看護師の申し送りで怒られる理由とは?よくある原因と今すぐできる7つの対処法

「申し送りの時間が近づくと動悸がする」「申し送りの後に、また先輩にため息をつかれた」
このような経験がある看護師の方は少なくありません。看護師にとって申し送りは、情報共有の場であると同時に、自分のアセスメント能力を評価されているように感じやすい時間でもあります。
申し送りで怒られるのは、情報の伝え方や優先順位のズレです。コツを押さえれば、怒られずに報告できます。
この記事では、申し送りで怒られる原因と、すぐに実践できる対処法を解説します。申し送りへの苦手意識が和らぎ、自信を持って報告できるようになるはずです。
看護師が申し送りで怒られるのは珍しくない
申し送りで怒られた経験がある看護師は、決して少なくありません。
医療現場では、わずかな情報の抜け漏れが重大なインシデントやミスに直結するため、聞き手も無意識に厳しい口調になりがちです。
そのため、新人看護師だけではなく、中堅やベテランまで、多くの看護師が「要点がわからない」「情報が足りない」と指摘を受けた経験があるのです。
申し送りで怒られる経験は、能力不足を意味するものではありません。ポイントを押さえて改善していけば、乗り越えられます。
看護師が申し送りで怒られるおもな理由
看護師が一生懸命準備をしたはずの申し送りで怒られてしまうことがあります。その理由には、聞き手が求める情報と、話し手が伝えている情報のズレがあります。丁寧に伝えたつもりでも、このズレがあると指摘につながりやすくなります。
- 情報が多すぎて要点が伝わらない
- 結論が最後になってしまう
- アセスメントが十分ではない
- 聞き手(先輩・医師)目線が抜けている
- 病棟が忙しくて聞き手に余裕がない
- 病棟ごとの「暗黙のルール」を知らない
原因を客観的に見極めることで、過度に自分を責める必要がないと気づけるはずです。
情報が多すぎて要点が伝わらない
すべての情報を伝えようとすると、肝心なポイントが埋もれてしまいます。
聞き手は「次の勤務で何を優先すべきか」を判断したいため、時系列の経過よりも「結局、何が変化したのか」を真っ先に知りたいのです。
結論が最後になってしまう
話の冒頭で「何についての報告か」がわからないと、聞き手はストレスを感じます。
医療現場では、結論から聞くことで情報の重要度を判断するため、前置きが長いと「結局何が言いたいの?」と遮られる原因になります。
アセスメントが十分ではない
事実を並べても、自分の考えがないと鋭い指摘を受けやすくなります。
看護師の申し送りには、事実にもとづいたケアの方向性の提示が求められます。「血圧が低かった」という事実だけでなく「だからアセスメントして対処した」ことも伝える必要があります。
聞き手(先輩・医師)目線が抜けている
相手がその情報を使って「次に何をするか」を想像できていないケースでも、厳しい言葉をかけられます。
医師であれば治療方針の判断材料を、受け持ち看護師であればケアの優先順位を判断できるような情報を求めており、このポイントが抜けている可能性があります。
病棟が忙しくて聞き手に余裕がない
看護師の申し送りの内容に関係なく、病棟の雰囲気や聞き手のコンディションで怒られる場合もあります。
忙しい環境では、聞き手の心の余裕がなくなり、攻撃的になりやすいものです。
病棟ごとの「暗黙のルール」を知らない
マニュアルにはない、病棟独自の暗黙のルールに適応できていないと、段取りが悪いと見なされることがあります。
優先すべき診療科の特性や、医師への報告スタイルなど、独自のルールに気づかない場合、怒られる原因になる恐れがあります。
申し送りで怒られやすい看護師の共通点
怒られやすい看護師には、ある共通した特徴があります。それは真面目で責任感が強いことです。
その結果、「すべての情報を伝えようとして、優先順位がわからなくなってしまう」傾向があります。
また、緊張から声が小さくなったり、語尾が濁ったりすることも、聞き手に不安な印象を与えて指摘される原因となります。
内容の質はもちろん、ハキハキとした態度で「根拠を持って話している」という自信を見せることも、怒られないための大切なスキルです。
看護師が申し送りで怒られないための具体的な7つの対処法
今日から実践できる、申し送りの質を変える7つの対処法を紹介します。
- 要注意な患者さまから順番に申し送りをする
- 申し送りは「結論、理由、補足」の順番で話す
- 夜勤から日勤への申し送りでは採血データも報告する
- 事実とアセスメントを整理して伝える
- 申し送りがうまい病棟の先輩を真似する
- 事前にメモして頭を整理して練習しておく
- 自分なりのテンプレートを作成しておく
情報を詰め込みすぎると、本当に伝えるべき要点が見えにくくなってしまいます。聞き手の判断を助ける報告を意識しましょう。この転換が不要な指摘を減らし、自分を守るために必要です。
要注意な患者さまから順番に申し送りをする
申し送りの順番は、可能であれば患者さまの病室番号順ではなく、重症度や注意度を意識して組み替えることが理想です。
ただし、病棟によっては病室番号順で申し送りを行うルールが決まっている場合もあります。その場合は、順番自体を無理に変える必要はありません。その代わり、各患者さまの冒頭で「要注意点」や「変化」を先に伝えることを意識しましょう。
次のような内容は、最初に共有すると理解されやすくなります。
- 術後1日目で発熱がある方
- 本日大きな検査を控えている方
- 夜間に不穏があった方
安定している患者さまの報告から始めると、聞き手は「いつも通り」と油断してしまい、後半に出てくる重要な急変リスクを聞き逃してしまう場合があります。
次の勤務者が、どの患者さまを優先的にケアすべきかが伝わる申し送りを、心がけてください。
申し送りは「結論、理由、補足」の順番で話す
申し送りでは、結論ファーストを徹底することで、その後の情報がスムーズに整理されるようになります。
よくある失敗例として、次のような時系列だけの報告があります。
「夜中に見回りに行ったら、Aさんが起きていて、点滴を触っていました。確認すると少し腫れているようだったため、差し替えました」という時系列の報告です。この方法では、結論に辿り着くまでに時間がかかるため、次のように順番を言い替えると良いでしょう。
- 結論:Aさんの点滴が漏れて腫れていたため左前腕に差し替えました
- 理由:夜間に自己抜去があったためです
- 補足:現在は滴下良好で、ご本人にも触らないよう説明済みです
この流れだと、相手も状況を理解しやすく、次の勤務では何に気をつけるべきかを把握できるため、患者さまに必要なケアを提供できます。
夜勤から日勤への申し送りでは採血データも報告する
採血の結果がその日の治療方針を左右するため、夜勤明けの申し送りでは、採血結果だけではなく、数値の変化をアセスメントして報告しましょう。
「WBCが〇〇から〇〇へ上昇しているため、発熱や創部の状態に注意してください」や、「Hbが前回より2g/dL低下していたため医師に電話連絡しています。治療方針の確認と、ふらつきに注意して見守りをお願いします」と伝えます。
看護師が知りたいのは、そのデータを受けて「今日、何に気をつけるべきか」です。データに加えてアセスメントを添えると、専門職として信頼されます。
事実とアセスメントを整理して伝える
「実際に起きた事実」と「自分のアセスメント」をはっきりとわけて話しましょう。
ここが混ざると、聞き手は「患者さまが言ったこと?あなたの推測?」と混乱してしまいがちです。
たとえば、痛みを訴える患者さまの報告をする際、「腰が痛いと言っていて、ずっと同じ姿勢だったからだと思います」とすると聞き手には十分伝わりません。
「10時より腰痛の訴えが NRS6点でした。長時間の同一体位によるものと考え、体位変換と除圧を行いました」と事実と推測をわける必要があります。
報告の客観性が保たれ、看護師も理解できるようになるため、鋭いツッコミを回避しやすくなります。
申し送りがうまい病棟の先輩を真似る
身近にいる「申し送りがうまい先輩」を徹底的に真似してください。
先輩がどの情報を「削っているか」「どの順番で伝えているのか」など、次のポイントに注目しましょう。
- 変化のない患者さまの報告をいかに短く済ませているか
- 変化があった患者さまの申し送りに時間を割いているか
- 医師への報告時にどのような言葉選びをしているか
申し送りがうまい先輩の型をそのまま活用することが、上達への最短ルートです。
関連記事:申し送りがうまい看護師になるには?3つの例文と伝え方のコツを解説
事前にメモして頭を整理して練習しておく
申し送りはぶっつけ本番ではなく、あらかじめ話す内容を整理した「申し送り用メモ」を作成し、一度シミュレーションしておくことをおすすめします。
メモの取り方を工夫し、「指示変更」「最新の数値」「要注意の点滴」など重要な情報は赤字や蛍光ペンで目立たせておきましょう。
緊張すると言葉に詰まってしまう方は、ナースステーションの隅で、小声でリハーサルをするのが効果的です。一度口に出してみることで、「この部分は説明が長いな」「ここが論理的じゃないな」と気づくことができ、本番での動揺を防げます。
自分なりのテンプレートを作成しておく
報告の型を固定して、同じリズムで申し送るようにする方法もあります。決まったフォーマットがあれば、忙しい業務の中でも情報の抜け漏れを防げます。
申し送りのテンプレートとして「SBAR(エスバー)」を活用してみましょう。
- S(Situation:状況):「〇〇さんの酸素飽和度が90%まで低下しました」
- B(Background:背景):「心不全での入院で、朝から尿量が減少傾向でした」
- A(Assessment:評価):「心負荷による水分貯留、心不全の増悪の可能性があります」
- R(Recommendation:提案):「指示にある利尿薬の投与を医師に確認してはいかがでしょうか」
このように整理して伝えることで、論理的で迷いのない申し送りになり、周囲からの評価も変わります。
関連記事:看護師の「申し送りノート」書き方完全ガイド!コツと例文を詳しく紹介
それでも申し送りが怖い・つらいと感じるとき
どのように対策をしても状況が改善しない場合は、次のように視点を変えてみる必要があります。
- 怒られる頻度と内容を客観的に振り返る
- 特定の看護師だけに強く当たられていないか確認する
- 環境を変える選択肢もある
理不尽な叱責が続くなら、それは教育ではなく環境の問題です。心身を壊す前に、自分らしく働ける場所を検討することも大切です。
怒られる頻度と内容を客観的に振り返る
「成長を促すための指摘なのか」、それとも「単なる感情の発散なのか」という視点で怒られる内容を振り返ってください。
内容に正当性があるなら改善の余地がありますが、人格否定や理不尽な怒号であれば、それは申し送りスキル不足ではなく、相手や環境の問題です。
特定の看護師だけに強く当たられていないか確認する
誰に対しても厳しい指導をしているのではなく、特定の看護師だけに繰り返し強く当たられている場合、ハラスメントの可能性があります。
実際に、日本医療労働組合連合会の調査によると、看護師の34.5%がパワハラを受けた経験があるとされています。
パワハラを受けた相手は、看護部門の上司(60.1%)、医師(39.9%)、同僚(21.4%)が挙げられており、申し送りを含む日常業務で起きている可能性も否定できません。
ただし、すべての厳しい指摘がパワハラに該当するわけではありません。
特定の人だけに、人格を否定する言動や過度な叱責が繰り返されているかという視点で冷静に振り返ることが大切です。
1人で抱え込まず、信頼できる先輩や看護師長に相談し、自分を守るための行動をとりましょう。
環境を変える選択肢もある
申し送りのスタイルは、職場によって異なります。現場の「申し送り文化」があなたに合っていないだけで、環境を変えればスムーズに働けるようになるケースも多いのが事実です。
まずは、信頼できる同僚や看護師長に相談してみましょう。それでも改善が見込めない場合は異動や転職など、その職場から離れることを検討してください。
看護師の申し送りについてよくある質問
申し送りは情報共有だけではなく、短時間で要点をプレゼンする高度なスキルが求められます。ここでは、多くの看護師が抱える苦手意識やメモ術など、現場でよくある悩みや疑問にお答えします。
Q1:申し送りが苦手な看護師は多いですか?
申し送りが苦手と感じている看護師は少なくありません。
短時間で情報を選び、他者にプレゼンする能力は、看護技術とは違う訓練が求められるスキルだからです。苦手意識があるのは、真面目に情報を伝えようとしている証拠でもあります。
経験を重ねることで、自然と要点を整理して伝えられるようになります。
Q2:申し送りで怒られるのは何年目くらいまでですか?
一般的に、申し送りで怒られるのは3年目くらいまでが多いですが、ベテランでも異動直後は指摘を受けることがあります。
病棟を移るとルールも変わるため、経験年数よりも「病棟の文化」をいかに早く掴むかが重要になります。誰にでも起こり得ることであるため、焦らず慣れていくことが大切です。
Q3:看護師の申し送りでメモの取り方のコツはありませんか?
看護師の申し送りでメモを取るコツは「余白を作る」ことです。
ぎっしり書きすぎると、話すときに重要な情報を見失います。時系列ではなく、疾患別や項目別にエリアをわけてメモを取るスタイルがおすすめです。
申し送りがつらい看護師は「環境」を見直すのも1つの方法
申し送りの時間が苦痛で、仕事に行くのが嫌になってしまうほどなら、一度立ち止まって環境を変えることを考えてみてください。
もし、今の職場の人間関係や「怒って育てる」ような文化で、どうしても合わないと感じる場合、職場を変えることで解決できるかもしれません。
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