者や社会へ適切なケアを提供し続ける役割が求められます。

発生直後の支援から避難所の環境整備、平時の防災体制構築まで多職種と連携して行う点が特徴です。

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災害看護専門看護師の役割・仕事内容

専門看護師に共通する6つの役割(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)を軸に、災害特有の状況に対応します。おもな仕事内容は、次のように多岐にわたります。

  • 避難所・被災地でのメンタルヘルスケアを含む看護実践
  • 医療チーム・行政・ボランティアとの連携・調整
  • 看護者を含むケア提供者へのコンサルテーション
  • 人間としての尊厳が保たれるように倫理的問題の解決
  • 災害看護の提供体制の提案
  • 平時における防災教育と体制づくり

平時から有事までをマネジメントする能力が、この職種の特徴であり、社会的な使命といえるでしょう。

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避難所・被災地でのメンタルヘルスケアを含む看護実践

災害看護専門看護師は、被災者の身体だけでなく、心のケアにもかかわります。自然災害が起こった直後はもちろん、避難所生活が長引くと、ショックによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、持病の悪化が深刻になるからです。

ケガの手当てだけでなく、眠れない・不安といった悩みを聞き、感染症が広がらないよう環境を整えます。一人ひとりに寄り添い、過酷な状況でも体調を崩さず前向きに過ごせるようケアするのが重要です。

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医療チーム・行政・ボランティアとの連携・調整

現場に集まる多様な組織のつなぎ役となり、必要な人に必要な支援が届くようにします。

災害現場には行政スタッフ、災害派遣医療チーム(DMAT)、民間ボランティアなど、立場や目的が異なる人々が集まるため、情報の食い違いや支援の偏りが発生しがちです。

たとえば、DMATが把握した情報を行政の保健師へ共有したり、人手が不足している避難所へボランティアを配置したりします。

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看護者を含むケア提供者へのコンサルテーション

現場で働く看護師やスタッフが抱える悩みに対して、解決策をアドバイスしてサポートします。過酷な労働で心身ともに限界で「燃え尽き症候群」のリスクが高くなるためです。

人手不足で十分なケアができないと自責の念に駆られる看護師の悩みに耳を傾け、優先順位の整理や対応を助言します。ケアを担う人を守ることで、被災者の生活を守ることにつながります。

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人間としての尊厳が保たれるように倫理的問題の解決

災害時には、「誰を優先して支援するのか」「限られた資源をどう配分するか」「プライバシーをどう守るか」といった倫理的課題が避けて通れません。混乱した状況では、迅速な判断が求められる一方で、一人ひとりの尊厳への配慮が後回しになってしまう危険もあります。

災害看護専門看護師は、医師や多職種と協働しながら倫理的な意思決定を支援し、現場での合意形成を促します。また、避難所においても、女性や高齢者、障がいのある方などが安心して過ごせる環境づくりを提案し、尊厳が守られる支援体制を整えます。

極限状態であっても「その人らしさ」を守る視点を持ち続けることが、災害看護専門看護師の重要な役割です。

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災害看護の提供体制の提案

データや理論にもとづいた「機能する支援システム」を考え、病院や役所に提案します。災害では、個人の対応だけでは限界があり、事前のルール作りが多くの命を救うためです。

病院の災害マニュアルを作り直し、病院同士がどう協力するかという計画を立てます。

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平時における防災教育と体制づくり

「災害は起きるもの」という前提で、平時から組織の防災意識とスキルアップのための教育や訓練を行うことも重要な役割です。

院内の避難訓練の企画運営や地域住民向けの防災ワークショップ、マニュアルの更新などをおこないます。組織が自律的に動ける状態をつくることが、被害の最小化につながります。

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災害看護専門看護師になるには

災害看護専門看護師になるには、5年以上の実務経験(うち3年以上は専門分野での経験)を積み、大学院での修士課程を修了した後、認定審査に合格する必要があります。

  1. 看護師としての5年以上の経験
  2. 養成機関での修士課程を修了
  3. 日本看護協会による専門看護師認定審査に合格

資格取得までのハードルは高いですが、その分、災害の現場で信頼される存在になれます。専門看護師になる方法は、以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。

関連記事:専門看護師とは?専門分野14個の種類や認定看護師との違いを解説!

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災害看護専門看護師の給与

日本看護協会『2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査』によると、災害看護専門看護師の平均給与総月額は42万5,883円です。

専門看護師を取得すると、多くの病院で資格手当が支給されます。また、専門性から看護主任や看護師長などの管理職に就くケースも多く、役職手当によっては年収600万円〜800万円台に届くこともあるようです。

ただし、地域や所属している病院によって給与事情は異なる点に注意が必要です。

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災害看護専門看護師と他資格の違い

ここでは、災害看護専門看護師とDMAT看護師、災害支援ナースとの違いを紹介します。

項目災害看護専門看護師DMAT看護師災害支援ナース
資格の要件養成機関を修了後、認定試験に合格し登録日本DMAT隊員養成研修を修了災害支援ナース養成研修を修了し、厚生労働省医政局に登録
活動する時期平時から災害のすべてのフェーズ災害発生のおおむね48時間以内で派遣され活動(活動が延長することもある)災害発生から3日後~1か月を目安に派遣
おもな活動内容災害訓練、マニュアル作成、避難者支援トリアージ、現場救護、医療機関への支援被災者の健康管理、避難所の運営支援

活動する時期や活動内容が、災害の状況によって変わる可能性があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

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DMAT看護師との違い

災害看護専門看護師とDMAT看護師の大きな違いは、活動の中心となる時期と役割の焦点にあります。

DMAT(災害派遣医療チーム)の看護師は、発災直後の急性期(概ね48時間以内を目安)に活動を開始し、トリアージや応急処置などを通して、重症者の救命や医療体制の立て直しを担います。限られた時間の中で、命を守るための迅速な判断と対応が求められるのが特徴です。

一方、災害看護専門看護師は、急性期だけでなく、避難生活の長期化や地域の復旧・復興過程も含めた災害サイクル全体を視野に入れて活動します。避難所環境の整備や慢性疾患の悪化予防、心のケア、地域の防災体制づくりなど、生活と健康を総合的に支える役割を担います。

どちらが優れているということではなく、急性期に命を守るDMATと、平時から復興期までを支える災害看護専門看護師が連携することで、切れ目のない支援が実現します。

関連記事:DMAT看護師になるには?仕事内容や必要な経験、向いている人の特徴を解説

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災害支援ナースとの違い

災害看護専門看護師と災害支援ナースの違いは、担う役割の焦点にあります。

災害支援ナースは、被災地の病院や避難所に派遣され、現地スタッフと協力しながら、応急処置や健康管理、生活支援などの看護実践を行います。被災者のそばで直接ケアを提供する、いわば“現場の最前線”を担う存在です。

一方、災害看護専門看護師は、現場での実践に加え、支援体制全体を見渡しながらマネジメントを行います。行政や医療機関と連携して物資や人員を調整したり、支援が不足している場所へスタッフを配置したりと、組織横断的な役割を担います。

どちらも被災地に欠かせない存在であり、直接的なケアを担う災害支援ナースと、体制を整える災害看護専門看護師が連携することで、より効果的な支援が可能になります。

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災害看護専門看護師のメリット

災害看護専門看護師の資格を取ることで、個人のスキルアップだけでなく、病院や地域の防災力向上に貢献できる点が魅力です。

  • 災害医療の専門家として社会に貢献できる
  • 高度な判断力・調整力が身につく
  • 病院・地域での評価が高まる

混乱しやすい状況の中でも冷静に優先順位を見極め、関係者をまとめていく力は、日常の看護業務やリーダー業務にも活かせます。専門性が認められることで発言力や裁量も広がり、理想とするケアを実現しやすくなるでしょう。

災害時だけでなく、平時から組織を支える存在として活躍できる点も、大きな魅力といえます。

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災害医療の専門家として社会に貢献できる

「看護の力で社会を守っている」という実感を得られます。現場でケアをするだけでなく、病院の防災ルールを作ったり、地域住民にアドバイスしたりと、災害看護専門看護師の知識が多くの人を守ります。

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高度な判断力・調整力が身につく

どのような状況でも、優先順位を見極める力が身につきます。意見をまとめ、限られたスタッフでケアができるように調整する経験は、病棟のリーダー業務や他部署との話し合いの場でも役に立つのです。

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病院・地域での評価が高まる

「この人がいれば安心だ」と、職場や地域全体から信頼されるようになります。専門性を認めてもらえることで、やりがいと納得感を持って働き続けられるでしょう。

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災害看護専門看護師のデメリット

災害看護専門看護師を目指す前に知っておきたいのが、資格を取る難しさと現場での責任の重さです。やりがいが大きい反面、次のような現実にぶつかることもあります。

  • 資格取得までに時間と費用がかかる
  • 災害対応による心身の負担が大きい
  • 活動の機会が限られる場合がある

専門家として活動していくためには、リスクを理解しておくことが大切です。事前の準備やセルフケアを意識することで、無理なくキャリアを築いていけます。

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資格取得までに時間と費用がかかる

資格取得までの経済的・時間的コストが高いことが大きな壁です。

養成課程のある大学院は全国的に少なく、通学のために休職や退職が必要になるケースがあり、経済面での不安があります。具体的には、2年間の学費に加え、遠方の場合は生活費や宿泊費もかさみます。

無収入の期間を想定し、奨学金や職場の支援制度を確認して、無理のない資金計画を立てることが不可欠です。

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災害対応による心身の負担が大きい

過酷な被災現場での活動は、心身へ強いストレスを与えます。

混乱している状況の中で、命にかかわる重大な決断を繰り返す責任が重いためです。

たとえば、救いきれなかった命への自責や二次受傷、燃え尽き症候群などのリスクが伴います。人々を救うには、まず自分が健康でなければなりません。セルフケアスキルと精神的なタフさが求められる仕事です。

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活動の機会が限られる場合がある

資格を取得しても、スキルを発揮できる場所が、十分に整っていない場合もあります。普段は病院の仕事がメインになり、災害看護の仕事に集中できる時間が取れない病院も少なくありません。

「資格を取ったのに、思うように活動できない」ともどかしく感じることもあるでしょう。自分の価値を伝え、自ら役割を作っていくような根気強さが必要です。

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災害看護専門看護師に向いている人・向いていない人

災害看護専門看護師は、ケアだけでなく判断力や調整力が問われる仕事です。自身の性格や理想の働き方に合っているか、チェックしてみてください。

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向いている人の特徴

「世の中の役に立ちたい」という熱い思いを持ち、いざというときには一歩引いて冷静に状況を見られる人に向いています。感情に流されず、意見や立場が違う人たちをまとめて、その場で答えを出すリーダーシップが不可欠です。

たとえば、トラブルが起きても「じゃあ、こうしよう!」と柔軟に切り替えられる人は、現場で頼りにされます。患者さまへのケアはもちろん、「病院や地域の仕組みそのものを良くしたい」という意欲がある人に適しています。

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向いていない人の特徴

災害現場にはマニュアルがなく、不確かな情報をもとに判断しなければならないため、ルーティン業務に安心してやりがいを感じる人には、ストレスを感じやすいでしょう。

また、「会議での調整が苦手で、ベッドサイドで看護の技を磨くことに専念したい」というタイプの方も、求められる役割とのギャップに苦しむ可能性があります。

しかし、これらは資質がないということではなく、今の現場で、多職種とのコミュニケーションを意識したり、優先順位を考える訓練をしたりすることで伸ばせる能力でもあります。

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災害看護専門看護師についてのよくある質問

「災害看護専門看護師」を目指す方が抱きやすい疑問を、最新の情報を踏まえてまとめました。

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Q1:災害看護専門看護師になれる大学院はどこにありますか?

日本看護協会が認定した災害看護専門看護師の教育課程がある大学院は、2026年1月現在で全国に5校あります。

認定校は、年度ごとに変動するため、事前にチェックしておくのがおすすめです。

自分のライフスタイルや研究したいテーマに合わせて、公式ホームページから最新の認定校一覧を確認しましょう。

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Q2:災害看護専門看護師の人数はどのくらいですか?

日本看護協会の調査によると、2025年12月現在、災害看護専門看護師は49名です。

がん看護専門看護師は1,172名、急性・重症集中看護専門看護師は445名と比べると、災害看護専門看護師は少なめです。2017年に新設された比較的新しい専門分野であり、大学院教育のハードルも高いため、まだ人数が限られているのが現状といえます。

しかし、近年の相次ぐ大規模災害により、専門看護師の需要は高まっており、各地で増員が望まれています。

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Q3:災害看護専門看護師の難易度は高いですか?

大学院での学術的な研鑽と実務能力の両方が問われるため、難易度は高い傾向です。複雑な事象を分析し、多職種を動かすリーダーシップが必要です。

2年間の修士課程で講義や実習に取り組み、論文を書き上げ、さらに協会の試験を突破しなければなりません。この壁を越えることで得られる専門性は、看護師人生に役立つでしょう。

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災害看護専門看護師は災害に強い社会を支える専門職!

災害看護専門看護師は、病院だけにとどまらず、地域や生活者を支える専門職です。

資格取得までの道のりは平坦ではありませんが、混乱した状況を整理し、多職種をまとめて仕組みを作る力は、あらゆる看護現場で求められます。

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<参考サイト・文献>

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

日本DMAT活動要領|厚生労働省

災害看護|日本看護協会

災害看護|日本専門看護師協議会

専門看護師 都道府県別登録者数(日本地図版)|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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