救急看護師とは?向いている人の3つの特徴やスケジュール、魅力を紹介
「救急看護師として働きたいけど、どんな人が向いているのか不安」「救急看護師で働いていてやりがいや魅力を感じる瞬間はなんだろう」
このような疑問を持つ看護師の方は多いのではないでしょうか。
救急看護師は、緊急性の高い患者さまのケアを担う仕事です。
この記事では、救急看護師に向いている人の特徴、仕事の内容やスケジュール、仕事の魅力などを紹介します。救急看護師に興味があるあなたの疑問を解消できる助けになれれば幸いです。
救急看護師とは?
救急看護師とは、救急処置が必要な患者さまへの看護活動をおこなう看護師のことです。
日本救急看護学会では、救急看護を「突然に生じた傷害または急激な疾病の発症や急性増悪などによって、医療を必要とする人に迅速かつ適切な看護実践」と定義しています。
- 救急看護師に求められる役割
- 救急看護師の対象となる患者さま
- 救急看護師が活躍する職場
救急看護師に求められる役割や活動する職場は多岐にわたるため、それぞれ解説します。
救急看護師に求められる役割
救急看護師に求められるおもな役割は生命の危機を回避できるようにケアをすることです。日本救急看護学会では、救急看護師の実践における役割を以下の表としています。
実践項目 | 役割 |
アセスメント・判断 | ・緊急度や重症度の判断 ・フィジカルアセスメント ・災害トリアージ |
救急処置・介助 | ・応急処置(ファーストエイド) ・治療介助 ・プレホスピタルケア |
生活行動援助 | ・療養上の世話 ・生活ニーズへのケア |
精神的ケア | ・患者・家族への心理的ケア ・エンド・オブ・ライフケア |
社会的支援 | ・療養指導 ・社会資源の活用 |
救急看護師に求められる役割を果たすことが、救急医療では重要です。
救急看護師の対象となる患者さま
救急看護師の対象となるのは、次のような患者さまです。
- 重篤な外傷(交通事故)
- 急性疾患(急性心筋梗塞、脳卒中など)
- 慢性疾患の急性増悪など
救急看護師の方が活躍する職場では、さまざまな疾患や外傷の患者さまを対応する機会があるため、さまざまな疾患に対するケアや知識が求められます。
救急看護師が活躍する職場
救急看護師が活躍する職場は、医療施設の救命救急センターが一般的です。
救急医療施設は患者さまの重症度に合わせて、円滑な救急搬送や受け入れ体制を確保するため、次のように1次・2次・3次救急の3つの段階に分かれています。
分類 | 特徴・役割 |
1次救急 | ・「休日夜間急患センター」「在宅当番医制」 ・軽度の患者さまに夜間および休日における外来診療 |
2次救急 | ・「病院群輪番制」「共同利用型病院」 ・地域の患者さまへの初期診療と入院治療 ・脳卒中や急性心筋梗塞などへの医療、自施設で対応できる範囲において高度で専門的な診療をおこなう医療施設 ・対応できない患者さまは別の医療施設に紹介 |
3次救急 | ・「救命救急センター」 ・緊急性や専門性の高く難しい症例に高度で専門的な医療を施行 ・1次、2次救急で対応できない重篤な患者さまを担当し、地域の救急の患者さまを最終的に受け入れる役割 |
また、救急看護師は医療施設だけでなく、災害現場での被災者への支援や海外の救護活動、フライトナースとして救急現場での活動など幅広く活躍しています。
救急看護師の仕事内容とスケジュール
救急看護師のおもな仕事内容は以下のとおりです。
- 初期対応(バイタルサイン測定、意識レベルの確認、トリアージなど)
- 救命・救急処置
- 医師の補助
- 患者さまと家族の対応
救急看護師は、患者さまの状態変化に対してアセスメントをおこないつつ、状態に合わせた柔軟な対応が求められます。次の表は、救急看護師の日勤帯スケジュールの一例です。
時間 | 仕事内容 |
8:30~ | ・勤務開始 ・夜勤からの申し送り ・患者さまの情報収集 |
9:00~ | ・物品チェック・環境整備 ・救急外来での患者さま対応・処置・採血・蘇生治療介助など ・一般外来が混んでいるときは診療科を問わずヘルプ対応 |
12:30~ | 休憩 |
13:30~ | 患者さま対応(午前中と同様) |
17:00~ | 夜勤者へ申し送り |
17:30 | 勤務終了 |
実際の現場では緊急対応が発生する場合が多く、スケジュールどおりに進まないこともあります。救急看護師は、柔軟かつ迅速に対応することが重要です。
救急看護師の年収
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1,700円とされています。
救急看護師の年収は一般病棟の看護師と大きく変わらないと考えられますが、救急では危険手当や特殊業務手当などが追加される可能性があります。
また、時間外勤務手当や夜勤手当は一般病棟でもつきますが、救急では回数が増え時間が長くなることがあるため、一般病棟の看護師の年収より高くなるケースもあるでしょう。
救急看護師に向いている人
救急看護師に向いている人には、以下の特徴があります。
- 医療やケアの知識を学ぶことが好きな人
- 体力に自信がある人
- 切り替えがうまくできる人
上記の特徴がある看護師の方は救急看護師に向いているでしょう。
医療やケアの知識を学ぶことが好きな人
新しい医療やケアの知識を学ぶことが好きな方は、救急看護師に向いています。
医療は日々進化しているため、新しい治療や薬剤のほかに医療機器なども学ぶことが重要であるためです。
また、心臓血管外科や呼吸器外科だけではなく、さまざまな疾患や外傷に対する医療やケアを学ばなければなりません。たとえば、救急医療の研修やセミナーに進んで参加して自己研鑽を積むことが大事です。
体力に自信がある人
急患の対応をしていると、休憩に入れないことや身体的な疲労をともなうこともあるため、体力に自信がある人は救急看護師に向いています。
夜勤やシフト勤務が多く、緊張状態のある現場にいることで身体的にも精神的にも消耗しやすいです。
救急医療では急変へスピーディーに対応できることが重視される場面があり、常に動き回れる体力も必要であるため、体力に自信がある方は救急看護師に向いているといえます。
切り替えがうまくできる人
救急看護師は、気持ちの切り替えがうまくできる必要があります。
救急看護師の現場では、助かる命ばかりではありません。緊張状態が続くと、先輩看護師や医師もピリピリとしがちで、精神的な負担を強いられることがあります。
救急看護師として患者さまに落ち着いて対応するためには、気持ちを切り替えることが重要です。精神的なストレスを解消するためにも、仕事とプライベートの切り替えが大切で、仕事のストレスは休日に解消しましょう。
関連記事:救急看護師に向いている人の9つの特徴!年収やきついと言われる理由
救急看護師の魅力
救急看護師の魅力は以下の3つが挙げられます。
- 達成感とやりがいが大きい
- キャリアアップしやすい
- さまざまな診療科目のスキルを身につけられる
救急看護師はさまざまな経験を重ね、観察力やアセスメント力など、看護師として総合的な能力を身につけられるでしょう。
達成感とやりがいが大きい
救急看護師は、医療チームが一丸となって患者さまの生命を救うために治療やケアすることに達成感とやりがいを感じるでしょう。
患者さまや家族からも感謝されたり、自己研鑽してきた努力が報われたりする場面があります。
救急看護師は、患者さまが生命の危機に直面したときのケアや初期診療を担うため、達成感とやりがいが大きくなりやすいです。
キャリアアップしやすい
救急看護師の魅力のひとつとして、キャリアアップしやすいことがあります。
救急看護師は関連資格(BLSやACLSなど)の取得や、緊急性のある現場で柔軟かつ迅速に対応できるスキルなどが求められるからです。救急看護師として働き、さまざまな経験を重ねることで、判断力や柔軟性も身につくでしょう。
さらに、スキルアップするために救急で学んだことが他科で働くときにも活かせます。救急看護師として得た経験や知識は、救急看護師以外の道を選択するときも重宝されるでしょう。
さまざまな診療科目のスキルを身につけられる
救急看護師は、幅広い診療科の患者さまに対応する機会が多いため、さまざまな診療科目のスキルを身につけられます。
具体的には、気管挿管の介助や12誘導心電図の装着、胸腔ドレーンの挿入介助などのスキルを身につけることが可能です。
救急看護師のきついところ
救急看護師できついところは「精神的なプレッシャーが大きい」「プライベートの両立が難しい」ことです。救急看護師が抱えるきつい部分について解説します。
精神的なプレッシャーが大きい
救急医療の現場では、精神的なプレッシャーが大きいと感じる人もいます。
患者さまの命を左右する現場での緊張感や緊迫感が強い状況が続き、ミスが許されないと感じる場面も多いからです。
たとえば、救急の現場で緊張感のある場面は以下のような例があります。
- 常に急変する患者さまの状態に対応しなければならない
- 患者さまがいつ搬送されてくるかわからず、緊張感を持ち続けなければならない
- 患者さまの突然の死に直面するなど
救急看護師を目指す方は、精神的なプレッシャーを覚悟して感情をコントロールできることが大事です。
プライベートの両立が難しい
救急看護師は忙しく、結婚・出産・育児との両立が難しいといえます。
患者さまの急変時には残業になったり、夜勤が多かったりするため、生活が不規則になる可能性があるからです。
不規則な生活が続いてしまうと、家族や友人との時間が確保しづらく仕事とプライベートの両立が難しいため、救急看護師の方にはきついと感じる方もいるでしょう。
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救急看護師になるには
救急看護師には継続的な学習と自己研鑽が求められます。救急看護師になるために必要な「資格」や「能力」について解説します。
救急看護師に必要な資格
救急看護師になるには、特別な資格は必要ありません。
ただし、救急看護師として働くうえで以下の資格があると、救急看護への専門性を高めることが可能です。
- 急性・重症患者看護専門看護師
- クリティカルケア認定看護師
- PALS(小児二次救命処置)
- ACLS(二次救命処置)など
上記の資格を取得すると救急看護への理解が深まり、緊急時の対応がスムーズになりやすいです。
救急看護師に必要な能力
日本救急看護学会で発表している救急看護クリニカルラダーでは、救急看護師に必要な能力を示しています。救急看護師には次の4つの力が必要です。
実践能力 | 内容 |
ニーズを捉える力 | 患者さまに適切なケアを提供するためにニーズを把握できる能力 |
ケアする力 | 患者さまの状態の緊急度や重症度に応じたケアを実践できる能力 |
協働する力 | 他の職種との多職種連携ができる能力 |
意思決定を支える力 | 患者さまやご家族が治療方針やケアの意思決定のために、必要な情報提供やサポートできる能力 |
4つの力をクリニカルラダーに沿って、専門知識や技術を段階的に身につけることでより専門的な救急看護師に成長できます。
まとめ:救急看護師の経験を活かしてスキル・キャリアアップしよう
救急看護で得た経験は、あなたのスキル・キャリアアップにつながることが考えられます。
確かに、救急看護の現場はきついといわれることもあります。
しかし、救急看護師として働いて得た経験や知識、対応力などは看護師としてのキャリアの幅を広げることが可能です。
救急看護師で得た経験は救急看護の現場だけでなく、看護師としてのキャリアアップにつながるため、貴重な経験となるでしょう。
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