准看護師と正看護師の違いを8つ解説!給料の違いや正看護師になる方法
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「准看護師と正看護師の違いは何?」「准看護師から正看護師になる方法を知りたい」
このように悩んでいませんか。准看護師と正看護師、どちらも患者さまをケアする大切な仕事です。
ただし、資格や仕事内容、給料など両者にはさまざまな違いがあり、将来を考えると迷う方がいるかもしれません。
この記事では、准看護師と正看護師の違いをわかりやすく解説します。この記事が、これから看護の道を目指す方、准看護師から正看護師へのステップアップを考えている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
准看護師と正看護師の違い【就職するまで】
看護職の学校選びや資格取得までの道のりは、将来のキャリアプランを考えるうえで大切です。ここでは准看護師と正看護師、就職するまでの違いを、次の3つのポイントに沿って解説します。
- 資格の違い
- 教育課程の違い
- 就業者数の違い
「どちらの道に進むのが自分に合っているのだろう?」と悩んでいる方は、この違いを参考にしてみてください。
資格の違い
准看護師と正看護師は、それぞれ資格を発行する機関が違います。
准看護師は都道府県知事の免許である一方で、正看護師は厚生労働大臣の免許です。この違いは、働く場所やキャリアに影響する可能性があります。
教育課程の違い
准看護師と正看護師では、次のように学校に入るための条件や学ぶ年数などが異なります。
准看護師 | 看護師 | |
入学の要件 | 中学校卒業以上 | 高校卒業以上 |
年限 | 2年以上 | 3年以上 |
時間・単位 | 1,890時間以上 | 102単位以上 |
また、教育課程を卒業するときの目標も違います。准看護師には「看護師の立案した看護計画を基に看護を実践する能力」が求められる一方で、正看護師には「根拠に基づき、看護を計画的に実践する能力」が必要です。
これは、正看護師が患者さまの状態をアセスメントしケアを計画する役割を担うのに対し、准看護師は看護師の計画にもとづいてケアをおこなう役割を担うということです。
就業者数の違い
厚生労働省の調査によると、令和2年末において就業している准看護師は28万4,589、正看護師は128万911人です。
これは、医療現場における役割分担やニーズの違いを反映していると考えられます。
病院や施設などでは、より高度な医療行為や判断を求められる場面が多いため、正看護師のニーズが高い傾向にあります。
准看護師と正看護師の違い【就職してから】
准看護師と正看護師において、就職後のキャリアパスや待遇の違いは、キャリアアップにおいて重要な要素です。具体的な違いは次のとおりです。
- 就職先の違い
- 就業している年齢階級の違い
- 仕事内容の違い
- 給料の違い
- キャリアアップの違い
准看護師と正看護師の就職後の状況を比較することは「将来、どのような働き方をしたいか」「どのようなキャリアを築きたいか」などを考えるうえで役立つでしょう。
就職先の違い
准看護師と正看護師では、働く場所の割合が違います。
就職先 | 准看護師 | 看護師 |
病院 | 35.7% | 69.0% |
診療所 | 32.5% | 13.2% |
介護保険施設等 | 24.8% | 7.9% |
訪問看護ステーション | 1.9% | 4.9% |
社会福祉施設 | 3.7% | 1.7% |
正看護師は病院勤務の割合が高く、准看護師は病院のほかに診療所や介護施設などでも働く割合が高いことがわかります。
これには、それぞれの資格で求められる役割の違いが影響していると考えられます。病院では手術や救急対応など、根拠に基づき看護を計画的に実践する能力のある看護師が求められる場面が多くなるでしょう。
就業している年齢階級の違い
准看護師と正看護師では、働いている年齢層に違いがあります。
年齢階級 | 准看護師 | 看護師 |
25歳未満 | 2.3% | 8.4% |
25~29歳 | 2.9% | 13.0% |
30~34歳 | 3.9% | 10.8% |
35~39歳 | 7.2% | 12.0% |
40~44歳 | 11.1% | 14.2% |
45~49歳 | 13.1% | 13.6% |
50~54歳 | 14.7% | 11.1% |
55~59歳 | 16.3% | 8.6% |
60~64歳 | 14.3% | 5.3% |
65歳以上 | 14.2% | 3.1% |
このデータから、准看護師は比較的年齢層が高く、正看護師は若い世代が多い傾向にあることがわかります。
仕事内容の違い
准看護師と正看護師は、基本的な仕事の範囲に大きな差はありません。
いずれも医師の指示を受けて、診察の補助や患者さまのケアをおこないます。
正看護師は自分で看護計画を立案でき、准看護師に指示を出せます。ただし、准看護師は看護計画を立案できず、医師や正看護師の指示を受けなければなりません。
給料の違い
准看護師と正看護師では、給料に差があります。
准看護師 | 看護師 | |
年収 | 407万1,100円 | 508万1,700円 |
月収 | 28万6,800円 | 35万2,100円 |
賞与 | 62万9,500円 | 85万6,500円 |
このデータを見ると、正看護師のほうが准看護師よりも給料が高い傾向です。これは、資格の違いや業務範囲の違い、責任の重さなどが反映されています。
関連記事:准看護師と看護師の給料の違いとは?資格や仕事内容の違いも詳しく解説
キャリアアップの違い
正看護師は、主任看護師や看護師長などの役職、専門看護師や認定看護師などの資格によってキャリアアップできますが、准看護師はこのようなキャリアアップは難しいです。
というのも、准看護師は正看護師に指示を出せなかったり、看護計画を立案できなかったりするためです。
准看護師がさらにキャリアアップを望む場合は、正看護師の資格取得を考えるのも良いでしょう。准看護師から正看護師になる具体的な方法は次の章で解説するため、参考にしてください。
准看護師から正看護師になるには?
准看護師から正看護師になるには、いくつかの方法があります。准看護師の免許を取得した学歴によって正看護師になる方法は異なります。
中学校を卒業して准看護師になった場合は、下記の方法で正看護師の国家試験の受験資格を目指します。
- 准看護師として3年実務経験を得たあとで看護師の養成所の全日制(2年)もしくは、定時制(3年)に通う
- 准看護師として7年実務経験を得たあとで看護師の養成所の通信制(2年)に通う
また、高校を卒業して准看護師になった場合は、下記のルートで看護師の国家試験の受験資格を目指します。
- 准看護師として働かず、看護師の養成所の全日制(2年)もしくは、定時制(3年)に通う
- 准看護師で7年の実務経験を得たあとで、看護師の養成所の通信制(2年)に通う
どの方法を選ぶかは、現在の状況やライフスタイルによって異なります。自分に合った方法を見つけて、ステップアップを目指しましょう。全日制は、集中的に学習に取り組みたい方、定時制は働きながら学びたい方におすすめです。
通信制の場合は、准看護師としての実務経験が7年以上必要になります。
どの方法を選ぶにしても、学習と仕事の両立は大変でしょう。計画的に学習を進めること、周囲のサポートを得ながら無理のないペースで進めていくことが大切です。
関連記事:准看護師とは?准看護師と看護師の違いやできない4つのことを解説!
准看護師と正看護師の1日のスケジュールの違い
准看護師と正看護師の1日のスケジュールは、働く場所や担当する業務によって異なります。ここでは、一般的な例を紹介します。
<准看護師のスケジュール例>
時間 | 業務内容 |
8:00 | ・出勤 ・夜勤の准看護師からの引き継ぎ |
8:30 | 患者さまにあいさつ |
9:00 | ・検温 ・清潔ケア ・診察の介助 ・記録の作成 |
11:00 | 食事の準備 |
12:00 | ・配膳 ・食事の介助 ・口腔ケア |
13:00 | 休憩(1時間) |
14:00 | 午前中と同様の業務 |
15:00 | カンファレンス |
16:00 | 夜勤の准看護師への引き継ぎ |
17:00 | 退勤 |
<正看護師のスケジュール例>
時間 | 業務内容 |
8:30 | ・出勤 ・情報収集 |
9:00 | ・夜勤者からの引き継ぎ ・担当患者さまへのあいさつ ・配薬 |
9:30 | ・清潔ケアの実施 ・バイタルサインの測定 ・検査室やリハビリテーション室への搬送 ・看護記録の実施 |
11:00 | 交代で休憩へ |
12:00 | ・配膳 ・食事介助と口腔ケア |
12:30 | ・配薬 ・下膳 |
13:00 | 午前中と同様の業務 |
14:00 | カンファレンス |
16:00 | 夜勤者への引き継ぎ |
17:30 | 退勤 |
准看護師と正看護師で仕事内容が基本的に変わらないことから、同じようなスケジュールで勤務します。
ただし、病院によって求められる役割が異なるため、所属するところでスケジュールは大きく変わるでしょう。
関連記事:看護師の勤務時間は?平均の勤務時間や2交代制・3交代制のシフト例
准看護師と正看護師の違いに関するQ&A
准看護師と正看護師の違いについて、よくある質問に答えます。それぞれの回答を確認して、疑問を解消しましょう。
Q1:准看護師はできないことが多い?
准看護師は、医師や正看護師の指示を受けて業務をおこなうことが基本です。そのため、看護師のように自分でアセスメントしておこなう業務は限られています。具体的には、次のような業務は、准看護師の方は単独でおこなえません。
准看護師ができないこと | 注意点 |
自己判断による看護業務 | ・患者さまの状態を自分で判断し、ケアの内容を決めることはできない ・医師または看護師の指示が必要 |
他の看護師や准看護師に指示を出す | 准看護師は、ほかの正看護師や准看護師に指示を出す立場ではない |
看護計画の立案 | ・患者さまのケア計画を立てることは、正看護師の役割 ・准看護師は、看護計画にもとづいてケアを実施 |
これらの制限は、准看護師の方の教育課程が正看護師の方よりも短いこと、より実践的な看護技術の習得に重点が置かれていることなどが理由です。
それぞれの理由を知って、准看護師や正看護師、自分の理想の働き方やキャリアプランと照らし合わせてみましょう。
Q2:准看護師から正看護師になるのは難しい?
准看護師から正看護師になることは、容易ではありません。
というのも、国家試験に合格するために勉強時間を確保したり、費用を工面したりしなければならないためです。仕事と両立しながら授業に通う場合は、さらに正看護師になるのは難しくなるでしょう。
自治体や病院によっては、奨学金制度や学費の補助制度などを設けている場合もあるため、病院の上司や人事課に相談したり、お住いの市区町村の担当窓口で確認したりしてみてください。
Q3:働きながら准看護師から正看護師になれる?
准看護師として働きながら正看護師になることができます。実際に、多くの方が働きながら正看護師の資格を取得しています。
働きながら学ぶ場合、時間管理が非常に重要です。仕事と学習の両立は大変ですが、計画的に学習を進めることで目標を達成できるでしょう。
また、養成学校では、働きながら学ぶために次のように定時制課程や通信制課程が用意されています。
- 定時制の養成学校:夜間や週末に授業がおこなわれるため、仕事と両立しやすい
- 通信制の養成学校:自宅で学習を進めることができるため、時間の融通が利きやすい
どちらの方法を選ぶにしても、職場の理解と協力が不可欠です。上司や同僚に相談し、学習時間を確保するための協力を仰ぎましょう。
准看護師から正看護師へ!キャリアアップする選択肢を持とう
准看護師と正看護師には資格や仕事内容、給料などに違いがあります。
准看護師から正看護師へのキャリアアップは、自身のキャリアの可能性を広げるだけでなく、給与アップや待遇改善にもつながる可能性があります。
キャリアアップを考えている方は、まずは情報収集から始めてみてください。養成学校の資料を取り寄せたり、自治体の奨学金制度について調べてみたりするのも良いでしょう。
准看護師から正看護師への道は、決して簡単な道ではありませんが、努力次第で必ず目標を達成できます。この記事が、あなたのキャリア選択の参考になれば幸いです。
<参考サイト・文献>
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