サ高住に看護師は配置されている?7つの仕事内容と求人の探し方を解説

「サ高住に看護師っているの?」「サ高住の看護師は医療処置もできる?」
サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)の看護師への転職を検討したときに、このような疑問がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
サ高住は、すべての施設に看護師が配置されているわけではなく、医療体制は施設によって大きく異なります。
そのため看護師の求人は限られていますが、医療ニーズの高い施設では看護師が活躍しているケースもあります。
この記事では、サ高住で働く看護師の仕事内容やメリット・デメリット、求人の見つけ方を解説します。サ高住を転職先のひとつとして考えている看護師は、ぜひ最後までお読みください。
サ高住にも看護師が常駐している場合がある
サ高住は特定施設入居者生活介護の指定を受けた「介護型」と、指定を受けていない「一般型」の2つにわけられます。
それぞれに異なる配置基準があり、おもな違いは以下のとおりです。
比較項目 | 介護型 | 一般型 |
人員配置基準(日中) | 【利用者30名未満】 介護職員または看護職員1名 【利用者30名以上】 ・利用者3名に対し1名の介護職員または看護職員 ・利用者30名に対し1名の看護師の設置が必須、以降は利用者50名ごとに1名追加 | 少なくとも日中、以下に該当する者を1名以上配置 ・社会福祉法人、医療法人、指定居宅などのスタッフ ・医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士などの資格がある人 |
人員配置基準(夜間) | 看護職員または介護職員が1名以上常駐 | 緊急通報システムがあれば配置義務なし |
介護型では、利用者さまが30名以上いる場合に看護師の配置が義務付けられています。
医療や介護を必要とする利用者さまが多く入居していることからも、一般型より看護師を常駐している施設は多いと考えられます。
一方、一般型では看護師の配置義務はないものの、医療ニーズが高い利用者さまを受け入れている場合は、看護師を配置しているケースもあります。
実際、令和5年の調査で、一般型のうち看護師の配置があるとした施設は、33.5%でした。看護師の配置は「介護型」に限らず「一般型」のサ高住でも重要視されているといえます。
サ高住の看護師の仕事内容7つ
サ高住の看護師の仕事内容は、次のとおりです。
- 安否確認
- 健康観察・バイタルサインのチェック
- 医療処置
- 服薬管理
- 急変対応
- 日常生活の援助と見守り
- 多職種との連携
利用者さまへの医療処置やケアだけでなく、介護スタッフとの連携や生活支援も含まれます。
くわしく解説します。
1.安否確認
サ高住では、利用者さまが安全に生活できているかを確認する「安否確認」をおこないます。
安否確認の方法は施設によってさまざまで、次のような手段が一般的です。
- 居室訪問
- 電話による確認
- ゴミ出し・新聞の受け取りなどの間接的な確認
- プライバシーに配慮した外出チェックや食事摂取状況の確認
バイタルサインのチェックや服薬管理、体調の観察をおこなう際に、利用者さまの状態を確認します。
とくに健康状態が変化しやすい利用者さまにとっては、看護師による安否確認が状態変化の早期発見につながり、安心感や信頼にもつながります。
2.健康観察・バイタルサインのチェック
毎日の健康状態を把握し、体調の変化に早期に気づくためにバイタルチェックをおこないます。
小さな変化も見逃さないことが、重症化の予防につながります。
3.医療処置
医師の指示にもとづき、次の医療ケアをおこなう場合があります。
- 点滴投与
- インスリン注射
- 吸引
- 褥瘡処置
- ストーマ管理
利用者さまの痛みや不安に寄り添いながら、清潔・安全を確保してケアをおこないます。
サ高住に看護師が常駐していない場合は、訪問看護師が対応するケースが多い傾向です。
4.服薬管理
薬の飲み忘れや飲み間違いを防ぐため、服薬の確認や管理をサポートします。
利用者さまのなかには、複数の薬を服用している方や認知機能が低下している方もいるため、個別の対応が必要です。ほかにも、薬剤師や医師と協力します。
5.急変対応
利用者さまの体調が急変した際には、初期対応としてバイタルの確認や医師への報告、救急要請の判断、ご家族への説明などを迅速におこないます。
命を守るための判断力と対応力が求められ、看護師が中心となってほかのスタッフに指示する役割も担います。
6.日常生活の援助・見守り
サ高住では、看護師も日常生活のなかで利用者さまの様子を見守ります。
具体的には、入浴や食事、排泄といった日常動作の中で異変がないか観察したり、介護スタッフと連携して生活支援をおこなったりします。
「ちょっと顔色が悪い」「普段より元気がない」などのわずかな変化にも敏感に察知できる能力が必要です。
定期的な声かけや表情の観察をおこなって、利用者さまが安心して過ごせる環境に整えることも看護師の大切な役割といえるでしょう。
7.多職種との連携
看護師は、次のような専門職と連携しながら、利用者さまの生活の質が高まるようにチームケアを実践します。
- 介護スタッフ
- ケアマネジャー
- 医師
- 薬剤師
- リハビリスタッフ
たとえば、利用者さまの体調変化を介護スタッフから報告してもらい、その情報をもとに医師へ連絡したり、ケアマネジャーと協議してケアプランを見直したりすることもあります。
薬の副作用が疑われる場合は、薬の種類の変更について医師や薬剤師に相談することもあります。
看護師はチーム内に情報を正確に伝え「橋渡し役」として利用者さまのケアをサポートします。
サ高住の看護師として働くメリット
サ高住の看護師として働くメリットは、次のとおりです。
- 一人ひとりと深くかかわれる
- 身体的・精神的負担が少ない
- ワークライフバランスがとりやすい
くわしく見ていきましょう。
一人ひとりと深くかかわれる
一般的な病院と比べて時間的な余裕があり、利用者さまとの信頼関係を築くことができます。
基本的に利用者さまは、長期にわたってサ高住に入居されているため、時間をかけながら利用者さまとじっくりかかわれます。
バイタルサインのチェックや日常生活のサポートを通じて、小さな変化にも気づきやすく、看護師としてのやりがいを感じやすい環境です。
身体的・精神的負担が少ない
サ高住の利用者さまは、病院の患者さまと比較して医療ニーズが低く、急変の対応をすることも少ないことから、精神的に落ち着いた状態で仕事ができます。
体力的な負担も比較的軽いため、長く働き続けやすい職場といえるでしょう。
ワークライフバランスがとりやすい
夜勤や残業が少ない施設が多いため、仕事と家庭やプライベートが両立しやすい傾向です。
子育て中の看護師や、趣味や学びの時間を確保したい看護師にも適した職場であり、ライフステージに合わせた柔軟な働き方が実現しやすい職場といえるでしょう。
サ高住の看護師のデメリット
サ高住の看護師には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
転職や就職を検討する際は、デメリットも理解しておくと働いたときのミスマッチを防げます。くわしく見ていきましょう。
医療行為の少なさによる物足りなさ
サ高住では、急性期病院のような高度な医療処置や緊急対応がほとんどなく、比較的安定した状態の利用者さまが多く暮らしています。
そのため、点滴や採血、吸引といった医療処置をおこなう頻度が少なめで「もっと医療現場で手技を磨きたい」という看護師の方は、物足りなさを感じるかもしれません。
介護型のサ高住であれば、医療ニーズの高い利用者さまが多いことから、医療的なケアをおこなう機会は多いようです。
サ高住への転職にあたり「医療行為の少なさ」が気になる看護師は、介護型の施設を中心に求人を探してみるのがおすすめです。
看護師が少ない職場での負担
サ高住では、看護師の配置が1名のみである場合も少なくありません。
そのため、体調の悪化時や処置の判断、家族対応などを一人で担う場面もあり、精神的なプレッシャーを感じやすい環境です。判断に迷った際に、相談相手が身近にいないこともストレスになる可能性があります。
とくに、医療依存度の高い利用者さまが多い施設では、責任の重さを感じやすいでしょう。
医療体制が限定的
サ高住は医療施設ではなく「住まい」であるため、医療機器や医療スタッフの数には限りがあります。
点滴や吸引が必要な場合でも、設備や物品が十分にそろっていない場合があり、処置をする際に不便さを感じるケースも少なくありません。また、訪問診療や訪問看護と連携して対応するケースもあります。
こうした病院との医療環境の違いが大きなギャップとなり、精神的につらいと感じることもあるでしょう。
サ高住の看護師の給料
サ高住に限定した看護師の給料は明らかではありませんが、一般的に病院や訪問看護ステーションに比べてやや低めといわれています。
常勤として勤務した場合、月収は20万〜30万円程度が目安です。
たとえば、月収30万円であれば年収は360万円となり、看護師全体の平均年収である519万7,000円を下回る可能性があります。
ただし、実際の給与は施設の規模や運営法人の方針、地域によって大きく異なります。
夜勤やオンコールの有無、資格手当や役職手当などによっても変動するため、求人情報をしっかり確かめましょう。
サ高住の看護師の求人を探す方法
サ高住の看護師求人は、転職サイトや訪問看護ステーションの求人内容をチェックする方法で見つけられます。
自分のライフスタイルや希望する働き方に合った求人を見つけるために、いくつかの方法を組み合わせて活用してみましょう。
医療・介護系の転職サイトを活用する
看護師専門の転職サイトで「サ高住」や「サービス付き高齢者向け住宅」といったキーワードで検索すると、さまざまな求人情報を効率的に見つけられます。
日勤のみ、夜勤なし、シフト相談可など、条件を細かく設定できるため、自分に合った働き方を見つけやすいことが特徴です。
また、給与や福利厚生、施設の雰囲気など、詳細情報を事前にチェックできる点も不安の少ない転職につながるでしょう。
訪問看護ステーションの求人内容をチェックする
サ高住と連携する訪問看護ステーションに所属し、複数の施設を訪問する働き方もあります。
自宅近くで求人を探せることや、比較的自由度が高い勤務形態も魅力です。
ただし、この場合は訪問看護ステーション所属の看護師となり、訪問先はサ高住だけでなく一般居宅も含まれるため、勤務スタイルや移動範囲は事前に確認しておきましょう。
訪問看護ステーションへの転職に興味を持った看護師は、訪問看護に特化した「NsPaceCareer」のご利用をおすすめします。
転職に必要な情報が豊富に掲載されており、不安の少ない転職をサポートします。
地元のサ高住に直接問い合わせる
希望するエリアのサ高住に連絡して、看護師の募集状況を確認する方法も効果的です。未公開求人や今後の採用予定を教えてもらえることもあります。
また、現場の雰囲気や業務内容について直接聞けるため、自分に合った職場かどうかを判断する材料にもなるでしょう。
サ高住の看護師の将来性
サ高住での看護師の需要は、今後さらに高まると推測できます。
高齢化の進行や医療ニーズの高い利用者さまの増加により、施設内で看護ケアを提供できる体制が求められているからです。
「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」によると、利用者さまの医療ニーズに対応するために「看護職員の確保」が重要とする意見が多くあげられました。
また、国が「介護付きホームも含め、高齢者向け住まいの医療・介護ニーズへの対応を強化する」としていることから、サ高住の看護師の役割が期待されます。
こうした動きからも、サ高住の看護師として活躍できるチャンスは、ますます広がっていくといえるでしょう。
サ高住の看護師に関するよくある質問
サ高住の看護師について、よくある質問にお答えします。疑問を解消し、不安のないサ高住への転職につなげましょう。
Q1:サ高住の看護師の夜勤バイト、派遣で働きたいです。どこで探せますか?
サ高住の夜勤や派遣の求人は、看護師専用の求人サイトや派遣会社を利用するのが一般的です。
ただし、サ高住は夜間の医療体制が限定的な場合が多く、夜勤を担当する看護師の配置は施設ごとに異なるため、求人数は多くありません。
介護型サ高住や、医療ニーズの高い施設に絞って探すと、夜勤対応の求人が見つかる可能性が高まります。
まずは希望条件を設定して、複数のサイトで検索してみましょう。
Q2:サ高住の看護師を辞めたいです。経験を活かせる職場はありますか?
サ高住での看護師経験は、以下のような高齢者ケアにかかわる現場で活かせます。
- 訪問看護
- デイサービス、デイケア
- 訪問入浴
ケアマネジャーをはじめとした多職種への転職も選択肢のひとつです。
サ高住からの転職に迷っている看護師の方は、面接対策や書類準備のサポートを受けられる求人サイトサイトまたはエージェントを活用するのがよいでしょう。
サ高住は看護師の「ゆったり働きたい」を叶える!今すぐ求人をチェックしましょう
サ高住は病院のような慌ただしさが少なく、利用者さま一人ひとりとじっくりかかわれる職場です。
医療行為よりも健康管理や生活支援がメインになるため、おだやかな環境で看護をしたい方に向いています。
また、ワークライフバランスを大切にしたい方にもおすすめの働き方です。
自分らしく働ける職場を探している看護師は、サ高住の求人をチェックしてみてください。
<参考サイト・文献>

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