看護学生におすすめ!患者さまと良好な関係を築くコミュニケーションのコツと留意点

公開日:2025/11/14 更新日:2025/11/14
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初めての実習で患者さまと接するのは、とても緊張しますよね。「何を話せばいいの?」「失礼になったらどうしよう…」と不安になるのは、あなただけではありません。

患者さまとのコミュニケーションは、患者さまの背景や現在の状況を確認し、アセスメントに役立てるために大切です。しかし、実際には教科書通りにはいかないことも多いものです。

この記事では、看護学生がよく感じる「話しかけづらさ」や「沈黙の気まずさ」といった悩みに対して、明日からすぐ使える声かけのコツや、実際のやり取りをイメージできる実例を交えてわかりやすく解説します。

患者さまと少しずつ信頼関係を築いていけるよう、一緒に準備していきましょう。

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患者さまとのコミュニケーションで看護学生が抱えやすい悩み

実習中に感じやすい、コミュニケーションのつまずきポイントを整理しました。

  • 緊張して言葉が出ない
  • 患者さまの反応に戸惑う
  • 忙しそうな患者さまに話しかけづらい
  • 記録に何を書けば良いかわからない
  • 一方的に質問ばかりしてしまう

こうした悩みは、多くの看護学生が一度は感じるものです。でも、小さな工夫を加えるだけで、患者さまとぐっと距離が縮まることがあります。

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緊張して言葉が出ない

「何を話したらいいの?」「言葉遣い、これで合ってる?」と考えすぎて、頭が真っ白になってしまう…。そんな経験、ありませんか?

沈黙が続くと焦ってしまい、ますます言葉が出てこなくなることも。誰にでも起こりうる自然な反応です。

まずは、「緊張している自分」を受け入れて、深呼吸してみましょう。無理に話そうとせず、落ち着いて目を見て、笑顔を向けるだけでも良い第一歩になります。

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患者さまの反応に戸惑う

拒否的な言葉や、予想外の質問、時には怒りや涙にどう対応していいか分からず、戸惑ってしまうこともあるかもしれません。

「どう返せばよかったんだろう…」と悩んだ経験は、次の成長のヒントになります。完璧な対応は求められていません。「その気持ち、分かりたいと思っています」と伝えようとする姿勢が、一番大切です。

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忙しそうな患者さまに話しかけづらい

「今はお休み中かな?」「邪魔にならないかな?」と、タイミングをつかめず声をかけそびれてしまうこと、ありますよね。

でも、ほんのひと言でも大丈夫です。「失礼します。少しお休みされますか?」と声をかけてみると、意外と応じてくださる患者さまも多いものです。

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記録に何を書けば良いかわからない

患者さまとお話したあと、「あれ…何を書けばよかったんだろう?」と、記録の前で手が止まってしまうことはありませんか?

実習のうちは、日常的な雑談と、ケアに活かすべき大切な情報との違いが分かりにくく、会話の中で何を拾えばいいのか戸惑ってしまうのも無理はありません。

「何を聞き出すべきだったのか」「このやりとりに意味はあったのか」と振り返って悩むのも、成長の一歩。少しずつ、必要な情報の見極め方が身についていきます。

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一方的に質問ばかりしてしまう

「情報を聞き出さなきゃ」と思うあまり、つい質問ばかりしてしまって、患者さまとの会話が一方通行になってしまうこともあります。

患者さまが「尋問されているよう」と感じてしまうと、信頼関係を築くのが難しくなってしまいます。会話はキャッチボールと考えて、返ってきた言葉に耳を傾け、自然な流れを大切にしていきましょう。

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看護学生向け!患者さまとのコミュニケーションのコツと留意点

実習では、患者さまの気持ちを想像しながら接することが、何よりも大切なポイントです。

「この人に話してみようかな」と思っていただけるように、安心感と信頼を感じてもらえる関わり方を意識してみましょう。

  • 初日はあいさつと自己紹介をする
  • 観察と傾聴で患者さまの状態を理解する
  • 共感的な理解を意識する
  • 言葉かけを工夫する
  • 沈黙を恐れず寄り添う時間を大切にする

これらのコツを実践する際は、患者さまの体調や状況を考え、長時間の会話にならないように注意する必要があります。

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初日はあいさつと自己紹介をする

実習初日は、あいさつと自己紹介をして、学生であることを伝えましょう。

患者さまにとって、看護学生は見慣れない存在です。不安を軽減し、安心して会話してもらうためには、看護学生の立場と実習期間をしっかりと伝えることが大切です。

たとえば、「〇〇看護学校の○○(氏名)です。今日から1週間よろしくお願いいたします」と、患者さまの目をしっかり見て、笑顔でゆっくり話すことを意識しましょう。

最初に丁寧な姿勢を示すことで、その後のコミュニケーションが円滑に進みます。

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観察と傾聴で患者さまの状態を理解する

患者さまとのコミュニケーションは、患者さまの状態を観察し、傾聴することから始まります。表情や姿勢、ジェスチャー、声のトーンなど言葉にならない非言語的なサインに、患者さまの本当のニーズや不安が隠されていることが多いためです。

痛みや不快のサインがないか、目が合うか、顔色はどうかなどを確認し、頷きやアイコンタクトを交えて「話を真剣に聞いています」という姿勢を示しましょう。

次の質問や声かけにつなげられ、患者さまの訴えを理解できるようになります。

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共感的な理解を意識する

患者さまの話に対して、評価や判断を加えることなく、わかろうとする姿勢を意識しましょう。患者さまは、病気や入院生活によって不安や孤独を感じているからです。共感を示す声掛けの例と、避けるべき例は次のとおりです。

  • 良い例:「手術のこと、いろいろとご不安ですよね」「入院生活、慣れなくて落ち着かないこともありますよね」
  • 避けるべき例:「大丈夫ですよ」「気にしすぎですよ」

患者さまは「看護学生が受け止めてくれている」と感じることで、看護学生に対して安心感と信頼感を抱くようになり、本音を聞けるようになるでしょう。

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言葉かけを工夫する

会話が一方的な質問ばかりになると、患者さまは「聞かれてばかりで疲れる」「尋問みたい」と感じてしまうことがあります。そこで、「はい・いいえ」で終わらない開かれた質問(オープンクエスチョン)を意識的に使ってみましょう。

オープンクエスチョンは、患者さまが感じていることや、背景にある思いを自然な会話の中で引き出すのに役立ちます。

  • 「昨日の夜は眠れましたか?」→「昨日の夜はどんなふうに過ごされましたか?」
  • 「今朝の食事は全部召し上がりましたか?」→「朝食に食べにくいものはありませんでしたか?」
  • 「痛みはありますか?」→「今日はどこか気になるところはありますか?」

また、「〇〇について、もう少しお聞かせいただけますか?」というような声掛けも、自然に会話を広げていく助けになります。

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沈黙を恐れず寄り添う時間を大切にする

患者さまとの会話中の沈黙は悪いものではありません。沈黙を無理に埋めようとせず、患者さまが考える時間、感情を整理する時間として尊重しましょう。

患者さまは、自身の体調や不安な思いを言語化するのに時間が必要な場合があります。

  • 良い対応:質問する代わりに優しく頷きながら待つ
  • 悪い対応:「あの…」「えっと…」とつなぎの言葉を多用して沈黙を打ち破ろうとする

あなたの静かな寄り添いが、心を開くきっかけになるかもしれません。

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看護学生と患者さまとのコミュニケーションの実例

具体的な事例と声掛けの方法を知ることで、実習での実践イメージを高めましょう。

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事例1:手術前の不安に寄り添う

明日手術を控えた患者さまが、ベッドで落ち着かない様子で目をつむっています。看護学生がそばに行くと、「手術が怖い」と一言つぶやきました。

安易に「大丈夫ですよ」と励まさず、不安な気持ちに寄り添うことが大切です。「そうですよね。手術って不安になるものですよね。どんなことが一番心配ですか?」と声をかけ、気持ちを整理するお手伝いをしましょう「怖いですね」と共感しながら聞くことで、患者さまは安心して不安を話してくださるかもしれません。

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事例2:認知症の患者さまとのやりとり

認知症で短期記憶の障害がある患者さまが、「家に帰らなくては」とナースコールを繰り返して押し、落ち着かない様子です。学生の顔を見て「あなたは誰?」と尋ねられました。

患者さまの言葉や姿勢を否定せずに「ここは安全な場所であること」を伝えます。「〇〇さん、私は看護学生の〇〇です。今は夜なので、お外は真っ暗ですよ。朝になったら一緒にお話しましょうね」と穏やかに、安心できる雰囲気で接しましょう。患者さまの不安を否定せず、受け止めることが大切です。

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事例3:言葉が少ない患者さまとの関わり

病状や痛みのためか、言葉数が少なく、看護学生からの質問に対し「別に…」「大丈夫」と、なかなか会話が続かない患者さま。情報収集が進まず、困っています。

そんなときは、無理に言葉を引き出そうとせず、そっとそばにいる時間を大切にしてみましょう。「少しだけお隣にいさせてくださいね」と伝え、体位交換や背中のマッサージなどケアを通じて、静かな信頼関係を築いていくことができます。

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患者さまとのコミュニケーションがうまくいかないときの対処法

実習で思うように患者さまとかかわれなかったとき、「どうしよう」と不安になるのは当然です。でも、そこで止まらず、「何が難しかったのかな?」と自分に足りない視点は何かを振り返ってみることが、次のステップに繋がります。

  • 実習指導者や看護師に相談する
  • カンファレンスで解決策を話し合う
  • レポートにまとめてコミュニケーションを振り返る

具体的な行動計画を立てることで、コミュニケーションスキルが向上し、今後の実習に活かせるでしょう。

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実習指導者や看護師に相談する

コミュニケーションに迷いや困難を感じた際は、実習指導者や看護師に相談しましょう。

相談する際には、「患者さまから拒否的な言葉があり、どう返せばよかったかわからなかった」「話が脱線して、聞きたいことを聞けなかった」など、具体的な状況を伝え、解決策を考えます。

経験豊富な看護師さんたちの言葉が、患者さまに合わせた適切な言葉かけや、患者さまが本音を話しやすいかかわり方など、次のヒントになるでしょう。

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カンファレンスで解決策を話し合う

カンファレンスの場で、課題であると感じたコミュニケーション事例を共有し、解決策を話し合いましょう。ほかの学生や指導者の視点に触れることができます。

カンファレンスの準備として、次の内容を整理しておくことをおすすめします。

  • 患者さまの言動
  • 自分の対応
  • 「次からどうするか」の考察

ほかのメンバーは場面をイメージできるため、より深い学びの場になります。

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レポートにまとめてコミュニケーションを振り返る

うまくいかなかった事例や、患者さまから得られた重要な情報をレポートにまとめ、客観的に振り返ることも重要です。

レポートにすることで、感情的な反省で終わらせず、「なぜその言葉が出たのか」「得られた情報の看護上の意味は何か」を分析し、経験を知識として定着させられます。

レポートでの振り返りは、コミュニケーションの自己課題を明らかにして、次の実習での成長に向けた行動計画を立てるために欠かせません。

関連記事:看護学生とは?年間スケジュールやつらいといわれる7つの理由と乗り越えるコツ

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看護学生におすすめ!患者さまとのコミュニケーションで使える話題

「何を話したらいいか分からない…」そんなときに役立つ、患者さまと自然に会話を始められる話題をご紹介します。どれも、相手の気持ちをほぐすきっかけになり、さりげなくアセスメントにもつながる内容です。

  • 天気の話
  • ご家族の話
  • 地元の話
  • 過去の職業の話
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天気の話

天気の話題は、あいさつとして使いやすく、患者さまとの会話の糸口を作ることができ、患者さまの気分や体調の話に広げるきっかけになります。

たとえば「今日はとても良いお天気ですね」「冷え込んできましたね」といった一言から、「ご調子はいかがですか?」など、気分や体調に関する話にも広げやすくなります。

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ご家族の話

ご家族の話は、患者さまの精神的な支えや退院後の生活をアセスメントするための重要な情報源となります。また、ご家族の話題は、患者さまの表情がふっとやわらぐこともあります。

「この前いらっしゃった方はお孫さんですか?とても楽しそうでしたね」といった声掛けは、患者さまとご家族との関係性を知ることができます。

これらの情報から、退院後のサポート体制や療養生活を乗り切るためのモチベーションを把握することが可能です。

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地元の話

地元の話題は、患者さまの生活歴や価値観を知るきっかけになります。

「〇〇さんのご出身はどちらですか?私は一度旅行で行ったことがあって、とても素敵なところでした」といった声かけで、患者さまの背景や地域とのつながりを理解しましょう。患者さまの嗜好や、療養生活のあり方をアセスメントするためのヒントとなります。

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過去の職業の話

その方が大切にしてきた人生の一部を知ることは、社会的な役割や達成感といった自己肯定感にかかわる重要なテーマです。病気や入院によって自信を失いがちな患者さまの前向きな気持ちを引き出せます。

「〇〇さんは、以前はどんなお仕事をされていたのですか?お話を聞かせていただけますか」といった声かけで、患者さまの潜在的な能力や、リハビリテーションに対する意欲を高めるヒントが得られることがあります。

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看護学生のための、患者さまとのコミュニケーションお悩みQ&A

実習中、「どうすればいいんだろう…」と悩むことは誰にでもありますよね。ここでは、看護学生の皆さんがよく抱えるコミュニケーションの疑問を、Q&A形式でまとめました。ひとつずつ、安心して読み進めてみてくださいね。

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Q1:沈黙が気まずいときはどうすれば良いですか?

沈黙になると「何か話さなきゃ」と焦ってしまいがちですが、実はその時間、患者さまにとって大切な“考える時間”かもしれません。

まずは、目を見てうなずく、やわらかく微笑むなど、「そばにいますよ」という安心感を伝えてみましょう。それでも言葉が出ないときは、「無理なさらず大丈夫ですよ。お話しできそうになったら、教えてくださいね」と、やさしく声をかけてみるのもおすすめです。

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Q2:拒否的な患者さまへの対応はどうすれば良いですか?

患者さまが拒否的な態度をとる背景には、不安や病気を受け入れられない葛藤が隠れている場合があります。

たとえば、終末期にある患者さまが「なぜ自分だけが」と怒りを感じるのは、キューブラー・ロス「怒り」の段階にもあるように、ごく自然なことです。ケアや処置を拒否するかもしれません。

また、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」でも、看護師の69.8%が「終末期にある患者さまやご家族が死を受け入れられない」と感じている場面に直面しています。

このように、患者さまが拒否する背景を知ることが、信頼関係を築くためには不可欠です。まずは「今はお話ししにくい状況かもしれませんね。また、落ち着いたときに伺わせていただきますね」と患者さまの意思を尊重する姿勢を見せましょう。時間をかけて築く信頼関係が、次の会話につながっていきます。

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Q3:緊張して声が震えるときの対処法は?

実習の初めは、誰でも緊張してしまうもの。そんなときは、思い切って自分の気持ちを伝えてみるのも一つの方法です。

「〇〇さん、私は実習が始まったばかりで、少し緊張しています」と伝えると、患者さまが共感や優しさを示してくれることがあります。また、話す前に深呼吸をして、ゆっくり・やや低めの声で話すことを意識すると、声の震えも少しずつ落ち着いてくるはずです。

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患者さまとのコミュニケーションでは看護学生の姿勢が大切!コツを押さえて良好な関係を築こう

患者さまと向き合うとき、一番大切なのは「相手を大切に思う気持ち」と「その人を知ろうとする姿勢」です。

うまく話せなかった日も、勇気を出して声をかけた自分を認めてあげてください。実習の中で少しずつ経験を重ねながら、あなたらしい関わり方を見つけていけるといいですね。

もし、「もっと患者さま一人ひとりと向き合いたい」「ゆっくりとお話を聴ける看護がしたい」と感じたら、訪問看護という働き方も選択肢のひとつです。

NsPaceCareerでは、そんなあなたの“聴く力”を活かせる職場との出会いを応援しています。

あなたのペースで、心に寄り添う看護を。まずは、訪問看護の現場をのぞいてみませんか?

<参考サイト・文献>

巻頭言「death education」そして「grief education」

人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査 報告書|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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