コメディカルと看護師の違いは?職種一覧と連携する5つのコツを紹介

「コメディカル」という言葉を耳にしたとき、「看護師はコメディカルに含まれるの?」「医師以外の職種との違いは何?」と疑問に思う看護師の方も多いのではないでしょうか。
看護師もコメディカルに含まれる専門職の一つです。
コメディカルはいずれも患者さまの健康を守り、回復をサポートしている一方で、職種ごとに専門分野や役割は異なります。
その違いを理解し、連携することが、質の高い医療提供には不可欠です。
この記事では、コメディカルの定義から看護師との違い、多職種連携を円滑に進めるためのコツを解説します。医療チームの一員として、自身の役割を再確認する参考にしてください。
コメディカルとは医師以外の医療従事者の総称
コメディカル(comedical)とは、医師や歯科医師以外の医療従事者の総称を指す言葉です。「共同でおこなう(co)」と「医療の(medical)」を組み合わせた和製英語です。
コメディカルの定義は、法律ではっきりと定められているわけではありません。一般的に、コメディカルはチーム医療に携わる専門職(薬剤師、理学療法士、診療放射線技師など)をあらわす際に使われます。
コメディカルと看護師の違いをわかりやすく整理|職種一覧
看護師はおもに「診療の補助」と「療養上の世話」を担い、患者さまをケアします。多職種連携をスムーズに進めるためには、看護師とほかのコメディカルの違いを理解することが重要です。
なお、コメディカルには明確な定義がなく、含まれる職種の範囲も一律ではありません。
ここでは、医療現場でよく連携する代表的な職種を紹介します。
医療的な処置やケアをおこなう
| 職種 | おもな役割と看護師との違い |
| 保健師 | 地域の公衆衛生分野が専門。健康相談や保健指導を通して、地域住民の病気の予防や健康増進をサポートする |
| 助産師 | 妊娠、出産、産後のケアと保健指導をおこなう。助産師資格は女性のみが取得可能と法律で定められている |
| 救急救命士 | 救急救命処置をおこなう。傷病者が病院に搬送されるまでのあいだに症状の悪化を防ぎ、生命の危険を避けるための初期対応をする |
看護師は病院で幅広くケアをおこないますが、保健師は予防、助産師は周産期、救急救命士は緊急時の処置と、それぞれ専門とするフェーズが分かれています。看護師は、これらの職種と連携し、一貫したケアを提供します。
関連記事:助産師と看護師の違い10個!どっちが大変と言われるのか理由を紹介
検査に対応する
| 職種 | おもな役割と看護師との違い |
| 診療放射線技師 | レントゲンやCT、MRIなど診断に必要な画像を撮影・提供する |
| 臨床検査技師 | 血液、尿、心電図、超音波など、患者さまの検体や生理学的検査をおこない、診断に必要なデータを提供する |
| 臨床工学技士 | 人工呼吸器や人工透析装置など、生命維持装置の操作や保守点検、安全管理をおこなう |
診療放射線技師と臨床検査技師は診断に必要なデータ収集を、臨床工学技士は生命維持装置の操作や安全管理を専門としています。看護師は、これらの情報から患者さまの状態をアセスメントしてケアをします。
薬や栄養面からサポートする
| 職種 | おもな役割と看護師との違い |
| 薬剤師 | 薬の調剤、管理、服薬指導をおこなう。副作用のチェックや医薬品についての情報提供を担当する |
| 管理栄養士 | 患者さまの病態や栄養状態に合わせた専門的な栄養指導や献立作成、栄養管理計画の策定をおこなう |
| 栄養士 | 栄養管理計画にもとづき、献立作成や給食管理などの食事提供や栄養指導に携わる |
これらの職種は、薬や栄養の専門知識から患者さまの回復を支える役割を担っています。
看護師は、服薬状況や食事量、体調の変化を日常的に観察し、その情報を共有することで、薬物療法や栄養療法が適切に行われるよう調整します。
リハビリテーションや治療を実施する
| 職種 | おもな役割と看護師との違い |
| 理学療法士 | 運動療法により座る、立つ、歩くなど基本的な運動機能の回復をサポートする |
| 作業療法士 | 食事、着替え、仕事などの作業を通じて心身の機能回復や社会参加を支援する |
| 言語聴覚士 | 言葉によるコミュニケーションや、嚥下機能の障害に対する評価と訓練をおこなう |
| 視能訓練士 | 視機能の検査や、斜視・弱視の訓練をおこなう |
| 柔道整復師 | 打撲、捻挫などの損傷に対して施術をおこなう |
| はり師・きゅう師 | 針やお灸を用いて患者さまの症状緩和や体質改善をおこなう |
これらの職種は、患者さまの機能回復と社会復帰を専門としています。看護師は、介助方法やポジショニングをリハビリテーションの計画と統一することで、訓練の効果を維持させ、患者さまが安全に生活できるようにサポートします。
介護や社会福祉の分野でサポートする
| 職種 | おもな役割と看護師との違い |
| 介護福祉士 | 身体上・精神上の障害を持つ方に対し、専門知識と技術にもとづいた介護をおこなう |
| ケアマネジャー | 介護保険サービスを利用するためのケアプランを作成し、サービス事業者との調整をおこなう |
| 社会福祉士 | 患者さまの経済的・社会的な問題解決や、退院後の生活復帰に向けてサポートする |
| 精神保健福祉士 | 精神障害を持つ方の社会復帰や生活支援のための相談援助をおこなう |
| 保育士 | 病院内では小児病棟や院内保育室などで、子どもの成長発達のサポートや保育指導をおこなう |
この分類の職種は、患者さまの生活の質を高め、スムーズに社会復帰できるようにサポートすることを専門としています。看護師は、患者さまの経過を正確に伝え、退院後の生活がスムーズに移行するよう支援する役割を担います。
看護師がコメディカルと連携する5つのコツ
質の高いチーム医療を提供するために、看護師とコメディカルとの連携は不可欠です。看護師が多職種とうまく連携するためには、日々の関わり方を少し意識することが大切です。
ここでは、現場ですぐに実践できる5つのコツを紹介します。
- 役割の違いを理解し、依頼内容を明確に伝える
- 情報共有は「簡潔・正確・必須事項のみ」を徹底する
- 相手の業務量やタイミングに配慮する
- 意見が食い違ったときは「患者さま中心」で整理する
- 日頃から声かけを積み重ねて関係性を作る
これらを実践することで、「職種間での情報不足」や「業務の認識違い」といった連携の障壁がなくなり、お互いの専門性を活かすことが可能になります。患者さまに最善のケアを提供できるでしょう。
役割の違いを理解し、依頼内容を明確に伝える
看護師がほかのコメディカルとスムーズに連携して患者さまをケアするためには、それぞれの専門性と、業務範囲を正しく理解することが大切です。
- 何をしてほしいか(依頼内容)
- なぜそのケアが必要か(患者さまの病態や背景)
- いつまでにケアすべきか(優先度や期限)
これらをはっきりと伝えることで、コメディカルはすぐに状況を判断でき、専門的な業務に取りかかれます。ケアの目的や患者さまの情報が不足していたために、何度も連絡を取り合って確認するような二度手間を防げるのです。
情報共有は「簡潔・正確・必須事項のみ」を徹底する
多忙な医療現場では、長すぎる報告やあいまいな情報は混乱を招き、患者さまのケアの遅れに直結します。そのため、次のポイントに注意して、報告・連絡・相談の質を高めることが、スムーズなチーム連携の基本です。
- 簡潔さ:共通の報告フレームワーク(SBARなど)を活用し、結論から伝える
- 正確さ:患者さまのバイタルサイン、検査値、現在の状態など客観的なデータを伝える
- 必須事項:相手の専門分野についての情報(例:リハビリテーションのスタッフにはADLの課題、薬剤師には薬の副作用の観察情報)に絞って共有する
これらの原則を徹底することで、コメディカルは必要な情報を把握でき、業務の効率が向上します。不要なコミュニケーションを削減し、ケアに集中できる環境を作りましょう。
相手の業務量やタイミングに配慮する
コメディカルもそれぞれ専門的な業務を抱えています。
緊急性の低い依頼については、相手の業務が落ち着いているタイミングを見計らったり、「〇時頃に依頼したいのですが、よろしいでしょうか」と声をかけてから依頼したりする必要があります。相手に配慮をすることで、お互いに気持ちよく仕事ができるでしょう。
意見が食い違ったときは「患者さま中心」で整理する
多職種間で意見が食い違うことは珍しくありません。
この場合は、「誰の意見が正しいか」ではなく、「患者さまにとって何が最善か」という共通のゴールに戻って情報やケアの方向性を整理することが大切です。
当事者間で解決できなければ、管理職を交えたり、部署間でのカンファレンスをおこなったりして、協力体制を見直しましょう。
日頃から声かけを積み重ねて関係性を作る
日頃から仕事のやり取りだけでなく、「おはようございます!」「いつもありがとうございます!」といったあいさつや言葉を交わし、積極的なコミュニケーションを心がけましょう。
人間関係が良好であると、業務の情報交換もスムーズになり、協力的なチーム医療を実現できます。
関連記事:多職種連携における看護師の3つの役割!具体例や大切なことを解説
コメディカルと看護師についてのよくある質問
コメディカルという言葉や多職種連携について、看護師が抱きやすい疑問や現場でよく話題になる質問について解説します。
Q1:コメディカルとパラメディカルの違いはありますか?
「コメディカル」と「パラメディカル(paramedical)」は、ほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、それぞれの言葉のニュアンスが異なります。
| コメディカル | パラメディカル | |
| 意味 | 「共に(Co)医療をおこなう」という協調性を強調した和製英語 | 英語圏での呼び名で「補助する(para)」という意味 |
| ニュアンス | チーム医療において対等な関係にあるイメージ | 一部の文脈では医師を補助する役割として受け取られることがある |
日本では、「パラメディカル」という言葉が文脈によっては医師を補助する役割として受け取られることがあるため、チーム医療における協調性を重視する意味合いで「コメディカル」という言葉が使われることが多いです。
Q2:准看護師や看護助手はコメディカルに含まれますか?
准看護師や看護助手も、看護師と同じようにチーム医療を支える職種としてコメディカルに含まれる場合があります。ただし、コメディカルに明確な定義はないことに注意が必要です。
Q3:医療事務はコメディカルに含まれますか?
医療事務もチーム医療を支える一員として、コメディカルに含まれる可能性があります。

Q4:看護師はコメディカルの中で給料は低いですか?
看護師の給与水準を、コメディカルの平均と比べました。
| 職種 | 平均年収 |
| 看護師 | 519万7,000円 |
| 薬剤師 | 599万3,200円 |
| 臨床検査技師 | 504万3,400円 |
| 診療放射線技師 | 549万8,500円 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 | 444万1,500円 |
コメディカルの中には、看護師よりも給与の高い職種も含まれます。看護師は夜勤手当や各種手当がつくため、平均年収は高くなる傾向があります。
※年収は全年齢・フルタイム平均であり、夜勤・地域差・経験年数により大きく変動します
関連記事:【2025年版】看護師の平均年収はいくら?ボーナスや給与の内訳を解説
Q5:なぜコメディカルの中でヒエラルキーが生まれるんですか?
コメディカル間でヒエラルキーが生まれる要因は、業務上の力関係と責任の所在などが背景にあります。
看護師の役割として、患者さまの近くでケアをおこない、多職種への依頼や調整をおこなう立場にあるため、コメディカルとの間で摩擦が生じることもあるようです。
しかし、医療現場ではチーム医療が重要視されており、お互いの専門性を尊重し合う連携が求められます。
看護師は多職種をつなぐ調整役として重要な存在!
看護師は、コメディカルに含まれる専門職であり、多職種をつなぐ調整役として医療チームの中核を担っています。
それぞれの専門性を理解し、円滑に連携することで、患者さまにとってより質の高い医療を提供することができます。
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<参考サイト・文献>
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