INE看護師とは?受験資格や合格率、おすすめの看護師の特徴5つ

公開日:2025/04/17 更新日:2025/04/17
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「INE看護師に興味があるけど、どんな業務なの?」「INE看護師の試験って難しい?」

このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。

INE看護師(インターベンションエキスパートナース)に興味があるものの、実態がいまひとつわからず、一歩踏み出せない方もいるでしょう。

この記事では、INE看護師の受験資格や試験の合格率、おすすめの看護師の特徴を解説します。今後のキャリアプランとしてカテーテル治療に深くかかわりたいと考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

INE看護師とはカテーテル治療に特化した看護師のこと

INE看護師とは、カテーテル治療に特化した専門的な知識とスキルがある看護師が認定試験に合格すると得られる資格のことです。

たとえば、冠動脈形成術(PCI)や血管内治療(EVT)、カテーテルアブレーションといった血管内治療に携わる看護ケアのエキスパートです。2020年~2024年の5年にわたる治療件数は次のとおりです。

治療名2020年2021年2022年2023年2024年
PCI(緊急)79,47276,07576,66577,94980,057
EVT71,49568,72070,77768,76165,379
カテーテルアブレーション104,385103,288109,008112,870122,533
参考:2024年循環器疾患診療実態調査報告書|日本循環器学会(EVTの件数はPTAの件数を参照)

カテーテル治療は、今後も増加することが見込まれています。そのため、INE看護師はカテーテル治療のスキルを身につけたい方におすすめの資格といえます。

INE看護師になるには試験合格が必須

INE看護師になるためには、認定試験に合格しなければなりません。

試験を受けるためには3つの受験資格を満たす必要があり、このハードルの高さに悩まされる看護師の方も少なくありません。INE看護師の受験資格と注意点、資格取得までの流れについて、詳しく見ていきましょう。

INE看護師の3つの受験資格と注意点

INE看護師の受験資格は、次の表のとおりです。

受験資格ポイント
看護師免許の取得正看護師(看護師)、准看護師のいずれも受験可能
実務・看護経験・満3年以上の経験(受験時期によって異なる)
・IVR専門医、もしくはCVIT専門医のもと100症例以上のカテーテル検査・治療の経験
講習会の受講2年間のうち1回以上の受講が必要
参考:インターベンションエキスパートナース|日本インターベンションラジオロジー協会/日本心血管インターベンション治療学会

指導を受ける専門医は、常勤・非常勤を問いません。また、専門医の指導のもとで経験を積んでも、実務経験として認められない症例があります。除外例は、次のとおりです。

指導を受ける専門医除外症例
IVR専門医・造影検査
・血管造影
・リザーバーからの造影
・すでに留置されているドレナージチューブからの再造影
CVIT専門医・冠動脈造影(CAGをはじめとする検査)
・カテーテルアブレーション
・ペースメーカー手技
参考:インターベンションエキスパートナース|日本インターベンションラジオロジー協会/日本心血管インターベンション治療学会

INE看護師の受験を検討している方は、対象となる症例を優先的に経験できるように、上司に業務調整を相談するのも有効な方法です。

INE看護師の資格を取得する流れ

INE看護師の資格をとるまでの流れは、次のとおりです。

  1. 講習会を受講する
  2. 認定試験を申し込む
  3. 書類審査を受ける
  4. 認定試験を受ける
  5. 試験合格で資格を取得できる

講習会を受講した後、次の書類を提出して、認定試験に申し込みます。

必要書類必要部数
受験申込書原本1部とコピー1部
看護経験症例数報告書
(IVR、CVIT両方、もしくはどちらかでも可)
原本1部とコピー1部
看護師職務経歴書1部
IVR、CVIT 専門医による症例経験証明書1部
看護師職務経験証明書(看護師長または看護部長など)原本1部
看護師免許コピー1部
必須講習会出席証明書コピー1部
受験料(6,050 円)の銀行振込み票コピー1部
受験票返信用封筒1枚
参考:試験の案内|日本インターベンションラジオロジー協会/日本心血管インターベンション治療学会

2025年3月15日に実施された第12回の試験は次のようなスケジュールとなっていました。

  • 試験申込書提出期限:2024年11月1日〜12月17日
  • 書類審査: 2025年 2月下旬(受験票返送)
  • 試験日:2025年3月15日

書類の提出から2ヶ月ほどで書類審査の結果が発表されます。実際の試験は、選択式問題(50題)、記述式問題(1題)で構成されています。あらかじめ資格をとる流れを把握しておくことで準備が効率的となり、資格取得までスムーズに進められるでしょう。

INE看護師の合格率は90%以上

INE看護師の合格率は正式に発表されていません。
ですが、2024年3月におこなわれた認定試験の合格率は91.78%と推測されます(公式発表はないため、受験者219名中、合格者は201名から試算)

受験の基準を満たすために100件以上の症例にかかわる必要があったり、高度な講習を事前に受けたりすることが、この合格率の高さにつながっていると考えられるからです。

つまり、すでに一定のレベルに達した看護師が受験資格を得るため、結果として合格率も高くなるといえます。

INE看護師は5年ごとに更新が必要

INE看護師の資格を取得したあとは、5年ごとに更新しなければなりません。

毎年、公式ホームページで対象者の認定番号が発表されるため、忘れないように確認しましょう。更新の条件や手続き方法は、次の表を参照してください。

項目内容
更新条件更新には50単位が必要(学術集会への参加、IVR・CVIT関連学術集会での発表、インターベンション治療関連執筆などで取得)
手続き方法・オンラインで申請可能
・提出書類に不備がなければ更新完了
更新手数料5,500円
参考:認定看護師更新者への案内|インターベンションエキスパートナース(INE)

更新時に試験は必要なく、決められた単位数を取得し申請期限を守ると更新できます。

INE看護師の役割

INE看護師には、専門性の高い医療現場で次のような役割が求められます。

  • 患者ケアの向上
  • 高度な技術サポート
  • 感染管理と安全確保

一つずつ解説します。

患者ケアの向上

患者さまの不安をやわらげ、安心して治療を受けられる環境を整えることがINE看護師の役割です。

カテーテル検査や治療を受ける患者さまは、意識がある状況で狭い手術台の上に長時間いなければなりません。さらに、麻酔を使用することで嘔気や寒気などがあらわれることがあり、精神的・身体的な苦痛を感じやすい状況に置かれます。

INE看護師は、このような患者さまの状況を把握し、体位を調整したり、症状に対してケアをしたり、羞恥心に配慮したりなど、患者さまの苦痛緩和に努める必要があります

こうした細やかな配慮は、患者満足度の向上につながるだけでなく、治療への前向きな姿勢にもつながるでしょう。

高度な技術サポート

INE看護師は、次の場面で技術的なサポートを担います。

  • カテーテルや薬剤の準備
  • 医療機器の操作
  • デバイス管理

INE看護師は、最新の知識を取り入れ、医師や技師と連携しながら安全な診療を支えています。

感染管理と安全確保

カテーテル治療では体内に器具を挿入するため、患者さまの感染リスクが高まります。INE看護師は無菌操作を徹底し、清潔な治療環境を維持しなければなりません。

また、次のような安全管理も担います。

  • 被ばく対策
  • 緊急時の初期対応
  • 医師や技師との迅速な連携

たとえば、造影剤によるアレルギー反応が起こった際、すぐに対応できるように、あらかじめ必要な薬剤や物品を準備し、冷静にかつ迅速に対応することがINE看護師に求められる役割のひとつです。

患者さまのわずかな異変に気づき、すぐに行動できるINE看護師の存在は、患者さまの命を守る大きな支えとなるでしょう。

INE看護師に向いている5つの特徴

INE看護師に向いている看護師の特徴は、以下のとおりです。

  • 専門性を高めたい
  • 給料アップを目指したい
  • 緊急対応へ強い関心がある
  • 循環器やIVR分野に興味がある
  • チーム医療を積極的に推進したい

詳しく見ていきましょう。

1.専門性を高めたい

INE看護師は、カテーテル治療に特化したスキルや知識を深め、キャリアアップを目指したい看護師に向いています。

というのも、一般的な看護業務だけでなく、専門的な医療技術を習得するための資格であるからです。

専門性を高めることで、より高度な医療現場で活躍できるチャンスが広がり、患者ケアにも役立ちます。

2.給料アップを目指したい

INE看護師の資格があると手当が支給される医療機関もあり、収入アップが期待できます。

また、専門性の高い資格として評価されるため、転職時の年収交渉の際に有利になったり、

現在の職場で昇給につながったりすることも少なくありません。

将来的に安定した収入を得たい方や、給与面での優遇を求める方にとって、INE看護師の資格は有効な手段となるでしょう。

3.緊急対応へ強い関心がある

緊急時に冷静に対処して患者さまの安全を守りたいと考えている方は、INE看護師を目指すことをおすすめします。

カテーテル治療は緊急症例が多く、その場での迅速な判断と冷静な行動が求められるためです。

たとえば、急性心筋梗塞の患者さまが救急搬送され、すぐにカテーテル治療をおこなう場面では、INE看護師は医師の治療をサポートできます。

救急看護の場では特にその役割が活躍します。

こうした場面にやりがいを感じる方にとって、INE看護師は専門性を活かして活躍できる資格といえるでしょう。

4.循環器やIVR分野に興味がある

INE看護師はカテーテル治療に深くかかわるため、循環器やIVR(インターベンショナルラジオロジー)分野の知識を深めたい看護師に向いています。

手技の流れや治療の目的を理解し、医師や放射線技師などと連携してケアをおこなう必要があるため、臨床現場で知識と経験を深めるチャンスにもつながります。

5.チーム医療を積極的に推進したい

INE看護師は、医師や放射線技師、臨床工学技士など多職種と連携して業務を進めます。

そのため、チーム医療の一員として患者ケアの質を向上させ、より効果的な治療を提供したいと考える看護師に適した資格です。

INE看護師の資格を取得するメリット

INE看護師になるメリットは、次のとおりです。

  • 転職に有利になる可能性がある
  • 資格手当が支給される場合がある
  • 循環器看護の知識を得られる

一つずつ解説します。

転職に有利になる可能性がある

INE看護師の資格を取得すると、循環器看護の分野での転職がスムーズになる可能性があります。

とくに、循環器病棟、ICUやカテーテル室といった専門分野では、資格保有者が優遇される場面もあり、転職活動で有利になりやすいようです。

面接官は、INE看護師の資格を高く評価する場合もあるため、転職先を選びやすく、より好条件での就職が期待できます。

資格手当が支給される場合がある

INE看護師の資格を持っていると、資格手当が支給される医療機関もあります。

給与が増えるだけでなく、今後さらに専門を深めたいというモチベーションにもつながります

また、長期的なキャリアにおいても安定した収入源となり、仕事に対する満足感も得やすいでしょう。

循環器看護の知識を深められる

INE看護師の資格を取ると、心臓や血管の病気の知識が深まるため、患者さまにわかりやすく説明できるようになり、患者さまは安心できるでしょう。

患者さまの不安がやわらぐことで、治療をスムーズに進められます。

こうした専門性の高さが患者ケアに役立つことで、医師やほかのスタッフからも信頼され、看護師としての評価の向上に期待できます。

INE看護師を目指す方におすすめの関連資格

INE看護師を目指す方にとって、次の関連資格もキャリアアップに役立ちます。

  • 循環器専門ナース
  • 慢性心不全看護認定看護師

循環器看護の領域で活躍したい看護師は、ぜひ参考にしてください。

循環器専門ナース

循環器専門ナースは、循環器疾患に特化した知識と技術を習得する資格で、カテーテル治療や循環器系の患者ケアに自信を持って取り組むための土台となります。

また、循環器専門ナースの資格を持っていると、循環器看護の分野でのキャリアアップが期待できます。

慢性心不全看護認定看護師

慢性心不全看護認定看護師は、慢性心不全患者さまにケアを提供するための資格です。

循環器系の病気がある患者さまには、慢性心不全の症状が現れやすいからです。そのため、患者さまに対するアプローチの理解は必須といえます。

この資格を持つことで、心不全患者さまのケアで専門性を発揮でき、満足度が高いケアを提供できるでしょう。

INE看護師を取得して専門性の高い患者ケアを実現しましょう

INE看護師は、カテーテル治療に特化した専門資格であり、高度な知識と技術を活かして患者ケアの質を高められます。

受験には実務経験や講習の受講が必要ですが、着実に準備すれば試験の合格は決して難しいものではありません。

治療や検査に不安を抱える患者さまに寄り添いながら、チーム医療の一員として活躍したい看護師は、ぜひINE看護師の資格取得を目指しましょう。

<参考サイト・文献>

2024 年循環器疾患診療実態調査報告書|日本循環器学会

インターベンションエキスパートナース|日本インターベンションラジオロジー協会/日本心血管インターベンション治療学会

試験のご案内|インターベンションエキスパートナース(INE)

認定看護師更新者への案内|インターベンションエキスパートナース(INE)

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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