ターミナルケアでの看護師の役割4つ|病院以外で活躍できる施設も紹介

公開日:2025/03/07 更新日:2025/03/07
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看護師はその仕事の特性からも、患者さまのお看取りが身近な職種です。

ターミナルケアに関して聞いたことがある方もいるでしょう。

この記事では、ターミナルケアにかかわる看護師の役割や活躍できる場所、やりがいを解説します。最後までお読みいただくと、ターミナル期に看護師が求められる理由がわかり、ターミナルケアならではの魅力を感じられるでしょう。

ターミナルケアに興味はあるけど一歩踏み切れない看護師は、ぜひ最後までご覧ください。

ターミナルケアとは

ターミナルケアの定義と「緩和ケア」「ホスピスケア」との違いを解説します。

ターミナルケアの定義

ターミナルケアとは、生命予後が限られた患者さまが残された時間を自分らしく過ごし、満足できる最期を迎えるためにおこなわれるケアです。(終末期医療)

延命治療ではなく、痛みによる身体的な苦痛や死への恐怖心をはじめとする精神的な苦痛をやわらげ、患者さまのQOL(生活の質)を維持するためにサポートします。

緩和ケア、ホスピスとの違い

ターミナルケアと似た言葉に、緩和ケアとホスピスがあります。それぞれの違いは、定義に違いもあり一概に言えないところがあります。

たとえば「緩和ケア」はWHO(世界保健機構)が定義しています。

日本のホスピス・緩和ケア病棟に入院されている患者さまは、基本的に悪性腫瘍、もしくは後天性免疫不全症候群(エイズ)です。現在の保険診療上では、ほかの疾患での利用は困難です。

また「ホスピス」に関しては、1981年に日本ではじめて開設されています。

ホスピスでのケアに限らず、訪問看護や施設でケアを受けられている患者さまもいます。

2006年医成立した「がん対策基本法」では、早期に疼痛緩和を目的とする医療を講じるべきと定められており、今後対象がひろがっていく可能性があります。

いずれの場合でも「その人らしさ」を大切にするためのケアが求められます。

ターミナルケアにおける看護師の役割4つ

ターミナルケアにおける看護師の役割は、次のとおりです。

  • 意思決定のサポート
  • 心理的支援
  • 疼痛コントロール
  • 多職種連携の橋渡し役

それぞれを詳しくご紹介します。

1.意思決定のサポート

厚生労働省が掲げる「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」によると「本人の意思決定」は、次のように提唱されています。

【本人の意思決定】本人による意思決定を基本とし、適切な情報提供と十分な話し合いを経て、ケアチームとして方針の決定を行う
参考:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン|厚生労働省

患者さまはどんな希望や考えがあるかを、看護師は丁寧に聞き取ります。患者さまが病気の進行や身体の状況により決定することが難しい場合も「ご本人に最適なことはなにか」を考え、支援することが必要です。

また、患者さまだけでなくご家族も一緒に考えられるようサポートし、ご家族と患者さまの意見が異なる場合には、双方の気持ちに寄り添いっていきます。

2.心理的支援

死への恐怖や不安を抱える患者さま、悲しみやストレスを感じるご家族に対し、看護師は傾聴や共感を通じて心理的な支援をおこないます。

患者さまやご家族の不安や心配を丁寧に聞き、必要な社会資源を活用したり、患者・家族会などを紹介したりします。

ケアのなかで心理的な負担を減らせるよう、リラクゼーションを目的とした内容を計画することもあります。

患者さまが自分の気持ちを言葉にできる環境を整え、心の整理をサポートするのも看護師の重要な役割といえるでしょう。

3.疼痛コントロール

疼痛コントロールは患者さまの生活の質向上につながり「最期まで自分らしく生きる」ための基盤です。看護師は細かい観察力と迅速な対応力で、この役割を果たします。

痛みを評価して、主治医と相談のうえで薬剤を使用することはもちろん、温罨法(おんあんぽう)や手浴などを組み合わせて、快適に過ごせるサポートが必要です。

痛みだけでなく息苦しさやからだのだるさ、吐き気なども管理し、患者さまが安心して最期の時間を過ごせるよう配慮することが求められます。

4.多職種連携の橋渡し役

ターミナルケアに携わる看護師は、多職種の連携を支えるコーディネーターとしての役割を果たします。

看護師の方は患者さまの治療だけでなく生活面のサポートもおこなうため、各職種の橋渡し役を担います。

患者さまの状況やニーズを適切に共有し、多職種と連携を図ることで、より質の高いケアを提供できるでしょう。

ターミナルケアで看護師にできること

ターミナルケアに携わる看護師ができることは、次のとおりです。

  • 身体的な苦痛や不快感をやわらげるケア
  • ご家族への配慮と心理的サポート
  • 社会的な不安を軽減するケア

ひとつずつ見ていきましょう。

身体的な苦痛や不快感をやわらげるケア

ターミナルケアにかかわる看護師の方は、患者さまの身体的な苦痛や不快感をやわらげるために、さまざまなケアを提供します。

たとえば、医師と連携しながらモルヒネをはじめとする鎮痛薬の調整をおこない、患者さまができる限り穏やかに過ごせるように援助します。

痛みや不快感を軽減するのは薬物療法だけではありません。清拭や定期的な体位変換など、患者さまの状態に合わせたケアを取り入れることが大切です。

ご家族への配慮と心理的サポート

ターミナルケアでは、ご家族の心のサポートも欠かせません。

大切な人の死に直面することで大きな不安やストレスを抱えることが多いため、精神的な負担を少しでも軽減できるよう支援しましょう。具体的に看護師ができることは、以下のとおりです。

  • 可能な範囲で一緒にケアをする
  • 患者さまの状態をわかりやすく説明する
  • ご家族の精神的な負担を考慮し、慎重に対応する
  • 病院や施設の場合、面会時以外の様子を伝える

看護師の方が患者さまとご家族、それぞれの思いに寄り添うことで、よりよい時間を提供できるでしょう。

社会的な不安を軽減するケア

終末期を迎えた患者さまが直面する社会的な問題は、以下のとおりです。

  • 経済的な不安
  • 仕事の引き継ぎに対する不安
  • ご家族と過ごす時間が限られることへの焦り
  • 親子・兄弟・配偶者としての役割を失うことへの喪失感
  • これまでの人間関係や所属していたコミュニティから離れる悲しみ

患者さまは、家庭や職場などでさまざまな役割を担っています。

終末期には、これまで築いてきた社会的な立場や役割が少しずつ変化・喪失していき、精神的な苦痛につながることがあります。

悩みの内容によっては看護師だけでは解決できないケースも少なくありません。必要に応じて、ソーシャルワーカーや行政機関などと連携し、患者さまの不安をやわらげるサポートが大切です。

ターミナルケアにかかわる看護師が活躍する場所

ターミナルケアがおこなわれる場所は、病院だけではありません。

  • 訪問看護ステーション
  • 病院
  • 介護施設

なかでも、訪問看護ステーションの利用者さまは、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと希望されます。利用者さまやご家族に寄り添うケアがおこなえます。詳しく見ていきましょう。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションでは、利用者さまが望む生活ができるよう支援します。

医師や介護職員と連携しながら、点滴や酸素吸入、褥瘡予防などの医療処置をおこなうほか、ご家族に対して介護の指導や精神的なサポートを提供します。

看取りまで自宅でおこなえることが最大のメリットですが、徐々に弱っていく利用者さまを見るのをつらいと感じるご家族も少なくありません。

利用者さまとご家族が安心して過ごせる環境を整えることが、看護師の大切な役割です。訪問看護ステーションへの転職を希望している方は「NsPaceCareer」に相談してみてはいかがでしょうか。現役の訪問看護師に無料で相談できるため、まずは登録してみてください。

病院

病院は、医療設備が整った環境のもと、患者さまの身体的・精神的な苦痛をやわらげるケアを提供する場です。

病院でのターミナルケアは、緩和ケア病棟や一般病棟でおこなわれます。

とくに、緩和ケア病棟では、一般病棟と異なり家族控室や共有キッチンが設置されているところがあります。できるだけ日常生活に近い暮らしができるよう、イベントを開催したり、音楽を流していたりします。看護師は患者さまの苦痛をとりのぞき、穏やかに過ごせるようを支えます。

介護施設

介護施設では「看取りケア」として終末期にある利用者さまを支援します。

高齢化社会の進展により、施設内でターミナルケアを受けるケースが増え、多職種と連携しながらケアを提供しています。

国も介護施設での看取りケアの充実に向けて取り組んでおり、令和3年(2021年)の介護報酬改定では大幅な改定がおこなわれました。

最期の時間まで利用者さまとご家族に寄り添い、信頼関係を築くことがターミナルケアにあたる看護師の重要な役割です。

看護師のターミナルケアでのやりがい

ターミナルケアにあたる看護師には、次のようなやりがいがあります。

  • 専門性を高められる
  • 患者さまやご家族に深く寄り添える

ターミナルケアならではの魅力を見ていきましょう。

専門性を高められる

ターミナルケアに関わる看護師の方には、疼みを管理したり、心理的に支えたりなど、高度な知識とスキルが求められます。

そのため、経験を積むことで緩和ケア認定看護師をはじめとする資格取得につながり、キャリアアップを目指すことも可能です。

また、身体だけでなく心や社会的背景にも配慮して患者対応するため、看護師としての成長やほかの分野でも活かせるスキルが身につくでしょう。

患者さまやご家族に深く寄り添える

ターミナルケアでは、患者さまとそのご家族とのかかわりが密接になるため、感謝される瞬間は大きな達成感と喜びにつながります。

訪問看護ではとくに密接なかかわりが生まれ、利用者さまらしい最期を支えるための信頼関係を築けるでしょう。

こうしたかかわりは、人間関係の深まりを感じられる貴重な経験となります。

ターミナルケアに関わる看護師がつらいこと

ターミナルケアに関わる看護師はやりがいもある一方で、以下にあげる困難に直面することも少なくありません。

  • 業務に追われて十分なケアができない
  • 死に直面することが多く精神的な負担が大きい

デメリットを含めた現場の実際を知ることで、ターミナルケアの看護師についてより深く理解できます。

業務に追われて十分なケアができない

ターミナルケアは、専門の緩和ケア病棟や在宅看護だけでなく、総合病院の一般病棟でも必要なケアです。

しかし、一般病棟では日々の業務に追われることが多く、患者さまやご家族の希望に十分応えられないことに、もどかしさを感じる看護師もいます。

そのため、ターミナルケアにしっかり向き合いたい看護師の方は、緩和ケア病棟や訪問看護ステーションなど、ケアに集中できる場への転職や異動を考えるとよいでしょう。

死に直面することが多く精神的な負担が大きい

ターミナルケアに関わる看護師の方は、患者さまの最期に立ち会う場面が多く、看護師自身も大きな精神的負担を抱えることになります。

患者さまの苦痛をやわらげご家族の悲しみに寄り添うなかで、自身の感情が大きく変化する場面もあり、ストレスが蓄積しやすいのが現状です。

また「十分なケアができなかった」という自責の念や、患者さまとの別れの悲しみも重なり、看護師の方は無力感や罪悪感を覚えることがあります。

この精神的負担は、燃え尽き症候群やメンタルヘルスの悪化につながる可能性があります。

そのため、看護師の方は産業医やカウンセラーが在籍し、適切なサポートが受けられる環境働くことが重要です。

ターミナルケア看護師に関するよくある質問

ターミナルケアにかかわる看護師について、よくある質問にお答えします。より深く知ることで、ターミナル期で働く看護師のイメージがつきやすくなります。

終末期ケア専門士は意味がないと言われるのはなぜですか?

終末期ケア専門士は、緩和ケア病棟や介護施設で専門性を発揮し重宝される一方、一般病院では資格の認知度が低かったり、活用範囲が限定されたりするのが現状です。

また、実際に資格を取得した方からも「実務経験で対応可能」との意見もあります。

現場によって資格を十分に発揮できないケースがあることから「終末期ケア専門士は意味がない」といわれると推測されます。

グリーフケアで看護師が大切にしたいことはなにがありますか?

看護師がグリーフケアをおこなううえで大切なポイントは、残されたご家族の悲しみに共感し、気持ちを吐き出しやすい環境をつくることです。

悲しみを乗り越えるには、怒りや後悔も含んださまざま思いを心置きなく外に出すことが必要です。

ご家族だけでなく、看護師の方も同様に悲しみの感情を吐き出すことで感情を少しずつ受け入れられます。

看護師の方は、自身の感情にも目を向けながら、ご家族の気持ちに寄り添いましょう。

ターミナルケアは患者さまも看護師もメンタルを大切にしましょう

ターミナルケアにおける看護師の役割は、患者さまとご家族に寄り添い、QOLを重視したケアを提供することです。

患者さまが意思を決められるように支援したり、痛みをコントロールしたり、心理的なサポートをおこなったりして「自分らしい最期」を迎えられるようケアします。

看護師の精神的負担が大きいといった課題もありますが、専門性を高めることでやりがいを感じられる分野です。

看護師の方は、自分の悲しみの感情も大切にして、患者さまやご家族の思いに寄り添いましょう。

<参考サイト・文献>

ターミナルケア|WAM NET 

緩和ケア|厚生労働省

ホスピスケアってなぁに?|NHK厚生文化事業団

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン|厚生労働省

令和3年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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