看護師が激務といわれる3つの理由!辞めたいときは訪問看護師も一手

「今の働き方のままで良いのかな」「患者さまとじっくり向き合えるような働き方をしたい」
看護師として、毎日命と向き合う激務に身を削っていると感じたことはありませんか。変則的な勤務や多重業務、常に張り詰めた緊張感などに心身が悲鳴を上げている方がいるかもしれません。
この記事では、看護師の激務の実態と、そこから抜け出し、訪問看護で充実した日々を送るための具体的なステップを解説します。訪問看護師の選択肢を知ることで、利用者さまと深く向き合える環境で自分らしい働き方を実現できるでしょう。
看護師が激務といわれる3つの理由
看護師が激務といわれる背景には、さまざまな原因が絡み合っています。看護師が直面している激務の背景を正しく理解することは、医療現場の現状を知るうえで重要です。
- 常に命と向き合うプレッシャーと責任
- 予測できない緊急対応と長時間労働
- 慢性的な人手不足による業務過多と精神的な負担
看護師の仕事に負担を感じる現状を、これらの理由から深掘りします。
常に命と向き合うプレッシャーと責任
看護師は、複数の患者さまを受け持ち、一人ひとりに適したケアをアセスメントすることが求められます。わずかなミスが患者さまの生命にかかわるリスクがあるため、精神的な負担になりがちです。
仕事の負担が大き過ぎると、バーンアウトしやすいといわれています。看護師の仕事は、激務ゆえに働く意欲を維持するのが難しく、心身のストレスにつながりやすい傾向です。
予測できない緊急対応と長時間労働
看護師の仕事は予測できない事態への対応も求められます。
たとえば、患者さまの急変や緊急入院へのほかに、治療方針の見直しによるケアの変更や医療機器のトラブルなどにも対応しなければなりません。
また、2020年頃に新型コロナウイルス感染症が流行した際、人工呼吸器を扱う病棟では、患者さまの急増や病状の悪化の対応がしばしば発生しました。
日本看護協会「2021年看護職員実態調査」では、新型コロナウイルス感染症の対応にあたった看護職員のうち、55.3%が超過勤務時間は増えたと答えています。
とくに、集中治療室や救急外来では、状態が不安定な患者さまを受け入れているため、予測できない急変に対応しなければならず、定時外の労働が発生しやすい現状です。
慢性的な人手不足による業務過多と精神的な負担
厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」看護師の有効求人倍率は、全職業の平均1.19倍を上回る2.20倍です。
看護職員の就業人数は年々増えていますが、ここ数年の有効求人倍率は横ばい状態が続いています。
さらに、高齢者の増加によって医療ニーズは増え、一人ひとりの患者さまに対して細やかな対応が求められるようになりました。
これらが現場で働く看護師に業務負担となり、精神的なストレスになっているといえます。
看護師が激務だと感じやすい職場
看護師が働くなかで、激務だと感じやすい職場には、いくつかの共通点がみられます。
- 急性期病棟
- 救急外来
- 集中治療室
どの職場にもそれぞれの忙しさや難しさがありますが、業務量が多く、心身への負担が大きい傾向にあります。激務といわれる理由をそれぞれみていきましょう。
急性期病棟
急性期病棟は、患者さまの病状が不安定で、急変も珍しくありません。常に細心の注意を払い、迅速な対応が求められます。
検査や処置もよくおこなわれ、看護師の業務量が多くなるため激務になりがちです。入退院も多く、常に患者さまの新しい情報を収集し、対応する必要があります。
これらの業務に対応しなければならないため、精神的な緊張も強い傾向です。
救急外来
救急外来に搬送されてくる患者さまの病状は多岐にわたり、予断を許さない状況も少なくありません。そのため、到着した時点では、どのような状態なのか、どのような治療が直ちに必要であるのかを、十分に把握することは困難です。
緊急度の高い患者さまへの対応が最優先となるため、看護師には刻一刻と変化する状況に合わせた臨機応変な判断力と、的確な対応が強く求められます。
さらに、看護師は患者さまご本人だけでなく、予期せぬ事態に直面して不安や混乱を感じているご家族への精神的なサポートも不可欠です。
このように、救急外来は激務であるうえに、緊迫した雰囲気に包まれており、看護師にとって精神的な負担も大きくなりがちです。
集中治療室
集中治療室(ICU)は、生命の危機に瀕している重篤な状態の患者さまを受け入れる病棟です。
ここでは、人工呼吸器や血液浄化療法といった、高度な医療機器を用いた治療がおこなわれるため、看護師には専門的な知識と、患者さまの状態を正確に把握する能力が不可欠です。
加えて、ICUに入室される患者さまの状態は、ほんのわずかな時間で急激に悪化するリスクがあるため、24時間体制でのモニタリングと、患者さま一人ひとりに合わせたケアが求められます。
このような環境から、集中治療室は看護師にとって、身体的な負担はもちろんのこと、精神的な負担も大きい職場であるといえます。
看護師が激務だと感じたときの3つの対処法
看護師の仕事は、責任の重さや業務の多さから、体調を崩してしまうこともあります。もし、激務でつらい気持ちを抱えているなら、次のような対処が欠かせません。
- リフレッシュ時間をとる
- 相談して気持ちを共有する
- 転職を検討する
ここでは、3つの観点からお話しします。今の状況が少しでも軽くなるように、自分の状況に合わせて実践してみてください。
リフレッシュ時間をとる
激務による疲労は溜まりやすく、身体的・精神的な不調に陥る原因となります。
意識的に休息を取ってリフレッシュし、ストレスを少しでも軽減させることが重要です。たとえば、次の対処法が効果的です。
- 寝室の環境を整えて質の高い睡眠を確保する
- 趣味や好きなことに時間を使う
- 公園や海辺など自然のなかで過ごす
こうした工夫を取り入れることで、心身のバランスを整えられるでしょう。無理しすぎず、自分のケアを最優先に考えることが大切です。
相談して気持ちを共有する
激務による精神的な負担は、自分だけで抱え込むとよりつらくなってしまいます。
その際は、素直な気持ちを同僚や先輩、家族、友人など信頼できる人に伝えてみてください。話を聞いてもらうと、気持ちが楽になったり、新しい解決策が見つかったりします。
転職を検討する
これまでに紹介した2つの方法を試してもストレスフルな状態が改善されない場合は、転職を検討しましょう。職場環境を変えると、激務から解放される可能性があります。
とくに、ワークライフバランスを重視したい場合は、次の転職先がおすすめです。
職場 | 特徴 |
訪問看護ステーション | 日勤中心で残業が少なく家庭との両立がしやすい |
クリニック | 規則的な勤務時間で残業が少なく土日祝日休みの職場も多い |
介護施設 | 夜勤やシフト勤務ではあるが比較的落ち着いている |
保育施設 | 日勤のみで家庭と仕事を両立しやすい |
「看護師=激務」というイメージにとらわれず、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、心身ともに無理なく働き続けられるでしょう。
看護師が激務で限界を感じたら「訪問看護」の選択肢も考えよう
看護師の仕事は、自分を押しつぶしてしまうほどの負担になる場合もあります。そんな状況を打破する選択肢として「訪問看護」の働き方があることをご存知でしょうか。訪問看護の魅力について、次の視点からお伝えします。
- 夜勤や長時間残業からの解放:自分の時間を大切にする働き方
- 利用者さま1人ひとりと深く向き合う:利用者さまの望む療養生活の実現
- 病院での経験が活きる:在宅での急変対応や医療知識への期待
働き方を変えるだけで、看護の仕事に対する喜びに気づき、心も身体も健康的に活躍できるでしょう。
夜勤や長時間残業からの解放:自分の時間を大切にする働き方
訪問看護は、日勤帯の勤務が中心です。
事業所によっては、夜間オンコール体制を取っている場合がありますが、病院のように夜勤中に病院に拘束されたり、長時間の残業を求められたりすることは少ない傾向にあります。
そのため、訪問看護という働き方を選ぶと、生活リズムの改善やプライベートの充実が期待できます。
利用者さま1人ひとりと深く向き合う:利用者さまの望む療養生活の実現
訪問看護は、利用者さまの自宅に訪問してケアをおこないます。病院と比較すると、落ち着いた環境でじっくりと時間をかけて、利用者さまと向き合えるでしょう。
利用者さまとご家族と一緒に、治療や生活の問題を解決していくため、より深い信頼関係が築けてやりがいを感じられます。
病院での経験が活きる:在宅での急変対応や医療知識への期待
訪問看護でも、病院経験を活かせます。
とくに、利用者さまの状態変化をいち早く察知するフィジカルアセスメント能力や、多職種と連携するスキルなどです。
また、訪問看護の現場でも、急変対応を求められることがあるため、病棟での経験を活かせるでしょう。
激務な看護師でもできる:後悔しない訪問看護への転職ステップ
訪問看護への転職は、今までの看護経験を活かしながら、より自分らしい働き方を目指せる選択肢です。
しかし「今の仕事が忙しい」「自分に転職活動ができるのか」と感じている看護師もいるかもしれません。
訪問看護は、ケアの方法や利用者さまとのかかわり方などが病院や施設とは異なる部分もありますが、しっかりと準備すると、後悔のない転職ができるはずです。激務に悩む看護師が、安心して訪問看護への転職を成功させるための具体的なステップを紹介します。
1 | 情報収集 | ・仕事内容や役割の把握 ・訪問件数や働き方 ・運営母体や事業所の特徴 |
2 | 経験の棚卸し | ・保有資格や経験の整理 ・対応可能なケアやスキル ・得意分野や強みの明確化 |
3 | 転職エージェントの活用 | ・求人情報の収集と選考対策の支援 ・非公開求人や好条件案件の紹介 ・希望条件のヒアリングと交渉の代行 |
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訪問看護への転職で気をつけること
訪問看護ステーションへの転職は、ワークライフバランスの改善や利用者さまとの深いかかわりなどが魅力です。
しかし、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、事前にチェックすべき重要なポイントがあります。
- 規模・オンコール体制・手当などを事前に確かめる
- 見学して雰囲気を知る
- 利用者さまや看護ケアの特徴を知る
訪問看護への転職における注意点を具体的にお伝えします
訪問看護ステーションの規模・オンコール体制・手当などを事前に確かめる
訪問看護ステーションの規模は、働き方やキャリアに影響する可能性があります。
大規模な事業所では、教育・研修体制が充実している、休みがとりやすいなどメリットがある一方で、組織が大きいと意見が反映されにくいかもしれません。
また、小規模な事業所では、アットホームな雰囲気で意見交換がしやすい反面、1人あたりの業務負担が大きくなる恐れがあります。
オンコール体制は、訪問看護の働き方を大きく左右する要素のひとつです。オンコールの頻度や待機中のルール(外出・移動範囲・緊急連絡への対応方法など)を事前に確かめることをおすすめします。
これらの待遇は、事業所によって異なるため、希望条件と照らし合わせてみましょう。
関連記事:訪問看護は大変?乗り越えるコツや現役訪問看護師の声について紹介
見学して雰囲気を知る
訪問看護ステーションの雰囲気は、実際に働くうえで重要な要素です。
可能であれば、事前に見学させてもらいましょう。見学時には、スタッフのコミュニケーションの様子や事業所内の雰囲気などを観察し、事業所の空気を肌で感じることが大切です。
さらに、訪問を見学させてもらえると、スタッフの利用者さまへの接し方も観察でき、自分に合った環境であるかイメージできます。
利用者さまや看護ケアの特徴を知る
訪問看護では、多様な疾患や状態の利用者さまに対応します。
対象となる疾患や年齢層などを確認しなければ、自身の経験やスキルが活かせずストレスを感じるかもしれません。
また、訪問看護でおこなうケアや医療処置は多岐にわたります。どのような処置が多いのかを知って、自分が得意とするケアや挑戦したいケアと合致するのか見極めましょう。
関連記事:看護師が転職を成功させるための10のポイントとは?年代別でも解説
まとめ:激務から解放されて「訪問看護」でやりがいを持って働こう
看護師は、常に命と向き合う重圧や緊急対応、人手が足りない過酷な労働環境などで心身が疲弊してしまい、その結果、離職を考えがちです。
もし、自分の時間を大切にしながら、利用者さまとじっくり向き合える働き方を求めているなら「訪問看護」の分野で働いてみてはいかがでしょうか。
訪問看護は、これまでの病院経験を活かしながら、利用者さまやご家族と向き合い、その人らしい在宅生活を支えることでやりがいを感じられる働き方です。
訪問看護で、あなたらしい働き方を見つけ、充実した看護師人生を取り戻しましょう。
<参考サイト・文献>

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