30代看護師の平均年収は?年収に差が出る理由と年収を上げる方法を解説!
「30代の平均年収を知りたい!」「30代で年収に差が出るって聞くけど本当?」などと、疑問を持っている方は多いでしょう。
20代のときと比べ、できることが増えたり、役割が変わったりするため、30代看護師の方の年収は徐々に増加します。
とはいえ、30代で年収に差が出始めるともいわれます。
ほかの施設の30代看護師は、どのくらいもらっているのか、年収の実態を知っておくことは、自身の年収アップのために必要です。
そこでこの記事では、30代看護師の方にターゲットを絞って、平均年収を解説します。年収に差が出る理由や年収を上げる方法も紹介するため、年収の実態について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
30代看護師の平均年収|約492万円
厚生労働省が公開している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、令和4年の30代看護師の平均年収は約492万円でした。
20代看護師の方の平均年収は約414万円であるため、約80万円の差があります。
というのも、30代になると役割が増え、働く場所のリーダー的な存在となるためです。中には、新たな資格を取得したり、管理職になったりする方もいます。
ここでは、30代前半と後半にわけて、詳しい平均年収をみていきましょう。
30代前半の平均年収|約478万8,700円
先述した資料によると、30代前半の平均年収は約478万8,700円でした。
詳しいその内訳は、月収が33万3,800円で、年間の賞与が78万3,100円です。30代前半の年収の計算式は以下の通りです。
(計算式)
33万3,800円×12ヶ月+78万3,100円=478万8,700円
臨床の場で経験を積み、新しい役割を担います。業務負担が重くなるに従い、年収が高くなります。
30代後半の平均年収|約505万8,300円
先述した資料によると、30代後半の平均年収は505万8,300円です。
詳しいその内訳は、月収が34万6,000円、年間の賞与が90万6,300円です。30代後半の年収の計算式は以下です。
(計算式)
34万6,000円×12ヶ月+90万6,300円=505万8,300円
30代後半になると、看護師の経験が15年前後となり、ベテラン看護師と扱われます。
とはいえ、30代前半と後半では、月収1万円前後の差のみであり、月収の大幅な増加は見込めないでしょう。
30代看護師は30代のほかの産業よりも高い傾向
ここでは、厚生労働省が公開している「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」の調査結果をもとに、30代における看護師とほかの産業の月収を比較します。
年代 | 看護師 | ほかの産業 |
30代前半 | 34万6,000円 | 28万1,000円 |
30代後半 | 34万6,000円 | 31万2,500円 |
出典元:令和4年賃金構造基本統計調査の概況をもとに作成
30代看護師の方の月収は30代前半と後半、いずれもほかの産業よりも高いです。
というのは、看護師の方の月収は、夜勤手当や住居手当をはじめ、各種手当が充実しているためです。特に、夜勤手当は月に10万円以上となることもあり、収入に大きく影響します。
ほかにも、看護師の仕事は、専門性が高い仕事です。採血したり、薬剤を投与したりなど資格がなければできない仕事ばかりです。
そのため、30代看護師の方の年収は、ほかの産業と比較し、高い傾向であるといえます。
30代看護師の年収に差が出る3つの理由
ほかの産業よりも高い年収である30代看護師。
ただし、30代看護師の中でも年収に差が出る場合があります。主に以下4つの理由が考えられます。
- 妊娠・出産によるライフステージに差がある
- 役職による差がある
- 病院や訪問看護ステーションの規模による差がある
- 勤務地による差がある
それぞれの理由をみていきましょう。
妊娠・出産によるライフステージに差がある
近年、男性の看護師の方が増えています。
とはいえ、看護師の業界は女性が多いです。厚生労働省の調査によると、看護師の91.9%は女性です。
ライフステージにより、キャリアを中断せざるを得ない状況となりやすいため、年収に差が出ると考えられます。
たとえば、妊娠や出産により退職する方や育児休暇の取得のため昇進試験が受けられない方、子育てでキャリアアップの勉強時間が確保しにくい方など、さまざまな状況があるでしょう。
育児休暇のあとも、子育ては続きます。キャリアアップに割ける時間が限られるのが現状です。
そのため、30代の看護師の年収は、ライフステージに影響されるといえます。
役職による差がある
30代看護師になると、管理職となる方もいるでしょう。
ただし、看護師の管理職は狭き門であり、希望する方すべてが管理職になれるとは限りません。管理職になる能力がある方でも、管理職のポジションが埋まっているため、管理職になれない方もいるでしょう。
管理職になると、基本給と賞与のアップが期待できます。管理職と非管理職では、年収に差がうまれます。
そのため、30代看護師の方の年収は、役職による差を生じやすいといえるのです。
病院や訪問看護ステーションの規模による差がある
看護師の方の年収は、施設の大きさにより高くなる傾向です。
働いている病院や訪問看護ステーションなどの規模により差が生まれます。病床数による規模ごとの給与は、以下の通りです。
病床数 | 平均税込給与総額 |
99床以下 | 267,500円 |
100~199床 | 269,253円 |
200~299床 | 270,810円 |
300~399床 | 278,238円 |
400~499床 | 279,854円 |
500床以上 | 278,167円 |
出典元:2022年病院看護・助産実態調査 報告書|日本看護協会
特に、大学病院や総合病院など規模が大きい病院は給与が高くなります。
訪問看護ステーションの場合も同様に、対象とする利用者さまの数が増えるため、年収がアップしやすいといえるでしょう。
勤務地による差がある
30代看護師の方の年収は、勤務地により差があります。日本看護協会の調査によると、年収が高い・低い勤務地は、それぞれ以下の通りです。
- 1位:東京都
- 2位:千葉県
- 3位:神奈川県
- 45位:鹿児島県
- 46位:熊本県
- 47位:宮崎県
首都圏や都市部で年収が高くなる傾向です。一方で、九州や四国といった地方では、低くなります。そのため、勤務地によって年収に差があることがわかります。
30代看護師が年収アップを実現するためには?
ここでは、30代看護師の方が年収アップするための5つの方法を解説します。
- 産休・育休制度を活用する
- 管理職への昇進を目指す
- 資格を取得しスキルアップする
- 夜勤・オンコールの回数を増やす
- 年収が良い職場に転職する
それぞれの方法をみていきましょう。
産休・育休制度を活用する
先述したように、30代看護師の方の年収は、出産や育児などのライフステージが影響します。
キャリアを中断したり、退職したりすると年収アップしにくいです。
実際に、出産を機に「もう看護師は続けられない……」と退職を選ぶ方は少なくありません。産休・育休制度を活用できると、出産や育児の負担を軽減できるかもしれません。
キャリアの中断は避けられませんが、退職せずに働き続けられます。働き続けられると、待遇が変わらないため、年収が下がりにくいです。
現在では、ほとんどの施設で産休・育休制度が導入されています。ただし、施設によっては育休を2年取得できるところや時短勤務で復帰できるところなど違いがあります。
厚生労働省の調査によると、正社員の女性看護師は84.3%が育児休業を利用していますが、非正社員では32.3%のみです。さらに、制度を利用できても、期間を短縮するケースもあります。
この制度を活用する予定の方は、一度、制度が活用できるか確認しましょう。
管理職への昇進を目指す
管理職を目指すことも年収アップを実現するための方法のひとつです。
ただし、管理職になると夜勤手当がなくなるため、年収が下がるケースがあります。ほかにも、管理職になれる人数は限られているため、希望しても管理職になれないかもしれません。
たとえば、管理者の研修を修了しても声がかからない方や長く勤めても一般のスタッフとして勤務する方をよく見かけます。
給与は、就業規則に記載されていることが一般的です。
就業規則を確認したうえで、どうすれば管理職になれるのか、管理職に必要なスキルはなにか、などを検討しましょう。
資格を取得しスキルアップする
資格を取得すると年収がアップする可能性があります。
たとえば、専門看護師や認定看護師などの資格を取得すると、スキルアップだけではなく年収アップにつながります。
ただし、これらの資格を取得しても、施設によっては年収に反映されないケースがあります。数千円のみアップする可能性もあります。
認定看護師の資格を取得するためには、半年間、学校に通わなければいけません。その間は収入がありません。さらに、居住地の周辺に学校なければ、家賃や生活費が追加で発生する場合があります。
資格の取得は年収アップのみが目的ではありませんが、これらの費用と取得した後の年収についても検討したうえで目指しましょう。
夜勤・オンコールの回数を増やす
30代看護師の方の年収は、夜勤やオンコールの回数に左右されます。
夜勤やオンコールの回数を増やすと、手当が増えるため、年収アップが期待できます。
ですが、生活が不規則となり、体調を崩しやすくなります。プライベートが充実しなくなる可能性もあります。
実際に「休日は夜勤で疲れて寝てばかり」「体調が良くないから、遊びに行く気持ちになれない」など、夜勤の疲労の影響が大きく、休日を楽しめない看護師の方は多いです。
そのため、単に夜勤やオンコールの回数を増やすのは避けてください。自身の体調やどのようなプライベートを過ごしたいかなどをよく考えましょう。
年収が良い職場に転職する
高い年収を得たい30代の看護師の方は、年収が良い職場に転職するのも有効な手段といえます。
30代看護師の方は即戦力として採用されるでしょう。転職したことで月収が5万円アップしたり、年収が100万円変わったりするケースがあります。
看護経験が豊富な30代看護師の方は、訪問看護ステーションへの転職がおすすめです。
というのも、訪問看護師の需要が高まっているため、高い年収になる可能性があるためです。
内閣府の調査によると、2023年10月1日時点での高齢化は29.0%です。高齢化に対応するために、病院での診療から在宅療養へシフトする医療施策が進められているためです。在宅療養では、訪問看護ステーションの存在が欠かせません。
また、ワークライフバランスが整いやすい訪問看護ステーションでの勤務は、ライフイベントが変化しやすい30代の看護師の方に向いているでしょう。
ただし、看護師の年収は、夜勤やオンコールの回数に影響を受けやすいため、働き方によっては年収が上がらない可能性もありますので、よく調べて確認しましょう。
30代看護師の平均年収を理解し、より良い条件の職場に転職しよう
30代看護師の平均年収は約492万円です。
ほかの産業の30代よりも高い収入を得ています。ただし、30代看護師の年収は、働く場所により大きく異なります。そのため、年収が高い職場への転職も一手です。
そこで、訪問看護ステーションがおすすめです。訪問看護ステーションの需要が高まっており、年収アップが期待できるほか、生活のリズムが整いやすいため、ライフイベントの変化にも対応しやすいことが魅力です。
訪問看護ステーションへの転職を検討してみては、いかがでしょうか。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。