新人看護師のノートの作り方5ステップ!病気・業務別のポイントとおすすめを紹介

「毎日の業務についていけるか不安…」「急に質問されたら、うまく答えられるか心配…」
そんな不安を抱えながら現場で奮闘している新人看護師さんは、あなただけではありません。覚えることが多いからこそ、**“自分だけのノート”**を持つことが、安心して働く第一歩になります。
このページでは、新人看護師が仕事の中で学んだことを効率よく整理・定着させるためのノートの作り方を5つのステップでわかりやすく紹介します。
病気やケアの知識、日々の業務内容をスッキリまとめて、自信を持って現場に立つためのヒントを見つけてください。
新人看護師のノートの作り方5ステップ
新人看護師は日々の業務や先輩からの指導などで覚えるべきことが多く、うまくまとまらないと悩みがちです。しかし、ノートの作り方がわかれば、効率よく知識を整理できます。
- メモ用とまとめ用の2種類のノートを用意する
- 勤務中はメモを取ることを優先する
- 勤務終了時に情報を整理して清書する
- 観察ポイントを図解や表でまとめる
- 定期的に見直してアップデートする
ここで紹介する5つのステップを実践して、自分だけのオリジナルのノートを作り、日々の業務に活かしましょう。
1. メモ用とまとめ用の2種類のノートを用意する
新人看護師のノート作りには、メモ用とまとめ用の2種類のノートを用意することがポイントです。勤務中は患者さまの対応やケアに追われ、ゆっくりまとめる時間はありません。
業務中はポケットサイズの小さなノートに必要な情報だけを簡単に書き留め、家に帰ってから大きめのまとめ用ノートに見やすく整理すると分かりやすいでしょう。
2. 勤務中はメモを取ることを優先する
勤務中は、メモを取ることに集中しましょう。患者さまのケアやナースコール対応などで忙しいことに加え、処置や介助のコツといった大切な情報が次々に入ってくるからです。
その場できれいに書こうとすると、メモが追いつかず、重要な情報を逃してしまう恐れがあります。
点滴の準備や処置の手順を先輩看護師から教わったときは、走り書きでメモ用ノートに書き留めるだけで十分です。色ペンを使い、手順は黒字、注意点は赤字、先輩看護師の助言は青字にするなどの工夫をすることもおすすめです。
3. 勤務終了時に情報を整理して清書する
勤務中に走り書きしたメモは、後から読むと意味がわからなくなることがあるため、勤務後にメモを見直し、順序や内容を整理して清書することが大切です。
清書のタイミングは勤務終了後が理想ですが、休憩中や空いた時間に見返して整理しても構いません。できるだけ早い段階でまとめ直すことが忘れる前に理解を深めるコツです。
一例として、胸腔ドレーン挿入の介助の見学をする際、メモ用ノートに「必要物品:胸腔ドレーンのキット、イソジン、セッシ、ガーゼ」とだけ書いたとします。これだけでは、後日、見返したときに物品しかわかりません。
清書の際に「胸腔ドレーン挿入の介助は、まず患者さまに説明してから消毒する」と手順も踏まえて書くことで、処置のイメージをすぐに思い出せるノートにできるでしょう。
4. 観察ポイントを図解や表でまとめる
観察のポイントを整理するときは、文章だけで書くのではなく、図や表を使ってわかりやすくまとめるのがおすすめです。
たとえば、点滴の準備を学んだときは「物品」「手順」「注意点」を表にわけ、必要な物品は箇条書き、手順は番号を振ると整理され読みやすくなります。
さらに、注射部位の角度や位置をイラストに描いておけば、見返したときに処置のイメージがすぐ浮かぶようになります。図や表を取り入れることで、複雑な内容もひと目で理解できるノートが完成します。
5. 定期的に見直してアップデートする
ノートは書いたら終わりではなく、定期的に見直して新しい情報を書き足すことが大切です。
たとえば、初めて担当した患者さまで学んだことをまとめ、別の患者さまを受け持ったときに新しい症状やケアの工夫を発見したら、同じページに追記します。こうすることで、経験が積み重なり、理解が深まります。
また、先輩から「このケアはもっとこうすると良いよ」とアドバイスをもらったら、忘れないうちにノートに追加しておきましょう。ノートを繰り返しアップデートすることで、自分の成長を実感でき、次のケアにもすぐ活かせるようになります。
新人看護師のノートの作り方【病気別ノート】
先述した通り、ノートは「持ち歩き用のポケットサイズのノート」と「清書してまとめる大きめのノート」の2種類を用意することをおすすめしました。この中の「清書してまとめる大きめのノート」を、さらに「病気別ノート」「業務別ノート」の2つにわけましょう。どのページに何があるかがわかりやすくなり、必要な知識をすぐに確認することができます。
ここでは、病気別ノートをうまく作るポイントを紹介します。
【病気別ノート】
- 基本情報をまとめる
- おもな治療と処置を整理する
- ケアのポイントを書き出す
- 自分なりの学びや気づきを追記する
これらのポイントを押さえて、自分だけのオリジナルノートを作成して、患者さまの病状の理解に活かしましょう。
基本情報をまとめる
病気別のノートには、患者さまの病態を素早く理解するため、基本情報をまとめましょう。たとえば、次の情報を書き出してください。
- 病名
- 病気の原因
- おもな症状
この3つを押さえておくと、患者さまの状態を理解しやすくなります。さらに、関連する検査や正常値も一緒に書いておくと、日々の観察で変化に気づきやすくなります。
ただし、注意すべきこととして以下の内容はノートに記載しないようにしましょう。
・患者さまの氏名
・患者さまの住所や電話番号
・患者さまのご家族の氏名
これらは万が一、ノートを紛失した際に患者さまの個人情報が漏洩する恐れがあるからです。情報の管理には注意してノートを作成しましょう。
おもな治療と処置を整理する
病気別ノートには、その病気に対しておこなわれる治療や処置をまとめましょう。正確な治療を理解し、安全に業務をおこなうためです。
病棟によって治療方法や使用する薬剤、ケアの方法などが違うことがあります。自分の職場でおこなわれている方法や使う薬剤、処置の手順をメモするのがポイントです。
処置で使う物品もリストアップしておけば、いざというときに慌てなくてすみます。
ケアのポイントを書き出す
病気ごとのケアの工夫もノートに書き出しましょう。患者さま一人ひとりの病状に合わせたケアを提供するためです。
たとえば、呼吸器系の病気では、痰の喀出を促す方法や、体位ドレナージのポイントなどを具体的にまとめます。食事や清潔ケアで注意する点も書いておくと、実際の業務で迷わずに行動できます。
自分なりの学びや気づきを追記する
病気別のノートには、自分なりの学びや気づきも追記しましょう。
たとえば、先輩から「この患者さまは、〇〇という症状が出やすい」とアドバイスをもらったらすぐに記録します。また、自分が工夫して成功したケアの方法や、患者さまの反応から気づいたことを追記することで、自分だけの知識としてノートを活用できるはずです。
新人看護師のノートの作り方【業務別ノート】
次に、業務別ノートの作り方を紹介します。
【業務別ノート】
- 業務の目的を明らかにする
- 必要な物品をリストアップする
- 手順を詳しく書き出す
- 注意点やリスクを書く
業務の目的や手順を明らかにすることで、効率よく業務をこなし、自信をつけられるでしょう。
業務の目的を明らかにする
業務別のノートをまとめる際は、まず業務の目的を明らかにしましょう。
たとえば、清拭では「身体を拭く」だけでなく「患者さまの身体を清潔に保ち、感染を予防する」といった目的を書き出すと、患者さまのためのケアであることを意識できます。
必要な物品をリストアップする
業務ごとの必要な物品をリストアップしましょう。
採血を例にすると、シリンジや針、アルコール綿などの物品をリスト化します。準備の段階で忘れ物がないかを確認でき落ち着いて処置に臨めます。
文章ではなく、箇条書きやチェックボックスを活用した書き方をすることで、後で見返す際にみやすくなります。
手順を詳しく書き出す
業務を正しくおこなうために、手順を番号つきで書き出しましょう。
たとえば、吸引なら
1.患者さまに説明する
2.吸引圧を確認する
3.カテーテルを挿入する
といった順序を整理しておきます。これで、いざというときにノートを見返せば、正確な手順で業務を実施できます。
注意点やリスクを書く
患者さまの安全を守り、インシデントを防ぐため、業務別ノートには注意点やリスクも書きましょう。
たとえば、薬剤を投与する場面では、投与量や投与速度、副作用の観察ポイントなどを詳しく整理します。先輩看護師からもらったアドバイスを追記すると、リスクを避けられ、安全に業務をおこなえます。
新人看護師がノートを作るメリット
ここでは、新人看護師がノートを作るメリットを紹介します。
- 悩みを解決できる
- 知識とスキルが定着する
- 先輩看護師と情報共有しやすくなる
ノート作りを習慣にすれば、日々の学びが積み重なり、自信を持ってケアに取り組めるようになります。
悩みを解決できる
ノート作りは、新人看護師が抱えやすい悩みを解決する助けになります。日本看護協会の調査によると、新卒看護師が退職する理由は次のとおりです。
退職理由 | 割合 |
健康上の理由(精神的疾患) | 52.5% |
自分の看護職員としての適性への不安 | 47.4% |
自分の看護実践能力への不安 | 41.6% |
上司・同僚との人間関係 | 29.8% |
他施設への関心・転職 | 21.8% |
ノートに疑問や学びを書き留めておけば、同じ壁にぶつかったときにすぐに見返して解決できるため、自分の適性や能力への不安を抱えなくても済むかもしれません。
また、看護師1年目で感じるつらさや悩みを乗り越える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:看護師1年目でつらい時期はいつ?つらくなる5つの理由と乗り越え方
知識とスキルが定着する
ノートを作ることは、知識やスキルをしっかりと身につけるためにも効果的です。
たとえば、勤務中にメモした内容を家に帰ってから清書したり、関連する情報を書き加えたりすると、情報をインプットするだけでなく、アウトプットする作業にもなります。自分の言葉で整理することで理解が深まり、記憶に残りやすくなります。
先輩看護師と情報共有しやすくなる
ノートを作成することで、疑問点をはっきりと示せるため、先輩看護師と情報共有しやすくなります。
先輩看護師にノートを確認してもらうことで、どのくらい学習が進んでいるのか、どのような処置を経験しているのかを把握できるため、理解度に合わせたアドバイスがもらえるでしょう。中には、教育の一環として新人看護師が先輩看護師と“交換日記”のようにノートで交流することもあるようです。
さらに、ノートを通してやり取りが増えることで会話が増え、信頼関係を築くきっかけにもなります。
新人看護師のノート作成のよくある失敗例
せっかくノートを作っても、その方法が間違っていると、見返すことができず、ただの情報の羅列になってしまいます。ここでは、新人看護師が陥りがちな失敗例を紹介します。
- 情報を詰め込みすぎて見返せない
- 何を書いているのかわからない
- 書きっぱなしで新しい情報が追記されない
これらの失敗例を参考に、気をつけるべき点を把握できると、効率的なノート作りにつながるでしょう。
情報を詰め込みすぎて見返せない
ノートに情報を詰め込みすぎると、必要な情報を見つけ出せなくなります。
先輩看護師から受けたアドバイスをすべて書き写そうとしたり、教科書を丸写ししたりすると、どのポイントが重要かわからなくなってしまうのです。結果として、患者さまの病状の理解に活かせなくなる恐れがあります。
何を書いているのかわからない
急いでメモを取ろうとするあまり、殴り書きや略語ばかりで「自分でも何を書いているのかわからない」ノートになってしまうことがあります。
時間が経ってから見返しても意味がわからなければ、実際の業務で使えません。読み返したときに誰が見ても理解できる内容にまとめることが大切です。
書きっぱなしで新しい情報が追記されない
ノートを書きっぱなしにして、新しい情報を更新しないのも失敗の1つです。
新しい薬や治療法の知識を学んでも追記しなければ、情報が古くなってしまいます。定期的に見直して加筆することで、最新の知識が定着し、成長につながるノートになります。
新人看護師のおすすめのノート
ノートは毎日の学びや気づきを残せる、大切なアイテムです。使いやすいものを選ぶことで、効率的に記録でき、スキルアップにもつながります。ここでは、新人看護師におすすめのノート選びのポイントを紹介します。
ポケットに入れられて持ち歩きできるコンパクトサイズ
勤務中は思いがけず疑問点や学びが出てくるものです。その場ですぐに記録できるよう、ユニフォームのポケットに入るコンパクトなサイズのノートがおすすめです。
職場によっては、リング式のノートやメモ帳を禁止している場合もあるため、念のため先輩や上司へ持ち物のルールがあるか聞いておくと良いでしょう。
手元に常にノートがあれば、大切な情報を逃さず書き留められ、整理や復習もしやすくなります。
しっかりとした台紙
新人看護師は立ったままメモを取る場面が多いため、台紙が柔らかいと書きづらく感じることがあります。硬い台紙がついたノートを選べば、立ったままでも安定して記録できるでしょう。
また、勤務中はポケットからの出し入れや動きも多いため、ノートが傷みやすくなります。丈夫な台紙のノートであれば、日々の業務にも耐え、長く使い続けられます。
新人看護師のノートの作り方についてのよくある質問
新人看護師がノートを作るときに抱きやすい「よくある疑問」を整理しました。ひとつずつ解決しながら、自分の成長を支えるノート作りに活かしてみてください。
Q1:新人看護師がノートを作るときは紙とスマホ、どちらが良いですか?
新人看護師がノートを作る際は、紙のノートとスマホを使いわけるのがおすすめです。
勤務中にすぐに取り出せ素早くメモできる紙のノートが便利です。一方、スマホは勤務後に情報を整理して記録するのに向いています。また、タブレットをノート代わりに活用される看護師の方もいます。
自分のスタイルに合わせて活用することで、効率的に知識を整理できます。
Q2:病気別のノートはすべての病気をまとめた方が良いですか?
病気別のノートは、すべての病気をまとめる必要はありません。
まずは、受け持ちの患者さまの病気や、病棟で対象とすることが多い病気を記録しましょう。日々の業務に直結した知識が身につき、実践的に活用できます。
Q3:先輩看護師のノートを参考にして作っても良いですか?
先輩看護師のノートを参考にすることは、ノート作りのヒントを得られるため、良い方法です。
たとえば、先輩看護師のノートに書いてある情報のまとめ方や、図や表の活用方法を参考に、自分なりのノートを作ってください。ただし、先輩看護師の許可をもらい、丸写しをするのではなく、自分の言葉でまとめることが大切です。
自分の言葉でまとめることで、より理解が深まるでしょう。
新人看護師のノートの作り方を知って知識やスキルを高めよう!
ノートは、新人看護師にとって日々の業務で得る知識やスキルを整理し、自分の力にするための大切なツールです。
ノートを上手に活用すれば、日々の学びがより深く定着し、自信をもって仕事に取り組めます。一つひとつの業務やケアに真剣に向き合い、看護師としての確かな一歩を踏み出すための大切なノートになるでしょう。
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<参考サイト・文献>

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