看護師が夜勤なしで働ける職場15選!年収やキャリアを維持するコツと事例

「夜勤なしで働きたいけど、給料が下がるのは嫌だな」「夜勤がないとキャリアが途絶えるのではないか?」
夜勤なしで働きたいものの、この働き方に不安を感じる看護師の方はいらっしゃいませんか。看護師の資格を活かして夜勤なしで働ける職場はあり、年収やキャリアを維持できる方法もあります。
この記事では、夜勤なしで働ける15の職場と年収を維持するコツ、転職を成功させた事例を解説します。希望に合った夜勤なしの働き方を見つけ、理想のキャリアを築きましょう。
看護師が夜勤なしで働ける職場15選
看護師の資格を活かして夜勤なしで働ける職場は、病院の外来や施設、企業などさまざまです。
- 病院の外来
- 病院の透析室や手術室
- クリニック
- 訪問看護ステーション
- 健診センター
- 介護施設
- 保育園や幼稚園
- 学校の保健室
- 大学や専門学校
- 研究機関
- 保健センター
- 一般企業の健康管理部門
- 治験関連の企業
- ツアーナース・イベントナース
- コールセンター
これまでの経験や希望に合った職場を探してみましょう。生活リズムを整えたい、体力的な負担を減らしたい看護師におすすめです。
病院の外来
夜勤なしで働きたい看護師には、病院の外来がおすすめです。外来は診療時間が日中に限られており、残業も少なめといえます。
そのため、生活リズムが整いやすく、プライベートの時間や家族との予定を確保しやすいでしょう。病棟で勤務している方は、異動願いを出すことで、外来に異動できるかもしれません。
病院の透析室や手術室
病院の透析室や手術室は、夜勤がない、または少ない部署です。透析治療や予定手術のほとんどが日中にスケジュールされています。
ただし、夜勤がない一方で、緊急手術に備えたオンコール待機があったり、長時間の手術で深夜までの対応が必要になったりする可能性があることに注意が必要です。
クリニック
クリニックは、入院施設がないことが多いため、基本的に夜勤がありません。美容クリニックやAGAクリニックなど自由診療を扱うところは、保険診療のクリニックよりも給与水準が高い傾向であるのも魅力です。
しかし、会社員をターゲットにしている都市部のクリニックや土日祝日も営業するクリニックでは、診療時間が深夜近くまでになる場合もあります。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは日勤が基本ですが、緊急時に対応するためにオンコール待機が求められがちです。
実際に、厚生労働省「訪問看護」によると、訪問看護ステーションの86%はオンコール対応があります。そのため、完全に夜間の業務から離れたい方には向きませんが、オンコールの頻度は事業所や地域によって異なります。
ひとりで判断する場面も多いので、自立して動きたい人におすすめです。
健診センター
健診センターには、夜勤はありません。カレンダー通りの休みが取れる施設も多く、生活リズムを安定させたい看護師に適している職場です。
介護施設
夜勤のない介護施設には、デイサービスやデイケア、一部の有料老人ホームなどがあります。残業もほとんどなく、決まった時間に終業できる点が魅力です。
ただし、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどの介護施設では基本的に夜勤があります。
保育園や幼稚園
保育園や幼稚園の看護師に夜勤はありません。おもな業務は、急な発熱やケガへの対応、感染症対策の指導などです。
閉園時間が決まっているため、残業も少なく、子育て中の看護師も生活リズムを整えながら無理なく勤務できるでしょう。
学校の保健室
小・中学校、高校などの保健室で働く看護師は、カレンダー通りの休みがあることが多く、仕事と生活が両立しやすいのが特徴です。
夏休みや冬休みなど、子どもたちの長期休暇に合わせて有給休暇を取得しやすい点もメリットです。残業もほとんどないため、定時で帰宅したい方に向いています。看護師免許のみで働ける求人もありますが、「養護教諭」の資格が必要な場合があります。
大学や専門学校
大学や専門学校は、教員や実習指導のサポートとして働きます。夜勤はなく、土日祝休みで働けます。臨床経験を活かして、教育分野でキャリアを築けるでしょう。
研究機関
研究機関で働く看護師は、夜勤がなく、土日祝休みのカレンダー通りに働ける場合が多いため、生活リズムを安定させたい方におすすめの職場です。
おもな仕事は、治験や臨床研究のサポートなどであり、臨床経験と論理的思考を活かすことで、学術分野でキャリアを築けるでしょう。最新医療にかかわりながら、デスクワーク中心で落ち着いて働きたい方に向いています。
保健センター
保健センターの看護師は、夜勤やオンコールがない日勤のみの勤務です。
予防接種や健康相談などをおこない、地域住民の健康づくりを支援することが役割です。公務員としての採用になるため、給与体系や福利厚生が安定している点、土日祝日が休みである点も利点です。
一般企業の健康管理部門
一般企業の健康管理部門で働く看護師は、夜勤や残業が少なく、土日祝休みの求人が多いため、生活の質を高めたい方に適しています。
おもな仕事は、社員の健康診断の実施やメンタルヘルスケア、職場環境の改善提案など予防医療が中心です。臨床現場のような多忙さがなく、長期的に安定して働くことができます。
治験関連の企業
治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)といった治験に関連する企業も、原則として夜勤はありません。
臨床経験とコミュニケーション能力を活かすことができ、年収が高い傾向にあります。
ツアーナース・イベントナース
ツアーナースは夜勤がなく、単発や期間限定の求人が多いため、自分のスケジュールに合わせて働くことが可能です。
修学旅行や団体旅行に同行したり、コンサートやスポーツ大会で救護したりする仕事であり、非日常的な経験ができます。
コールセンター
医療系のコールセンター(健康相談窓口や製薬会社など)は、夜勤の有無が部署やサービス内容により異なりますが、日勤のみの求人が多くあります。
医療相談や服薬指導など電話での対応が中心のため、体力的な負担を抑えて働くことが可能です。

夜勤なしの看護師の平均年収と手取り
夜勤なしの看護師の年収は一概には断定できませんが、夜勤手当(年間約66万円)を除いた場合、約450万円前後になるケースもあります。 これは平均的なモデルケースに基づいた試算であり、実際の年収は職場や地域によって大きく異なります。
手取り額は額面の約75~85%が目安とされているため、夜勤なしの看護師の手取り額はおよそ339万~384万円となります。
| *平均年収:月収36万3,500円×12ヶ月分+年間賞与83万5,000円=519万7,000円 *夜勤手当分:夜勤手当1万1,368円×夜勤平均回数4.9回=66万8,438円 |
看護師が夜勤なしで働くメリット
看護師が夜勤なしで働くメリットは、次のとおりです。
- ワークライフバランスが整う
- 生活リズムが規則正しくなる
- 体調管理しやすくなる
夜勤がなくなるため、精神的なストレスが軽減され、心身ともに健康な状態を維持できるでしょう。
ワークライフバランスが整う
夜勤がない働き方は、ワークライフバランスを改善できます。勤務時間が固定され、プライベートの予定を立てやすいからです。
たとえば、日勤のみの勤務になれば、夜勤明けの疲労で動けない日がなくなり、家族との時間や趣味、自己学習に充てる時間を確保できます。
仕事と私生活のメリハリをつけ、充実した毎日を送りたい方にとって、夜勤なしの働き方は理想的です。
関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット
生活リズムが規則正しくなる
夜勤なしの働き方に変えると、生活リズムが規則正しくなります。
日勤に固定されることで、毎日同じ時間に睡眠を取り、食事も規則正しく摂れるようになります。この安定した生活サイクルは、自律神経の乱れを防ぎ、心身ともにバランスの取れた状態を保つために必要です。
体調管理しやすくなる
夜勤がなくなることで、体調管理しやすくなります。夜勤は疲労やストレスを溜めやすい働き方であり、体調不良の原因になりやすいからです。慢性疲労を抱えている看護師の割合は次のとおりです。
| 勤務形態 | 割合 |
| 日勤のみ | 71.4% |
| 2交代(夜勤は12時間以上16時間未満) | 78.4% |
| 2交代(夜勤は16時間以上) | 79.0% |
| 3交代 | 82.6% |
また、同調査で、夜勤に従事した年数と受診歴を見ると「受診なし」は1年未満で70.0%に対して「5~10年未満」63.6%、「10~20年未満」57.2%と、夜勤経験年数が長くなるにつれて減少していました。
看護師として長く健康的に働くために、夜勤のない働き方は有効です。
看護師が夜勤なしで働くデメリットと注意点
夜勤なしの働き方にはメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。
- 年収が下がる
- キャリアアップが限られる
- 日勤のみの大変さがある
夜勤のない職場への転職を検討している方は、デメリットも押さえましょう。
年収が下がる
看護師が夜勤なしで働くデメリットは、夜勤手当がなくなり、年収が下がることです。
夜勤手当の約66万円分が支給されないため、生活設計や住宅ローンの返済計画に影響する可能性があります。
夜勤なしの職場を探す際は、低くなる年収をどのように補うか計画することが、不安なく生活するためには重要です。
キャリアアップが限られる
夜勤なしの職場を選ぶことで、キャリアアップの選択肢が限られる場合があります。夜勤がある急性期病棟と比べると、重症患者さまの全身管理や急変対応といったスキルを得る機会が少なくなるからです。
たとえば、クリニックや健診センターなどでは専門分野のスキルは高まる一方で、さまざまな症例を経験できないかもしれません。幅広い分野で活躍したい方は、専門性の高い資格取得や管理職を目指せる環境かどうかを確認しましょう。
日勤のみの大変さがある
日勤のみの職場であっても「仕事が楽」というわけではありません。検査や処置などが日中の時間帯に集中しやすく、これらの業務を時間内にこなす必要があるからです。
病院では胸腔穿刺や人工呼吸器装着の患者さまのリハビリテーション、造影CT検査などは、安全確保のためにスタッフが多い日中におこなわれる傾向にあります。
また、スタッフが少ない職場では人間関係が固定化されやすく、悩みの種になることもあります。日中の業務量や職場の人間関係についても情報収集することが、転職で後悔しないようにするために大切です。
関連記事:日勤のみの看護師は本当に楽?きついと感じる5つの理由とおすすめの職場!
看護師が夜勤なしで年収アップするコツ
夜勤なしで働いても年収アップは可能です。
- 専門看護師や認定看護師の資格を取得する
- 看護主任や看護師長を目指す
- 高年収の職場に転職する
ここでは、夜勤なしで高収入を得られる方法を3つまとめました。
専門看護師や認定看護師の資格を取得する
専門性の高い資格を取得することは、夜勤手当を補うために有効です。資格取得は、専門的な知識とスキルの証明となり、次のように資格手当が支給されるからです。
| 資格 | 平均支給額 |
| 専門看護師 | 1万1,857円 |
| 認定看護師 | 1万1,228円 |
| 特定行為修了者 | 1万1,644円 |
しかし「特定行為修了者の資格手当がない」と回答している病院が66.2%あります。資格手当の有無や額は病院によって異なるため、転職を検討する際には、病院のホームページや求人情報でこれらの情報を確認することが欠かせません。
看護主任や看護師長を目指す
管理職を目指すことは、夜勤がなくても給与を上げるための効果的な方法です。看護主任や看護師長などの管理的な役割を担うことで、役職手当が支給され、基本給も上がることが多いからです。
クリニックや訪問看護ステーションで管理者や看護主任のポストに就くことで、マネジメント能力に対する報酬を得られます。実際に、日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書」によると、看護師長職相当の役職手当は平均4万9,588円です。
臨床経験とリーダーシップに自信がある方は、管理職になり年収アップを目指す方法もあります。
高年収の職場に転職する
給与水準が高い職場へ転職を目指すことも年収アップには不可欠です。
具体的には、治験関連の企業や一般企業の健康管理部門などが高年収の傾向にあります。これらの業界へキャリアチェンジすることが、生活リズムを整えて年収を上げるためには重要です。
看護師が夜勤なしの求人を選ぶポイント
夜勤なしの求人を選ぶときは、働き方や将来のキャリアにも着目しましょう。
- キャリアアップを踏まえて求人を探す
- 残業時間の情報もチェックする
- 教育体制やキャリアアップの情報も確認する
- オンコール対応の有無を確認する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
キャリアアップを踏まえて求人を探す
夜勤なしの職場を選ぶときでも、将来のキャリアを考えられる職場を探すべきです。日勤のみの環境でも専門的なスキルや管理能力を磨くことで、年収アップや看護師としての市場価値の維持につながるからです。
たとえば、専門性を深められる透析室や手術室、管理的なスキルを磨ける訪問看護ステーションなどが該当します。
職場でどのようなスキルが身につくかを見極めることが大切です。
残業時間の情報もチェックする
夜勤がないからといって、ワークライフバランスが保証されるわけではありません。残業が多すぎると、夜勤がある職場と同じように私生活に影響する恐れがあるからです。
求人情報に記載されている残業時間のほかに、口コミや面接で実態を確認することで、理想の働き方を実現できるでしょう。
教育体制やキャリアアップの情報も確認する
未経験の分野への転職を検討している場合は、教育体制が整っているかを確認しましょう。新しい環境でスムーズに業務を覚えることが、長期的に働くためには必要です。
また、継続的な研修や資格取得への支援制度があるかなど、キャリアアップを応援する職場を選ぶことが、将来のキャリアを守るための重要なポイントです。
オンコール対応の有無を確認する
オンコールの対応があるかどうかを確認すべきです。オンコールがあると、夜間や休日に急な呼び出しの可能性があり、生活への影響が大きくなりがちです。
訪問看護ステーションや手術室などは、夜勤がなくてもオンコールがある場合があります。
オンコールの有無や1ヶ月あたりの回数、対応の内容を把握し、許容できる範囲であるかを判断してから応募することが大切です。
看護師がキャリアを諦めずに夜勤なしの職場に転職した事例
夜勤なしの働き方に変えても、キャリアを発展させている看護師の事例を紹介します。
事例1:病院の透析室で腎不全看護認定看護師を目指す
| 急性期病棟の激務と不規則な夜勤で体調を崩していた30代のAさん。夜勤のない透析室に異動。透析治療の専門知識とスキルを集中して習得し、腎不全看護認定看護師の資格取得を目標としました。結果、ワークライフバランスを改善しつつ、スペシャリストとしてのキャリアを築いています。夜勤がなくても専門性を深める環境で働くことで、キャリアを維持できます。 |
病院の透析室は夜勤なしで働ける職場です。腎臓病の専門資格を目指すことで、年収や市場価値を高められます。
事例2:訪問看護ステーションでマネジメントスキルを磨く
| 病棟でリーダー経験があった40代のBさん。子育てと両立するため、訪問看護ステーションへ転職。訪問看護で、利用者さまの生活を見る視点や、多職種との連携を調整するスキルを磨きました。現在、マネジメントスキルと統率力を活かし、管理者のポストを目指しています。 |
訪問看護は日勤が中心で、経験を活かして管理職を目指しやすい環境です。NsPaceCareerには、Bさんのような管理者候補の求人も多数あります。さまざまなコンテンツを用意しているため、訪問看護の分野に興味がある方は、ぜひ一度覗いてみてください。
看護師の夜勤なしの働き方についてのよくある質問
ここでは、看護師の夜勤なしの働き方についてよくある質問に回答します。
Q1:看護師は夜勤なしの働き方でも正社員になれますか?
夜勤なしの働き方でも、正社員になれます。実際に、病院の外来やクリニック、健診センター、一般企業など夜勤がない職場でも正社員の求人は多くあります。
Q2:看護師が夜勤なしで働くと土日休みになりますか?
夜勤なしの職場で、土日休みになるかどうかは職場によって異なります。
クリニックや介護施設の場合は、土曜日も午前中、あるいは終日開いていることもあります。土日休みを希望する場合は、健診センターや企業、学校などの求人を探すと良いでしょう。
Q3:看護師は夜勤なしでも年収600万円を目指せますか?
夜勤なしで年収600万円を目指すことは可能性としてありますが、非常に条件が限られます。
高い専門性やマネジメント経験、企業看護職などの特殊な職場が必要で、求人を見つけるのは容易ではありません。
年収だけでなく、働き方や求められるスキルのバランスも考慮することが大切です。
看護師は夜勤なしで働ける!年収やキャリアアップを踏まえて転職しよう
夜勤なしの働き方は、生活リズムを整え体調を管理しやすくするメリットがあります。経験や希望に合った職場を選び、専門性や管理スキルを磨くことで、夜勤なしでも年収やキャリアを維持し、向上させることは可能です。
看護師としての経験を活かして、生活とのバランスを取りながら、やりがいを感じられる新しい働き方を見つけましょう。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
