男性看護師のメリットとは?デメリットや悩み、将来性も詳しく解説

「女性が多い職場で本当にやっていけるのか…」「男性でも看護師として長く働ける?」
そんな不安や疑問を抱える男性のあなたへ。
近年、男性看護師の数は着実に増え、医療の現場でその存在感が高まっています。体力的な強みだけでなく、冷静な判断力や多様な視点が、患者さまやチームにとって欠かせない要素として評価されているのです。
本記事では、男性看護師として働くうえでのメリットだけでなく、実際に直面しやすい課題や悩み、将来のキャリアパスまで、現場のリアルを交えて詳しく解説します。
「本当に自分に合っているのか」「転職すべきか迷っている」と感じている方も、この記事を読み終える頃には次の一歩を踏み出す自信が得られるはずです。
男性看護師のメリット
男性看護師には、女性看護師が多い環境だからこそ活かせる、独自の強みとメリットがあります。
- 体力を活かせる現場で活躍できる
- キャリアの幅が広い
- 年収が安定しており生活設計しやすい
- 患者さまやスタッフから信頼を得やすい
- 社会的に意義のある仕事で誇りを持てる
これらのメリットは、男性看護師の仕事のやりがいや生活の安定につながります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
体力を活かせる現場で活躍できる
体力を要する場面では、男女問わず体力面の強みが発揮されやすく、特に男性看護師が力を発揮することもあります。これは、看護師の業務には体重の重い患者さまの体位変換や移乗介助など、力が必要な場面が多いためです。
体力を必要とする介助では、男性看護師の力が加わることでチームの負担が軽減される場合があります。
とくに、整形外科や救命救急センター、集中治療室など身体的な介助量が多くなります。また、突発的な対応が求められる分野では、男性の力強さはメリットになります。
キャリアの幅が広い
男性看護師は、看護主任や看護師長といった管理職を目指したり、専門看護師・認定看護師などの資格を取得して専門性を高めたりと、幅広いキャリアの道を選ぶことができます。
一方で、女性看護師の多くが結婚や出産などライフイベントと仕事の両立を考慮しながら働く傾向があるため、結果として男性看護師のほうがキャリア形成に時間を割きやすい環境にあるケースも見られます。
ただし、これはあくまで社会的な背景や働き方の制度に起因するものであり、現在では育児支援制度や柔軟な勤務体系の普及により、男女問わずキャリアを継続しやすい環境が整いつつあります。
また、リハビリテーション関連の部署や、マネジメント・教育・地域医療など、個人の強みを活かせる分野も広がっており、性別に関わらず多様なキャリアパスを描ける時代になっています。

年収が安定しており生活設計しやすい
看護師の給料は景気に左右されにくく、昇給やボーナスも安定しているため、生活設計が立てやすいことがメリットです。看護師の年収事情は、次の表のとおりです。
| 平均年収 | |
| 看護師 | 519万7千円 |
| 男性看護師 | 534万8千300円 |
| 女性看護師 | 517万8千900円 |
女性看護師と比べると、やや男性看護師の年収は高い水準にあります。
この違いは、性別そのものによるものではなく、夜勤や交替勤務の比率、役職や管理職に就いている割合、配属先(救急・ICUなど)の違いといった勤務条件や職務内容の差が影響していると考えられます。
また、働く個人の状況、平均年齢や勤続年数なども関係している可能性があるため、給与の違いは単純な性別比較では語れません。
近年では、性別に関わらず経験や成果に基づいて評価される職場づくりが進んでおり、実力や希望に応じた働き方が選べる環境が整いつつあります。
患者さまやスタッフから信頼を得やすい
男性看護師は、チームや患者さまから信頼感を得やすいというメリットがあります。
患者さまの中には、女性看護師には話しにくい悩みを抱えていたり、男性特有の悩みを持つ方がいたりするため、男性看護師に心を開いてくれることがあるからです。
また、冷静さや論理的な判断が求められる場面で、男性の意見が重視される場合もあり、頼れる存在として評価されやすいでしょう。
社会的に意義のある仕事で誇りを持てる
看護師は、人の命と健康を支えるという社会的に意義のある仕事です。
男性看護師は、看護師の中でも少なく、専門性と献身的な姿勢は患者さまや社会から注目されやすいため、誇りを持って働けます。
男性看護師は組織に新しい視点や風土をもたらす存在として役割を担っています。
男性看護師ならではのデメリットや悩み
男性看護師には多くのメリットがある一方で、女性中心の職場で働くゆえの特有の悩みや課題もあります。
- 女性中心の職場で話題に入っていけない
- 女性患者への対応で気を遣うことがある
これらの課題は、看護師全体において男性看護師数の割合が低いという職場特有のものです。しかし、男性看護師が増え、病院の理解が進むことで、より働きやすい環境へと変わりつつあります。
女性中心の職場で話題に入っていけない
男性看護師は、女性中心の職場の文化や会話に馴染めず、疎外感や孤立感を抱きやすい側面があります。
厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、看護師全体の91.3%は女性で、男性看護師の数は、増加傾向(平成26年:7万3,968人、令和6年:11万8,068人)であるものの少数派であるからです。
休憩中の会話や職場の行事などで女性中心の話題に入りづらく、疎外感を抱く男性看護師の方もいます。男性看護師が1人しかいない職場では、気軽に悩みを共有できる同性の仲間がいないことがストレスになりがちです。
女性患者への対応で気を遣うことがある
女性患者さまの身体的ケアやプライベートな問題に対応する際、男性看護師は細心の注意を払う必要があります。これは、女性患者さまのデリケートなケアをおこなうとき、性差から意図せず誤解を招く可能性があるためです。
実際に、排泄介助や入浴介助などの場面では、患者さまの羞恥心に配慮して自ら女性看護師に交代してもらったり、女性患者から「女性に代わって」といわれたりするケースがあります。
男性看護師の将来性とキャリアパス
男性看護師は、看護現場での活躍の場が広がるなかで、さまざまなキャリアパスを描ける時代になっています。
たとえば、以下のような進路が挙げられます。
- 救命救急センターや手術室など、高度な専門性が求められる分野でスキルを磨く
- 看護主任・看護師長など、チームをまとめる管理職・リーダー職へステップアップする
- 専門看護師・認定看護師として専門性を高め、現場の中核として活躍する
- 訪問看護や福祉分野での独立・起業にチャレンジする
中には、体力や冷静な判断力、マネジメント力といった特性を活かしてリーダーシップを発揮する人もおり、そうした経験やスキルの積み重ねにより、高い専門性や社会的信頼、安定した収入を得る道も開かれています。
また、近年では性別に関係なく、「自分らしいキャリア」を選べる制度や環境も整いつつあり、ライフスタイルに応じた働き方を実現している看護師も増えています。
男性看護師のキャリアの可能性や将来性については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:男性看護師の将来性は明るい?キャリアパスと年代別のリアルな将来像を解説
看護師に向いている男性の特徴
男性看護師として長く活躍できる人には、いくつか共通する特徴があります。
- コミュニケーション能力が高い人
- 女性が多い職場で、上手くやっていける人
- チーム医療で協調できる人
これらの特徴は、女性中心の職場で人間関係を円滑にし、多職種連携を進めるうえで不可欠です。冷静さと協調性を持ち合わせた人が、高く評価される傾向にあります。
コミュニケーション能力が高い人
男性看護師として活躍するには、高いコミュニケーション能力が重要です。患者さまのケアだけでなく、医師や多職種との円滑な連携が欠かせないうえ、女性が多い職場で建設的な人間関係を築く力も重要になるからです。
患者さまの不安を冷静に傾聴し、治療やケアを論理的に説明できる力は、患者さまやご家族からの信頼性を高めます。また、状況を判断し、柔軟に会話の糸口を見つけられる工夫も必要です。
女性が多い職場で、上手くやっていける人
周囲の環境に左右されず、自分の仕事に集中できる精神的なタフさを持つ人が、男性看護師として活躍するのに向いています。
職場によっては、男性看護師が1人という状況は珍しくなく、同性の仲間がいないことによる孤独感や疎外感を抱きやすいためです。
女性看護師間で盛り上がっていても入りづらいと感じたり、特定の業務や役割が男性に偏りがちな状況に戸惑ったりしても、割り切って仕事に取り組む自立した精神力があると働きやすいでしょう。
チーム医療で協調できる人
現代のチーム医療において、男性看護師は多職種と協調できる姿勢が重要です。医師や看護師のほかに、薬剤師や理学療法士などの専門職が患者さまの入院生活を支えているためです。
たとえば、理学療法士から「退院に向けてベッドから車椅子への移乗動作を強化したい」と目標を共有された際、その専門性を尊重し、日々のケアに反映させる必要があります。また、女性看護師から「体位変換を手伝って」と協力を求められた際に、快く引き受け、助け合う人が活躍できるでしょう。
男性看護師についてのよくある質問
男性看護師のキャリアや仕事内容について、よくある疑問に回答します。
Q1:男性看護師で年収1,000万円を目指すことは可能ですか?
男性看護師で年収1,000万円を目指すことは可能です。
しかし、男性看護師の平均年収は534万8,300円であるため、1,000万円に到達するのは簡単ではありません。実現している例は非常に限られており、特に大病院の管理職・幅広い専門資格保有・夜勤あり・責任ある役割という条件下において、年収1,000万円は、キャリアアップ次第で実現できる目標といえます。
Q2:男性看護師はやめとけといわれる理由は何ですか?
男性看護師は「やめとけ」といわれるおもな理由には、次の3つが挙げられます。
- 女性中心の職場で働きにくい可能性がある
- 力仕事が多く体力的にきつい
- 女性患者への対応で気を遣う場面がある
しかし、これらは職場や個人の適性によって異なり、実際にはやりがいを感じながら長く活躍している男性看護師も多数います。
Q3:男性看護師は結婚できないって本当ですか?
男性看護師が結婚できないというのは誤解です。
看護師は安定した収入と高い専門性を持つため、結婚市場において特別不利になることはないでしょう。患者さまの命を救う仕事への理解や協調性といった資質は、結婚相手としても魅力的に映る場合が多い傾向です。
ただし、夜勤による生活リズムの不規則さによって、パートナーと予定を合わせづらくすれ違いが生じることもあるため、パートナーとの時間を作る工夫が必要です。
Q4:男性看護師が少ない理由は何ですか?
男性看護師が少ないおもな理由には「看護師=女性の仕事という社会的なイメージ」「男性のキャリアモデルが少ない」などが挙げられます。
しかし、近年は男性看護師の需要は高まり、活躍の場が広がっているため、今後、この状況は変わっていくと予想されます。
関連記事:男性看護師が少ない理由5つ!将来性や活躍できる職場を詳しく紹介
Q5:男性看護師になって後悔することはありますか?
男性看護師になって後悔する理由としては、おもに次の3つが挙げられます。
- 職場の人間関係に馴染めない
- 雑用や力仕事を押しつけられがち
- 医療処置よりも介助が多く体力的に疲弊する
しかし、これらは事前に職場の雰囲気をリサーチし、自分の適性や興味に合った分野を選ぶことで避けられます。男性看護師の転職事情やポイントは、下記の記事でも詳しく解説しています。転職する際の悩みを解決できるため、一度ご覧ください。
関連記事:男性看護師の転職事情とは?ポイントやおすすめの勤務先
男性看護師のメリットは多様なキャリアパスや信頼性!これからもっと必要とされる存在
男性看護師は、体力的な強みやキャリアの広さ、患者さまからの信頼性などという多様なメリットがあり将来性の高い職業です。
女性中心の職場での人間関係や女性患者のデリケートなケアへの配慮といった課題はありますが、仕事をしていくなかで慣れ、それらを上回る仕事の意義を実感できるでしょう。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
