ホスピスの看護師になるには?5つの仕事内容と給料、求人を探すコツ

公開日:2025/11/04 更新日:2025/11/04
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「終末期の患者さまと深くかかわりたい」「ホスピスの看護に興味があるけれど、実際どんな仕事なの?」

このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。ホスピスとは、難病やがんなどの治療が難しい病気において、人生の最終段階をできるだけ苦痛なく過ごすことを目的とした医療施設です。「最期の時間を自分らしく過ごしたい」と願う患者さまを支えるホスピスケアは、看護師にとってやりがいを感じられる分野です。

この記事では、ホスピスで働く看護師の仕事内容や給料、求人を探すコツを解説します。ホスピスの看護師になるための道筋が明らかになり、自信を持ってキャリアを築けるようになるでしょう。

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ホスピスの看護師になるには?

ホスピスの看護師として働くためには、次のような場所の求人を探すことになります。

勤務先おもな特徴求められるスキルや働き方
総合病院の緩和ケア病棟医師や多職種が常駐する医療設備が充実した環境・24時間体制
・症状コントロールとチーム連携力
クリニックや訪問看護ステーションの訪問型ホスピス利用者さま宅での看取りを支援・日勤中心でオンコール対応もある
・判断力と限られた環境での柔軟な対応力
ホスピスケア特化のサービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム医療依存度が高く、終末期にある高齢者が入居・24時間体制が多い
・看取りの経験と利用者さまやご家族への精神的サポート

ホスピスケアを提供する場所は、病院だけでなく、在宅や高齢者施設など多岐にわたり、施設形態によって、求められる看護師のスキルが異なります。希望する働き方に応じて勤務先を選ぶことが、長く働くためのポイントです。

関連記事:ターミナルケアでの看護師の役割4つ|病院以外で活躍できる施設も紹介

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ホスピスで働く看護師の5つの仕事内容

ホスピスの看護師の仕事は、「患者さまがその人らしく最期まで生きる」ことを支援するケアが中心となります。

  • 痛みや苦痛の緩和
  • 患者さま・ご家族への精神的ケア
  • 多職種との連携
  • 日常生活の支援
  • お看取り後のエンゼルケア

これらのケアは、患者さまの身体的な苦痛を取り除くだけでなく、死への恐怖や不安といった精神的な側面にも寄り添うサポートであり、高い専門性が求められます。

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痛みや苦痛の緩和

ホスピスの看護師の重要な役割は、患者さまの身体的な苦痛を緩和することです。痛みや吐き気などの不快な症状が患者さまの生活の質を低下させ、精神的な苦痛につながるからです。

麻薬の管理に加えて、体位変換や温罨法などで痛みをコントロールします。痛みが和らぐことで、患者さまは会話や食事を楽しめる時間を取り戻せるようになります。

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患者さま・ご家族への精神的ケア

患者さまが抱える死への恐怖や不安、悲しみに寄り添い、その気持ちを受け止める精神的なケアは、ホスピスの看護師に不可欠な役割です。終末期の患者さまは身体的な苦痛だけでなく、孤独感や後悔といった複雑な感情に直面しています。

たとえば、患者さまが自分の話したいことや伝えたいことが語れるよう、傾聴の姿勢で安心できる環境を作ります。また、ご家族は患者さまとの別れに直面し、不安や悲しみを感じているため、心に寄り添いサポートすることが大切です。

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多職種との連携

患者さまの生活の質を高めるためには、多職種との連携が欠かせません。看護師は、患者さまの状態を近くで見ているため、多職種チームの中で「橋渡し」のような役割を担います。

医師や薬剤師と連携して鎮痛剤を調整したり、ソーシャルワーカーと退院後のサポート体制を構築したりと、さまざまな視点からケアを提供します。

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日常生活の支援

患者さまが最期まで快適に過ごせるようにするための日常生活の支援は、ホスピスの看護の基本です。

食べたいものを選べるように調整したり、可能な限り自分でトイレまで行けるように支援したりと、患者さまの身体の状況や想いに合わせたケアを提供します。

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お看取り後のエンゼルケア

患者さまを見送るためのエンゼルケアも、ご家族の悲しみを和らげるためにホスピスの看護師の重要な役割です。

ご家族の気持ちに寄り添いながら、エンゼルケアを行います。ご家族や生前に患者さまから要望があれば、希望を取り入れながら着替えや化粧をします。たとえば、患者さまが事前にご家族に託していたお気に入りのオーダースーツを着せることもあります。また、ご家族が患者さまと穏やかな時間を過ごせるよう、時間や環境にも配慮します。

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ホスピスで働く看護師の給料

ホスピスの看護師に特化した統計はありません。目安として、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」の看護師の平均年収519万7,000円を考えると良いでしょう。

ただし、この数値はあくまで一般看護師の平均です。ホスピス施設・勤務形態・資格・夜勤体制によって年収は上下します。

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ホスピスで働く看護師の1日のスケジュール

ここでは、病棟で働く場合の一般的な日勤のスケジュールを紹介します。

時間仕事内容
8:00出勤、情報収集
8:30夜勤者からの申し送り、朝礼
9:00清潔ケア、点滴管理
10:30多職種カンファレンス
12:00配膳、食事介助、口腔ケア、配薬
12:30休憩
14:00ご家族の面談の対応
15:00清潔ケア、点滴管理
16:00記録
16:30夜勤者への申し送り
17:00退勤

そのほか、昼夜問わず患者さまのお看取りが発生するため、エンゼルケアやご家族の対応に追われることもあります。

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ホスピスで働く看護師のやりがいや魅力

ホスピスで働く看護師のやりがいや魅力は次のとおりです。

  • 「生きること・死ぬこと」を支えるケア
  • 患者さまと深く向き合えるケア環境
  • 「ありがとう」と感謝される機会が多い

それぞれを詳しく見ていきましょう。

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「生きること・死ぬこと」を支えるケア

看護にはすべて「その人らしい人生を支える」という共通の使命がありますが、ホスピスでは特に「人生の最終章」をどう生きるかに焦点を当て、より深く患者さまの価値観や想いに寄り添う役割が求められます。

身体的な苦痛が和らぎ、ご家族と穏やかに会話される患者さまの姿を見たとき、命の尊厳と、看護師としての仕事の意味を強く実感できるでしょう。

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患者さまと深く向き合えるケア環境

ホスピスでは、痛みの緩和や精神的ケアなど、患者さまの思いに寄り添った看護が求められるため、一人ひとりと丁寧に関わる文化が根付いています。

日常のケアを通じて、患者さまの人生の願いや後悔に耳を傾け、その実現を支援できるのは、ホスピス看護ならではのやりがいです。こうした関わりの中で、信頼関係と達成感を深く感じられる瞬間があります。

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「ありがとう」と感謝される機会が多い

患者さまやご家族から「ありがとう」という感謝の言葉をいただく機会が多いのが、ホスピス看護の特徴のひとつです。

たとえば、痛みの症状が緩和され、ご家族と穏やかな時間を過ごせたときや、

お看取りの後、ご家族から感謝の言葉をいただいたときは、看護師としてやりがいを感じられるでしょう。

関連記事:終末期看護とは?大切なこと5つや終末期患者との関わり方を紹介

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ホスピスで働く看護師が「つらい」「きつい」と感じること

やりがいが大きい反面、ホスピスの看護師は精神的にも身体的にも負担がかかる場合があります。

  • 看取りによる精神的な負担
  • グリーフケアや家族対応の難しさ
  • 急変対応や医療判断の難しさもある

患者さまやご家族と深くかかわるからこそ、その死に直面したときの悲しみや、感情的なご家族への対応は避けられないでしょう。これらの負担を1人で抱え込まず、チームで支え合う体制が不可欠です。

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看取りによる精神的な負担

ホスピスの看護師は、多くの患者さまのお看取りに立ち会うため、精神的な負担が大きい現実があります。患者さまと深い信頼関係を築いているからこそ、その死に直面した際の悲しみや無力感は避けられないでしょう。

年齢が若い患者さまや、自分と境遇が似た患者さまを看取った際は、深い悲しみを感じることがあります。

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グリーフケアや家族対応の難しさ

患者さまだけでなく、別れに直面するご家族のケアが難しいと感じる看護師もいます。

ご家族は、悲しみ、怒り、後悔、不安といった複雑な感情を抱えており、次のような場面では深い共感力で接することが求められます。

  • 死の受容ができず「なぜ早く治療しなかったのか」と怒りをぶつけてきた
  • 治療の継続や最期の過ごし方について、ご家族の間で意見が対立した
  • 病室での付き添い時間やケアの頻度をめぐり、ご家族間で不満や摩擦が生じた

このように、ホスピスの看護師は、コミュニケーション能力と精神的なタフさが求められる場面に直面しがちです。

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急変対応や医療判断の難しさもある

ホスピスでは、急変対応や医療判断の難しさを感じることもあります。痛みや呼吸困難などの症状コントロールには高度な知識と迅速な対応が必要です。

とくに、在宅ホスピスの場合は、医療設備が限られた状況で対応しなければならないため、プレッシャーを感じることがあります。

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ホスピスの看護師に向いている人の特徴

ホスピスの看護師には、高い専門性と共に患者さまの感情に深く寄り添うための人間性が求められます。

  • 共感力と受容力がある人
  • 感情のコントロールができる人
  • チームで支える姿勢を大切にできる人
  • 終末期ケアに関心があり学び続けられる人

これらの特徴は、患者さまの「死への恐怖」といった感情を受け止めつつ、自分の感情に引きずられずに冷静な判断と質の高いケアを提供するために大切です。ですが、専門性は経験と研修で育てられます。未経験者でも学びながら成長できる環境を整えている施設もあります。

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ホスピスの看護師の求人を探すコツ

ホスピスの看護師の求人は、一般の求人サイトでは探しにくい場合があります。次のコツを参考に求人を探しましょう。

  • 終末期ケア・緩和ケアを専門にしている施設を選ぶ
  • 訪問看護ステーションが緩和ケアに特化しているかチェックする
  • 看護師専門の転職サイトで非公開求人を探す

専門性の高い施設や非公開求人を見つけることで、教育体制やサポートが整ったホスピスケアを学べる環境に出会えるでしょう。

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終末期ケア・緩和ケアを専門にしている施設を選ぶ

終末期ケア・緩和ケアを専門にしている施設を選ぶことが、ホスピスの看護師の求人を見つけるコツです。

病院のホームページで「緩和ケア病棟」「ホスピス病棟」の有無や、緩和ケア認定看護師の在籍状況を確認しましょう。また、日本ホスピス緩和ケア協会ホームページに載っている「ホスピス緩和ケア病棟」「緩和ケアチーム」「在宅ホスピス緩和ケア」の施設から、求人情報を探すのもおすすめです。

これにより、安心して働きながら専門性を高められる職場を見つけられます。

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訪問看護ステーションが緩和ケアに特化しているかチェックする

生活の場で、患者さまの人生に寄り添うホスピスケアを実践したい方は、訪問看護ステーションも積極的にチェックしましょう。

訪問看護ステーションの対象は、疾患や年齢問いません。ですが、緩和ケアに力を入れている訪問看護ステーションもあります。病院とは働き方が異なるため、オンコール体制や手当が充実しているかについても、情報収集することが大切です。

NsPaceCareerでは、緩和ケア・終末期ケアに力を入れている訪問看護ステーションの求人を扱っています。キャリアプランに合ったホスピスの求人を見つけて、理想の働き方を実現しましょう。

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看護師専門の転職サイトで非公開求人を探す

ホスピスの看護師の優良な求人を見つけるためには、看護師専門の転職サイトを活用して非公開求人を探すことが大切です。

ホスピス病棟や専門施設では、質の高い人材を確保するため、求人を一般には公開せず非公開にしているケースがあります。

転職サイトに登録することで、教育体制の充実度や給与条件が良い非公開求人を紹介してもらえる可能性があります。

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ホスピスで働く看護師におすすめの資格

ホスピスの看護師としてキャリアアップや専門性を高めるためには、次の資格が有効です。

  • 緩和ケア認定看護師
  • 在宅ケア認定看護師
  • 在宅看護専門看護師
  • がん看護専門看護師

これらの資格は、患者さまやご家族に専門的なケアがおこなえるようになるだけではなく、給与や昇進にもプラスに働きます。

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ホスピスの看護師についてのよくある質問

ここでは、ホスピスの看護師のキャリアや就職についてよくある質問に回答します。

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Q1:新卒看護師や未経験者でもホスピスで働けますか?

ホスピスの病棟や施設によっては、新卒看護師や未経験者を受け入れるケースもありますが、実際には経験者が優遇される傾向にあります。

ホスピスケアは、基礎的な病棟看護の経験に加え、患者さまの急変対応や疼痛コントロールといった高いスキルが求められるため、一般的には3年以上の実務経験が目安とされています。

まずは一般病棟で基礎スキルと急変対応能力を身につけ、その後、緩和ケア病棟や訪問看護ステーションへの異動・転職を目指すのが現実的なキャリアプランといえます。

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Q2:ホスピスで働く看護師の志望動機の書き方は?

ホスピスの看護師の志望動機では、「なぜホスピスで働きたいのか」をはっきりと伝える必要があります。次の項目でアピールすると良いでしょう。

  • ターミナルケアへの強い関心:「命の尊厳を支えたい」という動機
  • これまでの経験:一般病棟での看取り経験や精神的ケアの経験
  • 求められるスキル:症状緩和や傾聴力などホスピスで活かせるスキル

「穏やかなケアがしたい」ではなく「身体的・精神的な苦痛を取り除き、生活の質を向上させるケアを提供したい」と具体的な意思を伝えることが、採用担当者から高評価を得られます。

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Q3:ホスピスで働く施設を探す際に口コミは参考になりますか?

ホスピスで働く施設を探す際、口コミは参考になりますが、すべてをそのまま信じてしまうのは危険です。

口コミで「人間関係が良くない」「病院の待遇が悪い」というネガティブな情報があれば注意が必要ですが、施設見学や面接でスタッフの表情や職場の雰囲気を自分の目で確かめることが重要です。

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ホスピスの看護師は患者さまの「最期の時間を」支える特別な仕事!

ホスピスの看護師は、患者さまの「最期の尊厳」を守り、「その人らしく生きる」ことを支える重要な役割を担います。

日々のケアの中では、悲しみや葛藤に向き合う場面も少なくありません。それでも、患者さまやご家族が少しでも安心してその時を迎えられるように寄り添うことは、看護師にとって深い意味のある経験になります。

「ただそばにいてくれるだけで救われた」——そんな一言に、ホスピスで働く意義を感じることもあるでしょう。

ホスピスという選択が、あなたの看護師としての価値観を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

<参考サイト・文献>

令和6年賃金構造基本統計|厚生労働省

ホスピス緩和ケアを受けられる場所のご案内|日本ホスピス緩和ケア協会ホームページ

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

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