救急看護の分野で認定看護師になるには?4ステップと試験の難易度を解説

公開日:2025/05/12 更新日:2025/05/12
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「救命救急センターでの勤務も長くなったからスキルアップしたい」「もっと患者ケアに貢献したい」

救急領域での経験が豊富な方や勤務を希望している方のなかに、認定看護師の資格を取得したいと考えている方はいませんか。

しかし、救急看護の分野の認定看護師になるには、どのような準備が必要であり、どう行動すれば良いのかわからず悩んでいる方も多いでしょう。

​​救急看護の分野で認定看護師になるためのステップや試験の難易度、必要な費用などをわかりやすく解説します。​キャリアアップをしたいと考えている看護師にとって、この記事が第一歩を踏み出すきっかけになれれば幸いです。

救急看護の分野の認定看護師とは?

救急看護の分野の認定看護師は、日本看護協会が認定する資格のひとつで、救急医療の現場で患者さまの命と生活を守るために、質の高いケアを提供します。ここでは、3つの役割やクリティカルケアとの違いを解説します。

救急看護の分野における認定看護師の役割3つ

救急領域で活躍する認定看護師のおもな役割は次の3つです。

  • 患者さまやご家族への質の高いケア
  • 看護師の育成と指導
  • 看護師からの相談役

患者さまは心身ともに不安定な状態であるため、高度な知識とスキルを活かし、それぞれの状態に合わせたケアをおこないます。患者さまの症状や様子、救急医療の現場という緊張した場面にご家族も不安を感じているため、精神的なサポートも欠かせません。

また、救急の現場では、予測できない事態が起こるため、それらの事態にほかのスタッフが対応できるように教育したり、アドバイスしたりすることも求められます。

救急看護とクリティカルケアとの違い

患者さまに医療やケアをおこなう体制の変化や、これからのニーズにしっかりと対応するために、2019年度に認定看護師の制度が改正されました。

これまでは、救急看護の分野には「救急看護認定看護」と「集中ケア認定看護」の2つがありましたが、この改正によりクリティカルケアに再編されました。

救急看護の分野の認定看護師になるには?4ステップ

救急看護の分野の認定看護師になるために、次の4ステップに沿って認定審査までの準備を進めていきます。

  1. 院内の選考基準を満たす
  2. 認定看護師になる条件をクリアする
  3. 認定看護師の養成機関で必要な研修を受ける
  4. 認定審査に合格する

それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.院内の選考基準を満たす

まず、勤務先の選考基準を確認し、条件をクリアすることが重要です。​

認定看護師の養成機関に通うためには、一定の臨床経験や院内での評価が求められることが一般的です。そのため、誰でも認定看護師を目指せるというわけではありません。

日々の業務にしっかり取り組んだり、積極的に研修に参加したりして、上司にアピールすることも大切です。

2.認定看護師になる条件をクリアする

日本看護協会が定める認定看護師の受験資格を満たす必要があります。おもな条件として、次の3つが挙げられます。

  • 日本国の看護師免許の保有していること
  • 実務経験が5年以上あること(そのうち救急看護の分野での経験が3年以上)
  • 認定看護師の養成機関に入学し修了していること

救急医療での実務経験が3年以上という要件があるため、資格の取得を目指す看護師は早めに看護師長にキャリアプランを相談することをおすすめします。

現在の部署が経験要件に当てはまらなければ、異動も視野に入れることも重要です。

3.認定看護師の養成機関で必要な研修を受ける

認定看護師の資格を取得するためには、認定看護師の養成機関に入学して、カリキュラムを修了しなければなりません。養成機関には次の2種類があります。

  • A課程(特定行為の研修なし)*2026年度で教育を終了
  • B課程(特定行為の研修あり)

A課程は2026年度で教育が終了することが決まっています。A課程の修了者を対象とした認定審査も2029年度以降は実施されない予定です。

そのため、これから救急看護の分野の認定看護師を目指すのであれば、B課程の養成機関を選んだ方が良いでしょう。

4.認定審査に合格する

認定審査に合格すると、認定看護師として活動できるようになります。次の表で、認定審査の情報をまとめました。

認定審査内容
筆記試験四肢択一マークシート方式
出題方式「客観式一般問題:20問(50点)」 「客観式状況設定問題:20問(100点)」で150点満点
審査料5万1,7000円(税込)
合格基準A~Cの3段階の評価で、A評価とB評価は合格、C評価は不合格
・A評価:120点以上
・B評価:105点以上120点未満
・C評価:105点未満
参考:2025年度第33回認定看護師(CN)認定審査 審査・申請の手引き|日本看護協会

2025年度におこなわれる予定の認定審査は、7月30日(水)10:00~審査の申請が始まります。10月8日(水)に試験がおこなわれ、12月23日(火)15:00頃に審査合否の発表といったスケジュールのようです。

2026年2月下旬以降に「認定証の受領」があるため、順次、認定看護師として活動できるようになります。これまでの学習の成果を発揮して合格を目指しましょう。

認定審査のスケジュールや内容は毎年更新されるため、都度確認してください。

救急看護の分野の認定看護師に向いている人

救急看護の分野の認定看護師に向いているのは、次のような特徴の人です。

  • 救急看護に興味・関心が高い人
  • 緊急時に冷静に判断できる人
  • 幅広い分野での臨床経験がある人
  • 体力に自信がありメンタルを維持しやすい人

これらの特性を持つ人は、あらゆる現場で活躍できるでしょう。​

救急看護の分野に興味・関心が高い人

救急医療は常に進化しており、新しい知識やスキルを習得する姿勢が求められるため、救急看護に強い興味を持ち、学び続ける意欲がある人は成長が期待できます。

また、患者さまの命を守る使命感を持ち、やりがいを感じられる看護師が向いています。

興味と情熱を持ち続けることで、専門性を高め、患者さまにとって満足度の高いケアを実施できるでしょう。​

緊急時に冷静に判断できる人

緊急時に冷静に判断できる人は、救急医療の現場で信頼されます。

救急医療では、迅速な対応が求められ、ひとつの判断ミスが患者さまの命にかかわることもあるからです。プレッシャーを感じやすいなかでも落ち着いて行動し、チームと連携できる能力が重要です。

冷静な判断力がある人は、救急看護の分野の認定看護師として適任といえるでしょう。​

幅広い分野での臨床経験がある人

多様な臨床経験を積んでいる人は、救急医療の現場で柔軟に対応できます。

救急患者さまは、さまざまな疾患やケガを抱えており、幅広い知識が求められます。内科や外科、小児科など複数の分野での経験があると、状況に応じたケアが可能です。

豊富な経験を活かし、患者さまにより良いケアを提供できるでしょう。​

体力に自信がありメンタルを維持しやすい人

救急看護の分野は、体力的にも精神的にも負担が大きい傾向です。

というのも、長時間の勤務や夜勤があったり、突発的な対応が求められたりするからです。

また、ストレスの多い環境でも心身の健康管理をしっかりおこない、ポジティブに業務に取り組める看護師が適しています。

関連記事:救急看護師に向いている人の9つの特徴!年収やきついと言われる理由

救急看護の分野の認定看護師に関するQ&A

ここでは、Q&Aをご紹介します。不安や悩みを解消してください。

Q1:救急看護の分野の認定看護師はなくなるのですか?

救急看護の分野の認定看護師がなくなるのではなく、新しい制度へと移行しているのです。

これまでのA課程は2026年度に教育が終了します。今後は、救急看護と集中ケアの領域を統合した「クリティカルケア」として、B課程で教育がおこなわれることになります。

新制度では、これまで以上に高度な知識や技術にもとづいた看護実践が求められるため、救急看護の専門性はより重要性を増すといえるでしょう。​

Q2:救急看護の分野の認定看護師になるときに活用できる支援制度はありますか?

経済的な負担を軽減するための支援制度がいくつかあります。これらの制度を活用することで、学費や生活費の心配を減らし、資格の取得に集中できるでしょう。

1. 日本看護協会の「認定看護師教育課程奨学金」

この奨学金は、認定看護師の教育課程で学ぶ看護職を対象に、年額120万円までを一括で貸与する制度です。​地域・年齢・所得制限がなく、ほかの奨学金や給付金との併用もできます。​貸与期間は1年間で、学費や生活費などに幅広く活用できます。​申し込み期間や詳細は日本看護協会の公式ホームページで確認してください。​

2. 病院独自の教育支援制度

多くの病院では、認定看護師を目指すスタッフに対して、研修費用の全額負担や勤務扱いでの研修参加などの支援をおこなっています。病院によってサポート体制は異なるため、詳細は病院の人事部門や看護部門に問い合わせてください。

3. 地方自治体の修学資金貸付制度

都道府県や市区町村では、修学資金貸付制度を設けている場合があります。一定の条件を満たすことで貸与を受けられます。詳細は自治体の公式ホームページや担当部署に問い合わせてください。

これらの支援制度を活用することで、救急看護の分野の認定看護師を目指す際の経済的な負担を軽減できます。​自身の状況に合った制度を選び、積極的に利用しましょう。

Q3:救急看護の分野の認定看護師で、訪問看護師として働く人はいますか?

2024年度のデータでは救急看護(A課程)1078名中15名、クリティカルケア(B課程)883名中5名が訪問看護ステーションに所属しています。救急看護で学んだ知識や技術は、在宅で療養する利用者さまや地域にとって重宝されるでしょう。

地域社会に貢献したい、自身のスキルアップを目指したいと考えている方は、ぜひ「NsPace Career」を活用して訪問看護師として働くことを検討してみてください。

まとめ:救急看護の分野の認定看護師になるには4ステップが必要!キャリアアップを目指そう

救急看護の認定看護師になるためには、実務経験を積み、指定の教育機関で研修を受け、認定審査に合格するという4つのステップが必要です。

新制度への移行により、より高度な看護実践が求められていますが、救急看護の専門性は引き続き重要視されています。

キャリアアップを目指す看護師の方は、ぜひ挑戦してみてください。

<参考サイト・文献>

認定看護師|日本看護協会

2025年度第33回認定看護師(CN)認定審査 審査・申請の手引き|日本看護協会

認定看護師教育課程奨学金|日本看護協会

分野別所属先種別登録者数一覧(2024年12月末現在)|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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