フットケア指導士になるには?認定試験の合格率と5つのできること

公開日:2025/01/31 更新日:2025/01/31
記事サムネイル画像

「フットケア指導になるにはどうしたらいいの?」「フットケア指導の試験は難しいの?」

このように悩んでいませんか。

高齢化が進む日本では、足の健康を維持することは、健康寿命を延ばすために重要です。そこで注目されているのが「フットケア指導士」です。日本フットケア・足病医学会の認定を受けた資格であり、足の専門家として、足の健康維持のための知識とスキルを持っています。

フットケア指導士になるための方法や認定試験の合格率、そして資格取得後にどのような活躍の場が広がっているのか、などを解説します。この記事が、足の健康に関心のある看護師の方の悩みを解決し、フットケア指導士の資格取得によって足の健康を支えていくための一助となれれば幸いです。

フットケア指導士になるには?|日本フットケア・足病医学界の認定を受けること

フットケア指導士になるには、日本フットケア・足病医学会がおこなう認定試験に合格しなければなりません。ここでは、次の5つのポイントを紹介します。

  • 受験資格
  • 認定試験の方法
  • 認定試験の申し込み方法
  • 認定試験の開催時期・受験料
  • フットケア指導士の合格率
  • 更新審査

それぞれを詳しくみていきましょう。

受験資格

フットケア指導士の試験を受けるには、次の条件をすべて満たさなければなりません。

  • いずれかの資格を有すること(医師・看護師・准看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・臨床工学技士・栄養士・介護福祉士・義肢装具士)
  • 上記の資格を取得しての実務経験が3年以上であること
  • フットケアにかかわる実務経験があること
  • 学会が開催する認定セミナーを受講していること(認定セミナーの有効期限は2年間)
  • 日本フットケア・足病医学会の学会員であること

これらの条件がある理由は、フットケア指導士の資格には知識と経験が求められるからです。

実務経験の証明には職場の施設長や院長の承認が必要になるケースがあり、書類をもらうまでに時間がかかるため、受験を検討している看護師の方は余裕を持って準備を進めましょう。

認定試験の申し込み方法

試験の申し込みは、次の書類をホームページからダウンロードして、日本フットケア・足病医学会事務局に「書留郵便」で送付します。

  • 受験申請書「A票」・写真票「B票」・受験票「C票」(※写真はB票とC票ともに同一写真をのりづけ)
  • 受験料振込票のコピー
  • 受験票返送用封筒(長形3号。受験票の送付先住所を書いて84円切手を貼付)

書類に不備があると認定試験を受けられない可能性があるため、繰り返しチェックしましょう。

認定試験の方法

フットケア指導士の認定試験の方法について次の表にまとめました。

試験試験のポイント
試験時間90分
出題方法マークシート方式(50問)
試験内容認定セミナーの参考テキストにもとにした問題
合格基準と発表認定委員会で最低の合格水準を決定しホームページ上で発表
参考: フットケア指導士認定について|一般社団法人 日本フットケア・足病医学会

試験では足の構造や病気、ケア方法など幅広い知識が問われます。

具体的には、足の解剖学や生理学、皮膚科学、リハビリテーション医学など幅広い分野の知識が問われます。

過去問の一部が日本フットケア・足病医学会のホームページで公開されているため、ぜひ参考にして取り組んでみてください。

認定試験の開催時期・受験料

フットケア指導士の認定試験は、例年3月頃(年に1回)に開催されます。受験料は10,000円(税込)です。

試験に関する情報は、学会のホームページで随時更新されるため、定期的に確認することをおすすめします。

フットケア指導士の合格率

フットケア指導士の合格率は、次のように年度によって変動があります。

試験合格率
第9回45.1%
第10回68.6%
第11回72.1%
第12回76.5%
第13回84.2%
参考:フットケア指導士認定について|一般社団法人 日本フットケア・足病医学会(直近5年の結果を抜粋して掲載)

第9回の合格率が45.1%と低くなっていますが、それ以降は60~80%台で推移しているため、難易度としては高くないといえます。

認定セミナーで学んだことを復習したり、過去問を分析したりして、しっかり準備すれば、合格を目指せるでしょう。

更新審査

フットケア指導士の資格は更新制であり、資格を取得した後も一定の知識やスキルが求められます。次の要件を満たさなければ更新できません。

  • 5年ごと70単位の履修単位制
  • 申請期間を通して学会員を継続

更新審査は、5年ごとにおこわれます。学会やセミナーに参加することで単位が得られ、その単位数は1つ当たり5~20単位と幅があります。

また、看護師として働きながら単位を取得しなければなりません。

更新審査を受けなかった場合は、資格が失効し、認定試験の再受験が必要になるためスケジュールを調整して学会やセミナーで計画的に単位の取得を目指しましょう。

フットケア指導士になってできること5つ

ここでは、フットケア指導士の資格を取得したあとにどのようなことができるのか、5つ紹介します。

  • 足病の早期発見ができる
  • 糖尿病外来で活躍できる
  • 訪問看護で転倒やフレイルの予防に貢献できる
  • 若年層のフットケア啓発につながる
  • 医療費削減に貢献できる

それぞれをみていきましょう。

足病の早期発見ができる

フットケア指導士になると、足の状態を観察することで、異常の早期発見ができるようになります。具体的には、次のポイントで患者さまの足を観察します。

  • 足の皮膚の色や温度の変化
  • 爪の変形
  • 足のむくみ
  • 傷や潰瘍の有無

患者さまに足の痛みやしびれ、感覚の変化などがないか確認して異常の早期発見に努め、足の病気の専門病院を受診するように勧めたり、適切なケア方法を指導したりします。

早期発見・早期治療は、足の病気の悪化を防ぎ、患者さまの生活の質を維持・向上させるために不可欠です。

糖尿病外来で活躍できる

糖尿病の患者さまでは、足の小さな傷や水虫、細菌などからの感染が重症化し、そのまま放置すると足の切断に至るケースもあります。これは、糖尿病による神経障害で足の感覚が鈍くなったり、血行障害によって傷が治りにくくなったりするためです。

このような足のトラブルを防ぐために、おもに糖尿病外来でフットケア指導士は活躍できます。

また、患者さまそれぞれに合わせた足のケア方法を指導することで、日々の生活の中で足の健康管理ができるようにサポートします。

訪問看護で転倒やフレイルの予防に貢献できる

フットケア指導士は、訪問看護の場で足のケアや運動指導をおこなうことで、高齢の利用者さまの転倒予防とフレイル(虚弱)予防に大きく貢献できます。

高齢になると、足の筋力低下や関節の可動域制限などにより転倒のリスクが高まるためです。また、足の痛みや変形などが原因で歩行が難しくなり、活動範囲が狭まることでフレイルにつながる可能性もあります。

足の健康は歩行能力や活動範囲に直接影響するため、健康寿命の維持に欠かせません。

訪問看護において、利用者さまの状態に合わせて適切な足のケア(爪の手入れ、角質除去、保湿など)をおこない、足の血行促進や清潔保持をサポートします。

さらに、足の機能維持・向上を目的とした運動指導や日常生活における足のケア方法、靴選びのアドバイスなどもおこないます。

利用者さまの在宅生活をサポートし、転倒やフレイルを予防することで、利用者さまが可能な限り自立した生活を送れるよう支援することがフットケア指導士の役割のひとつです。

フットケア指導士の活躍の場は多岐にわたります。

病院はもちろんのこと、保健センターや介護施設、看護系教育機関で働く看護師の方もいます。

なかでも、訪問看護ステーションはおすすめです。

長期的にケア実践ができ、ご自宅で暮らす方のフットケアは自立支援にもつながります。

訪問看護の求人を探すならNsPaceCareerがぴったりです。
NsPace Career(ナースペース キャリア) – 訪問看護専門の転職求人サイト

フットケアに力を入れている訪問看護ステーションもあり、自分にあった働き方を探すことができます。

若年層のフットケア啓発につながる

フットケア指導士は、学校や地域での講演会やイベントなどで、若年層にフットケアの大切さを伝える活動もできます。

若い世代から足の健康に関心を持ってもらうことは、足のトラブルを予防するために必要です。

たとえば、ハイヒールや先の細い靴などを長時間履くことで、外反母趾や巻き爪などの足の変形を引き起こしたり、スポーツなどで足に負担をかけることで、足の痛みや障害を引き起こしたりするケースがあります。

足の構造や機能、足のトラブルの原因と予防法、適切な靴の選び方などをわかりやすく解説することで、若年層のフットケアに対する意識を高められるでしょう。

医療費削減に貢献できる

フットケア指導士は、適切なフットケアを提供することで、足のトラブルの悪化を防ぎ、結果として医療費削減に大きく貢献できます。これは、足のトラブルが進行し重症化すると、入院や手術などの高額な医療費が必要となる場合があるためです。

足のトラブルは、放置すると進行していく可能性があります。たとえば、初期段階では爪の変形やタコ、水虫などの軽度のトラブルが見られます。これらの初期の段階でケアをおこなわないと、皮膚の炎症や潰瘍などのトラブルに進行する恐れがあります。

重症化した場合、下肢切断になることもあり患者さまにとって医療費だけではなく大きな損失となります。

フットケア指導士による早期からの適切なケアは、このような事態を防ぎ、医療費の大幅な削減につながるのです。

フットケア指導士についてのよくある質問

ここでは、フットケア指導士についてのよくある質問に回答します。悩みや不安をすっきり解消しましょう。

フットケア指導士の資格は看護師で通信教育を受けると取れますか?

フットケア指導士の資格は、看護師の方であっても通信教育のみでの取得は難しいです。

日本フットケア・足病医学会が認定するセミナーの受講が必須です。セミナーを受講後、認定試験を受験して合格することで資格を取得できます。

セミナーは、eラーニング形式で開催される場合もありますが、通信教育とは異なり、定められたカリキュラムに沿って学習を進める必要があるため、通信教育のみで資格を取得することはできません。

メディカルフットケアはどのような資格ですか?

メディカルフットケアは、フットケアに関する民間資格のひとつです。

メディカルフットケアはさまざまな団体や機関が認定している資格があり、それぞれカリキュラムや認定基準が異なります。一方、フットケア指導士は、日本フットケア・足病医学会が認定する資格です。

医学的な根拠にもとづいた知識や技術を学ぶことができる点が特徴です。

また、フットケア指導士は、医療・介護の現場で広く認知されており、専門性の高い資格として評価されています。

メディカルフットケアの資格も、フットケアに関する知識や技術を学ぶうえで役立ちますが、フットケア指導士とは異なる資格であることを理解しておきましょう。

フットケア指導士の資格があると手当がつきますか?

フットケア指導士になることで、キャリアアップの一つとなり、業務の専門性が高まります。

多くの病院や施設では、認定看護師や専門看護師に対して給与とは別に手当として支払われることが多いようです。

フットケア指導士を取得したからといって手当が必ず出るわけではありません。

ですが、自己研磨として学び実践していくことは評価の対象となるため、給与アップをねらえるかもしれません。

フットケア指導士になって足の問題を予防・改善していこう

フットケア指導士は、足の健康を通して多くの人を支える、やりがいのある仕事です。

足のトラブルで苦しむ患者さまのために、フットケア指導士を目指してみませんか。

フットケア指導士の資格を取得することで、専門的な知識とスキルを身につけ、患者さまの足の健康維持・改善に貢献できます。また、地域社会におけるフットケアの普及啓発活動を通して、多くの人々の足の健康を守る役割を担えるでしょう。

高齢化が進む日本において、フットケアの重要性はますます高まっており、フットケア指導士の活躍が期待されています。

<参考サイト・文献>

フットケア指導士認定について|一般社団法人 日本フットケア・足病医学会

糖尿病足病変|国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左