看護師は何歳まで働ける?60歳以上の年収や長く働くコツ3つを解説

公開日:2025/03/21 更新日:2025/03/21
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看護師として長く働いてきたものの「定年後も続けられるのか」「年齢を重ねても働ける職場はあるのか」と不安を感じていませんか。

定年後も働き続けるためには、再雇用制度の活用や負担の少ない職場への転職など、働き方を工夫することが大切です。

とはいえ、定年後の働き方をくわしく知る看護師も少ないでしょう。

この記事では、60歳以上の年収の実態や長く働くためのコツ、定年後も活躍できる職場について解説します。

看護師の仕事はやりがいのある仕事です。
ぜひ参考にしてできるだけ長く続けたい看護師の方を応援しています。

看護師は何歳まで働けるか

看護師は、資格に年齢制限がないため、定年を迎えても看護師として働き続けられます。

ここでは、看護師の定年制と定年後に働く看護師の実態について解説します。

約5割の施設で60歳定年制を採用

厚生労働省の調査によると、約9割の医療施設が定年制を導入しており、うち半数が60歳定年制です。

ただし、高年齢者雇用安定法の改正により2025年4月から65歳までの雇用が努力義務から完全義務化となる予定です。また2025年3月現在、70歳までの就業機会の確保が努力義務として求められています。

この流れを受け、厚生労働省は「労働力人口の減少を考慮し、55歳以上の看護師の就業をさらに推進することが求められる」と看護師の再雇用を進めています。

看護師の60歳以降の給料は年間400万円以上

60歳以上の看護師の年収は、以下のとおりです。

年齢層平均年収
60~64歳477万8,600円
65~69歳450万1,600円
70歳以上407万2,800円
参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

この調査によると、看護師のうちもっとも年収の高い年代が55~59歳で、その額は585万9,300円です。

そのため、定年前まで働いた職場での再雇用制度を活用したり、ほかの施設へ転職したりする場合は、これまでの年収より下がる可能性があります。

看護師が仕事を長く続けるためにすべき3つのこと

看護師が長く働くために大切なことは、以下のとおりです。

  • 健康管理を徹底する
  • スキルアップで選択肢を広げる
  • 負担の少ない働き方を選ぶ

年齢を重ねることで不安になりがちな「体力」と向き合う場面が多いかもしれません。

一つずつ見ていきましょう。

1.健康管理を徹底する

看護師の仕事は身体的にも精神的にも負担が大きいため、健康維持が欠かせません。

健康を保つために以下のことを心がけましょう。

  • 適度な運動を継続する
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • ストレス解消法を見つける
  • 規則正しい生活リズムを保つ
  • バランスの取れた食事を心がける

これらを実践することで、長く働ける身体と心を維持できます。

健康診断や人間ドックなどの定期的な検査を受けることも大切です。

2.スキルアップで選択肢を広げる

看護の分野は常に進化しているため、継続的な学習とスキルアップがどの年代にも必要です。年を重ねても需要のある資格や研修には、以下のようなものがあります。

  • 認定看護師や専門看護師の資格取得
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格
  • 糖尿病療養指導士、終末期ケア専門士などの資格
  • 感染管理や褥瘡管理などの専門的な研修
  • IT技術や医療機器の操作に関する研修

これらのスキルや資格があれば、年齢を重ねてもさまざまな職場で活躍できる可能性が広がります。

3.負担の少ない働き方を選ぶ

体力の変化に応じて、働き方を調整することも長く働くために重要です。以下の特徴がある職場で働くことを検討しましょう。

  • 夜勤のない職場への転職
  • パート勤務や短時間勤務の活用
  • フレックスタイム制度のある職場の選択
  • テレワークが可能な看護関連の事務職への転向

同じ職場で働き続けるのも選択肢の一つですが、働き方を柔軟に変えることで、無理なく長く続けられます。

看護師の60歳からの働き方

定年を迎える看護師や将来の働き方を考えている看護師に向けて、負担を減らしながら長く働く以下の方法を紹介します。

  • 再雇用制度を活用する
  • 別の施設へ転職する
  • 職種を変えて働く

くわしく見ていきましょう。

再雇用制度を活用する

現在の職場で再雇用制度を利用すると、新たな環境に慣れる必要がなく、スムーズに仕事を続けられます。

厚生労働省の調査によると、継続雇用制度のもとで働く看護師の7割が「定年前と同じ仕事内容」と答えました。また全体の6割が「責任は変わらない」と回答しています。

再雇用制度を活用したからといって、新たな業務をまかされることは少ないでしょう。

これまでの経験を活かせるため、負担を減らして働き続ける一つの選択肢となります。

別の施設へ転職する

60歳を機に、新しい環境で働くのも長く働くコツの一つです。

その際は、介護施設や訪問看護ステーションなど、比較的負担の少ない職場への転職を視野にいれることもよいでしょう。

また、派遣看護師として働くのもおすすめです。

派遣看護師は、勤務先によって業務内容が異なりますが、体力的に負担の軽い施設が多いため、定年後も働きやすい傾向があります。

新たな職場に挑戦することで、モチベーション向上や新しい人間関係の構築につながります。

職種を変えて働く

定年を迎えたあとに、新たな資格を取得し、別の職種に転向する看護師も増えています。

たとえば以下の職種では、看護師の経験を活かしつつ体力的な負担を減らすことが可能です。

  • 医療事務
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)

定年後の新しい働き方として、経験を活かしながら無理なくキャリアを継続できる方法を検討しましょう。

看護師が長く働ける場所

定年後も看護師として働き続けるには、病院ほどの体力を必要とせず、これまでの技術を活かせる職場が適しているといえます。

具体的には、以下があげられます。

  • 訪問看護ステーション
  • 介護施設
  • クリニック
  • 健診センター
  • 保育園・幼稚園
  • デイサービス

一つずつ見ていきましょう。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、利用者さまのご自宅を訪問して看護を提供します。

比較的自由度が高く夜勤もないため、スケジュール調整がしやすい傾向です。

また、これまでの経験を活かして、利用者さま一人ひとりに合わせたケアを提供できるため、やりがいを感じやすい職場といえるでしょう。

ただし、85%以上の訪問看護ステーションでは、呼び出しに対応できるように「オンコール体制」を導入しています。

実際に稼働がなくても専用の携帯をもっていなければならないことで、精神的な負担を感じる可能性があります。

より負担なく働きたい場合は、オンコール体制がない、緊急の稼働が少ないなどのステーションを選ぶと安心です。

とはいえ、60歳以上での転職は「採用されないかもしれない」「履歴書の書き方がわからない」など、不安がつきものです。

そんなときは、訪問看護専門の転職サイトである「NsPaceCareer」を活用するとスムーズな転職活動につながります。

介護施設

介護施設では、高齢者の日常生活のサポートや健康管理がおもな仕事です。

病院と比べて急変の可能性が低いうえに夜勤の頻度も少ないため、落ち着いた環境で働けます。

介護施設には、おもに以下の種類があります。

  • 特養(特別養護老人ホーム)
  • 老健(介護老人保健施設)
  • 有料老人ホーム

施設の目的だけでなく利用者さまのタイプも異なるため、介護施設への転職を考えるときは、いくつかの施設を見学するとよいでしょう。

クリニック

クリニックは、一般的に夜勤がなく定時で帰宅できることが多いため、定年を機にワークライフバランスを重視したい看護師に適しています。

専門分野に特化したクリニックであれば、これまでの経験を十分に活かせるでしょう。患者さまとの関係性も病院より密接になりやすく、長期的なケアを提供できる点も魅力です。

健診センター

健診センターでは、おもに健康診断や人間ドックの業務をおこないます。

定期的な検査や問診が中心となるため、急変対応やマルチタスクなどのストレスが少なく、体力的な負担も軽いでしょう。

また、予防医学の観点から健康指導をおこなうこともあり、これまでの知識や経験を活かせる場面が多くあります。

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園の看護師は、子どもたちの健康管理や応急処置がおもな仕事です。

子どもたちと接する機会が多く、活気ある環境で働きたい看護師に向いています。また、勤務時間が日中に限られるため、生活リズムを整えやすいというメリットもあります。

デイサービス

デイサービスでは、高齢者の日中の活動をサポートし、健康管理をおこないます。

利用者さまの状態を観察し、必要に応じて医療的ケアを提供します。夜勤がなく日中のみの勤務となるため、体力的な負担が少ない傾向です。

看護師が定年後も働くメリット

定年後も看護師として働くメリットは、以下のとおりです。

  • 安定した収入を得られる
  • 健康を保ちながら社会とつながれる
  • 経験を活かしてやりがいを感じられる

くわしく解説します。

安定した収入を得られる

定年後も収入を得ることで、経済的な不安を軽減できます。

厚生労働省の「生活設計と年金に関する世論調査」では、年金受給後の働き方について以下の結果が出ています。

年金受給後の働き方割合
働かない23.6%
年金額が減らないように就業時間を調整しながら会社などで働く44.4%
年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く14.0%
会社などで働かず、自営業主・自由業などとして働く9.1%
厚生年金の加入期間・加入予定がなく、受給する見込みがない3.7%
参考:生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)概略版|内閣府世論調査

このデータから、定年後も年金以外の収入確保を考える方が一定数いるとわかります。

定年後も看護師として働き続けると、年金にプラスして安定した収入を得られ、より充実した生活を送れるでしょう。

健康を保ちながら社会とつながれる

仕事を続けることで規則正しい生活リズムが保たれ、身体的・精神的な健康を維持しやすくなります。

職場での人間関係を通じて社会とつながり続けることで、孤立を防ぎ、認知機能の低下を予防する効果も得られるでしょう。

経験を活かしてやりがいを感じられる

長年培ってきた看護のスキルや知識を活かし「まだ誰かの役に立てる」という充実感や、やりがいを得られることも大きな魅力です。

また、若手看護師の指導役として、これまでの経験を次世代に伝えられます。

業務を言語化して説明する過程で自分の知識や技術を再確認でき、自己成長にもつながるでしょう。

看護師が定年後に働くデメリット

看護師が定年後に働くメリットがある一方で、いくつかデメリットも存在します。

  • 体力的にきつい場面がある
  • 新しい看護技術や知識への対応が求められる
  • 自分の時間が減る可能性がある

デメリットを知っておくと、定年後も無理なく働けるヒントを得られます。

一つずつみていきましょう。

体力的にきつい場面がある

年齢とともに体力は低下するため、これまでと同じ業務をこなすことが負担に感じることもあるでしょう。

とくに夜勤や長時間労働のある職場では、体力的な負担が大きくなる可能性があります。

体調管理をしながら、無理のない働き方を選ぶことが大切です。

新しい看護技術や知識への対応が求められる

医療の現場では、新しい技術や機器がつぎつぎと導入されるため、定年後も学び続ける姿勢が求められます。

「新しい知識を得るのが楽しい」と感じる看護師には適していますが、学習を負担に感じる場合は、比較的落ち着いた職場を選ぶのがよいでしょう。

自分の時間が減る可能性がある

定年後も働くことで、家族との時間や趣味に費やせる時間が減ってしまうかもしれません。

「どのくらいのペースで働くのか」をあらかじめ決めておくと、仕事とプライベートのバランスがとりやすくなります。

自分の理想のライフスタイルに合った働き方を選びましょう。

看護師が定年後に求人を探す方法

定年後に転職を希望する場合、以下の方法で検索できます。

求人を探す方法特徴・メリット
転職サイトの活用・大手転職サイトを利用
・「60歳以上歓迎」「日勤のみ」などの条件で検索
・ベテラン看護師向けの求人特集
・自分の希望条件に合った求人を見つけやすい
看護師専門の転職エージェントの利用・専門エージェントに相談し、非公開求人を紹介
・希望に沿った提案やアドバイス
・非公開求人にアクセス可能 ・プロからのアドバイス
地域密着型の情報源を検索・ハローワークや自治体の福祉関連窓口で求人情報を収集・地元で働きたい看護師向き ・シニア向け求人が見つかる可能性

複数の方法を組み合わせることで、より理想的な求人に出会える可能性が高まります。

自分に合った方法で情報収集をおこない、働きやすい職場を見つけましょう。

看護師は定年後も働ける!人生設計に合ったスタイルで無理なく看護師を続けましょう

看護師は年齢制限がなく、定年後も働き続けることが可能です。

60歳以降も活躍する看護師は増えており、再雇用制度の活用や転職、職種変更など、柔軟な働き方を選ぶことで無理なく仕事を続けられます。

健康管理を徹底し、スキルを磨くことも長く働くための重要なポイントです。

看護師としてのキャリアを活かしつつ、自分に合ったペースで仕事を続けていきましょう。

<参考サイト・文献>

令和5年度 看護職員確保対策特別事業 55歳以上の看護師等の就業促進に係る好事例収集事業|厚生労働省 

高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります|厚生労働省  

高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~|厚生労働省

令和5年度 看護職員確保対策特別事業 55歳以上の看護師等の就業促進に係る好事例収集事業|厚生労働省

潜在看護職員数の推計|厚生労働省  

衛生行政報告例 令和4年度衛生行政報告例|厚生労働省  

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省  

訪問看護における24時間対応体制と緊急訪問の状況|厚生労働省 

生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)概略版|内閣府世論調査 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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