新人看護師の5つの悩みと対処法!辞めたい気持ちを乗り越えて成長するコツ

「思っていたより現場は厳しい…」「私、看護師に向いていないのかも」
新人看護師として働き始めると、理想と現実のギャップに戸惑うことが少なくありません。夜勤の緊張、急変時の対応、先輩との関係――日々のプレッシャーに押しつぶされそうになり、「辞めたい」と感じてしまうこともあるでしょう。
でも安心してください。その悩み、あなただけではありません。
多くの新人看護師が同じ壁にぶつかりながらも、一歩ずつ成長を重ねています。
この記事では、新人看護師が抱えやすい5つの悩みとその乗り越え方、そして理想の看護師に近づくためのヒントを紹介します。今つらさを感じているあなたにこそ届けたい、明日への一歩を支えるガイドです。
新人看護師が直面する5つの悩み
新人看護師が直面する悩みには、共通するものが多くあります。
- 先輩看護師や同僚との人間関係が難しい
- 仕事が覚えられず焦る
- 夜勤や急変対応が不安である
- ミスや失敗が怖い
- 看護師に向いていないかもしれないと不安である
これらの悩みを把握することで、心の準備ができ、対処法を見つけやすくなります。新人看護師が多く抱える代表的な悩みを5つ解説します。
先輩看護師や同僚との人間関係が難しい
新人看護師が直面する悩みの1つとして、先輩や同僚との人間関係があるでしょう。とくに、就職したばかりの1~2か月頃は、先輩看護師や同僚とどのように接すると良いのかわからず、ストレスを感じることが少なくありません。
たとえば、受け持ち患者さまの点滴が詰まってしまい先輩に報告しようとしたものの、忙しそうな姿を見て声をかけられない場合があります。新人看護師が自信をなくし、仕事へのモチベーションを失う原因になりがちです。
仕事が覚えられず焦る
仕事が覚えられず、周囲についていけないと悩む新人看護師は多い傾向です。学生時代と異なり、臨床現場では多くのケアや処置をこなさなければなりません。
複数の患者さまから同時にナースコールが鳴り、何を優先すべきか判断に迷ったり、採血や点滴のルート確保、導尿などの処置がうまくいかなかったりして自信をなくすこともあります。
これらの経験が重なると、新人看護師が自己嫌悪に陥り「辞めたい」「つらい」と感じやすくなります。
夜勤や急変対応が不安である
夜勤や急変対応への不安も新人看護師の悩みです。夜勤中は少人数で業務にあたります。
夜勤中に患者さまの急変が起こり、先輩がほかの業務で手が離せない状況だと、1人で初期対応する必要があるかもしれません。
また、急変時のコールが鳴った際、どう動けば良いのかわからず、頭が真っ白になってしまうこともあるでしょう。
ミスや失敗が怖い
新人看護師は、ミスや失敗を恐れるあまり消極的になってしまうことがあります。些細なミスが患者さまの命にかかわる可能性を想像すると、プレッシャーを感じるからです。
薬剤の準備中に似た名前の薬剤を手に取ってしまいヒヤリハットを経験するケース、ベッドから車椅子への移乗がうまくできずに患者さまに迷惑をかけるケースなどがあります。
ミスや失敗への恐怖心は、新人看護師が自信を失い、成長を妨げるでしょう。
看護師に向いていないかもしれないと不安である
自分の不器用さを感じたり失敗が続いたりすると「看護師に向いていないかもしれない」と思いがちです。
同期と比べて業務の習得が遅く、焦りや劣等感を抱いてしまうこともあるでしょう。また、患者さまやご家族からの厳しい言葉やクレームを受けることで、看護師としての適性を疑うきっかけになるかもしれません。
自己肯定感の低下は、新人看護師が自分のキャリアに不安を感じる原因の1つです。
関連記事:新人看護師のよくある悩みとは?悩んだときの対処法も解説
新人看護師が辞めたい気持ちを乗り越える方法
「辞めたい」という気持ちは、新人看護師なら誰でも感じるものです。このつらい気持ちを乗り越えるためには、適切な対処法を知ることが一番の近道です。
- 信頼できる同僚に悩みを相談する
- 先輩に効率的に仕事ができるコツを聞く
- 上司に面談してもらう
- リフレッシュする方法を見つける
- 転職を検討する
自分を見つめ直し、看護師として成長するための方法を見ていきましょう。
信頼できる同僚に悩みを相談する
辞めたい気持ちを乗り越えるには、信頼できる同僚に悩みを相談してみてください。同じ境遇にある同僚と悩みを共有すると、1人ではないと感じ、精神的な負担が軽くなります。
休憩時間や仕事終わりに、お互いの悩みを打ち明け合うことで、心の支えになります。話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になり、活力が湧いてくるでしょう。
一緒にランチや飲みに行くなどして、じっくり話をする時間を作ることがおすすめです。
先輩に効率的に仕事ができるコツを聞く
先輩に仕事の効率化のコツを聞くことで、業務の不安を減らせます。先輩は新人時代に同じように悩んでいるため、新人看護師の気持ちに寄り添いながらアドバイスしてくれるはずです。
たとえば「どういう点に注意してルート確保しましたか?」「患者さまの術後の経過を把握するコツはありますか?」と質問すると、実践的なアドバイスをもらえるでしょう。具体的なコツを学ぶことで、業務をスムーズに進められます。
「先輩が忙しそうで話しかけにくい」と感じることもありますが、先輩看護師は新人看護師からの相談を大歓迎だと思っているでしょう。
上司に面談してもらう
上司に面談してもらうことも、辞めたいという気持ちを乗り越える方法です。
具体的には、日勤での受け持ち患者数を減らしたり、夜勤の頻度を調整したり、先輩との関係を改善するための橋渡しをしたりしてもらえるでしょう。
看護主任や看護師長に相談することは勇気がいるかもしれませんが、自分の状況を正直に話すことで、問題解決に向けた具体的な支援を得られます。
リフレッシュする方法を見つける
辞めたい気持ちを乗り越えるには、リフレッシュする方法を見つけることが有効です。仕事とプライベートのバランスを保ち、ストレスを溜めないことが、長く働き続けるための秘訣だからです。
好きな音楽を聴く、美味しいものを食べるなど、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけましょう。休日は仕事から離れ、心と身体を休めることで「明日から頑張ろう」と思えるようになります。
転職を検討する
辞めたい気持ちが変わらず体調や精神的に限界を感じる場合は、転職も選択肢の1つとして考えてみましょう。日本看護協会によると、新卒看護師が退職した理由は次のとおりです。
退職した理由 | 割合 |
健康上の理由(精神的疾患) | 52.5% |
自分の看護職員としての適性への不安 | 47.4% |
自分の看護実践能力への不安 | 41.6% |
上司・同僚との人間関係 | 29.8% |
他施設への関心・転職 | 21.8% |
健康上の理由(身体的疾患) | 15.8% |
精神的、身体的な病気の理由から退職する新卒看護師が少なくないことがわかります。必ずしも転職することが解決の手段ではないですが、自分の適性に合った職場を見つけることで、悩みが解決し、やりがいを感じられるようになるかもしれません。
関連記事:新人看護師は転職できるの?1年目で退職する理由5つと転職成功のコツ
新人看護師が成長するためのコツ
新人看護師が悩みを乗り越え、成長するためには、業務にどのように取り組むかが重要です。ここでは、看護師として着実に成長するためのコツを紹介します。
- 1年後の目標を考えて業務に取り組む
- わからないことは先輩に質問する
- マニュアルや参考書を活用する
- 勉強会や研修会に積極的に参加する
新人時代は覚えることが多く大変ですが、これらのコツを実践することで、知識やスキルを効率的に身につけられます。成功体験を積み重ねることが、自信につながり、仕事へのモチベーションを維持するために大切です。
1年後の目標を考えて業務に取り組む
1年後の目標を考え、日々の業務に取り組むと、成長を実感しやすくなります。たとえば、次のような目標を立ててみてください。
- 受け持ち患者さまを6人担当できるようになる
- 胸腔ドレーンの処置介助に対応できるようになる
- 循環器内科の勉強会に月に1回参加して症状を理解できるようになる
目標を達成するためには何をすべきかが明らかになり、モチベーションを保てます。
わからないことは先輩に質問する
わからないことは先輩にぜひ質問しましょう。新人看護師は、わからないことがたくさんあって当たり前です。
新人看護師が「先輩に申し訳ない」「先輩はいつも忙しそう」という気持ちから質問をためらう場面は少なくありません。しかし、先輩にとって、わからないことを理解しないまま実施される方が不安なものです。
事前にマニュアルで調べたり、自分の考えを伝えたりしてから質問すると、学習意欲や積極的な姿勢を示すことにもつながり、先輩も親身になって教えてくれるでしょう。
マニュアルや参考書を活用する
マニュアルや参考書を積極的に活用すると、知識を深められます。
仕事中にメモした内容を家に帰ってから、部署のマニュアルで再確認したり、病棟でよく使われる薬剤や疾患について、参考書で予習したりすることも有効です。
ただし、患者さまの個人情報が含まれているマニュアルの取り扱いは十分に気をつけてください。日々の学習を積み重ねることで、少しずつ自信がついてくるはずです。
勉強会や研修会に積極的に参加する
勉強会や研修会に積極的に参加しましょう。最新の医療知識や技術を学べるだけでなく、ほかの病棟の新人看護師と交流する機会にもなるからです。
BLS(一次救命処置)研修では、心肺蘇生やAEDの使用方法を実践的に学べるため、急変対応への不安軽減につながります。また、研修では、グループワークでほかの病棟の新人看護師と話す機会があり、悩みを共有することで、自分だけがつらいわけではないと安心できます。
新人看護師が働きやすい職場の特徴
新人看護師が働きやすいと感じる職場には、共通する特徴があります。ここでは、新人看護師にとって理想的な職場環境を紹介します。
- 教育体制が充実している職場
- 風通しが良い職場
- 夜勤や残業が少ない職場
- 有給休暇を取得しやすい職場
安心して業務に取り組め、プライベートを充実させられる環境は大切です。仕事の不安を軽減し、心身の健康を保ちながら長く働き続けられるでしょう。
教育体制が充実している職場
教育体制が充実している職場は、新人看護師にとって働きやすい環境です。新人教育プログラムやOJT(On-the-Job Training)がしっかりしているため、安心してスキルを学べるからです。
プリセプター制度を導入している病院では、3~4年目くらいの先輩が専属でつき、業務の指導だけでなく、精神的なサポートもしてくれます。また、部署内で定期的に勉強会を開催している職場では、わからないことをその場で解消し、知識を定着させられます。
風通しが良い職場
風通しが良い職場は、人間関係に悩みにくい環境です。上司や先輩に気軽に相談できる雰囲気があるため、トラブルや悩みを1人で抱え込まずに解決できます。
「おはよう」「ありがとう」とあいさつや感謝の言葉が交わされている職場は、気持ち良く働けるでしょう。部署内の親睦会が開催されている職場は、業務時間外でもコミュニケーションが活発で、先輩や同僚との関係を深められます。
夜勤や残業が少ない職場
夜勤や残業が少ない職場は、新人看護師の負担を軽減できます。慣れない業務で疲労が溜まりやすいからこそ、仕事とプライベートのバランスを保てる環境は重要です。
たとえば、日勤のみのクリニックや訪問看護ステーションは、夜勤がなく、体力的な負担を減らせます。また、緊急入院が少ない療養型病院や介護施設なども、突発的な残業が少ないため、スケジュール管理をしやすいでしょう。
有給休暇を取得しやすい職場
有給休暇を取得しやすい職場は、リフレッシュしやすい環境です。まとまった休みを取ることで、仕事の疲れを癒し、モチベーションを維持できるからです。
たとえば、有給休暇の取得率が高い職場は、気兼ねなく休みを申請できる雰囲気があるといえます。年末年始やお盆などの長期休暇が取得しやすい制度がある職場は、旅行や帰省といったプライベートな予定も立てやすいでしょう。
新人看護師の悩みを乗り越えた先輩たちの体験談
ここでは、実際に悩みを乗り越えた先輩たちの体験談を紹介します。
体験談1:「最初は使えないと先輩にいわれてつらかった」
私は初めて配属された病棟で、同期がスムーズに業務に慣れていく姿を見て、自分に自信がなくなってしまいました。失敗があった業務は、次も同じことが起こらないようにとプレッシャーを強く感じて辛く、その気持ちを相談出来ないでいました。ある日の勤務で先輩から「最近元気がないように見えるけど、何か困っていることある?」と声をかけてもらいました。先輩の声掛けに思わず涙し、自分が思っていることや悩んでいることを聞いてもらえました。すると、先輩も同じようなエピソードを話してくれて「自分だけじゃないんだ」と前向きな気持ちになれました。 |
この体験談は、人間関係の悩みを乗り越えた例です。新人看護師が抱える不安は、先輩も経験している場合があります。相談することで、気持ちが楽になり、先輩との関係も良くなる可能性があります。
体験談2:「勇気を出して相談したら先輩との関係が変わりました」
業務に慣れてきた頃、自分の知識不足が原因で患者さまに迷惑をかけてしまうことがありました。先輩に相談しようとしましたが、忙しそうで声をかけられず、1人で悩んでいました。しかし、休憩時間に相談してみたところ、先輩はじっくり話を聞いてくれ、質問することの大切さを教えてくれました。それから、先輩とのコミュニケーションが円滑になり、仕事もスムーズに進むようになりました。 |
この体験談は、業務への不安を乗り越えた例です。勇気を出して相談することで、先輩との関係が深まり、日々の業務を円滑に進められるようになります。
体験談3:「夜勤のつらさを乗り越えた私のリフレッシュ方法」
夜勤の業務に慣れず、生活リズムが崩れてしまい、仕事に行くのが嫌になっていました。夜勤明けは食欲がなく、寝て過ごすことがほとんどでした。このままではだめだと思い、趣味だった料理や読書を再開することにしました。夜勤明けに無理のない範囲で好きなことを楽しむことで、気分がリフレッシュできました。 |
この体験談は、夜勤の負担を乗り越えた例です。夜勤は新人看護師にとって負担となりますが、仕事以外の時間に自分の好きなことをすることで、心身のバランスを保ち、長く働き続けられます。
新人看護師についてのよくある質問
新人看護師が抱える疑問や不安について、よくある質問にお答えします。
Q1:新人看護師が最初の1年で辞めるのは多いですか?
新人看護師が最初の1年で辞めることは、残念ながら決して珍しくありません。仕事内容や職場環境に不満を感じ、早期に転職を決意する人もいます。
日本看護協会「2024年病院看護実態調査」では、 新卒看護師の離職率は “年度内離職率”が 8.8%で、病床数が少ないほど離職率が高くなる傾向です。
教育体制が整っていたり、風通しが良かったりする職場を選ぶことで、新しい職場で長く働き続けられるでしょう。
Q2:新人看護師が1番つらい時期はいつですか?
新人看護師が1番つらいと感じる時期は、入職後3ヶ月から6ヶ月頃といわれています。
この時期は、新人研修が終わり、患者さまを新人看護師1人で担当したり、夜勤が始まったりなど本格的に業務を任されるようになるため、責任やプレッシャーを感じやすくなります。
Q3:新人看護師でメンタルが壊れてしまう人はいますか?
新人看護師でメンタル不調を抱えるケースもあります。
日本看護協会「2024年病院看護実態調査」によると、退職した新卒看護師について看護管理者が考える退職理由は「精神的疾患」が52.5%で最も多い現状です。
このデータはあくまで看護管理者が退職した新卒看護師の理由として考えているものです。
新人看護師は、慣れない環境や人間関係、ハードな業務から精神的な負担を感じやすく、メンタルヘルスに不調をきたす人もいます。1人で抱え込まず、信頼できる人に相談することが大切です。
新人看護師の辞めたい気持ちを乗り越えて理想の看護師を目指そう!
新人看護師は、誰もがさまざまな悩みを経験します。しかし、悩みを1人で抱え込まず、適切な対処法を知ることで乗り越えられます。
看護師の仕事は、患者さまやそのご家族の人生に寄り添う、やりがいのある仕事です。焦らず、自分のペースで成長し、理想の看護師を目指しましょう。
もし、あなたが夜勤や人間関係の悩みで「辞めたい」「つらい」と感じているなら、休んだり転職したりする方法もあるでしょう。たとえば訪問看護師は、夜勤がなく、基本的には日中メインの勤務で規則正しい生活が送りやすく、利用者さまとじっくり向き合える環境です。訪問看護師への転職を検討している方は、ぜひNsPaceCareerにご相談ください。訪問看護師に特化した求人サイトで、あなたの希望に合った求人を紹介します。
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<参考サイト>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。