病児保育で働く看護師のリアル!5つの仕事内容と役割、求人を探すコツを紹介

「病児保育で働く看護師の仕事を知りたい」「日勤のみで働いて仕事と子育てを両立したい」と考える看護師は多いでしょう。
ず「病児保育」とは、風邪や発熱などで保育園に通えない体調不良の子どもを、保護者が仕事などで看病できない場合に一時的に預かる保育サービスのことです。医師の診察を受けており、入院は必要ないものの、自宅で安静が必要な子どもが対象です。施設には看護師や保育士が常駐し、子どもの体調を見守りながら安全に過ごせるよう配慮されています。他にも「病後児保育」という体調の回復途中にある子どもを一時的に預かり施設もあります。それぞれ病院勤務とは異なる側面があるため、看護師の業務内容やメリットなどを知っておくことで、転職後の後悔を防げます。
この記事では、おもに病児保育で働く看護師の仕事内容や1日の流れを解説し、効率の良い求人の探し方を紹介します。病児保育で働くイメージが明らかになり、転職活動をスムーズに進められるでしょう。
病児保育で働く看護師の5つの業務内容と役割!
病児保育で働く看護師のおもな業務と役割は、次のとおりです。
- 子どもの健康観察
- 子どもの体調変化への早期対応
- 子どもの身の回りの世話
- 保護者への対応
- 感染症対策と衛生管理
保護者が安心して子どもを預けられ、子どもたちが安全に過ごすために欠かせない業務です。
子どもの健康観察
病児保育の看護師の役割は、子どもの健康状態を観察し、異常がないか確認することです。病気の子どもは体調が悪化しやすいため、早く変化に気づく必要があります。
朝の受け入れ時と日中の保育中に、体温や脈拍、呼吸状態、顔色などをチェックして「顔色が少し悪い」「元気がない」などと注意深く観察し記録に残します。この健康観察が、子どもの安全を守るために大切です。
子どもの体調変化への早期対応
子どもの体調が変化したとき、適切に対応し、状況に応じて医療機関を受診できるように調整することも看護師の役割です。
発熱しているときは安静にさせ、クーリングや水分補給をおこないます。症状が落ち着かなかったり、ぐったりしていたりなど緊急性が高いと判断した場合は、すぐに保護者へ連絡し、連携している医師の診察や指示を仰ぎます。
体調不良で不安になっている子どもに優しく声をかけることも、安心して過ごせる環境を作るために欠かせません。
子どもの身の回りの世話
看護師の仕事は、受け入れる子どもの年齢や病状に合わせて身の回りをサポートすることです。
たとえば、食欲がない子どもの食事を介助したり、オムツ交換やトイレの補助をしたりします。また、嘔吐や発汗で汚れた衣類を交換して、清潔を保てるようにします。
子どもの状態に合わせて、休息を促し、安心して眠れるように見守ることも大切な仕事です。
保護者への対応
病児保育の看護師には、子どもの健康状態を伝え、家庭でのケア方法をアドバイスして、保護者の不安を和らげる役割があります。
朝の受け入れ時に、保護者から子どもの体調を詳しく聞き取り、帰宅時に日中の様子や実施したケアの内容を伝えます。熱が下がらないときは、家庭での水分補給の方法や再受診の目安を伝えると保護者は安心できるでしょう。
保護者から子育てについて相談に乗ることも多く、共感的に話を聞く姿勢も求められます。
感染症対策と衛生管理
病児保育の看護師は、施設の感染症対策と衛生管理を担います。さまざまな病気の子どもを預かる場所で、病気の拡大を防ぎ、子どもの安全を守る必要があるからです。
ただし、施設によっては、特定の感染症(新型コロナウイルスやはしか)の受け入れをしていない場合もあります。
具体的には、次のようなことをおこないます。
- 施設の消毒
- ぬいぐるみやおもちゃの洗濯や清掃
- 手洗いやうがいの指導
- 換気の徹底
乳幼児の場合は、身体の機能が十分に発達しておらず感染症にかかりやすかったり、病状が悪化しやすかったりするため、とくに気をつけて対応する必要があります。
病児保育で働く看護師の給料事情
ここでは、病児保育で働く看護師の給料事情を詳しく見ていきましょう。
病児保育で働く看護師の平均年収
病児保育で働く看護師の平均年収は、求人情報から350万円~450万円程度とされています。
ただし、公的なデータは公表されておらず、この金額は目安です。施設によっては、看護師の経験やスキルに応じて、手当がつく場合もあります。転職を検討する際は、年収や月給だけでなく、賞与の有無や昇給制度も確認することで、給与に納得して働けるでしょう。

病院勤務との違い
病児保育で働く看護師の給料は、病院の看護師の平均年収と比較すると低くなる傾向にあります。これは、病児保育では基本的に日勤のみの勤務となるため、夜勤手当やオンコール手当などの手当がつかないからです。
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。病院で働く看護師は全体の70.9%を占めることから、病院の看護師の平均年収はこの金額に近いと考えられ、病児保育で働く看護師とは差があることがわかります。
病児保育で働く看護師の1日のスケジュール
病児保育で働く看護師のスケジュール例は次のとおりです。
| 時間帯 | 仕事内容 |
| 8:30 | 出勤・環境整備・当日の予約確認 |
| 9:00 | 開室・保護者からの子どもの状態の聞き取り・検温と視診 |
| 10:00 | 子どもの健康観察(体温、呼吸、顔色など)・遊びの見守り |
| 11:30 | 昼食のサポート・投薬 |
| 12:00 | 昼食休憩 |
| 13:00 | 午睡の見守り・定期的なバイタルチェック |
| 15:00 | おやつのサポート・午後の健康観察と記録 |
| 16:30 | 保護者への子どもの一日の様子の報告・引き渡し |
| 17:30 | 室内の消毒・翌日の準備 |
| 18:00 | 業務終了 |
施設の規模や子どもの数によってスケジュールは異なりますが、子どもの安全を最優先に考えられています。
病児保育で働く看護師のメリット
病児保育で働く看護師には、次のメリットがあります。
- 夜勤がなく規則正しい生活リズム
- 保護者から感謝されやすい職場環境
- 地域医療や子育て支援に貢献できる
とくに、子育て中の看護師にとっては、家庭と仕事を両立しやすい環境です。
夜勤がなく規則正しい生活リズム
病児保育は基本的に日勤のみの勤務体制で、夜勤がないため、規則正しく生活できます。
たとえば、病棟勤務で不規則な生活に疲れていた看護師は、毎日決まった時間に眠れるため、体調が改善し、家族や友人との時間も確保しやすくなるでしょう。
ただし、施設によっては夜間も開所しているところがあるため、事前に求人情報で確認が必要です。
保護者から感謝されやすい職場環境
病児保育の看護師は、保護者から「ありがとう」と感謝される機会が多くあります。病気の子どもを安心して預けられる場所であり、保護者の仕事や生活を支えているからです。
「あなたがいてくれたおかげで安心して仕事ができた」「子どもの看病の相談に乗ってもらえて助かった」といった言葉をかけてもらえると、仕事のやりがいにつながります。
地域医療や子育て支援に貢献できる
病児保育に携わる看護師は、地域医療と子育て支援の両面から社会を支えているという実感を持つことができます。病児保育は、子どもが急に体調を崩したときでも安心して働ける環境を保護者に提供する、地域にとって不可欠なサービスです。
たとえば、突然の発熱で子どもを預けられず困っている保護者の力になれたとき、「自分の仕事が人の役に立っている」と実感できます。そのような体験は、自分の存在価値を感じさせ、看護師としてのモチベーション向上にもつながります。
病児保育で働く看護師のデメリット
病児保育で働く看護師にはメリットがある一方で、次のデメリットもあります。
- 医療行為が少なくスキル維持が難しい
- 少人数での業務になり負担が偏りやすい
- 急なキャンセルや受け入れ調整の大変さ
転職前にこれらの課題を把握し、対策を考えておくことが後悔しないためには大切です。
医療行為が少なくスキル維持が難しい
病児保育での看護師のおもな業務は健康観察や保育サポートです。そのため、注射や点滴といった医療行為をする機会が少ない傾向です。
たとえば、急性期病棟での経験が長い看護師は、医療手技のスキルが鈍ってしまうのではないかと不安を感じるかもしれません。
スキルを維持したい場合は、定期的に研修に参加したり、関連施設での経験を積んだりするなど、自分で学び続ける努力をする必要があります。
また、病児保育の施設がクリニック併設型の場合、クリニックの業務を並行しておこなうこともありスキルの維持や小児科領域の学びが深まるでしょう。
少人数の業務になり負担が偏りやすい
病児保育によっては、看護師の配置が1名体制や少人数である場合があり、業務やその責任が集中しやすい現状です。運営コストや施設の規模によって人員配置が制限されることがあるようです。
実際に、複数の子どもを同時に看る場合や、子どもの体調が悪化した場合、同時に対応することになり、精神的なプレッシャーを感じやすくなるでしょう。
求人に応募するときに、看護師の配置体制と、医療機関や医師との連携体制について確認しておくと安心です。
急なキャンセルや受け入れ調整の大変さ
病児保育は、子どもが体調不良になった際に利用されるため、予約のキャンセルや急な受け入れが生じやすく、スケジュール調整が難しいことがあります。
定員がいっぱいで受け入れが難しい場合、保護者からの切実な要望を断らなければならない場合もあるでしょう。利用調整や連絡対応に追われることも多く、柔軟な対応が求められがちです。
病児保育の看護師に向いている人の特徴
次の特徴に当てはまる人は、病児保育の看護師に向いているでしょう。
- 子どもが好きで柔軟に対応できる
- 小さな体調変化を見逃さない観察力がある
- 保護者への説明や相談が得意
これらの特徴は、病気の子どもとかかわり、不安な保護者をサポートするために重要です。該当しないからという理由で、向いていないとは限りません。自分の性格やこれまでの経験と照らし合わせて考えてみましょう。
子どもが好きで柔軟に対応できる
病児保育の看護師は、病気で機嫌が悪い子どもにも優しく、柔軟に対応できる人が向いています。病気の子どもは普段と違って甘えたり、泣いたりすることが多く、予測できない行動をすることもあります。
たとえば、お薬を飲んでくれない子どもにはただ叱るのではなく、遊びの要素を取り入れたり、別の方法を試したりと、子どもの状況に合わせて対応を変える工夫が必要です。
小さな体調変化を見逃さない観察力がある
病児保育では、小さな体調の変化を早期にキャッチできる観察力を持った人が活躍できます。特に乳幼児や病気の子どもは、自分の状態をうまく言葉で伝えられないことがあり、体調が急に悪化するリスクもあるからです。
具体的には、遊び方や表情、呼吸の変化など、わずかなサインも見逃さず、迅速に対応できる冷静さが求められます。
保護者への説明や相談が得意
病児保育の看護師には、保護者の不安に寄り添いながら、子どもの状況をわかりやすく説明したり、育児相談に乗ったりするのが得意な人が適任です。保護者の不安に寄り添い、親身になって話を聞く姿勢が求められます。
たとえば、体調が回復した子どもに、家庭でどのようなことに注意して過ごすと体調悪化を防げるかを伝えられる説明能力が必要です。専門的な話を誰にでも理解できるように伝える力が、病児保育の看護師として保護者からの信頼を得るために大切です。
病児保育で働く看護師に必要な資格や経験
病児保育で働く看護師は、看護師免許以外の特別な資格は必須ではありません。
ただし、小児看護の経験があれば、子どもの病態理解に慣れているため、即戦力として期待されます。また、保育園での経験があると、子どもへの対応が慣れているため採用されやすいでしょう。
病児保育の看護師の求人を探すコツ
ここでは、病児保育の看護師の求人を探すコツを紹介します。
- ハローワークや自治体の求人を探す
- 求人サイトに登録して非公開求人を探す
- 保育園や病院併設型の求人を探す
病院勤務の求人と比べると、病児保育の求人は少ない傾向です。また、病児保育の運営形態が多様で、求人の出し方も異なるため、複数の方法を組み合わせることで、希望に合った職場を見つけやすくなります。
ハローワークや自治体の求人を探す
病児保育は、自治体が運営しているケースや、公的な補助を受けているケースが多く、ハローワークや自治体のホームページに求人が掲載されることがあります。
地元の病児保育を探す場合は、市区町村の広報やホームページを確認すると、地域に特化した情報を得られるでしょう。
求人サイトに登録して非公開求人を探す
病児保育の求人サイトに登録することで、一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえる可能性があります。人気の求人や急募の求人は、応募が殺到するのを避けるため、非公開で募集される場合があるからです。
求人サイトの担当者に、病児保育を希望していることを伝えておくと、希望条件に合う新しい求人情報を逃さず得られます。
保育園や病院併設型の求人を探す
保育園や病院の運営の一環として病児保育を提供している場合、単独の施設としてではなく、認可保育園や病院に併設されていることもあります。
一例として、病院併設型の病児保育であれば、医師と連携が取りやすいかもしれません。求人情報を見る際は「病児保育施設」「病後児保育」といったキーワードだけでなく「保育園」や「病院」の求人情報内もチェックすることで、自分の希望や条件に合った求人を見つけられるでしょう。
病児保育以外のおすすめの職場
病児保育以外で、ワークライフバランスを重視しながら子どもへのケアの経験を活かしたい看護師には、次の職場がおすすめです。
- 小児特化型訪問看護ステーション
- 小児科クリニック
- 特別支援学校
小児特化型訪問看護ステーションは、子どもの訪問看護を行っている職場です。オンコール対応が必要なところもありますが、基本的には日中の勤務で夜勤がありません。病児保育と同様に、日勤帯の勤務が多く、生活リズムを整えたい看護師に向いています。
関連記事:小児科看護師の仕事内容8選!1日の流れや向いている人の特徴を紹介
病児保育の看護師についてのよくある質問
ここでは、病児保育の看護師について、よくある質問とその回答を紹介します。
Q1:病児保育では看護師は何名配置されていますか?
病児保育施設の看護師の配置人数は、1名から2名体制の施設が多い傾向です。
しかし、内閣府「病児保育事業」によると看護師1名以上の配置が義務であり、常時2名以上の看護師が配置されているとは限りません。(配置の職種は看護師等)また、施設の規模や運営形態、その日の利用人数によっても看護師の配置人数は異なります。
看護師が常勤で何名いるのか、看護師が不在になる時間帯があるのかどうかなど確認することで、1人で対応しなければならないというプレッシャーを軽減できるでしょう。
Q2:病児保育を辞めたいと感じる理由は何ですか?
病児保育の看護師が辞めたいと感じる理由には、次のことが挙げられるでしょう。
- 医療行為の少なさによるスキル維持への不安
- 少人数体制による責任や負担の重さ
- 急な利用者の増減による業務の不安定さ
これらは、病児保育特有の環境や、病院とは異なる業務内容が原因です。転職前に、デメリットを把握し、自分に合っているか検討することが長く働き続けるために大切です。
Q3:新卒看護師でも病児保育で働けますか?
新卒看護師でも病児保育で働ける可能性はありますが、多くの施設ではある程度の臨床経験を求める傾向にあります。
というのも、病児保育が基本的に看護師1~2名体制になることが多く、少ない人数で緊急時の対応や病状判断をおこなう必要があるからです。
もし新卒で病児保育への転職を考えているなら、研修制度が充実している施設や、先輩看護師が複数配置されている施設を選ぶと安心です。まずは小児科など、子どもに関する分野で臨床経験を積んでから転職するのも良いでしょう。
病児保育の看護師はやりがいある仕事!子育てと両立したい看護師におすすめ
病児保育の看護師は、夜勤がなく規則正しい生活を送れること、保護者から感謝される機会が多いことなど魅力がある仕事です。子育てと仕事の両立を目指す看護師にとって、病児保育はやりがいを感じやすいでしょう。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
