看護師のブランクは何年まで良いの?不安解消の方法6つと復職のポイント

「看護師の資格は持っているけれど、ブランクが長くて復職できるか不安」と感じている方は多いのではないでしょうか。
看護師の仕事は人の命に関わるため、ブランクが長いほど復職への不安は大きくなりがちです。
この記事では、ブランクがあっても安心して復職するためのポイントや不安を解消する方法を紹介します。最後まで読んで、復職への一歩を踏み出してください。
看護師はブランクが何年までなら復帰できる?
看護師の資格は、何年ブランクがあっても有効です。そのため「ブランクは何年まで」といった決まりはありません。しかし、ブランクが長くなるほど、復職への不安は大きくなるでしょう。
日本看護協会「都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査」によると、看護師のブランク期間は平均31.1ヶ月と言われています。なかには、60ヶ月以上のブランクがあって復職している看護師も16.9%います。
大切なのは、ブランク期間をどのように過ごし、復職に向けてどのような準備をしてきたかを明確に説明できるようにしておくことです。
ブランク期間中に子育てや介護をしていたのであれば、その経験を通して得たコミュニケーション能力や忍耐力などは、看護師の仕事にも活かせます。また、ブランク期間中に自主的に学習を続けていたのであれば、その努力を採用担当者にアピールしましょう
ブランクのある看護師が抱えやすい不安
2018年時点で、看護師と准看護師の資格を持つ方のうち79万3,884人が働いていません。ブランクのある看護師さんが、どのようなことに不安を感じるのか、具体的に紹介します。
- 急変対応の怖さ
- 医療処置スキルの低下への不安
- 夜勤ができないかもしれないという心配
- 慣れない配属先になるかもしれないという悩み
- 人間関係になじめるか不安
- 子どもを預けて働くことへの葛藤
看護師の仕事は、人の命に関わる仕事です。ブランクが長いと、急変時にスムーズに対応できるのか、医療処置の知識やスキルが低下しているのではないか、と不安になるでしょう。
特に、医療技術の進歩は目覚ましく、ブランク期間中に新しい技術や知識が導入されている可能性があります。
そのため、復職前に最新の医療情報を収集し、技術を再確認しておくことが重要です。
関連記事:ブランクのある看護師が感じやすい不安!4つの準備とおすすめの勉強法
ブランクある看護師の不安を解消す方法
ブランクのある看護師が、不安を解消する方法を紹介します。
- 参考書で勉強する
- ブランクのある看護師を対象とした研修に参加する
- ブランクのある看護師に向けた復職支援制度を活用する
- 新たな資格の取得を目指す
- 家族の協力を得る
- 「ブランクOK」と書かれている求人に応募する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
参考書で勉強する
参考書で勉強を始めましょう。ブランク中に低下した知識や技術を、再度身につけられます。
最新の医療情報や看護技術を学ぶと、復職への自信につながるかもしれません。
また、学習した内容をノートにまとめることで、知識の定着を促せます。参考書だけでなく、インターネットやアプリを活用するのも良いでしょう。
また、最近では、VR技術を活用した看護技術の学習ツールも登場しています。これらのツールを使えば、実際の医療現場に近い環境で、注射や採血といったさまざまな手技を練習できます。
ブランクのある看護師を対象とした研修に参加する
ブランクのある看護師さんを対象とした研修に参加しましょう。研修では、最新の医療知識や技術を学べるだけでなく、同じようにブランクから復職を目指す仲間と出会えます。
情報交換をしたり、悩みを共有したりすることで、不安が軽減されます。
日本看護協会や都道府県の看護協会などが主催する研修があるため、お住い地域の看護協会のホームページから研修を検索してみてください。
ブランクのある看護師に向けた復職支援制度を活用する
ブランクのある看護師に向けて、多くの医療機関や自治体が復職支援制度を提供しています。
具体的には、ハローワークやナースセンターでの研修や職場体験などを通して、復職に向けた準備ができます。
支援制度を利用することで、安心して復職への一歩を踏み出せるでしょう。
新たな資格の取得を目指す
新たな資格の取得を目指すと、医療に関する知識や技術を再度身につけられます。
資格の取得は、復職への自信につながります。また、専門看護師や認定看護師など資格によっては、給与アップやキャリアアップも期待できます。
これらの資格は、特定の分野において高度な知識や技術を持つ看護師を認定するものです。
また、看護師として救命の知識が必要と考える方はBLSプロバイダーの資格や、高齢化が進む日本において認知症ケアを再確認したい方は認知症ケア専門士の資格などを取得すると、専門的な知識に基づいたケアを再学習できるでしょう。
こうした資格取得は、復職に向けた意欲を面接官にもアピールすることができます。
関連記事:看護師がスキルアップできる資格一覧25選!プラスの資格を取るメリット
家族の協力を得る
看護師がブランクから復職するには、家族の理解と協力が不可欠です。
家事や育児の分担、勤務時間や働き方など、家族とよく話し合いましょう。家族の協力を得ることで、安心して仕事に集中できます。
特に、復帰後に夜勤や残業がある場合は、家族の協力が欠かせません。
また、勤務先によっては、託児所を完備していたり、子育てや介護の負担を減らす仕組みがあったりするため、積極的に活用しましょう。
「ブランクOK」と書かれている求人に応募する
「ブランクOK」と書かれている求人に応募しましょう。
「ブランクOK」の求人では、研修制度が充実していたり、先輩看護師が丁寧に指導してくれたりします。安心して働ける環境を選ぶことが大切です。
求人を探す際は、インターネットの求人サイトや、ハローワークなどを活用しましょう。求人サイトでは「ブランクOKの求人」に絞り込んで検索できる機能があります。また、ハローワークでは、専門の相談員に相談しながら求人を探せます。
複数の求人を比較検討し、自分の希望に合った職場を見つけましょう。
ブランクの年数と復職する際のポイント
看護師のブランクの年数と復帰する際のポイントは次のとおりです。
- ブランク年数は短いほど職場探しの幅が広がる
- ブランク年数2~3年は前職の経験をアピールする
- ブランク年数5~10年はブランク期間をポジティブに変換する
それぞれを見ていきましょう。
ブランク年数は短いほど職場探しの幅が広がる
ブランク年数は短いほど、医療の知識や技術が維持できていると判断されるため、職場探しの幅が広がります。
ブランクが短い場合は、これまでの経験を活かせる職場や、興味のある分野の職場など、希望に合った職場を見つけやすいでしょう。
また、ブランクが短い場合は、即戦力として期待されるため、給与や待遇面でも優遇される可能性があります。
しかし、ブランクが短い場合でも、最新の医療情報を収集し、技術を再確認しておくことは重要です。
ブランク年数2~3年は前職の経験をアピールする
ブランク年数2~3年の場合は、前職でどのような業務経験があるのか、どのようなスキルを持っているのかなど前職の経験を具体的に伝えください。
前職の経験をアピールすることで、採用担当者に好印象を与えられ、復職後の業務にも役立ちます。
特に、前職でリーダーシップを発揮した経験、困難な状況を乗り越えた経験などは、積極的にアピールしましょう。
関連記事:経験の浅い看護師はブランクから復帰できる?確認すべき6つとおすすめの職場
ブランク年数5~10年はブランク期間をポジティブに変換する
ブランク年数5~10年の場合は、ブランク期間をポジティブに変換してアピールしてください。
ブランク期間が長くなるに従い、採用担当者は応募書に対して「看護師としてのスキルは十分なのか」といった不安を抱き、ネガティブな印象を抱きがちだからです。
たとえば、ブランク期間中に何をしていたのか、何を学び、どのようなことを感じたのかなどを具体的に伝えることが重要です。
ブランク期間をポジティブに変換することで、採用担当者に好印象を与えられます。
ブランク年数10~20年以上は職場選びが大切
ブランク年数10~20年以上の場合は、職場選びが非常に重要です。
ブランクが長いため、医療現場のシステムや機器も大きく変わっている可能性があり、最新の医療知識やスキルを学び直す必要があるからです。復帰に関する研修制度が充実しているか、先輩看護師が丁寧に指導してくれるかなどを確認してください。
そのため、復職前に最新の医療情報を収集したうえでスキルを確認したり、家族や友人と積極的に会話をするなど、日頃からコミュニケーションを意識したりすることも大切です。
ブランクが長い場合は、パートやアルバイトなど、短時間勤務から始めて少しずつ慣らしていくことも、自分のペースで働ける職場を選ぶためには欠かせません。
ブランクありでも働きやすい職場
ブランクがあっても働きやすい職場を紹介します。
- 訪問看護ステーション
- 療養型の病棟
- 介護施設
- 検診センター
それぞれの職場がなぜ働きやすいのか、具体的に見ていきましょう。
訪問看護ステーション
利用者さまの自宅を訪問し、看護ケアを提供する訪問看護ステーションは、利用者さまとじっくり向き合ってケアがしたい方におすすめです。
また、医療処置だけでなく、生活支援や家族支援など、幅広いケアを提供できます。利用者さまやその家族との距離が近く、感謝の言葉を直接もらえるため、やりがいを感じやすいでしょう。
訪問看護では、ブランクがあっても、これまでの看護経験を活かして働けます。また、訪問看護ステーションによっては、ブランクのある看護師さん向けの研修制度を設けているところもあります。
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療養型の病棟
療養型病棟は、慢性疾患を持つ患者さまが長期療養する場所であり、急性期のようなスピード感はなく、患者さま一人ひとりとじっくり向き合える環境です。
そのため、ブランク明けの方や体力に不安がある方でも、比較的落ち着いて業務に取り組めます。また、患者さまとの関わりを通して、これまでの経験を活かしやすく、新しい知識や技術を学ぶ意欲のある方にも適しています。
ルーティンワークが中心で残業も少ない傾向にあるため、家庭との両立を目指す方にもおすすめです。
ただし、介護業務の割合が多いことや、医療行為が少ないためスキルアップを感じにくい場合があること、看取りに関わる場合があることなどは理解しておく必要があります。
介護施設
介護施設では、利用者さまの日常生活のサポートや健康管理をおこないます。高齢者とかかわりたい方におすすめです。
介護施設では、医療処置よりも利用者さまの生活を支えるケアが中心となります。
そのため、ブランクがあっても、これまでの看護経験を活かしながら、順に慣らしていくことができるでしょう。
検診センター
検診センターでは、健康診断や人間ドックなどをおこないます。
日勤のみで働きたい方におすすめです。検診センターでは、医療処置よりも問診や検査、保健指導などの業務が中心です。
そのため、ブランクがあっても、これまでの看護経験を活かして働けます。また、検診センターによっては、ブランクのある看護師向けの研修制度を設けているところもあります。
ブランク期間中に得た知識や経験を活かしながら、健康な方の健康維持・増進をサポートできるでしょう。
ブランクありの看護師の復職
看護師の資格は、何年ブランクがあっても有効です。ブランクが長いからといって、看護師への復帰を諦める必要はありません。
この記事で紹介した不安を解消する方法やブランク年数別の復職ポイントを参考に、一歩ずつ復職への準備を進めていきましょう。
ブランクのある看護師さんを積極的に採用している医療機関もあります。焦らずに、自分のペースで職場を探しましょう。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。