看護師の異動の理由5つ!早く慣れるコツやストレスをポジティブにする方法

「異動の辞令が出たけど、どうして私が選ばれたんだろう…」「新しい部署でうまくやっていけるか不安…」
看護師として働いていると、異動は避けられないものです。異動は、スキルアップや人間関係のリセットといった前向きな側面もありますが、不安やストレスの原因になることもあります。
この記事では、看護師が異動になる理由やメリット・デメリット、新しい環境に早く慣れるためのコツを解説します。異動の不安を解消し、前向きな気持ちで新しいスタートを切るためのヒントにしてください。
看護師が異動になる理由5つ
看護師が異動になる理由は、病院や個人の状況によってさまざまです。代表的な理由は、次の5つです。
- 人数や経験年数などのバランスを調整するため
- 組織を活性化させるため
- 看護師本人が今の部署に馴染めないため
- 看護師本人の異動希望に応じるため
- キャリアアップを支援するため
異動は、どれか1つの理由に限らず、いくつかの要因が重なって決まることもあります。自分の異動理由がわかることで、新しい部署での働き方や目標が明らかになるでしょう。
人数や経験年数などのバランスを調整するため
病院は、各部署の看護師の人数やスキルの偏りを防ぐために、異動をおこないます。
たとえば、特定の部署にベテラン看護師が集中すると、ほかの部署のスキルが向上しない可能性があります。逆に、新人看護師や若手の看護師ばかりになると、教育が追いつかず、業務に支障をきたすかもしれません。
全体のバランスを整えることで、どの部署でも質の高いケアを提供できる体制を維持しています。
組織を活性化させるため
新しい視点やアイデアを取り入れるために、異動は組織の活性化の手段として用いられることもあります。
「日勤帯の申し送りに時間がかかっていた」部署に、申し送りを効率化していた部署から看護師が加わることで、業務改善のアイデアが生まれるかもしれません。
異動は病院にとって前向きな変化を生み出すきっかけになるのです。
看護師本人が今の部署に馴染めないため
看護師本人が次のような事情で、今の部署に馴染めない場合、異動が解決策となることもあります。
- 人間関係や雰囲気に慣れない
- キャリアの方向性と業務内容が合わない
- 家庭の事情で夜勤ができない
このような悩みを看護師長に相談して、このまま働き続けるのが難しいと判断された場合に、長期的なキャリアを支援する目的で部署異動という形を取ることがあります。
看護師本人の異動希望に応じるため
スキルを磨きたい、新しい分野に挑戦したいといった前向きな理由から、看護師が自ら希望して、異動が実現するケースもあります。
一例として、内科から緩和ケアや手術室への異動を希望し、実際に叶ったケースも少なくありません。
意欲を持ってチャレンジする看護師を支援するため、病院側が異動を積極的に受け入れることもあります。
キャリアアップを支援するため
病院が看護師のキャリアアップを支援する目的で、異動を促すこともあります。
実際に、10年同じ病棟にいた看護師が、異動をきっかけに看護主任に昇進したように、異動がキャリアの転機となることもあります。病院は看護師一人ひとりの成長を考え、異動を戦略的に活用することがあるのです。
看護師が異動するメリット
異動に不安がつきものですが、それ以上に多くのメリットがあります。
- 新しいスキルや知識を身につけられる
- 管理職や資格取得につながる
- 今の部署への不満が解消される
異動によって環境が変わることは、マンネリ化を防ぎ、看護師としての視野を広げるきっかけになります。これらのメリットを理解することで、異動を前向きに捉え、自身の成長につなげられるでしょう。
新しいスキルや知識を身につけられる
異動により、これまで経験したことのない疾患や治療法、業務内容に触れる機会が増えます。
たとえば、内科病棟から外科病棟に異動すれば、術後の疼痛管理や創部の処置、ドレーンの管理など、これまで経験しなかった知識やスキルを習得できます。
異動は看護師としての引き出しを増やし、幅広い知識を持つジェネラリストを目指すチャンスになるでしょう。
管理職や資格取得につながる
異動によって多様な部署で経験を積むと、病院全体の運営を理解できるようになります。
この経験は、看護主任や看護師長といった管理職へのステップアップ、あるいは認定看護師や専門看護師などの資格取得にも有利に働きます。
今の部署への不満が解消される
異動は、現在抱えているストレスや不満を解消する機会にもなります。
「同じ業務でスキルが上がらない」「残業が多い」などの悩みも、異動によって環境が変わることで解決に向かうでしょう。
新たなスタートが、モチベーションの回復や仕事への前向きな姿勢を取り戻すきっかけにもなります。
看護師が異動するデメリット
異動にはメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。
- 人間関係に慣れるまでがつらい
- 新しく覚えることにストレスを感じやすい
- カレンダー通りの勤務がきつい
異動によって環境が変わることは、大きな負担となることがあります。これらを事前に理解しておくことで、異動に対する心の準備ができ、スムーズに対応できるでしょう。
人間関係に慣れるまでがつらい
異動のデメリットとして、新しい人間関係に慣れるまでがつらいと感じることがあります。
これまでの人間関係がリセットされ、ゼロから関係を築く必要があるからです。日本医療労働組合連合会の調査によると、看護師が感じるストレス要因の第3位が「職場の人間関係」で、22.2%の人が該当すると回答しています。
ストレスの要因 | 割合 |
仕事の量の問題 | 48.7% |
仕事の質の問題 | 31.8% |
職場の人間関係 | 22.2% |
夜勤 | 16.2% |
仕事への適正の問題 | 11.5% |
もともと職場の人間関係に悩んでいる看護師が多い状況に加え、異動することで、すでにチームができあがっているところに入るため、孤独感や疎外感を抱くこともあるでしょう。時間をかけて信頼関係を築いていくことが大切です。
新しく覚えることにストレスを感じやすい
異動によって、新しく覚えることの多さにストレスを感じることもあります。
- 病棟のルール
- 業務内容や手順
- 使用する物品の保管場所
具体的には、内科で働いていた看護師が小児科に異動した場合、その診療科特有の病気や処置、保護者への対応など、多くのことを学び直さなければなりません。
新しいことを覚えるプレッシャーや、以前のようにテキパキと動けないことに対するもどかしさを感じることがあります。
カレンダー通りの勤務がきつい
異動によって、勤務形態が変わることできついと感じるケースもあります。
異動直後、業務に慣れるまでは夜勤に入れず、平日の5連勤となる傾向があります。このカレンダー通りの勤務にきつさを感じる看護師は少なくありません。
看護師が異動先に早く慣れるコツ
異動のデメリットを乗り越え、新しい環境に早く慣れるためには、いくつかのコツがあります。
- 看護師長に許可をもらい異動先にあいさつに行く
- 異動先の仕事内容やルールを調べる
- 今の部署にお礼をする
これらのコツを実践することで、異動への不安を減らし、新しい部署にスムーズに溶け込めるでしょう。前向きな姿勢で異動に臨むことが、成功のカギです。
看護師長に許可をもらい異動先にあいさつに行く
初出勤の緊張を和らげるためにも、事前に訪問してあいさつしておくと良いでしょう。
部署間でのやり取りは、看護師長に相談し許可を得ておくと安心です。また、異動先の看護師長やスタッフに、前向きな姿勢を伝えられるため、第一印象が良くなります。
異動先の仕事内容やルールを調べる
異動先の仕事内容やルール、雰囲気を事前に知っておくことも、早く慣れるための大切なコツです。
たとえば、部署によっては、電子カルテの使い方や申し送りの方法が異なる場合があります。
知人を頼って情報を集めたり、過去のマニュアルを確認したりするなどして、異動後のギャップを減らすことで、業務に早く慣れることができるでしょう。
今の部署にお礼をする
今まで一緒に働いてきた仲間に対し、感謝の気持ちを伝えることで、良好な関係を保つことができます。たとえ異動しても、院内で顔を合わせる機会は多くあるため、円満な関係は重要です。
感謝の気持ちを伝えることで、新しい部署でも気持ち良く働き始められるでしょう。
看護師が異動のストレスをポジティブに乗り越える方法
異動のストレスを乗り越えるには、前向きさが重要です。
- コミュニケーションを積極的に取る
- 学ぶ姿勢を大切にする
- チームの一員としての意識を持つ
- ポジティブな姿勢を保つ
異動によるストレスは完全には避けられませんが、これらの行動で和らげられ、新しい環境に早く慣れることができるでしょう。また、異動先で信頼される人になるためのヒントを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:看護師の異動で選ばれる人の特徴4つ!異動先に慣れるまでの働き方
看護師が異動先に慣れずにつらいと感じたときの対処法
あらゆる方法を試しても異動先に慣れず、つらいと感じたときは、1人で抱え込まないことが大切です。ここでは、具体的な対処法を2つ紹介します。
異動先の看護師長に相談する
異動先で悩みを抱えたら、まずは看護師長に相談してみてください。
看護師長は部署の状況をよく理解しており、業務を調整してくれたり、人間関係をサポートしてくれたりします。上司に相談することは、悩みを解決する第一歩となります。
転職を視野に入れる
職場の雰囲気や人間関係、業務内容などが合わない場合、無理に働き続けることで心身に不調をきたしてしまう恐れがあるため、転職や退職を視野に入れることも1つの選択肢です。
実際に、日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」によると、病気やケガで7日間以上の休暇を取得した看護職員がいる病院は86.5%で、そのうち76.1%の病院でメンタルヘルス不調者がいたことが明らかになりました。
異動の経験を活かし、別の職場で活躍するという道もあります。とくに、訪問看護の分野に興味がある方は、訪問看護に特化した求人サイト「NsPaceCareer」を利用して、転職活動を進めてみてはいかがでしょうか。
現役の訪問看護師への無料相談や、気になる事業所への事前見学もできるため、自分に合った職場を見つけられるでしょう。
看護師の異動についてのよくある質問
ここでは、看護師の異動に関するよくある質問にお答えします。
Q1:看護師の異動は拒否できますか?
異動は、正当な理由があれば拒否できる可能性があります。
しかし、基本的には就業規則に異動について定められていることが多く、異動を拒否することは難しいのが現状です。
異動に納得がいかず拒否したい場合は、まずは看護師長や人事担当者に相談し、異動が難しい理由を具体的に伝えることが大切です。
Q2:なぜ看護師でずっと異動しない人もいるんですか?
ずっと異動しない看護師には、おもに2つの理由が考えられます。
1つは、その部署で高度な専門性を持つスペシャリストとして、その部署に欠かせない存在になっている場合です。もう1つは、人員配置の関係で異動の必要がない場合です。
Q3:面談で異動希望を伝えるときのメッセージのコツは?
面談で異動希望を伝える際は「業務に不満がある」といったネガティブな理由ではなく「スキルを身につけて病院に貢献したい」といったポジティブな理由を伝えるのがコツです。
また、なぜその部署で働きたいのかを詳しく説明することで、熱意が伝わりやすくなります。
看護師の異動はキャリア形成につながる!つらい気持ちをポジティブに変えよう
看護師の異動は、慣れない環境に飛び込む不安もありますが、新しい自分を発見し、キャリアを広げるチャンスでもあります。
この記事でご紹介したコツを参考に、異動に対するつらい気持ちをポジティブに変えて、新しい一歩を踏み出しましょう。さまざまな部署で培った経験は、あなたの強みとなり、将来の選択肢を広げることにもつながります。
自信を持って新しい環境に飛び込んでみてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。