回復期リハビリテーション病棟の看護師の仕事内容7つ!やりがいとメリット

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師は、これから社会や自宅への復帰を目指す患者さまに対してケアをおこないます。
この記事では、回復期リハビリテーション病棟の看護師がどのような仕事をしているのか、どのようなやりがいやメリットを感じられるのかを掘り下げていきます。回復期リハビリテーション看護の魅力に触れ、キャリアの選択肢の参考にしてください。
回復期リハビリテーション病棟の看護師の仕事内容7つ
回復期リハビリテーション病棟の看護師の仕事は、患者さまの身体機能の回復を支援するだけでなく、精神的なサポートや日常生活の自立に向けた援助など多岐にわたります。
- 患者さまの身体の健康管理
- 自宅復帰に向けた日常生活の援助
- リハビリテーションのサポート
- 入退院の対応
- チーム医療や多職種との連携
- 患者さまやご家族の精神的なサポート
- 患者さまの社会復帰に向けた支援
これらの業務を通して、患者さまの「できること」を増やし、生活の質の向上を支援します。
患者さまの身体の健康管理
患者さまが安全にリハビリテーションに取り組むためには、健康管理が重要です。
患者さまの全身状態を把握し、異常を早期に発見し対応することが、安心してリハビリテーションを進めるためには必要であるからです。
具体的には、定期的なバイタルサインの測定や内服薬の管理、栄養状態の管理などをおこないます。
これらのケアを通じて、患者さまが不安なくリハビリテーションに集中できるよう、看護師は重要な役割を担っています。
自宅復帰に向けた日常生活の援助
患者さまが再び自宅で生活を送るという目標を達成するために、看護師は食事や更衣といった日常生活に必要な動作をサポートします。
単に、手を貸すのではなく、患者さまの意欲を引き出し、身体能力や回復段階に合わせてセルフケアができるように支えることが自宅復帰には不可欠です。
リハビリテーションのサポート
看護師は、病棟での患者さまの様子や自宅復帰への思いなどの情報を理学療法士や作業療法士と共有して、リハビリテーションに取り組めるよう手助けします。
患者さまが自主的にトレーニングに取り組めるように励ましたり、リハビリテーションでの学びを日常生活で実践するためにアドバイスしたりすることも看護師の重要な仕事です。
入退院の対応
患者さまが安心して治療とリハビリテーションに臨めるよう、入退院の対応を丁寧におこなうことも回復期リハビリテーション病棟の看護師の仕事です。
入院や退院は患者さまやご家族にとって、生活の変化が大きく不安を感じやすい時期だからです。
入院時には病棟のルールやリハビリテーションの流れを説明し、退院に向けては自宅での生活に必要な情報を提供したり、地域の医療機関や福祉サービスを調整したりします。
看護師は、患者さまやご家族の気持ちに寄り添いながら、入院から退院後の生活までをつなぐ大切な役割を担っています。
チーム医療や多職種との連携
回復期リハビリテーションでは、患者さまの機能回復と社会復帰という目標を達成するために、看護師は多職種と連携してケアを実践します。
医師や理学療法士、ソーシャルワーカーなどの専門職がそれぞれの経験や知識をもとに協力することで、患者さま一人ひとりに合わせた質の高い後押しが可能になるからです。
多職種とコミュニケーションを積極的に取って、チーム医療に貢献する姿勢が求められます。
患者さまやご家族の精神的なサポート
回復期リハビリテーション病棟の看護師は、患者さまだけでなく、ご家族の精神的なサポートの役割も担っています。
病気やケガによって、これまで当たり前にできていたことができなくなるという経験は、患者さまにとって精神的な負担となり、ご家族もまた不安や心配を抱えるからです。
患者さまやご家族の言葉に耳を傾け、その気持ちを受け止め、共感することで、心理的な安定を図ります。
また、必要に応じて臨床心理士やソーシャルワーカーなどの専門職のサポートを提供することもあります。
患者さまの社会復帰に向けた支援
回復期リハビリテーションにおける看護師の仕事のひとつに、患者さまが再び地域社会で自分らしく生活を送るための社会復帰に向けた手助けがあります。具体的には、次のように手助けします。
- 住環境の整備についてのアドバイス
- 利用できる福祉サービスや相談窓口などの情報を提供
- 社会参加への不安に対しての相談
看護師は、医療的な側面だけでなく、社会的な側面からも患者さまの地域での生活をサポートします。
回復期リハビリテーション病棟の特徴
回復期リハビリテーション病棟は、急性期の手術や治療を終え、状態が安定した患者さまが、自宅や社会で自分らしい生活を送るために、リハビリテーションを受ける場所です。
患者さま一人ひとりのペースに合わせて、身体機能の回復や日常生活動作の再獲得に向けたケアなどおこないます。
患者さまの在宅復帰という目標に向かってチーム一丸となって取り組むことが、この病棟の大きな特徴です。
回復期リハビリテーション病棟で働く看護師の役割と1日のスケジュール
回復期リハビリテーション病棟の看護師の役割は、患者さまが再び自分らしい生活を取り戻せるようにサポートすることです。
身体的なケアはもちろんのこと、チーム医療においてリハビリテーションのスタッフやソーシャルワーカーなどの専門職をコーディネートします。
ここでは、日勤の看護師のスケジュール例を紹介します。
時間 | 業務内容 |
8:00 | 出勤・情報収集 |
8:30 | 朝礼・夜勤者からの申し送り |
9:00 | ラウンド(バイタルサインの測定と症状の観察)・日常生活の援助・リハビリテーション |
11:30 | 昼食の準備・血糖値の測定とインスリン注射 |
12:00 | 昼食の配膳・食事介助・口腔ケア |
12:30 | 交代でお昼休憩 |
14:00 | ラウンド(バイタルサインの測定と症状の観察) |
15:00 | カンファレンス |
16:00 | 記録の作成・夜勤看護師への申し送り |
17:00 | 退勤 |
このように、看護師は1日を通して、患者さまの自立に向けて取り組んでいます。
回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のやりがいとメリット
回復期リハビリテーション病棟で働く看護師は、患者さまが再び社会生活へと戻っていく過程を見守るなかで、やりがいと多くのメリットを感じられます。
- 患者さまとじっくり向き合いケアができる
- 急変対応がほとんどなく精神的な負担が少ない
- 患者さまが回復していく姿を見守れる
- リハビリテーションの知識を深められる
- 残業が少ない傾向がある
患者さまの人生の再出発をアシストするかけがえのない経験は、看護師としての大きな喜びとなるでしょう。
患者さまとじっくり向き合いケアができる
回復期リハビリテーション病棟では、患者さまとじっくり向き合い、時間をかけてケアを提供できます。
なぜなら、急性期病棟のような慌ただしさが比較的少ないため、患者さまの個性や生活背景を理解し、その方に合わせたケアを実践できるからです。
患者さまのケアをおこなうことで、看護師としての充実感を得られるでしょう。
急変対応がほとんどなく精神的な負担が少ない
回復期リハビリテーション病棟で働くメリットに、急変対応が比較的少ないため、プレッシャーが軽減された環境で業務に取り組めるという点があります。
もちろん、患者さまは慢性的な疾患があるため注意深く観察することは必要ですが、常に緊急度の高い状況に置かれるわけではありません。
そのため、患者さまの回復に向けたケアに、集中して取り組めるでしょう。
患者さまが回復していく姿を見守れる
回復期リハビリテーション病棟で働くうえで魅力的なポイントは、患者さまが一度失った身体機能を取り戻す過程を間近で見守れるという点です。
入院した当初は難しかった動作が、リハビリテーションによってできるようになり、自立した日常生活を少しずつ取り戻していく姿を見ることは、看護師にとって喜びとなるでしょう。
できなかったことが、できるようになったときの患者さまの笑顔や感謝の言葉は、何にも代えがたいやりがいとなります。
リハビリテーションの知識を深められる
リハビリテーションのスタッフと協力しながら、患者さまの機能回復をサポートしていくなかで知識やスキルを吸収できるため、看護師の専門性を高める機会となります。具体的には、次のことを学べます。
- 運動療法
- 日常生活動作訓練
- 言語訓練
- 高次脳機能リハビリテーション
チームの一員として、それぞれの専門性を尊重し協力することで、患者さまの回復を援護すると同時に、自身のスキルアップも実感できるでしょう。
残業が少ない傾向がある
ワークライフバランスを重視する看護師にとって、回復期リハビリテーション病棟は働きやすい選択肢のひとつとなります。
急性期病棟に比べて、緊急度の高い業務や医療処置が少なく、患者さまの状態も安定していることが多いため、計画的に業務を進めやすい傾向があるからです。
そのため、残業時間が少ない日には、自分の時間を大切にしながら働くことが可能です。
回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のきついことやデメリット
回復期リハビリテーション病棟での仕事は喜びや学びがある一方で、身体的な負担や医療処置の少なさに、大変さやデメリットを感じる看護師もいます。
身体的な介護が多くきつい
回復期リハビリテーション病棟の看護師は、日常生活動作の自立を支えるために、次のように身体的な介護をおこなう場面が多くあります。
- ベッドから車椅子への移乗介助
- ポジショニングの介助
- 歩行練習の介助
ある程度の体力と身体の負担がともなうため、つらさを感じる看護師がいます。
しかし、正しい介助方法を習得したり、日頃から体力を維持したりすることで、身体的な負担を軽減して働けるでしょう。
医療処置が少ないやりがいを感じにくい
回復期リハビリテーション病棟では、点滴や注射といった医療処置をおこなう機会は、急性期病棟に比べると少ない傾向があります。
医療処置にやりがいを強く感じる看護師にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、回復期リハビリテーション看護の魅力は、患者さまが日常生活を取り戻せるように生活を支えていくことです。医療処置とは異なるやりがいがあるでしょう。
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回復期リハビリテーション病棟の看護師に向いている人の特徴
ここでは、回復期リハビリテーション病棟の看護師に向いている人の特徴を紹介します。
- リハビリテーションについて関心が高い人
- 在宅看護や社会復帰に興味がある人
- 訪問看護におけるリハビリテーションとは
- 患者さまと時間をかけてじっくりかかわりたい人
- 医療処置や急変対応が少ない環境で働きたい人
自分がリハビリテーション病棟に向いているのか不安を感じている看護師は、これらの特徴に当てはまるかチェックしてみてください。
リハビリテーションについて関心が高い人
回復期リハビリテーション病棟は、リハビリテーションに強い関心がある看護師にとって、興味深い職場となるでしょう。
リハビリテーションを通して、患者さまが困難を乗り越え、できることが増えていく姿を見ることは、看護師にとって喜びであり仕事へのモチベーションにつながります。
また、多職種と連携するなかで、リハビリテーションに関する知識や理解を深められるのも、この分野で働く魅力です。
在宅看護や社会復帰に興味がある人
患者さまが住み慣れたご自宅や地域社会に戻る過程を手助けすることに、特別な魅力を感じる看護師にとって、回復期リハビリテーション病棟はやりがいのある職場となるでしょう。
社会資源に関する情報提供だけではなく、地域活動の参加を促したり、ボランティアや趣味活動への橋渡しをおこなったりすることで、社会とのつながりを持てるようにアシストします。
また、必要に応じて、就労支援に関する情報提供や、復職に向けた相談に乗ることも重要な役割です。患者さまが地域のなかで孤立することなく、再び自分らしい生活を送れるよう、社会的な側面からサポートしていきます。
訪問看護でのリハビリ内容は、別記事『訪問看護におけるリハビリテーションとは』でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:訪問看護におけるリハビリテーションとは
患者さまと時間をかけてじっくりかかわりたい人
患者さまの個性や回復のペースに寄り添い、じっくりと向き合ってケアをしたいと願うなら、回復期リハビリテーション病棟は理想的な職場といえるでしょう。
患者さまのわずかな変化に気づき、共感することで、深いつながりを感じられます。
医療処置や急変対応が少ない環境で働きたい人
緊張感のある環境よりも、日常生活を支える場でケアをしたい看護師にとって、回復期リハビリテーション病棟は、希望に合った職場となるでしょう。
急性期病棟に比べて、医療処置や急変対応の頻度は少なく、落ち着いた環境のなかで、患者さまのペースに合わせて、じっくりと向き合えるからです。
穏やかな気持ちで、患者さまの自立を支えたい看護師にとって、回復期リハビリテーション病棟は、精神的な負担も少なく働きやすい環境です。
まとめ:回復期リハビリテーション病棟は看護師のやりがいを実感できる場所
回復期リハビリテーション病棟は、看護師が患者さまの回復という過程を見守り、その喜びを分かち合うことができ、看護師としてのやりがいを実感できる場所です。
また、残業が少なくワークライフバランスを保ちやすいのも魅力のひとつです。
患者さまの人生に寄り添い、その回復を共に喜びたい看護師にとって、回復期リハビリテーション病棟は、スキルを最大限に活かせる場所となるでしょう。

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