看護におけるコミュニケーション技法9選!現場で使える種類を解説

「患者さまとどう話せば良いかわからない」「会話が続かなくて気まずい」
このような悩みを抱えている看護師も多いのではないでしょうか。
コミュニケーションは、患者さまとの信頼関係を築き、質の高いケアを提供するために欠かせないスキルです。
この記事では、看護現場でよく使われるコミュニケーション技法を9種類紹介します。
適切なコミュニケーション技法を実践していけば、患者さまの本音を引き出したり、不安を和らげたりできるようになります。
看護でコミュニケーション技法が重視される3つの理由
看護においてコミュニケーション力は、患者さまの安全を守り、質の高いケアを提供するうえで必要なスキルです。まずは、看護においてコミュニケーションが大切な理由を3つ紹介します。
- 患者さまとの信頼関係を作るため
- 患者さまの不安を和らげるため
- 正確な情報を伝えるため
それぞれみていきましょう。
患者さまとの信頼関係を作るため
患者さまとの信頼関係は、質の高いケアをおこなうための土台です。「この看護師になら安心して話せる」と思ってもらえれば、患者さまは本音や困りごとを打ち明けやすくなります。
たとえば、丁寧に話を聞いてくれる看護師には「実は夜眠れなくて」「薬の副作用がつらい」といった症状を正直に伝えられます。信頼関係があることで、患者さまに合わせたケアができるようになるのです。
患者さまの不安を和らげるため
入院や治療を受ける患者さまの多くは、身体的な苦痛だけでなく、精神的な不安も抱えています。「治療はうまくいくだろうか」「仕事や家族のことが心配」と悩む方も多いでしょう。
看護師が優しい言葉をかけたり、気持ちに寄り添う態度で接したりすることで、患者さまは安心感を得られます。看護師の精神的なサポートのおかげで、前向きに治療に取り組めるようになる患者さまもいるのです。
正確な情報を伝えるため
患者さまの安全を守るためには、看護師同士や医療チーム内でのコミュニケーションも欠かせません。情報共有が不十分であると、思わぬトラブルを招く可能性があります。
日本医療機能評価機構の報告でも、医療事故の背景要因のひとつとして、スタッフ間のコミュニケーション不足が挙げられています。
日頃から情報を伝え合うことで、こうしたリスクを減らせます。
看護コミュニケーション技法は目的別に使い分ける
コミュニケーション技法には多くの種類があり、場面や目的に応じて使い分けることで効果を発揮します。
この記事では、看護現場でよく使われる技法を、目的別に次の4つを紹介します。
| 目的 | コミュニケーション技法 |
| 患者さまの話を引き出す | 開かれた質問(オープンクエスチョン) 閉じた質問(クローズドクエスチョン) |
| 患者さまの思いを理解・共有する | 傾聴 バックトラッキング(繰り返し) |
| 患者さまと関係性を築く | ペーシング ミラーリング 非言語コミュニケーション |
| 患者さまの前向きな変化を促す | リフレーミング アサーティブ・コミュニケーション |
それぞれの技法については、以降で詳しく解説します。
患者さまの話を引き出すコミュニケーション技法
患者さまの症状や困りごとを把握したい場合、質問を工夫することで、安心して話せる雰囲気を作れます。ここでは、話を引き出すための2つの技法を紹介します。
- 開かれた質問(オープンクエスチョン)
- 閉じた質問(クローズドクエスチョン)
それぞれを詳しく解説します。
開かれた質問(オープンクエスチョン)
開かれた質問とは、患者さまが自由に答えられる質問です。
「今日の体調はいかがですか?」「どのような痛みがありますか?」など、詳しい状況を聞き出したいときに使います。
患者さまが自分の言葉で説明できるため、本音や具体的な症状を把握しやすくなります。
患者さまが自分の言葉で表現するには時間がかかることもありますが、それだけ丁寧に思いを聞き取れているということです。患者さまのペースに合わせて待ちましょう。
閉じた質問(クローズドクエスチョン)
閉じた質問は「はい」もしくは「いいえ」の2択で回答できるものを指します。
「痛みはありますか?」「眠れましたか?」など、Yes/Noで素早く確認したいときに使います。
この質問方法は、緊急時や意識レベルが低下した患者さま、会話が苦手な患者さまへの確認にも向いています。
「詳しく聞きたいときは開かれた質問、素早く確認したいときは閉じた質問」のように、場面に応じて使い分けましょう。
看護師が患者さまの思いを理解・共有するためのコミュニケーション技法
患者さまが話してくれたとき、その思いをどう受け止めるかで信頼関係が変わります。
- 傾聴
- バックトラッキング(繰り返し)
ここでは、患者さまの気持ちに寄り添うための技法を紹介します。
傾聴
傾聴は、相手の話を途中で遮らず、最後まで丁寧に聞く姿勢です。
「大切だとわかっていても、忙しいときは難しい」と感じる看護師も多いかもしれません。
短い時間でも、丁寧に聞こうと心がけるだけで、患者さまには伝わります。
さらに、患者さまの言葉だけでなく、表情や声のトーンにも注意を向けることで、言葉にならない思いも汲みとりやすくなります。
バックトラッキング(繰り返し)
バックトラッキングとは、患者さまの言葉をそのまま返すことで「理解していますよ」と示す技法です。
具体的には、患者さまが「リハビリがつらい」と話したとき「リハビリがつらいんですね」と応じます。
同じ言葉を返すことで、患者さまは「自分の気持ちをわかってくれている」と感じ、安心して話を続けられます。ただし、不自然に繰り返し過ぎると違和感を与えるため、自然な会話の流れで使いましょう。
看護師が患者さまと関係性を築くためのコミュニケーション技法
患者さまとの心の距離を縮め、良好な関係を築くための技法もあります。ここでは、関係性を築くための3つの技法を紹介します。
- ペーシング
- ミラーリング
- 非言語コミュニケーション
言葉だけでなく、態度や仕草を工夫することで、親近感を持ってもらいやすくなります。
ペーシング
ペーシングは、患者さまの話すスピードや声のトーンに合わせる技法です。
普段から実践している看護師も多いでしょう。
相手のペースに寄り添うことで、親近感が生まれやすくなります。
たとえば、ゆっくり話す患者さまには、看護師もゆっくりと穏やかに話しかけます。
呼吸のリズムや相槌のタイミングをそろえることも効果的です。
ミラーリング
ミラーリングとは、患者さまの仕草や姿勢をさりげなく真似る技法です。
相手が笑顔を見せたらこちらも笑顔で応じる、患者さまが前のめりになったらこちらも少し前傾姿勢にするなど、鏡のように動きを重ねていきます。
無意識に「この人は自分に似ている」と感じてもらうことで、心の距離が縮まります。
ただし、あからさまに真似ると不快感を与えるため、自然な範囲でおこないましょう。
非言語コミュニケーション
表情や視線、声のトーン、身振り手振りなど、言葉以外で相手にメッセージを伝える方法が、非言語コミュニケーションです。
非言語的なメッセージは無意識に表れやすく、言葉よりも感情を正確に表すとされています。
例を挙げると、患者さまが「大丈夫です」と答えていても、表情が曇っていたり視線が合わなかったりすれば、不安を抱えている可能性があります。
患者さまの言葉だけでなく、表情や仕草にも注意を向けましょう。
患者さまの前向きな変化を促すコミュニケーション技法
患者さまが治療やリハビリに前向きに取り組めるよう、考え方や行動の変化を促す技法もあります。
- リフレーミング
- アサーティブ・コミュニケーション
詳しく解説します。
リフレーミング
リフレーミングは、患者さまのネガティブな捉え方を別の角度から見直す技法です。
同じ出来事でも、見方を変えれば前向きに受け止められるようになります。
ただし、すぐに前向きな言葉をかけるのではなく、まずは「何が・どのようにつらいのか」を確認することが大切です。
たとえば「リハビリがつらくて続けられない」と言われた場合は、
「どのあたりが一番つらいですか?」「痛みなのか、気持ちの面なのか」と具体的に問診します。
そのうえで、患者さまの気持ちに共感しながら、次のように声をかけます。
「つらい中でもここまで続けてこられましたね」
「今は身体を整える大切な時間でもありますね」
無理に前向きにさせるのではなく、寄り添いながら行うことが、リフレーミングのポイントです。
アサーティブ・コミュニケーション
アサーティブ・コミュニケーションは、自分も相手も大切にしながら率直に気持ちを伝える方法です。
患者さまの要望を受け止めつつ、看護師としての意見も正直に伝えることで、双方が納得できる対話を目指します。
たとえば、患者さまから「もう薬を飲みたくない」と言われたとき、
「つらいですよね。そう感じるのは自然だと思います」と気持ちを受け止めたうえで、
「この薬には回復を助ける目的があります。飲み続ける場合と中止した場合、それぞれの影響について一緒に確認してみませんか?」と伝えます。
相手の気持ちを否定せず、自分の考えも伝えることで、患者さまに納得してもらいやすくなるのです。
関連記事:看護師のコミュニケーションで大事なこととは?スキルを上げる方法も解説
看護コミュニケーション技法を身につける3つの方法
コミュニケーション技法は、知識として理解するだけでなく、実践を通じて身につけていくものです。技法を身につけるための方法を紹介します。
- 先輩看護師の会話を観察する
- 日々の振り返りで気づきを得る
- ロールプレイで実践練習する
日々の業務の中で意識的に取り組むことで、自然に使いこなせるようになります。
先輩看護師の会話を観察する
先輩看護師の患者さまとのコミュニケーションを観察することで、多くの学びが得られます。
どのような声かけをしているか、どのタイミングで質問しているかなど、意識して見てみましょう。
「この言い方素敵だな」と感じた対応があれば、真似してみることをおすすめします。
実際の現場で使われている技法を学ぶことで、より実践的なスキルが身につきます。
日々の振り返りで気づきを得る
勤務後に「今日の対応はどうだったか」「もっと良い声かけはなかったか」と振り返る習慣を身につけましょう。
上手くいかなかった場面を分析し、改善策を考えることで、コミュニケーション力が向上します。
たとえば「患者さまが質問の答えが得られなかった」という場面があれば「質問の仕方が良くなかった」「もう少しじっくり待つべきだった」など、改善点が見えてきます。
このような小さな気づきを積み重ねることで、より患者さまに合った声かけができるようになるのです。
ロールプレイで実践練習する
看護師同士で患者役・看護師役になって練習するのもおすすめです。
実際の場面を想定して何度も練習すれば、自然に技法を使えるようになります。
「不安を訴える患者さまへの対応」「リハビリを拒否する患者さまへの声かけ」など、具体的な場面を設定してみましょう。
相手から感想をもらえば、自分では気づかなかった改善点も見つかりやすくなります。
関連記事:看護師の自己PRでコミュニケーション能力を強調する方法4つ!例文付き
看護コミュニケーションについてよくある質問
ここでは、看護コミュニケーションについてのよくある質問に回答します。
Q1:コミュニケーション技法を覚えても実践できるか不安です
完璧を目指さず、まずはひとつずつ試してみることから始めましょう。
「今日は傾聴を意識しよう」「バックトラッキングを使ってみよう」など、ひとつの技法を実践すると取り組みやすくなります。
少しずつ経験を重ねていけば、自然に使いこなせるようになります。焦らず、できることから始めてみてください。
Q2:患者さまとの会話が続かないときはどうすれば良いですか?
無理に話を続けようとせず、沈黙を受け入れることも大切です。
患者さまが考えをまとめている時間かもしれませんし、疲れて話したくないときもあります。
患者さまの様子を観察しながら、適切なタイミングで「お疲れではないですか?」「少し休みましょうか?」と声をかけてみましょう。
Q3:忙しいときでもコミュニケーション技法を意識すべきですか?
忙しくても基本的な挨拶や声かけは大切にしましょう。
短い時間でも相手の目を見て話すだけで印象が変わります。
「おはようございます」「お疲れさまでした」といった一言に、笑顔や優しい声のトーンを添えると、患者さまは安心感を得られます。
忙しさの中でも、できる範囲でコミュニケーションを意識してみてください。
看護コミュニケーション技法を使いこなして信頼関係を築こう
コミュニケーション技法は、練習を重ねることで身につけられるスキルです。先輩の会話を観察したり、患者さまとのかかわりの場面を振り返ったりしながら、少しずつ実践していきましょう。
看護師としてのコミュニケーション力を磨きながら、新しい働き方を考えている方には、訪問看護という選択肢もあります。訪問看護は、利用者さまとじっくり向き合う時間があり、コミュニケーション技法を存分に活かせる環境です。
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<参考文献・サイト>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
