看護師は保険に入るべき?検討すべき5つの理由と看護師賠償責任保険制度を解説

公開日:2025/10/06 更新日:2025/10/06
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看護師は、人の命を預かる専門職であり、日々の仕事の中でさまざまなリスクに直面しています。
たとえば、自分自身が病気やケガで入院・手術を受けるリスク、長期的に働けなくなり収入が減少するリスク、そして医療事故によって損害賠償を請求されるリスクなどです。

こうした不安に備えるためには、医療保険・就業不能保険・看護職賠償責任保険といった複数の保険を理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

本記事では、看護師が保険を検討すべき理由と、主な保険の種類についてわかりやすく解説します。

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看護師が保険を検討すべき5つの理由とは?

看護師が保険を検討すべき理由は、特有の業務内容や働き方にあります。ここでは、おもな5つの理由を解説します。

  • 病気やケガで働けなくなったときに収入減少リスクが大きい
  • 夜勤や過労による体調不良が起こりやすい
  • 職場の福利厚生だけでは十分にカバーできない
  • 腰痛や針刺し事故など看護師特有のリスクがある
  • 万が一の医療事故に備える必要がある

これらのリスクは、看護師であれば誰にでも起こりえます。万が一の事態に備え、自分や家族の生活を守るために、保険を考えておくことが大切です。

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病気やケガで働けなくなったときに収入減少リスクが大きい

病気やケガで働けなくなった場合、収入が大きく減るリスクがあります。医療費の負担が増えるうえ、休業補償だけでは生活費をまかなえないかもしれません。

たとえば、手術が必要な病気になり、長期入院と自宅療養で3ヶ月間仕事を休むことになったとします。この間、給料は出ないケースが多く、加入している健康保険からの傷病手当金だけでは、生活費や治療費をまかなうのは難しいでしょう。

看護師に限らず、自分の収入だけで生活している方にとって、働けなくなったときのリスクに備えることは大切です。

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夜勤や過労による体調不良が起こりやすい

看護師は、夜勤や過労によって体調不良が起こりやすい職種の1つです。

夜勤があることで睡眠時間が不規則になり、自律神経が乱れて体調を崩してしまう看護師もいます。また、メンタルヘルスに不調をきたす方も少なくありません。実際に、日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」によると、傷病で7日以上の休暇を取得した看護職員(正規雇用)がいた病院は86.5%で、そのうち76.1%がメンタルヘルス不調者であったと回答しています。

看護師の仕事は、体力的、精神的に負担が大きくなりがちであるため、万が一に備えておくことが重要です。

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職場の福利厚生だけでは十分にカバーできない

職場の福利厚生だけでは、看護師特有のリスクに十分に備えられない場合があります。

たとえば、休業時の給料補償があっても、長期間になると補償期間が終わったり、もらえる金額が減ったりするかもしれません。そのため、個人的な保険で不足分を補う必要があります。

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腰痛や針刺し事故など看護師特有のリスクがある

看護師は患者さまを介助したり、注射器や針を扱ったりする機会が多く、腰痛や針刺し事故など仕事に特有のリスクがあります。

身体の大きな患者さまを動かす際に腰を痛めてしまい、仕事ができなくなるかもしれません。厚生労働省「令和2年業務上疾病発生状況」によると、保健衛生業の腰痛発生件数は1,944件と、過去最高件数を更新しています。また、看護師には採血や点滴ラインの確保、血液培養の採取などの場面で針刺し事故のリスクもあります。

看護師特有のリスクに備えることも、保険を検討するうえで大切です。

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万が一の医療事故に備える必要がある

医療事故は、どれだけ注意していても、ヒューマンエラーとして起きてしまう可能性があります。経験年数に関係なく、常に一定のリスクがあることを理解しておく必要があります。

薬の投与量を間違えたり、患者さまが転倒したりなど事故が起こり患者さまに損害を与えた場合、看護師が高額な賠償金を請求されるかもしれません。具体的には、次のような事例で損害賠償や弁護士費用を請求される恐れがあるとされています。

想定事例職種請求額
分娩時に医療ミスが起こり子どもに後遺症が残った助産師2,000万円(損害賠償金)
気管カニューレの交換がスムーズにできず患者さまが死亡した特定行為ができる看護師1,000万円(損害賠償金)
救急で運ばれてきた患者さまが死亡した看護師100万円(弁護士費用) ※補償限度額に基づいた想定事例
参考:看護職における賠償責任保険の意義|日本看護協会

これらの医療事故のリスクに備えるためにも、保険への加入は検討すべきでしょう。

関連記事:看護師がミスで落ち込むときのNG行動5つ!対処法を知って乗り越えよう

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看護師が保険を選ぶときのポイント

ここからは、看護師が自分に合った保険を選ぶときのポイントを紹介します。

  • 補償内容が充実しているか
  • 月々の保険料はお手頃か
  • 職業による制限はないか
  • 職場の福利厚生との兼ね合いは考えられているか
  • ライフイベントを考慮できているか

これらのポイントを確認することで、本当に必要な保険が見つかります。リスクに備えることで、将来への不安を減らせるでしょう。

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補償内容が充実しているか

補償内容が自分のニーズに合っているか、充実しているかを確認しましょう。必要な補償がカバーされていないと、いざというときに役に立ちません。

たとえば、医療保険であれば、入院給付金だけでなく、手術給付金や先進医療特約がついているか、といった点を確認しましょう。また、就業不能保険であれば、どのような病気やケガが補償対象になるか、どのくらいの期間給付金を受け取れるか、といった点も重要です。

自分の働き方や将来のライフプランに合わせて、必要な補償を選んでください。

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月々の保険料はお手頃か

月々の保険料が無理なく支払える金額かを確認することも保険を選ぶうえで欠かせません。保険料の支払いが負担になると、加入しても続けられなくなる恐れがあります。

ただし「保険料が安いから」という理由だけで決めるのは避けましょう。補償内容が不十分だったり、更新のたびに保険料が大幅に上がったりする恐れもあります。

年間をとおして問題なく支払える金額で、必要な補償が受けられる保険を選ぶことが大切です。

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職業による制限はないか

看護師という職業によって、保険加入に制限がないかを確認しましょう。看護師の仕事が危険な業務と判断され保険に加入できなかったり、ほかの職種と比べて保険料が高くなったりするケースもあるようです。

多くの保険会社では、看護師でも加入できる保険を用意しているため安心して探せます。

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職場の福利厚生との兼ね合いは考えられているか

職場の福利厚生と個人で加入する保険の兼ね合いを考えて選ぶことも重要です。というのも、職場の福利厚生でカバーされている部分に、重複して加入するのを避けるためです。

職場が団体で加入している保険がある場合、病気やケガで休業した際の給付金や、医療費の一部を補償できるかもしれません。この場合、個人で加入する保険は、職場ではカバーしきれない部分を補うように選ぶと良いでしょう。

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ライフイベントを考慮できているか

結婚や出産などのライフイベントを考えて保険を選びましょう。

将来的に結婚や出産を考えている場合、女性特有の病気に備える特約や、出産時に入院給付金が受け取れる保険を検討するのも一手です。

また、子どもが生まれた場合は、教育費や自分が働けなくなったときのことも考える必要があります。将来のライフプランに合わせて保険を見直すことで、必要な保障を確保できます。

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看護師におすすめの保険の種類

万が一に備えるために、看護師におすすめの保険の種類を紹介します。

  • 医療保険
  • 就業不能保険
  • 看護職賠償責任保険制度

それぞれの保険が持つ役割を理解し、自分に必要な保険を選びましょう。

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医療保険

病気やケガで入院したり手術をしたりした場合の医療費に備えるには、医療保険がおすすめです。入院日数や手術の種類に応じて給付金が支払われます。

虫垂炎で2週間入院し手術をした場合、入院給付金と手術給付金が支払われる可能性があります。公的な健康保険だけではまかなえない、差額ベッド代や食事代、先進医療にかかる費用などを補えるため、治療に専念できる環境を整えられるでしょう。

※補償内容は保険会社や契約によって異なり、先進医療費用の補償には特約が必要です。

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就業不能保険

病気やケガで長期的に働けなくなったときの収入減に備えるには、毎月決まった金額の給付金を受け取れる就業不能保険を選ぶと良いでしょう。

たとえば、メンタルヘルス不調で長期間休職した場合、就業不能保険に加入していれば、長期間にわたり給付金を受け取れる場合があります。看護師の万が一のときに生活を支えられる保険です。

ただし、就業不能の定義や待機期間、対象となる病気・ケガは保険会社によって異なるため、事前に確認することが大切です。

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看護職賠償責任保険制度

医療事故を起こしてしまったときのリスクに備えるには、看護職賠償責任保険制度が有効です。医療行為によって患者さまに損害を与えてしまった場合、損害賠償金を補償してもらえるでしょう。

この保険に入っていると、高額な賠償金の一部または全額が補償され、自己負担の軽減に期待できます。

ただし、故意による行為や補償範囲外の業務は対象外となるため、加入前に補償内容を確認することが重要です。

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看護師のための「看護師賠償責任保険制度」について

看護師賠償責任保険制度は、看護師特有のリスクに備える専門的な保険です。ここでは、その詳しい内容を解説します。

  • 看護師賠償責任保険制度とは
  • 看護師賠償責任保険制度の加入率と背景
  • 補償の対象となる業務

近年では患者さまの権利意識が高まっており、医療事故による訴訟のリスクも否定できないため、個人での備えも重要です。

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看護師賠償責任保険制度とは

看護師賠償責任保険制度とは、看護師が業務中に医療事故を起こし、患者さまに損害を与えてしまった場合に、損害賠償金を補償する保険です。日本看護協会も取扱団体の1つです。

基本的に、看護師の業務は医師の指示のもとでおこなわれるため、医療事故については病院や医師が責任を負います。しかし、看護師が訴訟の対象になるケースもあり、個人で賠償金を支払わなければならないかもしれません。

保険に加入していれば、これらのリスクに備えられます。

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看護師賠償責任保険制度の加入率と背景

看護師賠償責任保険制度の正確な加入率は公表されていません。

ただし、医療事故リスクの高まりや医療現場でのタスクシフト・タスクシェアが進んでいることから、この保険への加入を検討する看護師が増えている傾向があります。

2014年には特定行為研修が創設され、2021年には医師の働き方改革に向けた法律が改正されました。

医療現場での責任の重さを自覚し、万が一の事態に備えるために、この保険に加入する看護師が増えているといえます。

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補償の対象となる業務

看護師賠償責任保険制度の補償の対象となる業務は、次のとおりです。なお、下記の表は日本看護協会が取り扱う保険を参考にしています。

補償内容事故例1事故あたりの補償限度額
対人賠償薬剤の投与を間違え、患者さまが傷害を負った5,000万円(補償期間中1億5,000万円まで)
対物賠償患者さまのパソコンを落として故障させた100万円(補償期間中100万円まで)
人格権侵害患者さまとの会話で名誉を傷つけられたと訴えられた5,000万円(補償期間中5,000万円まで)
法律相談費用患者さまからセクハラを受け弁護士に相談した10万円(補償期間中30万円まで)
弁護士費用患者さまから暴力行為を受けて弁護士に対応を委託した100万円(補償期間中100万円まで)
参考:看護職賠償責任保険制度|日本看護協会

これらの事故例は参考事例であり、必ず保険金が支払われるわけではありません。補償の範囲は保険会社によって異なるため、加入前に補償内容をしっかり確認してください。

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看護師の保険についてのよくある質問

看護師の保険についてのよくある質問をまとめました。

Q1:新人看護師でも保険に加入すべきですか?

新人看護師でも、保険への加入を検討すべきです。病気やケガをしたり、医療事故を起こしたりするリスクは、経験年数を問わず誰にでもあるからです。

新人看護師は、業務や判断に慣れていないことから、医療ミスを起こすリスクが高まる傾向があります。そのため、万が一に備えて早めに保険加入を検討するのがおすすめです。

Q2:看護師は夜勤をしているから保険料は高くなりますか?

看護師だからといって、必ずしも保険料が高くなるとは限りません。

一般的に、夜勤の有無で保険料が変わるのではなく、看護師の健康状態によって保険料が決まるからです。

しかし、保険のなかには、夜勤による健康リスクを考慮して、保険料が割増になる場合もあるため、いくつかの保険会社を比較検討してみましょう。

Q3:会社の保険と個人の保険、どちらを優先すべきですか?

会社の保険を優先し、不足分を個人の保険で補うのが良いでしょう。会社の保険は、基本的な保障をカバーしており、保険料が抑えられていることもあるからです。

会社の保険で足りない部分を補うことで、無駄なく必要な保障を確保できます。

Q4:パートや派遣でも保険に加入できますか?

パートや派遣として働く看護師でも、加入可能な保険商品は多数あります。

ただし、勤務日数や収入状況によっては、加入条件が異なる場合があるため、申し込み前に保険会社に確認しましょう。

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看護師には特有のリスクがあるから保険への加入は検討すべき!自分の状況に合った保険を選ぼう

看護師の仕事には、他の職業にはない特有のリスクがあります。病気やケガ、医療事故など、いつ何が起こるかわからないからこそ、保険への加入を検討することが大切です。

自分の状況に合った保険に加入することで、仕事にも安心して向き合えます。

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<参考サイト・文献>

2022年病院看護・助産実態調査報告書|日本看護協会

令和2年業務上疾病発生状況|厚生労働省

看護師の腰痛に関する文献検討と腰痛予防・改善に向けた今後の課題, 日本看護研究学会雑誌,2023, 46.

特定行為研修|日本看護協会

役割分担(タスク・シフト/シェア、看護補助者)|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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