看護師のパートの働き方とは?仕事内容や年収の実態、向いている人を解説

「体力的に常勤の看護師で働くのはきつい」「子どもが帰る時間には家にいたいけど給料が下がるのが心配」
自身の体力や家庭の事情から常勤で働くのが難しくなり、パートでの働き方を検討している看護師もいるでしょう。
しかし、常勤との違いや給与形態、社会保険などの違いがわからず、不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、仕事内容・働き方・収入や制度面など、看護師がパートで働く際のリアルな実態をわかりやすく解説します。
読み終える頃には、自分に合った働き方を具体的にイメージできるようになるはずです。
看護師のパートとは?働き方の基本を整理
家事や育児で忙しい時期、体力面などライフステージの変化に合わせて働き方を見直す中でパートという働き方は有力な選択肢になります。ここでは、看護師のパートの働き方を整理します。
- パートの定義
- 看護師のパートの実態
- 看護師がパートで働く職場
パートについての制度や現場のリアルな実態を知ることで、今の自分に最適な環境が見えてきます。基本を押さえることが重要です。
パートの定義
看護師のパートとは、非常勤の働き方の1つで、決められた曜日や時間帯を限定して働く雇用形態を指します。常勤が週40時間の勤務を基本とするのに対し、パートは週40時間未満であり、ライフスタイルに合わせて労働時間を調整できるのが特徴です。
たとえば、「平日の午前中のみ」「月水金の週3日のみの勤務」といった契約が可能になります。
ただし、常勤か非常勤かは、職場の規則によって定められているため、「パート=非常勤」ではない点に注意が必要です。
看護師のパートの実態
看護師のパートで働く人は少なくありません。
実際に、厚生労働省の調査によると看護師の17.8%が非正規雇用(正規雇用及び派遣に該当しない者)で働いているのです。人手不足が続く看護業界においてパート看護師の需要が高まっています。
一方で、現場では「経験年数が長く即戦力として扱われ、責任が増える」「時間外がないと聞いていたけど、みんなが忙しそうなのに自分だけ先に帰りづらい」といった声もあります。
看護師がパートで働く職場
看護師がパートで活躍できる場所は次のように多岐にわたります。
- クリニック
- 病院外来
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- デイサービス
自分の得意な診療科目や働きたい時間帯に合わせて職場を選べるのがパートの強みです。ただし、職場によって看護師のパートに求める役割は異なるため、事前に把握する必要があります。
看護師のパートの働き方【時間・日数・シフト】
ここでは、看護師のパートとして働く方の勤務時間や日数、シフトなどを紹介します。それぞれを具体的に見ていきましょう。
勤務時間のパターン
看護師のパート勤務では、常勤に比べて勤務時間を調整しやすい傾向があります。多くの職場が、子育てや介護など多様なニーズに応えるために柔軟な働き方を受け入れているためです。
たとえば「週3日、9時~13時」といった固定シフトで働くケースや、月ごとに勤務希望を出すシフト制など、職場によって働くパターンはさまざまです。
ただし、どこまで希望が通るかは人員状況や業務内容に左右されるため、完全に自由というわけではありません。
基本的には夜勤なし・残業少なめで働く
夜勤や残業が少ない点は、パート勤務の大きな特徴です。多くの職場では、定時で業務を終えることを前提にシフトが組まれています。
たとえば、15時までの勤務の場合は、早めに申し送りをしたり、日勤者に夜勤者へ引き継ぎを依頼したりするなど、業務が滞らないように工夫されています。
一方で、「急な欠員が出たとき、夜勤を打診された」「自分だけ先に帰りづらく結果的に残業した」などの声があるのも事実です。
そのため、就業規則を確認するだけではなく、実際の運用や現場の雰囲気も把握しておくことが、パート勤務で後悔しないためには必要になります。
看護師のパートと常勤との違い
パートと常勤では、雇用契約の違いによって期待される役割や責任、処遇が異なります。
ここでは、次の項目を中心に、両者の違いを比較します。
- 仕事内容の違い
- 責任の範囲の違い
- 給与の違い
- 委員会活動や教育係の違い
現在の生活環境や、今後どのように働きたいかという視点を基準に整理すると、自分に合ったスタイルを選びやすくなります。なお、実際の業務範囲や待遇は職場ごとに差があるため、ここで紹介する内容は一般的な傾向として捉え、詳細は契約書や面接時に確認しましょう。
仕事内容の違い
パートと常勤では、任される仕事内容が異なります。常勤は患者さまの入院から退院までの長期的な計画にかかわるのに対し、パートは「その日の業務を安全に回す」役割が期待されがちです。
具体的には、点滴や検査出しの対応、清潔ケアといったケアや処置業務が中心となり、看護計画の立案や看護サマリの作成などは、常勤が担うケースが一般的です。
責任の範囲の違い
責任の重さについても、パートと常勤では線引きされることが多くあります。最終的な判断やリーダー業務は常勤が担う仕組みになっている職場が一般的です。
たとえば、医師への報告や他職種との調整といった業務は常勤が担当し、パートは指示にもとづいてサポートに回ります。
責任が限定される分、精神的なストレスを抑えやすい一方で、仕事の裁量の幅は狭くなる点は理解しておく必要があります。
給与の違い
パートと常勤では、給与の決まり方や総額に差があります。看護師のパートは働いた時間に応じて支払われる「時給制」「日給制」が基本であり、ボーナスや退職金の支給がない場合が多く見られます。
パートの時給相場は、ほかの職種に比べて高水準ですが、夜勤手当や賞与などがある常勤に比べると総額は低くなる傾向にあります。
給与を重視する場合は、勤務日数や時間をどれくらい確保できるかも含めて検討することが重要です。
関連記事:看護師のパートの年収は約218万円!高時給で働く5つのコツを解説
委員会活動や教育係の違い
職場内での役割も、常勤と比べると、パートは負担が軽くなる傾向にあります。勤務時間が限られているため、委員会活動や勉強会の企画運営、後輩の教育係などを任されることは少なくなります。
その結果、看護業務に集中しやすく、仕事と私生活で切り替えやすい点はメリットです。
一方で、キャリアアップを目指す人にとっては、物足りなさを感じる場面があるかもしれません。
扶養や社会保険はどうなる?看護師がパートで働くときに知るべきお金の話
お金の話に苦手意識を持つ看護師は少なくありません。しかし、パートとして働く場合、あいまいにしたまま入職すると「思ったより手取りが少ない」「損をしていた」と後悔しやすくなります。ここでは、パートで働く前に押さえておきたいポイントを解説します。
税金上の「扶養内」で働ける条件
扶養控除の判定は“所得金額”で行われ、(給与収入ベースでは)おおよそ103万円以下までが従来の目安でした。
ただし、令和7年12月1日施行の税制改正により、令和7年分以降は所得要件が58万円以下(給与収入では約123万円前後)に変更されます。 最新制度は国税庁の情報を必ず確認してください。
この金額を超えると、所得税や住民税が発生し、結果として手取りが思ったほど増えないケースもあります。
そのため、住民税や所得税のルールをある程度理解して、シフトを調整することが重要です。「週に何時間働けるのか」「シフトを増やすとどうなるのか」など、事前に人事担当者に確認しておくと安心です。
社会保険への加入が必要になるケース
パートであっても、次のように一定の条件を満たすと社会保険(健康保険、厚生年金保険)の対象になります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 給与が月8万8,000円以上
- 2か月を超えて働く予定がある
- 学生ではない
これらに該当すると、原則として家族の扶養から外れ、自身で社会保険に加入することになります。
保険料の自己負担は増えますが、その分将来受け取る年金額が増えるというメリットもあります。
なお、短時間労働者の社会保険加入要件は、制度改正により今後見直される予定があります。また、現行制度では、勤務先の企業規模(従業員数)によっても適用条件が異なります。
実際の適用条件は、勤務先の規模や最新の制度内容によって異なるため、入職前に必ず確認しましょう。
看護師がパートで働くメリット・デメリット
看護師がパートで働くと良い面ばかりに目がいきがちですが、見落とされがちな注意点もあります。体力的なゆとりといった魅力と、スキル維持への不安など、両面を比較することで、納得のいく選択がしやすくなります。
パートを選ぶメリット
看護師がパートを選ぶことで、働き方に余裕を持てるようになるというメリットがあります。具体的には、次のような点が挙げられます。
- 体力的に無理がない
- 家庭・育児と両立しやすい
- 精神的な余裕が生まれやすい
勤務時間や日数が少ないため、夜勤や長時間勤務による疲労を避けやすくなります。
たとえば、夜勤がなくなることで、休日もしっかり動けるようになり、家庭や趣味の時間を充実させられます。心身の健康を保ちながら看護師を続けられるでしょう。
パートのデメリット
一方で、パート勤務にはキャリアや収入面でのデメリットもあります。
- 収入が不安定である
- スキルの維持が難しい
- キャリア評価に影響する可能性がある
パートは、常勤より収入が低くなり、役割も限定されがちです。長期間パートを続けていると、最新の医療技術や機器に触れる機会が少なくなり、スキルが停滞する不安を感じる人もいます。将来どのような看護師になりたいのかも踏まえて選択することが重要です。
看護師のパートに向いている人・向いていない人
「自分にはパート勤務が合っているの?」と迷ったときは、今の優先順位や目標を振り返ってみましょう。パート勤務で満足できる人と、常勤の方が納得しやすい人の特徴をまとめました。
パートに向いている看護師の特徴
私生活を優先しながら、看護師の資格を活かして働きたい人にはパートが最適といえます。
たとえば、子育ての都合で夕方までに帰宅したい人や、体力的に常勤が厳しくなったベテラン看護師などが、無理なく活躍できる働き方です。自分のペースを守りながら、看護師を続けたい人におすすめです。
常勤の方が合っている看護師の特徴
逆に、しっかり稼ぎたい人やキャリアアップを目指したい人には、常勤の方が合っている可能性があります。
常勤であれば、リーダー業務や教育担当など、広い役割を求められます。また、夜勤手当や賞与による高い収入を得たい、あるいは将来的に管理職を目指したいという意欲がある場合は、常勤を選ぶ方が満足度は高くなるでしょう。
そのため、自分の目標がどこにあるかを見極めることが大切です。
看護師がパートで後悔しないための注意点
看護師がパートで働き始めたのに「こんなはずではなかった」と後悔するのは避けたいものです。求人票の見方や、入職前に職場と確認しておくべき事項などの注意点をお伝えします。
- 求人票だけで判断しない
- 業務範囲・責任の線引きを確認する
- 常勤への復帰を考えて選ぶ
入職後のトラブルを防ぐには、事前の条件確認が欠かせません。面接時に役割や残業の実態を質問し、納得したうえで契約しましょう。
求人票だけで判断しない
パート先を探す際は、求人票に書かれた条件だけで判断しないことが不可欠です。求人票には「残業なし」とあっても、実際には時間内に業務が終わらないこともあるからです。
面接時に「パートが定時で帰れているか」を質問したり、職場見学をさせてもらったりすることをおすすめします。実態を把握してから入職することで、働き始めてからのギャップを減らせます。
業務範囲・責任の線引きを確認する
働き始める前に、自分が担当する業務の範囲を明らかにしておくことが重要です。パートと常勤の役割があいまいだと、気づかないうちに過度な責任を負わされてしまうことがあります。
たとえば「リーダー業務を任されるのか」「夜勤をしなければならないのか」などを雇用契約の段階で確認しましょう。役割分担がはっきりしている職場であれば、パートとして働きやすくなります。
常勤への復帰を考えて選ぶ
将来的に常勤へ戻る可能性がある場合、その点も視野に入れて職場を選ぶべきです。
医療行為の少ない職場に長くいると、常勤復帰した際に技術的な不安が大きくなります。具体的には、採血や点滴など基本的な看護技術を維持できるクリニックや外来を選ぶと、将来の選択肢を狭めずに済みます。
今の働きやすさだけでなく、数年後の自分の姿を想像して職場を選ぶことが後悔しないコツです。
看護師のパートの働き方についてのよくある質問
「ブランクがあっても大丈夫?」「パートだと成長できない?」
そんな、パート勤務を考える看護師がよく抱く疑問にお答えします。
Q1:看護師のパートでリーダー業務を任されることはありますか?
基本的には少ないですが、職場の状況によってはリーダー業務を任されることもあります。人手不足の施設やパートの比率が高いクリニックなどでは、経験豊富な看護師が現場を取りまとめる役割を担うケースがあるからです。
リーダー業務を避けたい場合は、事前に希望を伝えておくことが大切です。自分の希望と職場のニーズが一致しているか、入職前に確認しておきましょう。
Q2:ブランクがあってもパートで働けますか?
ブランクがあっても、パートとして働くことは可能です。1週間のうち数日から働き始めることで、少しずつ仕事の勘を取り戻し、無理なく現場に慣れていくことができるでしょう。
また、多くの病院や施設では復職支援研修を用意しており、ブランクのある看護師を歓迎しています。短時間の勤務からスタートし、自信がついたら時間を増やすといった段階的な復帰ができるのもパートの良いところです。
関連記事:【看護師の面接対策】パート面接で聞かれること16選と好印象な回答例
Q3:看護師のパートでもスキルアップできますか?
自分の意識次第で、パートでもスキルアップは可能です。新しい処置を学んだり、自分で勉強会に参加したりすることで、知識をアップデートし続けられます。
パート向けの研修制度を整えている病院や、特定の資格取得を支援する職場も少なくありません。時間が限られているからこそ、新しい技術を吸収しようとする姿勢が、スキルアップの差を生みます。
看護師のパートの働き方を知ることが、自分に合った選択につながる!
看護師のパートという働き方は、時短勤務ではなく、体力や家庭の状況、将来のキャリアを踏まえたうえで、自分の人生をどう組み立てるかを考えた結果として選ぶ働き方です。
仕事の内容やお金の仕組みを理解していれば、私生活とのバランスを保ちながら、看護師としてのやりがいを感じながら働き続けられるでしょう。
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