不採用続きの新卒看護師へ|面接に落ちる5つの理由と挽回策を解説

「周りはみんな内定をもらっているのに、自分だけ不採用が続く」「もしかして看護師に向いていないのかな?」
第一志望の病院の採用試験に落ち、その後も不採用が重なると、不安な気持ちになりますよね。しかし、不採用が続くのは必ずしも人間性やスキルのせいとは限りません。多くの場合、病院とのマッチングや面接の伝え方にズレがあるだけです。
この記事では、新卒看護師が不採用になりやすい理由や、内定を勝ち取るための立て直し方を解説します。自信を持って次の面接に臨めるようになるでしょう。
新卒看護師で不採用続きなのは珍しくない
「看護師は人手不足だからどこでも受かる」といわれていたのは過去の話です。現在は採用枠が絞られたり、選考基準が厳しくなったりなど、事情が変わっています。
- 複数応募が当たり前の時代になっている
- 人気のある病院に応募が集中して落ちる確率が上がっている
- 看護学校での評価が高くても落ちることはある
不採用の通知が届くと「自分だけがダメなのでは」と思いがちですが、そんなことはありません。今の状況を分析し、内定を勝ち取るための準備を進めましょう。
複数応募が当たり前の時代になっている
現在は、看護学生が複数の病院を受けるスタイルが主流となっており、不採用を経験することは珍しくありません。これまでは、学校の推薦で1つの病院だけを受ける形が多くありましたが、求人サイトの普及により、さまざまな病院にエントリーできるようになりました。
実際に、滑り止めを含めて3〜5件以上の病院に応募し、活動するケースが増えています。そのため、数件の不採用通知を受け取っても、看護師の資質が否定されたわけではありません。
人気のある病院に応募が集中して落ちる確率が上がっている
特定の病院に応募が集中している現状では、能力に関係なく不採用になる確率が高まります。とくに、都市部の有名な大学病院や公立病院などは、全国から応募者が集まり、倍率が数倍から十数倍になることもあります。
成績優秀で面接の受け答えが完璧であっても、限られた採用枠から漏れてしまうこともあるでしょう。不採用は枠の問題の場合があるため、ここまで頑張ってきた自分を、これ以上追い込まなくて大丈夫です。
看護学校での評価が高くても落ちることはある
看護学校で成績が優秀だからといって、採用試験で有利になるとは限りません。病院は、筆記試験の点数だけでなく、「自院のチームに馴染めるか」「長く働いてくれそうか」という点を重視しています。
たとえば、筆記試験の点数が高くても協調性に欠けると判断されれば、チーム医療を重視する病院では敬遠されることがあります。学校での評価は自信にしつつも、「その病院に合う自分」をアピールすることが、内定をもらうために大切です。
新卒看護師で不採用続きになりやすい5つの理由
新卒採用において、病院は看護技術よりも「組織への適応力」や「長く働き続けてくれる可能性」を気にしています。なぜ実力があるのに選考で落とされてしまうのか、新卒看護師が陥りやすい理由を解説します。
- 志望動機が「どの病院でも通じる内容」になっている
- 「すぐに辞めそう」と判断される
- 受け答えが自信なさそうに見える
- 病院のリサーチが不十分であると判断される
- 面接の練習不足で良さが伝わっていない
これらの理由は、看護学生の能力不足ではなく、伝え方や準備の方向性に課題があるケースがほとんどです。どの項目に当てはまるか、内容をチェックしていきましょう。
志望動機が「どの病院でも通じる内容」になっている
志望動機に独自性がないと、「自院でなくてもいいのでは?」と思われ選考から漏れてしまいます。病院は理念に共感し、定着してくれる人を探しているため、どこでも通じる定型文では熱意が伝わりません。
たとえば、「教育体制が充実しているから」「貴院の理念に惹かれたから」といった理由は、多くの病院に当てはまります。その病院ならではの強みと自分の経験が結びついていないと、採用担当者に志望度が低いと判断される要因になります。
「すぐに辞めそう」と判断される
新卒教育には多大なコストがかかるため、病院は早期離職を避けたいと考えています。日本看護協会「2024年病院看護実態調査 報告書」によると、新卒看護師の離職率は8.8%ですが、小規模の病院(病床数99床以下、100~199床)では12.1%と高い水準にあります。そのため、規模が小さい病院の採用担当者は「すぐに辞めてしまわないか」という点に敏感になっている可能性があります。
面接で残業時間や有給休暇の条件ばかりを確認したり、実習のつらさを他人のせいにしたりする発言は、定着に強い不安を感じがちです。ストレス耐性や責任感に疑問を持たれることは、採用リスクが高いとみなされ、今回の選考では見送ると判断されてしまうことがあります。
受け答えが自信なさそうに見える
面接での自信のなさは「対人スキル不足」と見なされ、看護師の適性を疑われる原因になります。次のような面接での態度は、コミュニケーション能力が低く、患者さまに不安を与えると判断され、採用担当者は一歩引いてしまいます。
- 視線が合わない
- 声が小さい
- 猫背である
たとえ回答内容が素晴らしくても、「患者さまを不安にさせる」「チームに馴染めない」と判断され、採用候補から外れてしまうケースは少なくありません。
病院のリサーチが不十分であると判断される
リサーチ不足は、採用担当者に志望度の低さと入職後のミスマッチを強く感じさせます。病院の理念や特徴を理解していないと、質問への回答が的外れになり、熱意が疑われます。
採用試験の時期は、国家試験の準備、大学であれば卒業論文の執筆など、多忙ではありますが、リサーチは欠かせません。逆質問の場で、ホームページを見ればすぐわかることだけを聞くのは準備不足の証拠といえるでしょう。こうした態度は、病院に「自院への関心が薄い」と捉えられて不採用の理由になります。
面接の練習不足で良さが伝わっていない
面接の練習なしでは、頭でわかっていても、本番では緊張して言葉が詰まり、論理的な説明ができなくなるものです。
準備不足のまま臨むと、回答が丸暗記で機械的になったり、話がまとまらなかったりして本来のあなたの魅力が十分に伝わりません。その結果、実力があっても評価されにくくなってしまいます。
関連記事:【新卒看護師の面接対策】面接で落ちる5つの理由と受かるためにすべきこと
新卒看護師で不採用が続くときにやってはいけないNG行動
不採用が続くと、焦りや不安から冷静な判断ができなくなり、内定を遠ざける行動をすることがあります。次のようなNG行動は避けることが大切です。
- 応募数を減らしてしまう
- 自己否定が強くなりすぎる
- 「もうどこでもいい」と投げやりになる
- 1人で悩み続ける
これらの行動は、今の苦しい状況をさらに悪化させる恐れがあります。自分の行動が当てはまっていないか確認して、内定を勝ち取りましょう。
応募数を減らしてしまう
不採用を恐れて応募数を絞ることは、内定の確率を下げることになります。新卒採用は実力だけでなく、そのときの病院の欠員状況やほかの応募者とのバランスにも関係します。
たとえば、1〜2件の不採用通知をもらって足を止めてしまうと、自分に合う病院へのチャンスを逃すかもしれません。行動量を減らすことでプレッシャーが大きくなる原因にもなります。
自己否定が強くなりすぎる
「自分は看護師に向いていない」と責めることは、次の面接へのモチベーションを低下させます。自己否定は表情や声のトーンを暗くさせ、前向きさや安心感がなくなるのです。
自分を否定することで、本来の魅力が採用担当者に伝わらなくなります。
「もうどこでもいい」と投げやりになる
焦りから「受かるならどこでもいい」と基準を下げることは、志望動機の希薄さにつながり、不採用を繰り返す要因となります。
また、仮に内定を得ても「思っていた職場と違う」と後悔し、早期離職するケースは少なくありません。
1人で悩み続ける
1人で不採用の原因を分析しようとすると、思い込みが混ざり、本来の課題が見えなくなります。不採用の理由は、自分では気づけない話し方のクセや情報のズレにあることが多く、1人で解決策を考える状況では、同じ失敗を繰り返す可能性があります。
客観的な視点がなければ、正解がわからず不安だけが増大し、ストレスが溜まりがちです。
新卒看護師が内定をもらうための立て直し方
不採用の通知を失敗と捉えるのではなく、準備をブラッシュアップするための貴重なフィードバックと捉えましょう。ここでは、内定を勝ち取るための立て直し方を解説します。
- 応募先の選択肢を広げる
- 志望動機を病院ごとに作り直す
- 実習経験を具体的なエピソードにする
- 模擬面接で第三者から評価してもらう
やり方を少し変えただけで内定が決まることもあります。今のやり方に固執せず、これらを実践して選考を突破する力を身につけましょう。
応募先の選択肢を広げる
今の条件をリセットし、応募先の選択肢を広げることで内定の可能性が高まります。特定の病院だけにこだわっていると、実力とは無関係に倍率の高さで不採用が続くことがあります。
たとえば、人気のある総合病院や大学病院ばかりではなく、地域密着型の中規模病院、新卒教育に力を入れている訪問看護ステーションなども選択肢に入れてみましょう。
志望動機を病院ごとに作り直す
どの病院でも活用できる使い回しの志望動機をやめ、内容を練り直しましょう。病院は「数ある中で、なぜうちなのか」という真剣さを求めており、看護学生の入念なリサーチにもとづいた言葉に心を打たれます。
ホームページを読み込み、「〇〇ケアに対する姿勢に感銘を受けた」とキーワードを盛り込むことで、自分の理想と病院の強みが重なる点がわかるため、採用担当者に熱意が伝わります。
実習経験を具体的なエピソードにする
抽象的な言葉を避け、実習でのエピソードを強みとしてアピールしましょう。新卒看護師は職歴がないため、実習での行動が看護観や人間性を伝える根拠になります。
「一生懸命頑張りました」ではなく、「〇〇な患者さまに△△ケアをおこない、□□という反応をいただいた」と具体的に語ることが大切です。ストーリー性のある回答は、採用担当者の印象に残り、一緒に働いている姿をイメージしてもらいやすくなります。
模擬面接で第三者から評価してもらう
1人で練習するのをやめ、誰かに模擬面接を頼みましょう。話の内容だけでなく、自分では気づけないポイントを修正できるからです。厚生労働省では、面接での受け答えのポイントとして次の3つを挙げています。
- 相手の目を見て話すこと
- ハッキリ話すこと
- 結論から話すこと
客観的な指摘を改善していくことで、自分の魅力を伝えられるようになります。
不採用続き=看護師に向いていないわけではない
不採用が続くと「看護師に向いていないのではないか」と自問自答してしまいがちです。採用の可否は、看護師のスキルや能力だけではなく、次のような要因も関係します。
- 病院側との「相性」の問題が大きい
- 評価基準は病院ごとに異なる
- 採用担当者は将来性を見ている
病院の採用結果だけが、看護師としての価値を決定づけるわけではありません。病院のカラーと合わなかっただけで、場所を変えれば高く評価される可能性もあります。これまでの努力を否定せず、自分らしく働ける職場をじっくり探していきましょう。
病院側との「相性」の問題が大きい
採用の結果は、能力不足ではなく、病院が求める人材と相性が合わなかっただけというケースも少なくありません。職場の雰囲気やスタッフのバランスによって、求める人物像が変わる場合もあります。
たとえば、テキパキ動くタイプが揃っている病棟では、患者さまの話をじっくり聞ける看護師を求めていることもあれば、その逆もあります。不採用だったのは、実力が足りなかったからではなく、「今の職場に合わなかった」というマッチングの問題なのです。
評価基準は病院ごとに異なる
医療機関によって看護師に求める資質はさまざまであり、A病院で不採用でも、B病院では高評価となることがよくあります。急性期、回復期、在宅医療など分野によって重視されるスキルや評価軸が変わるのです。
たとえば、人工呼吸器や経皮的心肺補助装置といった医療機器の管理を求める急性期病院もあれば、在宅の状況に合わせて臨機応変に対応できるスキルを優先する訪問看護ステーションもあります。1つの不採用結果で「どこでも通用しない」と決める必要はありません。
採用担当者は将来性を見ている
新卒採用において、採用担当者は「今のあなた」に完璧を求めているわけではなく、数年後の伸び代に期待して合否を決めています。
具体的には、新卒から主体性を求める病院もあれば、手厚い教育体制を重視する病院もあります。
関連記事:看護師に向いてないのはどんな人?辞めたいと思ったときはどうする?
新卒看護師の不採用に関するよくある質問
不採用が続くと、不安は尽きないものです。ここでは、受かりやすい病院や面接の不採用フラグなどの疑問に対し、客観的な視点で回答します。
Q1:新卒看護師で受かりやすい病院ってありますか?
特定の病院が必ず受かるとはいえませんが、通年採用している民間病院や、新設されたばかりの施設は門戸が広い傾向にあります。ほかにも「未経験者歓迎」「初心者募集」という言葉があるところは、新卒看護師でも受かりやすいかもしれません。
これらは組織が拡大中であり、新しい力を積極的に必要としているのです。実習先の病院も、あなたの取り組む姿勢を知っているため有利に働く場合があります。
Q2:看護師面接で落ちるフラグってありますか?
「面接が早く終わった」「逆質問をしなかった」など、ネット上でいわれる不採用フラグは、実はほとんど関係ありません。
面接時間が短いのは、合格をすぐに決め、逆質問がなくても評価が済んでいる場合があります。フラグに一喜一憂するよりも、次の対策を冷静に考えることが合格するために大切です。
関連記事:看護師が面接に落ちるフラグはある?面接に落ちる理由10選と対策を紹介
Q3:看護学校の成績が悪いと落ちる確率が上がりますか?
看護学校の成績だけで合否が決まることはないでしょう。
多くの病院は、成績よりも「実習での態度」や「看護への意欲」といった人柄を重視しています。たとえ成績に不安があっても、実習をやり遂げた根気強さや病院への熱い想いを伝えられると、採用担当者は将来性を評価してくれる可能性があります。
新卒で不採用続きでも、看護師としてのスタートは切れる!自分に合った職場を見つけよう
不採用が続くと、世界が狭まったように感じてしまいますが、看護師として活躍できるフィールドはその病院だけではありません。焦らず、対策を練り直していきましょう。あなたの熱意を求めている職場はあります。
「病院の選考に疲れてしまった」「利用者さまとじっくり向き合うケアをしたい」と感じているなら、訪問看護という選択肢を考えてみませんか。NsPaceCareerは、訪問看護に特化した求人サイトです。新卒から訪問看護に飛び込み、手厚い教育体制のもとで成長している看護師が増えています。あなたらしい看護師人生の第一歩を探してみてください。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
