認定看護師制度はなくなるの?新制度への移行と資格を目指す人が知っておくべきこと

公開日:2025/10/27 更新日:2025/10/27
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「認定看護師がなくなるって聞いたけど本当?」「すでに資格を持っている看護師は何をすれば良いの?」

認定看護師制度に関して、不安や疑問を抱く看護師が多くいます。さまざまな情報が飛び交い、混乱している方もいるでしょう。

この記事では、今後資格取得を目指す方や、既に認定を受けている方へ向けて、制度のポイントを解説します。記事を最後まで読めば、認定看護師制度への不安を解消できます。

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認定看護師はなくなるのではなく「新制度」に移行する

認定看護師は廃止されるのではなく、新しい制度に移行します。2019年に制度が改正され、2020年度から新しい制度(B課程)の教育過程がスタートしました。

  • なぜ「認定看護師がなくなるのではないか」と言われているのか
  • 2020年度から新制度の教育が開始
  • 旧制度は2026年度で廃止される

上記について見ていきましょう。

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なぜ「認定看護師がなくなるのではないか」と言われているのか

日本看護協会は2018年「2026年度に従来の認定看護師教育を終了する」と発表しました。この「教育終了」という表現が独り歩きし「資格そのものがなくなる」との噂が広まったようです。

この発表は、従来の仕組みから新しい仕組みへの切り替えを意味していました。認定看護師は今後も存続します。現在資格を持つ看護師も、今後取得を目指す方も変わらず専門性を発揮できます。

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2020年度から新制度の教育が開始

2020年度、B課程と呼ばれる新しい教育プログラムが開講し、翌年にはB課程の認定試験も始まっています。移行期間中は、旧課程と新課程の両方が利用可能ですが、これから認定看護師を目指す方は、B課程を受講すると良いでしょう。

B課程の特徴は、新たに特定行為研修が組み込まれていることです。特定行為研修を終えると、医師が作成した手順書に従い、看護師の判断で一部の医療処置を実施できるようになります(※所属施設の制度整備が必要です)。

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旧制度の教育は2026年度で終了

旧制度(A課程)の教育課程は2026年度で終了予定ですが、認定審査は2029年度まで実施可能とされています。

2027年度以降、新たに認定看護師を目指す場合は新制度(B課程)のみとなります。

ただし、旧制度で取得した資格が無効になるわけではありません。すでに資格を持っている看護師は、5年ごとに更新審査を受けると資格を継続できます。

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認定看護師の制度変更で変わること

認定看護師制度が変わった背景には、医療を取り巻く環境の変化があります。高齢化により在宅医療や地域医療の需要が高まり、病院以外でも質の高いケアを提供できる看護師が求められているのです。旧制度から新制度へのおもな変更点は次の3つです。

  • 特定行為研修の一部がカリキュラムに追加された
  • 認定看護分野が整理・変更された
  • 制度の目的と求められる役割が明確化された

それぞれ見ていきましょう。

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特定行為研修の一部がカリキュラムに追加された

B課程では、特定行為研修が必修科目として加わりました。

特定行為は、診療補助のなかでもとくに高い専門性や判断力を要する医療処置を指します。これまでは必ず医師の指示を仰いでいた処置も、医師作成の手順書をもとに看護師の判断で進められるようになるのです。

医師を待たずに処置できることで、患者さまへの対応が早くなり、病状の悪化を防げる可能性があります。

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認定看護分野が整理・変更された

新制度では、認定看護分野が日本看護協会によって整理・変更されました。

 変更前変更後
【分野の統合】救急看護・集中ケアクリティカルケア
緩和ケア・がん性疼痛看護緩和ケア
【分野名の変更】がん化学療法看護がん薬物療法看護
訪問看護在宅ケア
不妊症看護生殖看護
透析看護腎不全看護
摂食・嚥下障害看護摂食嚥下障害看護
小児救急看護小児プライマリケア
脳卒中リハビリテーション看護脳卒中看護
慢性呼吸器疾患看護呼吸器疾患看護
慢性心不全看護心不全看護
【変更のない分野】皮膚・排泄ケア
感染管理
糖尿病看護
新生児集中ケア
手術看護
乳がん看護
認知症看護
がん放射線療法看護
参考:日本看護協会「新たな認定看護師への移行」

分野の統合や名称変更がおこなわれ、より現場のニーズに即した内容になっています。

関連記事:認定看護師の種類一覧とは?19分野の一覧と難易度を詳しく解説

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制度の目的と求められる役割が明確化された

制度変更にともない、認定看護師に期待される役割も見直されました。

新制度の目的には「あらゆる場で看護を必要とする対象に」という文言が加わっています。病院だけでなく、訪問看護ステーションやクリニック、介護施設など、さまざまな場所で認定看護師の専門性を発揮してほしいという期待が込められているのです。

また、認定看護師の役割に「高い臨床推論力と病態判断力に基づき」という表現が追加されました。これは、特定行為研修を受けて、患者さまの状態を的確に見極め、適切な判断ができる高度な実践力が求められていることを意味します。

さらに、相談対象が「看護職等」に拡大され、他職種との連携強化も期待されています。

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認定看護師の新制度(B課程)への移行に必要な条件と手続き

旧制度(A課程)で認定看護師資格を持つ看護師は、そのまま更新を続ける、新制度へ移行する、いずれかを選べます。新制度への移行は義務ではなく、5年ごとの更新審査を受ければ旧制度の資格を継続できるのです。

ここでは、新制度への移行を検討している看護師に向けて、必要な条件と手続きを紹介します。移行を考える際に、知っておくべきポイントを紹介します。

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特定行為研修を修了する

旧制度から新制度の認定看護師資格に変更するには、特定行為研修の修了が必須です。

特定行為研修は、2025年10月時点で38項目あり、移行する際はどの区分を選んでも認められます。自分が目指す認定看護分野や、実際の業務で活用できる内容を選ぶと良いでしょう。

研修期間は受講する区分や研修機関により異なりますが、一般的には数ヶ月から1年程度かかります。

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移行に必要な費用と時間を確認する

特定行為研修の受講には費用がかかります。共通科目と区分別科目を合わせて、数十万円程度が一般的です。遠方から通う場合や、休職する場合は、さらに費用の負担が大きくなると考えられます。

受講料は研修機関や選択する区分によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

日本看護協会では、特定行為研修を受ける際に利用できる奨学金制度を設けています。また、勤務先が研修費用の補助や給与保障をおこなっているケースもあります。利用できる支援制度を確認しておくと安心です。

研修期間中は平日に講義や実習があり、勤務調整が必要になります。研修や出張扱いで対応できる職場もあるため、早い段階で上司や人事担当者に相談しましょう。

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認定看護師を目指す人が知っておくべきこと

これから認定看護師を目指す場合、知っておくべきポイントを紹介します。

  • 新制度対応の教育機関で学ぶ必要がある
  • 特定行為研修を含めたカリキュラムを確認して選ぶ
  • 受験資格を満たすまでに計画的に実務経験を積む

実務経験を計画的に積みながら、資格取得に向けて準備を進めましょう。

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新制度対応の教育機関で学ぶ必要がある

2027年度以降は新制度のみとなるため、これから認定看護師を目指す場合は新制度対応の教育機関を選ぶことになります。

認定看護師教育機関は日本看護協会のホームページで検索できます。分野によって開講している教育機関の数や所在地が異なるため、希望する分野がどこで学べるのかを早めに確認しておきましょう。

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特定行為研修を含めたカリキュラムを確認して選ぶ

新制度では、特定行為研修が教育課程に組み込まれています。同じ認定看護分野でも、教育機関によって組み込まれている特定行為の区分が異なります。

自分が将来どのような場面で活躍したいか、どの特定行為を実践したいかを考えて、カリキュラム内容を確認することが大切です。教育機関によってはオンライン説明会や見学会を実施しているため、積極的に参加してみましょう。

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受験資格を満たすまでに計画的に実務経験を積む

認定看護師を目指すには、看護師免許取得後に通算5年以上の実務経験が必要です。さらに、そのうち3年以上は認定看護分野での実務経験が求められます。

たとえば、クリティカルケア分野を目指すなら救急外来やICUでの勤務経験、感染管理分野なら感染対策委員会への所属や感染管理業務の経験が該当します。目指す分野を早めに決めて、関連部署での経験を積むことが大切です。

配属希望を出す際や転職を考える際には、認定看護師を目指していることを上司や採用担当者に伝えておきましょう。希望する部署への配属や異動につながりやすくなります。

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新制度の認定看護師を目指す3つのメリット

新制度の認定看護師資格を取得すると、さまざまなメリットがあります。

  • 給与アップや役職につながりやすい
  • 特定行為研修により医療行為の幅が広がる
  • 転職で有利になり働く場所の選択肢が増える

それぞれ見ていきましょう。

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給与アップや役職につながりやすい

認定看護師の資格を取得すると、資格手当がつく職場があります。

日本看護協会の調査によると、認定看護師に資格手当を支給している職場は41.2%で、毎月支給される場合の平均額は8,530円でした。また、資格取得時に一時金を支給したり、賞与や給料に反映したりする職場もあります。

専門性が認められることで、管理職や教育担当に登用される機会も増えやすくなります。認定看護師としての知識や指導力を活かして、病棟全体の看護の質向上に貢献できるのです。

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特定行為研修により医療行為の幅が広がる

特定行為研修を修了すると、医師が作成した手順書をもとに看護師が判断しておこなえる医療行為が増えます。たとえば、次のような医療行為を実施できます。

  • 輸液量の微調整
  • インスリン量の変更
  • 気管チューブの入れ替え
  • 褥瘡部の壊死組織除去

医師が作成した手順書に基づき、看護師が自ら判断して処置を行えるため、変化する状況にも即座に対応できます。これにより、ケアの質の向上が期待されます。

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転職で有利になり働く場所の選択肢が増える

認定看護師の資格は転職市場でも高く評価されるため、転職活動で有利に働きます。

新制度では「あらゆる場で看護を必要とする対象に」という目的が掲げられており、認定看護師の活躍の場が広がっています。訪問看護ステーションやクリニック、介護施設など、さまざまな職場で認定看護師のニーズが高まっているのです。

なかでも訪問看護は、認定看護師の専門性を存分に発揮できる職場です。利用者さまのご自宅という医療機器が限られた環境で、看護師の観察眼と判断力が頼りになります。特定行為を含めた高度な実践力を活かしながら、寄り添ったケアを提供できることが魅力です。

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認定看護師の制度についてのよくある質問

認定看護師制度についてのよくある質問に回答します。

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Q1:認定看護師と専門看護師は、どのように違いますか?

認定看護師と専門看護師のおもな違いは、活動の中心が「現場での実践」か「教育・研究も含む活動」かという点です。

認定看護師は「実践」「指導」「相談」の3つの役割を担い、臨床現場で患者さまに質の高い看護を提供することに重点を置いています。一方、専門看護師には次の6つの役割があり、現場での看護に加えて、看護師の教育や研究活動にも携わります。

  • 実践
  • 相談
  • 調整
  • 倫理調整
  • 教育
  • 研究

患者さまのそばで専門性を発揮したい方は認定看護師、教育や研究にも関心がある方は専門看護師が向いているといえるでしょう。

関連記事:認定看護師と専門看護師の違いとは?9つの違いや向いている人の特徴

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Q2:認定看護師の資格取得にかかる費用はどれくらいですか?

入学金・授業料は教育機関や分野によって異なりますが、相場として100万円以上かかると想定しておくと良いでしょう。

これに加えて、教材費やパソコン代が必要です。遠方の教育機関に通う場合は、引っ越し費用や研修期間中の家賃、交通費なども発生します。

勤務先によっては、資格取得のための支援制度を設けている場合があります。また、日本看護協会の奨学金制度も利用できるため、事前に確認しておきましょう。

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Q3:働きながら認定看護師の資格をとることはできますか?

認定看護師の教育課程は、基本的に平日の昼間に授業がおこなわれるため、フルタイム勤務との両立は難しくなります。

勤務先の休職制度や長期出張扱いを利用して受講するのが一般的です。また、遠方の教育機関に通う場合は、研修期間中に学校近くへ一時的に引っ越す必要があります。

受講を考えている看護師は、資格取得支援制度の有無や休職・勤務調整について、早めに上司や人事担当者に相談しておくと、資格の取得をスムーズに進められるため大切です。

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認定看護師はなくならない!新制度でキャリアの可能性が広がる

認定看護師制度は廃止されるのではなく、新制度へと進化しています。すでに資格を持っている看護師は、旧制度の資格を更新して継続するか、新制度へ移行するかを選択できます。

制度変更により、認定看護師のキャリアの可能性はさらに広がりました。自身のキャリアプランに合わせて、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。

<参考文献・サイト>

「新たな認定看護師への移行について」|日本看護協会

認定看護師|日本看護協会

特定行為に係る看護師の研修制度|厚生労働省

認定看護師教育課程奨学金|日本看護協会

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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