社会人から看護師になって後悔しないための5つのコツ!後悔する理由も解説

社会人から看護師への転身は、人生における大きな決断のひとつです。
看護師養成所の社会人経験者の割合は約4人に1人とされており、社会人からあらためて看護師を目指す方は珍しくないといえます。
しかし「会社を辞めて看護師になることを後悔するのではないか」「自分にもできるのだろうか」などと悩む方も少なくありません。これまでとは全く異なる分野に飛び込むため、期待と同時にさまざまな不安を感じることは自然なことです。
社会人から看護師になった方が後悔する理由を深掘りし、後悔しないための具体的な方法を解説します。この記事を読むことで、不安を解消できるため看護師の道に自信を持って進めるでしょう。
社会人から看護師になって後悔する理由
社会人から看護師になった方が後悔する理由はさまざまです。単に、看護師の仕事が大変というだけでなく、社会人経験があるからこそ感じるギャップやライフスタイルの変化などの要因が絡み合っています。
- 社会人から看護師になるための道のりが長い
- 看護師養成所の学費の支払いが大変である
- 社会人から看護師になった人への風当たりが強いときがある
- 希望通りの配属先になるとは限らない
- 想像よりも看護業務が激務である
- 仕事と子育てや介護が重なる
- 社会人経験があり仕事ができると思われる
それぞれの理由を見ていきましょう
社会人から看護師になるための道のりが長い
社会人から看護師になるには、看護師養成学校(専門学校、大学、短大など)に3〜4年間通い、国家試験に合格する必要があります。
仕事を辞めて通学する場合、これまでのキャリアを中断することになり、仕事をしながら通学する場合は、限られた時間の中で授業や実習と仕事を両立しなければなりません。
看護師になるまでには一定の期間がかかるため、この期間の長さが後悔につながる恐れがあります。
看護師養成所の学費の支払いが大変である
看護師養成学校の学費は、学校の種類や年数によって大きく異なります。とくに、私立の大学や専門学校では、数百万円の学費がかかる場合もあり、社会人から看護師を目指す方にとって負担になるでしょう。
たとえば、専門学校に3年間通う場合、学費の総額は250万円~400万円程度となる可能性があります。これに加えて、毎月の生活費が10万円かかる場合、3年間で360万円の生活費が必要であり、学費と合わせて610万円~760万円の費用となる計算です。
また、奨学金制度を活用しがら学校に通った場合は、働きながら返済しなければなりません。
このような経済的な負担は、社会人から看護師を目指す際に後悔することの1つといえます。
社会人から看護師になった人への風当たりが強いときがある
看護の現場は、長年の経験が重視される傾向があり、独特の文化や厳しい上下関係が存在するところもあります。
そのため、社会人経験があることで、周囲の看護師の方から、良くも悪くも注目を集めることがあります。一部の職場では、社会人経験があるというだけで嫉妬されたり、心ない言葉を受けたりなど、いじめと捉えられるような行為を受けるケースがあるかもしれません。
また、年齢が上の新人として扱われることで、若手の看護師とのコミュニケーションに戸惑うこともあるでしょう。
このような経験を通して「なぜ自分だけこんな目に遭うのだろう?」「この職場でやっていけるのだろうか?」といった不安や孤独感、自己嫌悪を感じる方もいます。
希望通りの配属先になるとは限らない
看護師として就職しても、希望通りの診療科や配属先になるとは限りません。というのも、次のような要因で配属先が決まるからです。
- 病院の規模
- 人員配置
- 看護師の適正
さまざまな要因で配属先が決定されるため、希望が通らないこともあります。
たとえば、内科を希望していたのに外科に配属されたり、希望とは異なる病棟に配属されたりすることもあります。
希望とは異なる部署に配属された場合、モチベーションの維持が難しくなり、仕事への意欲を失ってしまう方も少なくありません。このようなミスマッチが、後悔につながる場合があります。
想像よりも看護業務が激務である
看護師の仕事は、患者さまの命を預かる責任の重い仕事であり、24時間体制で患者さまをケアする必要があります。
常に緊張感を持ち、患者さまの状態に気を配らなければならないため、身体的な負担はもちろんのこと精神的な負担も大きくなりがちです。
たとえば、点滴の投与や急変時の対応などミスが許されない業務や、死に直面する場面がストレスになります。
社会人経験を経てから看護師になった方は、今までの仕事では経験しなかったようなプレッシャーや責任を感じる場面も多く、心身ともに負担を感じるでしょう。
仕事と子育てや介護が重なる
看護師は、夜勤や交代制勤務が求められるケースが多いため、子育てや介護をしながら働く方にとって負担になります。
日本看護協会の調査によると、看護師が退職したい理由は「出産・育児のため」7.1%、「親族の健康・介護」は4.6%です。
お子さんの送迎に間に合わない、急な発熱でもすぐに駆けつけられない、といった状況は親御さんにとってストレスになりがちです。また、不規則な勤務形態では介護に十分に対応できず、心身ともに疲弊してしまう方もいます。
仕事と家庭の両立がうまくいかないと、自己嫌悪に陥ったり、家族に申し訳なく感じたりすることもあります。このような状況が続くと「看護師にならなければよかった」という気持ちになるのも無理はないでしょう。
社会人経験があり仕事ができると思われる
社会人経験があることで「社会人経験があるからすぐに仕事を覚えるだろう」「コミュニケーション能力が高いだろう」など、周囲から即戦力として期待されます。
しかし、看護の現場では専門的な知識やスキル、経験が必要であるため、社会人経験があるからといって、看護業務をすぐにこなせるわけではありません。
むしろ、新卒の看護師とスタートラインが同じであることがほとんどです。
周囲の過度な期待と自身の能力のギャップにプレッシャーや後悔を感じる場合があります。
社会人から看護師になって後悔しないための5つのコツ
社会人から看護師になって後悔しないためには、しっかりとした心構えを持って、ほかの看護師との良好な関係を作ることが重要です。後悔しないための具体的なコツを紹介します。
- 新人看護師であることを心得る
- 就職先をしっかり選ぶ
- 同僚と良い人間関係を築く
- 悩みを相談できる人を見つける
- 就職する前に看護助手を経験する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
新人看護師であることを心得る
看護師として働き始めたら、謙虚な気持ちで学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。
社会人経験が長い方は「自分は社会経験があるから、ある程度はできるだろう」と考えがちですが、看護の現場では新人です。
看護の現場は専門性が高く、これまでの経験が通用するとは限りません。過去の経験が邪魔をして、新しい知識やスキルを受け入れられないこともあります。
新人看護師であることを自覚し、謙虚に学ぶ姿勢を持つことは、後悔しないために重要です。
就職先をしっかり選ぶ
就職先を選ぶ際は、給与や待遇だけでなく、自分の希望やライフスタイルに合った職場を選ぶようにしましょう。
病院の種類(大学病院、総合病院、クリニックなど)や規模、勤務形態などをよく調べ、自分の価値観やキャリアプランに合った職場を見つけることが大切です。
インターンシップや病院見学などを活用すると、病院の雰囲気や患者さまのケアの場面など実際の職場の様子を確認できるため、後悔しにくくなるでしょう。
同僚と良い人間関係を築く
職場の人間関係は、仕事の満足度や継続意欲に大きく影響します。
看護師の仕事はチームでおこなうことが多いため、同僚との連携が不可欠です。
積極的にコミュニケーションを取り、良好な人間関係を築くことは、長く働くための秘訣であり、社会人から看護師になったことを後悔しないコツのひとつです。
悩みを相談できる人を見つける
新しい環境に飛び込んだばかりの頃は、業務の進め方や報告の仕方、人間関係などさまざまな壁にぶつかることあります。社会人経験を経て看護師になった方は、キャリアとの違いに戸惑い、孤独を感じるかもしれません。
次の人に相談することで、気持ちが楽になったり、解決策が見つかったりします。
- 先輩看護師
- 同僚
- 家族や友人
- 看護師養成所の恩師や友人
- 職場の相談窓口やカウンセラー
悩みを共有し、支え合える存在は、社会人から看護師になったことを後悔しないために重要です。困ったときは、ほかの看護師や相談窓口を頼ることで、より充実した看護師生活を送れるでしょう。
就職する前に看護助手を経験する
看護助手は、看護師のサポートや患者さまの身の回りのお世話などをおこなう仕事です。看護助手として働くことで、看護の現場を事前に体験できます。
この経験によって、看護師の仕事内容や職場の雰囲気、医療現場の状況などを具体的に知れます。
これにより、就職後のミスマッチを防ぎ、看護師としてのキャリアをスムーズにスタートできるでしょう。
社会人から看護師に後悔したときの対処法
看護師への転身は大きな決断ですが、実際に働き始めてから「思っていたのと違った」「自分には合わないかもしれない」と感じるかもしれません。この状況を改善するための方法は次のとおりです。
- 自分の行動を振り返ってみる
- 先輩看護師や同僚に相談する
- 研修や学会に参加してスキルアップを目指す
- どうしてものときは転職を検討する
大切なのは、問題に向き合って対処することです。後悔したときの具体的な対処法を見ていきましょう。
自分の行動を振り返ってみる
まず、なぜ後悔しているのか、その原因を知るために、自身の行動を振り返ってみましょう。
何が問題なのか、何が原因で看護師に不満を感じているのかをはっきりさせることで、具体的な改善策が見えてきます。
たとえば「業務についていけない」「人間関係がうまくいかない」など、具体的な問題点をノートに書き出してみてください。
問題点が明らかになれば、次にどのような行動をとるべきかが見えてくるでしょう。
先輩看護師や同僚に相談する
悩みを抱えているときは、1人で抱え込まずに、経験豊富な先輩看護師の方や信頼できる同僚に相談してみましょう。
経験者からのアドバイスは、自分では気づかなかった視点を与えてくれたり、具体的な解決策のヒントになったりすることがあります。
また、誰かに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。職場には、あなたを支え、成長を応援してくれる人がいるため、勇気を出して相談してみましょう。
研修や学会に参加してスキルアップを目指す
社会人から看護師になったことを後悔し、仕事へのモチベーションが低下していると感じる場合は、スキルアップを目指すことで、やりがいを感じられることがあります。
研修や学会に積極的に参加し、最新の知識や技術を学ぶことで、看護師としてのスキルを高められます。さらに、スキルアップは、仕事への自信にもつながります。
どうしてものときは転職を検討する
どうしても現在の職場が合わないと感じる場合や、心身ともに限界を感じる場合は、転職も視野に入れる必要があります。
無理を続けると心身を壊してしまう恐れがあるため、自分に合った環境で働くことを優先してください。
転職は、新たな可能性を開くチャンスです。自分の希望やキャリアプランに合った職場が見つかると、ポジティブに仕事に取り組めるでしょう。
社会人から看護師を目指すときのよくある質問
社会人から看護師を目指す方のよくある質問とその回答を紹介します。ここで、悩みを解消してください。
社会人から看護師に最短でなる方法は?
社会人から最短で看護師になる方法は、最終学歴によって異なります。
高校卒業の場合は、3年制の看護専門学校または大学などに通うのが一般的です。大学卒業の場合は、大学の看護学部や看護学科に3年次編入することで、最短2年で看護師国家試験の受験資格を得られる場合があります。
また、社会人向けの看護学科や通信制の看護学校もあります。自身の状況に合わせて、最適な方法を選ぶと良いでしょう。

社会人から看護師になった場合の年収は
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、社会人から看護師になったときの年収は325万9,000円(経験年数計0年)です。
ただし、看護師の方の年収は、勤務先や勤務地、各種手当などによって異なります。職場のなかには、社会人としての経験を考慮するところもあります。
今後、経験を積んで役職に就いたり、専門看護師や認定看護師などの資格を取得したりすることで、年収アップを目指せるでしょう。
社会人から看護師を目指すときは後悔しないようにコツを押さえておこう
社会人から看護師への道でさまざまな困難や課題に直面して後悔することあるでしょう。
しかし、しっかりと準備をして周囲のサポートを受けながら努力を続ければ、看護師としての目標を達成できます。
そして、何よりも大切なのは、看護師になりたいという強い意志と人々の役に立ちたいという熱い思いです。この記事で紹介したコツを参考に、後悔のない看護師人生を送ってください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。