施設看護師とは?3つの役割と仕事内容、おすすめの求人の探し方を紹介

「施設の看護師にはどのような仕事があるの?」「介護施設で働いてみたいけど良い求人の探し方がわからない」
このよう悩んでいませんか。
病院で働く看護師とは少し違った役割を担うのが、施設看護師です。これまで病院やクリニックでしか働いたことがない看護師の方にとって、施設看護師はイメージしにくいでしょう。
この記事では、施設看護師の役割や仕事内容、求人の探し方などを解説します。この記事を読めば、施設看護師の仕事内容や魅力がわかり、あなたに合った働き方を見つけられるでしょう。
施設看護師とは?
施設看護師とは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設で働く看護師のことです。看護師の就業場所は、次のとおりです。
就業場所 | 割合(%) |
病院 | 67.8 |
診療所 | 13.7 |
介護保険施設等 | 7.7 |
訪問看護ステーション | 5.4 |
施設看護師は、施設に入所している利用者さまの健康管理や医療的なケア、日常生活のサポートなどをおこないます。それぞれ詳しくみていきましょう。
施設看護師の職場の種類
施設看護師の職場は、おもに次の施設です。
施設 | 特徴 |
特別養護老人ホーム | 重度の介護が必要な高齢者が入所する施設 |
介護老人保健施設 | 病院を退院した後のリハビリや介護が必要な高齢者の入所する施設 |
有料老人ホーム | 比較的介護度の低い高齢者が入所する施設 |
グループホーム | 少人数で共同生活を送る高齢者や障害者が入所する施設 |
施設によって、利用者さまの年齢層や介護度、医療ニーズなどが異なるため、求められるスキルや仕事内容などは変わります。

施設看護師の給料
施設看護師の給料は、次のとおりです。
- 介護老人福祉施設:43万6,875円/月
- 介護老人保健施設:46万2,955円/月
- 介護医療院:47万2,789円/月
施設の種類や規模、看護師としての経験年数などによって給料は異なります。一般的には、病院勤務の看護師の方よりも、施設看護師の方の給料が低い傾向です。
関連記事:介護施設の看護師の給料は低い?転職して給料アップする方法3つを紹介
施設看護師の役割3つ
施設看護師のおもな役割を紹介します。
- 利用者さまの健康管理
- 医療的なケアの提供
- 日常生活のサポート
それぞれの役割をみていきましょう。
利用者さまの健康管理
施設看護師は、次の業務をおこない利用者さまの健康状態をチェックし、病気の予防や早期発見に努めます。
- バイタルサインの測定
- 健康相談
- 服薬管理
健康管理は、利用者さまが安心して生活を送るために欠かせません。施設看護師の方は、利用者さまの既往歴や生活習慣、性格などを把握し、個々に合わせてサポートすることが重要です。
医療的なケアの提供
施設看護師には、医師の指示にもとづいて、次のような医療的な処置やケアをおこなう役割があります。
- 注射
- 点滴
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 痰の吸引
医療行為をおこなう際には、利用者さまの状態をよく観察し、安全に配慮する必要があります。
医療行為に関する知識やスキルを習得して安全なケアを提供したり、医師やほかのスタッフとチーム医療を推進したりすることも施設看護師の重要な役割です。
日常生活のサポート
施設看護師には、日常生活のサポートをおこなう役割があります。
日常生活のサポートは、利用者さまの尊厳を守り、自立を支援する視点でおこなうことが大切です。
施設看護師の方は、利用者さまの身体状況や生活習慣、希望などを把握して、適切にサポートする必要があります。
関連記事:介護老人保健施設の看護師の役割6つ!やりがい・辞めたいと感じる理由
施設看護師の仕事内容
施設看護師の仕事内容は、多岐にわたります。
- 利用者さまの健康チェック
- 医師の指示にもとづくケア
- 服薬の管理と説明
- 日常生活の介助と身体的なケア
- ほかのスタッフとの連携
- ご家族への連絡と報告
- 介護スタッフへの教育と指導
それぞれの仕事内容を詳しくご紹介します。
利用者さまの健康チェック
施設看護師は、バイタルチェックを毎日おこない、利用者さまの健康状態を把握します。
ほかにも「体調はどうですか?」「昨日はよく眠れましたか?」と利用者さまに伺ったり、話を聞くなかで顔色を見たりして、体調不良がないかを確認します。
バイタルサインや表情の変化、体調の悪化などに気づいたら、医師にすぐに報告して、医師の指示のもとで対応しなければなりません。
健康チェックは、利用者さまの健康状態を把握するうえで重要な業務であり、施設看護師の専門性が求められる業務です。
医師の指示にもとづくケア
施設看護師は、医師の指示にもとづいて、点滴の投与や褥瘡の処置などをおこないます。
ただし、介護施設の種類によって必要な医療的なケアは異なるため、その施設に合った知識とスキルが施設看護師の方には必要です。
また、医師が常駐していない施設の場合、利用者さまの急変時に施設看護師の方が応急処置をしたり、救急車の手配をしたりします。
服薬の管理と説明
利用者さまの服薬状況を管理し、言える範囲で薬の効果や副作用を説明することも施設看護師の方の業務です。
施設によっては、認知症の方や薬を飲み忘れやすい方などもいるため、その人に合った管理方法を考えることも大切です。
服薬管理は、利用者さまの健康を守るために重要な業務であり、施設看護師の方の責任感が求められます。
日常生活の介助と身体的なケア
施設看護師の仕事は、利用者さまが快適に生活できるようにサポートすることです。
たとえば、食事や歯磨き、着替えなど介助します。ほかにも、入浴できない方に清拭をしたり、失禁する方におむつ交換をしたりなど身体的なケアもおこないます。
利用者さま一人ひとりの身体の状況に合わせた支援が必要です。
ほかのスタッフとの連携
施設看護師は、介護スタッフやリハビリテーションスタッフなど、ほかのスタッフと連携して、利用者さまのケアをおこなうことも仕事のひとつです。
利用者さまをおもにケアするのは施設看護師であり、利用者さまの身体の状況を知り、想いを聴く立場として情報提供することが、より良いケアには欠かせません。
具体的には、介護スタッフと連携し、利用者さまの日常生活の状況や変化を共有し、協力してケアをおこないます。介護スタッフからの情報提供をもとに、医療的な判断や処置をおこなうこともあります。
また、リハビリテーションスタッフとは、利用者さまの身体機能の維持・向上に向けたリハビリテーションの内容や進捗状況を共有し、ケアに活かすことも大切です。
ご家族への連絡と報告
施設看護師の業務には、利用者さまの健康状態や生活状況をご家族に連絡・報告することも含まれます。
ご家族とコミュニケーションを密にすることで、利用者さまとご家族の安心感を高められます。
介護スタッフへの教育と指導
施設看護師は、介護スタッフに対して、医療的な知識やケアの方法を教育・指導します。
介護スタッフのスキルアップを支援することも、施設看護師の役割です。
教育や指導をすることは、介護スタッフのスキルアップのきっかけとなり、結果として利用者さまへのケアの質向上につながります。
施設看護師の1日のスケジュール
施設看護師の1日のスケジュールは、施設や利用者さまの人数によって異なります。ここでは、一般的な例を紹介します。
時間 | 業務内容 |
8:00 | 出勤、情報収集、夜勤看護師から申し送り |
9:00 | 利用者さまの健康チェック |
9:30 | 入浴前の健康チェック、入浴の介助とケア |
11:00 | インスリン注射や経管栄養の実施 |
12:00 | 配膳、食事の見守りや介助、口腔ケア、配薬 |
12:30 | 順番で休憩 |
14:00 | レクリエーションに参加 |
15:00 | カンファレンス |
15:30 | 看護記録の作成 |
16:30 | 夜勤看護師に申し送り |
17:00 | 退勤 |
施設看護師は、日勤のみ働く場合もあります。ただし、老人保健施設や特別養護老人ホームなどで働く場合は夜勤、有料老人ホームではオンコールを求められることがあります。
施設看護師のメリット
施設看護師として働くことには多くのメリットがあり、充実したキャリアを築けます。
- 仕事の需要が高い
- 病院と比べて落ち着いた環境で仕事ができる
- ワークライフバランスを保ちやすい
- 体力的な負担が少ない
それぞれのメリットをみていきましょう。
仕事の需要が高い
施設看護師の方のメリットは、高齢化が進む日本で仕事の需要が高いことです。
介護施設や特別養護老人ホームなど、さまざまな施設で看護師の方の活躍が求められているため、安定した雇用が見込めます。
将来を見据えて働きたい方にとって、施設看護師は魅力的な選択肢となるでしょう。
病院と比べて落ち着いた環境で仕事ができる
病院のような急性期医療の現場とは異なり、施設では利用者さまの日常生活をサポートすることがおもな役割です。
比較的落ち着いた環境で、一人ひとりの利用者さまとじっくり向き合いながらケアを提供できます。利用者さまのペースに合わせて、丁寧なケアをしたいという方におすすめです。
ワークライフバランスを保ちやすい
施設看護師の勤務時間は、日勤帯が中心であることが多く、時間外勤務も少ない傾向です。
夜勤がない施設で働けると、家庭やプライベートと両立しやすいのが魅力です。仕事とプライベートのバランスを取りたい方にとって、施設看護師は理想的な働き方といえるでしょう。
体力的な負担が少ない
病院での看護業務は、体力的にハードな業務が多い傾向です。
その一方で、施設看護師の方は利用者さまの健康管理や服薬管理などがおもな業務であり、入浴介助やおむつ交換などは介護スタッフが担うケースが一般的です。身体的な負担が比較的少ないため、体力に自信がない方でも安心して働けるでしょう。
ただし、施設によっては介護スタッフ不足により、身体的な介護を求められる場合があるため、転職を検討する際に業務内容を確認することが大切です。
施設看護師のデメリット
施設看護師として働くメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
- 病院と比べて給料が安い
- 医療機器や医療処置のスキルアップが難しい
- 施設によっては夜勤やオンコールが求められる
それぞれのデメリットをみていきましょう。
病院と比べて給料が安い
病院看護師に比べて、施設看護師の給料は低い傾向にあります。
これは、施設看護師の仕事内容が、身体的な負担が少ないことや夜勤手当がないことなどが理由として挙げられます。
しかし、施設によっては、資格手当や住宅手当などの手当が支給される場合もあるため、ホームページや求人情報などの確認が重要です。
医療機器や医療処置のスキルアップが難しい
施設では、病院に比べて高度な医療機器の操作や医療処置をおこなう機会が少ないため、施設看護師のスキルアップが難しい場合があります。
医療的スキルについて不安を感じる施設看護師の方も少なくありません。
しかし、施設によっては、研修制度や資格取得の支援制度などを設けていたり、外部の研修会やセミナーに参加したりしてスキルアップすることも可能です。
施設によっては夜勤やオンコールが求められる
施設によっては、利用者さまの健康状態を24時間体制で管理する必要があるため、夜勤やオンコールが求められる場合があります。
夜勤やオンコールに対応した際の手当が見込めるものの、生活が不規則となるため、デメリットに感じる方がいるかもしれません。
施設看護師に向いている人
施設看護師に向いている人の特徴をご紹介します。
- コミュニケーション能力が高い人
- 利用者さまとじっくり関わりたい人
- 時間や気持ちに余裕を持って働きたい人
それぞれをみていきましょう。
コミュニケーション能力が高い人
施設看護師の方の仕事において、利用者さまとそのご家族とのコミュニケーションが不可欠です。
利用者さまの健康状態や日常生活の状況を把握するためには、しっかりと話を聞かなければなりません。
また、ご家族からの相談や要望も、しっかりと把握して、適切に対応しなければならないため、コミュニケーション能力が高い人が施設看護師に向いています。
利用者さまとじっくり関わりたい人
施設によっては終身で利用できるため、利用者さまは数年に渡って入居することになります。そのため、長期的にじっくり関わりたい人は、施設看護師に向いているでしょう。
時間や気持ちに余裕を持って働きたい人
自分のペースで気持ちに余裕を持って働きたい人は施設看護師に向いています。
施設看護師は、病院看護師に比べて、落ち着いた環境で働けるからです。時間外勤務もあまりなく、利用者さまの状態も落ちているため急変の対応も少ない傾向です。
施設看護師の求人を探す際のポイント
施設看護師の求人を探すポイントは、次のとおりです。
- 施設看護師の仕事内容を確認する
- 夜勤やオンコールの有無をチェックする
- 施設見学で職場の雰囲気を体感する
それぞれのポイントを押さえて、理想の働き方を実現しましょう。
施設看護師の仕事内容を確認する
施設看護師の仕事内容は、老人保健施設や有料老人ホーム、障害者施設など施設の種類によって異なります。
また、同じ種類の施設でも、規模や方針によって仕事内容が変わる場合があります。
求人情報を確認する際には、仕事内容を確認し、自分の希望に合った施設を選ぶことが大切です。
夜勤やオンコールの有無をチェックする
施設によっては、夜勤やオンコールが求められる場合があります。
それぞれ対応すると手当が支給され収入アップが期待できますが、生活は不規則になり身体の負担が大きくなります。
とくに、子育てや介護をしている看護師の方にとって、夜勤やオンコールをする場合は、ご家族の協力も不可欠です。そのため、希望する施設で夜勤やオンコールが求められる場合は、対応可能かどうか、家族で事前に話し合っておきましょう。
施設見学で職場の雰囲気を体感する
転職を決める前に施設見学に行き、職場の雰囲気を体感することをおすすめします。
求人情報には掲載されていない施設の雰囲気やスタッフの対応などを見て、自分に合う職場かどうかを判断できるからです。
施設見学の際に、施設のスタッフに質問できる機会があれば、気になる施設への疑問や不安を解消できるでしょう。
施設看護師に関するよくある質問
ここでは、施設看護師に関するよくある質問に回答します。
Q1:施設看護師でつらいことはありますか?
施設看護師の仕事は、利用者さまの日常生活をサポートするなかで、周りが想像する以上に大変なことも多く、つらさを感じる場面があるのが実情です。
具体的には、次のような場面でつらさを感じるでしょう。
- 医師がいないことによる責任の重さ
- 多くの利用者さまを担当
- 介護業務を担当
- 夜勤やオンコールが負担
このような場面が積み重なることで、施設看護師を退職するケースもあるようです。施設看護師がつらいと感じたときには、訪問看護ステーションへ転職を検討してみてはいかがでしょうか。
訪問看護では、利用者さまとじっくり向き合え、ワークライフバランスを保ちやすいのが特徴です。「NsPaceCareer」では豊富な求人を揃えているため、より良い転職を実現できるでしょう。
Q2:施設看護師と病棟看護師の違いは何ですか?
施設看護師と病棟看護師のおもな違いは、次の点です。
項目 | 施設看護師 | 病棟看護師 |
仕事内容 | 利用者さまの日常生活のサポート | 患者さまの治療のサポートとケア |
勤務時間 | 日勤帯が中心であることが多く、 時間外勤務も少ない傾向 | 夜勤や時間外勤務が多い傾向 |
給料 | 手当が支給されず低い傾向 | 夜勤手当や時間外手当が見込めるため高い傾向 |
この違いを把握できると、自分に合った職場を選べるでしょう。
施設看護師の役割と仕事内容を把握して、自分の希望に合う職場に転職しよう
施設看護師には、利用者さまの健康チェックや日常生活のサポートなどの役割が求められます。
病院看護師と比べて、施設看護師は給料が低かったり、医療処置のスキルアップが難しかったりと大変な面もありますが、やりがいのある仕事です。
仕事の需要が高く、ワークライフバランスを保ちやすいなどのメリットがあります。
施設看護師の役割と仕事内容をしっかりと把握し、自分の希望に合う職場を見つけましょう。
<参考サイト・文献>

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