柔軟な働き方と温かなチームが支える現場 ~ナースケア&リハビリ なないろ 岸本さん・伴さん・徳世さんにインタビュー~

公開日:2025/11/06 更新日:2025/11/06
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足立区・竹ノ塚に拠点を置く訪問看護ステーション「ナースケア&リハビリ なないろ」。
この場所には、スタッフ一人ひとりの多様な個性や価値観を大切にする、あたたかな空気が流れています。

「みんなちがって、みんないい」——この言葉を理念に掲げ、誰かと比べたり無理に合わせたりするのではなく、それぞれの強みを活かすことを大切にしているのが「なないろ」です。

直行直帰や常勤オンコールなし、フレックス制度など、スタッフが安心して働ける仕組みを整えながら、暮らしの中にそっと溶けこむ看護を実践しています。

今回のインタビューでは、いずれも在宅看護指導士の資格を取得した管理者の岸本さん、副管理者の伴さん、そして看護師の徳世さんに、訪問看護へ転職したきっかけや、チームで支える工夫、利用者とのエピソード、そしてこれからの展望について伺いました。

3人が語る訪問看護との出会い

- まずは皆さんが訪問看護を始められたきっかけを伺いたいのですが、いかがでしょうか?

岸本さん(管理者/看護師)

「訪問看護との出会いは学生時代の在宅実習です。自宅にあるものを工夫して看護を提供する姿に驚きと感動を覚えて、“いつかやってみたい”と心に残っていました。

国立病院で10年以上勤務したあと、子育てや家庭の事情で転職を経て、施設や看護小規模多機能型居宅介護にも関わりました。その後、今までの経験を活かせる形で『なないろ』の管理者として働いています」

伴さん(副管理者/理学療法士)

「僕は大学卒業後、急性期の病院で働いていました。回復期の病棟では、在宅復帰を目指すリハビリを担当していたのですが、退院後に再入院される方が多くて…。入院中のリハビリが実生活でうまく活かされていない現実に、ジレンマを感じていました。

“在宅では実際どうなっているんだろう”と、自分の目で確かめたくなったのが、訪問リハビリを始めたきっかけです」

徳世さん(看護師)

「私は大学病院で定年まで勤めたあと、母の介護で岩手と東京を往復する生活を送っていました。10年も一人暮らしを続けられたのは、母が多くの方に支えられていたからこそなんですよね。

母が亡くなったあと、もう一度働こうと考えたとき、“訪問看護をのぞいてみたい”という思いが芽生えました。そんな中で『なないろ』に出会い、『ぜひ来てください』と温かく迎えていただけたのが本当にありがたかったです」

三人三様の背景がありながらも、共通していたのは「地域の暮らしを支えたい」という思いでした。

この思いが、それぞれを「なないろ」へと導いたのです。

笑顔で話し合う、伴さん(写真左)、岸本さん(写真中央)、徳世さん(写真右)

「一人で抱えない」チームの工夫

- 訪問看護というと「一人で判断するのが不安」という声もよく聞きます。ナースケア&リハビリ なないろでは、その点どのように工夫されていますか?

岸本さん
「うちは担当制をとっていません。どの利用者さんにも複数のスタッフが関わります。予定していたスタッフが行けなくなっても、他の人がすぐに対応できます。利用者さんには最初から『いろんな看護師が伺います』とご説明しているので安心していただけます」

- 情報共有はどのように行っているのでしょうか?

岸本さん
「全員がタブレットを持ち、訪問の記録や変更点をその場で入力します。新しい情報はその都度更新されるので、誰でも最新の状態を把握できます。
夜間オンコールを担う外部スタッフとも連携していて、チャットで情報を共有しています。外部のスタッフとは数か月に一度は実際に顔を合わせて、すり合わせも行っています」

- チームで意見交換する場もありますか?

伴さん
「はい、週に一度の全体ミーティングを大切にしています。『気になることありますか?』という一言から始まるので、意見が出やすい雰囲気です。相談事を抱え込まずにすむのは、この仕組みがあるからだと思います」

一人に負担を集中させず、チームで支える体制。それが「一人で抱えない訪問」の基盤になっています。

柔軟な働き方と職場の雰囲気

- 働き方の面でも柔軟さが特徴と伺いました。具体的にはどのように?

岸本さん
「フレックス制を導入していて、1か月単位で労働時間を調整できます。例えば午後休んだ分を別日に振り替える、残業した翌日は遅めに出勤するなど、無理のない働き方が可能です」

岸本さん

「訪問先が自宅に近い場合は直行直帰を選ぶこともできます。ただ、事務所でゆっくりしてから出発するスタッフもいて、それぞれのスタイルで働けるようにしています。

- 職場の雰囲気はどんな感じでしょうか?

徳世さん
「20代から40代、さらに私のようにベテランも混ざっていて、幅広い年代が一緒に働いています。カルテの操作方法など、わからないことを何度聞いても、嫌な顔ひとつされないんですよ。幅広い世代の方と一緒にいて、“居心地がいいな”と感じますね」

伴さん
「理学療法士は僕一人ですが、看護師さんたちと壁を感じることはありません。毎週のミーティングでも意見がポンポン出て、共通認識を持って進められるのがいいところです」

年代や職種を超えて支え合う風土が、「風通しの良い職場」としての魅力につながっています。

利用者への想いとこれからの展望

- 最後に、利用者さんとの印象的なエピソードを教えてください。

岸本さん

「末期がんで褥瘡の大きい方を、チーム全員で支えたことがありました。1日に2回訪問して処置を行い、リハビリスタッフがポジショニングを指導し、看護師やヘルパーと連携しながらケアを続けました。
施設にお住まいの方だったので、全員が同じケアができるように、ポジショニングの方法を写真に撮って壁に貼ったりもしました。なないろのチームが一丸となって関わった、忘れられない経験です」

徳世さん

「ある利用者さんのお宅に伺ったとき、曇りガラスを開けて外の空気を入れてみたんです。すると『ありがとう』と笑顔を見せてくださって…。
たったそれだけのことで、こんなにも生活の質に影響があるんだと実感しました。そういう“ちょっとしたこと”に意味があるんだと思います」

伴さん

「がん末期の方へ、退院直後から関わらせていただいたことがありました。リハビリで何ができるかを日々試行錯誤しながら、看護師さんやご家族とも連携して、その方の自宅看取りまでを支えました。
自分自身としては、“もっと何かできたのでは”と振り返っていたのですが、グリーフケアに伺ったスタッフに対して『なないろさんに頼んでよかった』とご家族が仰ってくださって…。今でも心に残っています。理学療法士としてだけでなく、一人の人間として成長できた貴重な経験でした」

- 今後の展望についてもお聞かせください。

岸本さん
「今後は居宅介護支援事業所やデイサービスを立ち上げ、地域での支援を広げたいと思っています」

最後に、これから訪問看護を考えている方へのメッセージを伺いました。

岸本さん
「訪問看護が未経験の方にとっては、在宅看護はハードルが高いと感じるかもしれません。どうしても一歩を踏み出せない方は、ぜひうちに来ていただいて、『今までやってきた看護って正しかったんだ』『今まで知らなかったことが発見できた』などいろんな経験をしてほしいなと思っています。

うちでは“困ったらその都度電話で相談してね”と、困ったらみんなで相談できる環境です。ぜひ一歩を踏み出してください」

徳世さん
「訪問看護を待っている利用者さんがたくさんいます。あまり考えすぎず、まずは見てみてください。意外と『できるかも』と思えるはずです」

伴さん
「訪問リハビリは、看護師さん、ケアマネさん、ドクター、ご家族など、多くの方と関わる仕事です。訪問は“何をするか”だけでなく、“誰がするか”が大切です。人としての成長も感じられる仕事なので、ぜひ挑戦してみてください」

インタビュアーより

今回お話を伺って、なないろさんの魅力は「一人で抱えない仕組み」と「温かなチームの空気」にあると強く感じました。
訪問看護は「一人で判断しなければならない」と不安を抱く方も多いかもしれません。ですが、ここでは誰かが困ったときに、すぐに相談し合える文化が根づいています。

また、働き方の柔軟さや世代を超えた雰囲気からも、スタッフの皆さんが自然体で安心して働ける環境が伝わってきました。

「訪問看護に興味はあるけれど、自分にできるだろうか」と迷っている方こそ、実際に現場を体感することで、訪問看護のリアルな魅力と、自分に合った働き方の可能性が見えてくるはずです。

事業所概要

事業所名:ナースケア&リハビリ なないろ
住所:東京都足立区保木間1-19-2プラセール竹の塚1階

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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