看護師がカウンセラーになるには?活かせる資格7つと求人の探し方

公開日:2025/05/12 更新日:2025/05/12
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看護師は、疾患や健康問題を抱えた患者さまの精神面も看護するため、「患者さまやご家族の心にもっと寄り添いたい」「もっと深く相手の気持ちを理解したい」と考えることも多いのではないでしょうか。

心のケアに関心がある方は、カウンセラーとしての資質をすでに備えているといえます。

この記事では、看護師資格でカウンセラーになる方法や、おすすめのカウンセラー資格、求人の探し方を解説します。最後までお読みいただき、カウンセラーとして新しいキャリアを築くヒントをぜひ見つけてください。

看護師資格だけでカウンセラーになれる

看護師資格だけで、カウンセラーとして活動することは可能です。

普段から、看護師は患者さまやご家族の不安に寄り添い、言葉で思いを伝えるコミュニケーション能力を培っており、これらの経験とスキルは、カウンセリングの土台となるからです。

実際に、特別な心理資格なしで個人開業やボランティア、自治体のイベントなどで相談業務をおこなう看護師がいます。

ただし、医療機関や企業内の相談室など、組織でカウンセラーとして働くには「公認心理師」や「臨床心理士」などの資格が必要とされることが多い傾向です。

将来的な信頼性やキャリアの選択肢を増やす意味でも、資格取得は有効な手段といえるでしょう。

看護師がカウンセラーになる方法

看護師がカウンセラーになるには、病院独自のカリキュラムをクリアしたり、開業・独立したりする方法があります。

詳しく見ていきましょう。

病院独自のカリキュラムをクリアする

医療機関によっては、看護師向けにカウンセリング技術を習得できる研修制度を設けている場合があります。

こうしたカリキュラムを修了すれば、看護師として働きつつ院内カウンセラーや相談員として活動できます。

カウンセラーとして開業・独立する

「カウンセラー」という肩書そのものには国家資格が必要ないため、個人で活動を始めることも可能です。

相談内容を限定することで、看護師としての専門性を活かしたカウンセリングができます。

とくに、資格取得に時間やお金をかけずに始めたい看護師には、開業・独立スタイルが向いています。始めは、小規模な活動からスタートし、実績を少しずつ積む方法も現実的です。

しかし、資格を持たないことで集客面で不利になることもあるため、しっかりと事業計画を立てた上で活動をはじめましょう。

看護師が医療現場で活かせるカウンセラー資格7つ

看護師がカウンセラーとして働くときに以下の資格を取得しておくと、信頼性が高まり専門性の高いケアを提供できます。

資格の種類カウンセラーの種類
国家資格・公認心理師
・精神保健福祉士
民間資格・臨床心理士
・認定心理士
・メンタルケア心理士
・ケアストレスカウンセラー
・メンタル心理カウンセラー

それぞれの資格の特徴や看護師としてどのように活かしていくのか、詳しく解説します。

1.公認心理師

公認心理師は、国家資格として2017年に創設された比較的新しい資格で、医療・福祉・教育など幅広い分野で活躍できます。

公認心理師のおもな役割は、以下のとおりです。

  • 心理的サポートが必要な方の心理状態を観察・分析
  • 患者さまやご家族に対する相談や助言、指導などの支援
  • 心の健康に関する知識の普及を目的とした教育や情報提供

資格取得には、指定の大学や大学院で必要な科目を修了し、国家試験に合格することが求められます。

時間や労力はかかりますが、その分、心の専門家として活躍しやすく、将来的に安定した働き方を目指す看護師に向いている資格です。

2.精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神障害のある方の生活支援や社会復帰をサポートする国家資格です。

うつ病や不安障害をはじめとしたメンタルヘルスに悩む方の相談支援にかかわり、医療・福祉だけでなく、学校や企業、法律関係など幅広い分野に活動の場が広がっています。

看護師と精神保健福祉士の資格をあわせ持つことで、精神科病院や地域支援センターなど、選べる職場が増えます。

とくに精神科での勤務経験がある看護師にとっては、これまでの経験を活かしやすい点も魅力です。

将来の転職やキャリアチェンジを視野に入れている看護師にとって、精神保健福祉士の資格取得は有力な選択肢となるでしょう。

3.臨床心理士

臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する心理職の専門資格です。

医療機関や教育現場、福祉施設などで心理的支援やカウンセリングを担います。

看護師が臨床心理士の資格を取得するには、指定の大学院で専門課程を修了するか、諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴をもち日本国内における心理臨床経験2年以上を有した上で、資格試験に合格しなければなりません。

取得までの道のりは長めですが、心理的援助を本格的に学びたい看護師に向いています。

看護師の経験と組み合わせれば、より深い患者支援が可能になり、専門職としての信頼性も高まります。

4.認定心理士

認定心理士は、日本心理学会が認定する民間資格で、大学で所定の心理学の科目を修了することで取得できます。

カウンセラーとしての説得力を高めたい看護師におすすめの資格です。

看護師が認定心理士の資格を取得することで、心理学の基礎知識を身につけたことを客観的に証明できるため、カウンセラーで活動する大きな強みとなります。患者さまへの対応や職場の人間関係のサポートなどの心理的な支援が求められる場面では、「心理学の基礎を学んでいる」という信頼が安心感を与えるでしょう。

5.メンタルケア心理士

メンタルケア心理士は、医療や福祉分野で活かせる民間資格で、通信教育で取得できる手軽さが魅力です。実務経験も不要であるため、働きながら心理学を学びたい看護師に適しています。

メンタルケア心理士で学ぶ内容は、おもに次のとおりです。

  • 患者さまとのコミュニケーション
  • ストレスケア
  • 同僚の相談対応

上位資格として「メンタルケア心理専門士」もあり、さらなるスキルアップも目指せます。

6.ケアストレスカウンセラー

ケアストレスカウンセラーは、ストレスに関する知識と対処法を学べる民間資格です。

18歳以上であれば受験可能で、講座で取得できます。なかには個人で開業している看護師もいるようです。

看護の現場でもすぐに活かせる、次のような内容を学べる点が特徴です。

  • 心理学の基礎
  • 代表的な心理療法
  • 精神医学の基礎知識
  • 人とのかかわり方、話を聞く姿勢

患者さまやご家族、スタッフのストレスケアに役立ちます。

また、ケアストレスカウンセラーを取得すると、上位資格の青少年ケアストレスカウンセラーや高齢者ケアストレスカウンセラーなどの受験資格を得られます。

対象とする世代や専門分野を広げながら、キャリアを積める点が魅力の資格です。

7.メンタル心理カウンセラー

メンタル心理カウンセラーは、心理学の基礎からカウンセリング技法までを講座で学べる民間資格です。

医療・福祉・教育分野での応用が可能で、実践的なスキルを身につけたい看護師におすすめです。

患者さまやご家族との関係づくり、職場内でのメンタルケアにすぐに活かせる知識が得られるため、現場での信頼や安心感にもつながります。

看護師におすすめの医療現場以外のカウンセラー

医療以外の現場で活躍するカウンセラーも少なくありません。

具体的には、以下のとおりです。

  • 産業カウンセラー
  • スクールカウンセラー
  • 福祉心理カウンセラー
  • オンラインカウンセラー

詳しく解説します。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、企業や職場で働く方のメンタルヘルスやキャリア形成、人間関係の問題などをサポートする専門職です。

看護師としてのコミュニケーション力や傾聴力を活かしやすく、産業看護師として働く際にも有利な資格です。

スクールカウンセラー

スクールカウンセラーは、学校において児童・生徒、保護者、教職員を対象にカウンセリングや心理的支援をおこなう職種です。

看護師の経験を活かし、子どもや保護者、教職員の心のケアに携われます。

また、児童心理に特化したチャイルドカウンセラーという資格を持っておくと、子どもへの理解やサポートスキルを客観的に証明できます。現場での信頼や評価を高めるのに役立つでしょう。

福祉心理カウンセラー

福祉心理カウンセラーは、心理学の知識と福祉分野の知識を活かし、病気療養中の方や高齢者などの心のケアを担う職種です。

日本メディカル心理セラピー協会が資格認定をおこなっており、医療現場以外の福祉施設や一般企業でも活躍できます。

オンラインカウンセラー

オンラインカウンセラーは、メールやインターネットを介してカウンセリングを提供する職種で、近年需要が高まっています。

看護師資格や心理系の資格を活かし、場所や時間にとらわれず幅広い層に支援できます。

ただし、カウンセラーとしての信頼性を高めたい、仕事の幅を広げたいなどと考える場合は、心理系の資格を取得しておくと強みになるでしょう。

関連記事:【看護師向け】プラスの資格30選|スキルアップにおすすめの資格を紹介

看護師でカウンセラーに向いている人の特徴

看護師でカウンセラーに向いている方には、以下の特徴があります。

  • 感情コントロールができる
  • 共感力がある
  • 相手の話を最後まで聞ける
  • コミュニケーション能力が高い
  • 心理学に興味がある

強みを活かして、さらなるキャリアアップを目指しましょう。

感情コントロールができる

カウンセリングには、精神的に追い詰められた方が相談にくることも多くあります。

そうした状況でも、カウンセラーとして冷静に状況把握や解決の糸口を見出すことが必要となります。

変化を急がず、穏やかに寄り添い続ける姿勢は、カウンセラーとして重要です。

共感力がある

カウンセラーにとって、患者さまの不安やつらさに寄り添う機会が多く、相手の立場を理解しようとする姿勢が欠かせないため「共感力」が大切です。

ただし、同情するのではなく「この人は今、どのような気持ちなんだろう」と相手の心情を考えてきた看護師の経験は、カウンセラーとしての土台になります。

相手の話を最後まで聞ける

カウンセリングでは、相手が話し終えるまでじっくりと耳を傾ける「傾聴力」が不可欠です。

否定せずに受け止める姿勢が、信頼関係を築く第一歩となります。

日ごろから患者さまや同僚の話を丁寧に聞ける看護師であれば、カウンセラーとしても安心感を与えられるでしょう。

また、こういった特徴がある方は訪問看護師にも向いています。訪問看護の分野では、利用者さまやご家族の話に耳を傾け、在宅での療養を続けられるようにサポートしなければなりません。

NsPaceCareer」は、訪問看護に特化した求人サイトで、豊富な求人を取り揃えています。あなたに合った求人を見つけられるため、ぜひ活用してみてください。

コミュニケーション能力が高い

カウンセラーには「聞く力」だけでなく、自分の考えや気持ちを適切に伝える「伝える力」も重要です。

必要に応じて言葉を選びながら助言をしたり、気づきを促したりすることが求められます。

看護師は、患者さまやそのご家族に対して、病状や処置の内容をわかりやすく伝える力を心がけているため、カウンセリングの現場でも信頼を得られるでしょう。

また、表情や声のトーン、間の取り方など、非言語的な要素を含めた伝え方にも気を配れる看護師は、よりよい関係を築けるため、カウンセラーに向いているといえます。

心理学に興味がある

人の心の仕組みや行動の背景に興味をもち「心理学をもっと学びたい」と感じている看護師は、カウンセラーに向いています。

患者さまとかかわるなかで「なぜこの人はこう感じるのだろう」「もっと深く理解したい」と感じたことがあるはずです。こうした探究心や学びたい意欲は、カウンセリングの専門性を高める原動力になります。

さらに、心理学を学ぶことで、傾聴技法やストレス理論、認知行動療法など、実践的なスキルも身につけられます。カウンセラーに向いており、資格取得や独立にもつながるでしょう。

その結果、カウンセラーとしての専門性を高められるだけでなく、資格取得や独立といった新たなキャリアパスへと繋がる可能性も広がります。

看護師がカウンセラーの求人を探す方法

看護師資格を活かしてカウンセラーとして働きたい場合、次のような方法で求人を探してみましょう。

  • 企業や自治体など幅広い分野から探す
  • 看護師専門の求人サイトを活用して効率的に検索する

なかでもおすすめなのが、看護師専門の求人サイトを利用する方法です。「看護師 カウンセラー」「看護師 在宅 カウンセラー」などのキーワードで検索すれば、希望に合った求人が見つかりやすくなります。

たとえば、企業の従業員相談窓口や自治体の健康相談窓口などの場でも、カウンセラーとして活躍できます。

求人サイトでは、希望の年収や雇用形態、勤務時間などの条件で絞り込んで検索できるため、就業中の看護師でも効率的に転職活動を進められるでしょう。

看護師のカウンセラーでよくある質問

看護師のカウンセラーでよくある質問にお答えします。スキルアップのヒントとしてぜひ参考にしてください。

看護師と臨床心理士や公認心理師のダブルライセンスは可能ですか?

看護師と臨床心理士または公認心理師のダブルライセンスが可能です。実際に、両方の資格を持ち、医療現場やカウンセリングルームで活躍している看護師もいます。

ただし、看護師が臨床心理士や公認心理師の資格取得を目指す場合、大学や大学院での単位を習得や実習が必要となります。

仕事と学業の両立には時間と労力がかかりますが、それだけに得られる専門性や信頼性は大きな強みになります。

看護師はカウンセラーとして独立できますか?

看護師資格のみでも、カウンセラーとして独立・開業することは可能です。

心のケアへの関心が高まりつつある近年では、看護師の医療的な知識や経験を活かしたカウンセリングは需要があります。

多くの相談者から信頼を得るためには、国家資格や民間資格を取得しておくと有利です。次の資格は専門性の高さを評価されています。

  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 認定心理士
  • メンタル心理カウンセラー

ただし、未経験での独立は難しいため、クリニックやカウンセリングを実施している会社に就職して仕事内容を把握したり、実務経験を積んだりして独立を目指すと良いでしょう。

看護師もカウンセラーになれる!新しいキャリア構築を目指しましょう

看護師資格から、カウンセラーとしての一歩を踏み出すことは十分可能です。

とくに、現場で培った共感力・傾聴力・コミュニケーション力は、心のケアにおいても大きな武器になります。

カウンセラーは医療現場だけでなく、企業や学校、オンラインなど活躍の場は広がっており、自分らしい働き方を選びやすいのも魅力のひとつです。

看護師の経験を活かして、新しいキャリアを築いていきましょう。

<参考サイト・文献>

公認心理師 |厚生労働省
精神保健福祉士について |厚生労働省
臨床心理士とは | 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会

認定心理士資格申請 | 日本心理学会

メンタルケア心理士(R)|LCMメンタルケア学術学会

ケアストレスカウンセラー| 職業技能振興会FOS

メンタル心理カウンセラー資格 | 日本能力開発推進協会 (JADP)

産業カウンセラーとは – 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東関東支部

スクールカウンセラー|job tag(職業情報提供サイト)福祉心理カウンセラー資格(福祉心理学資格)認定試験 | 日本メディカル心理セラピー協会【JAAMP】

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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