看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット
「夜勤がきついから負担を減らしたい」「ほかの病院の看護師の夜勤はどのくらいの時間働くの?」
看護師の方の夜勤はどのくらいの時間働くのか、具体的にご存知でしょうか。
看護師の方の勤務(病院の場合)は、おもに2交代制と3交代制があり、それぞれの勤務によって夜勤時間や夜勤のスケジュールが異なります。また、夜勤は体力的な負担がありますが、その一方で夜勤手当やスキルアップの機会が得られるなどメリットもあります。
この記事では、看護師の夜勤時間の実態やスケジュール、2交代制と3交代制の違い、夜勤にともなうメリットとデメリットを解説します。夜勤の働き方に関する疑問を解消し、今後のキャリアを考える際の参考にしていただければ幸いです。
看護師の夜勤時間はどれくらい?
夜勤時間は、勤務形態によりさまざまです。
- 2交代制の夜勤時間
- 3交代制の夜勤時間
ここでは、2交代制と3交代制、それぞれの夜勤時間について詳しく解説します。
2交代制の場合の夜勤時間
2交代制の場合の夜勤時間はおもに12時間、もしくは16時間(いずれも休憩時間は2~3時間程度)です。
2交代制の勤務形態である病棟のうち50.0%は、夜勤時間が16時間以上です。
2交代制の勤務では、夜勤の頻度が少なくなり、夜勤後に連続して休みやすくなる一方で、1回の勤務時間が長時間にわたるため、体力の消耗が激しいことが課題です。
そのため、日本看護協会では日勤や夜勤にかかわらず「勤務の拘束時間は13時間以内とする」という方針を出しています。
勤務の合間にしっかりとした休憩を取りながら、体調管理をおこなうことが求められます。
3交代制の場合の夜勤時間
3交代制の場合の夜勤時間は7.5~8時間が一般的です。
3交代制の夜勤は準夜勤と深夜勤にわかれ、準夜勤は夕方から深夜まで、深夜勤は深夜から翌朝までの勤務です。
2交代制の夜勤時間と比べると、3交代制の夜勤時間は短く体力的な負担が軽減されるため、体力に不安がある方にとっては働きやすい勤務かもしれません。
ただし、夜勤回数が多くなったり勤務間の休みが短くなったりするため、生活リズムが乱れやすいというデメリットもあります。
看護師の夜勤時間「72時間ルール」とは?
看護師の夜勤時間には「72時間ルール」が定められています。
このルールは、2016年の診療報酬改定で設けられたものであり、看護師の方の健康を守り、過労を防ぐことを目的に設けられました。
同じ入院基本料を算定する看護職員の方の夜勤時間が1か月間で72時間を超えないように制限するものです。1人あたりの夜勤時間の上限を決めるものではなく、集中治療室といった特定入院料を算定する病棟は対象外です。
夜勤の時間が長すぎると、睡眠不足や疲労感が蓄積しやすくなるなど身体に負担がかかり、医療事故につながる恐れがあります。
そのため、看護師の方が安心して働けるように、シフト管理の徹底が求めています。
看護師の夜勤時間のスケジュール【2交代制】
ここでは、2交代制の夜勤時間のスケジュールを詳しくみていきます。
- 夜勤12時間のスケジュール
- 夜勤16時間のスケジュール
それぞれの勤務の流れや休憩時間の取り方などを知って、実際の業務に役立てましょう。
夜勤12時間のスケジュール
夜勤12時間の場合、勤務は20:30から翌朝8:30までであり、スケジュールは次のようになります。
時間 | 業務 |
20:30 | ・出勤 ・日勤看護師からの引き継ぎ |
21:00~22:00 | ・病室の巡回 ・就寝前の準備 ・消灯 |
0:00 | ・交代で仮眠休憩 ・病棟巡回 |
7:00 | 病室の巡回 |
8:00 | ・朝食の準備と介助 ・口腔ケアの介助 |
8:30 | ・日勤看護師への引き継ぎ ・退勤 |
上記の業務以外にもナースコールに対応したり、おむつ交換や体位変換などをおこなったりします。
夜勤16時間のスケジュール
夜勤16時間の場合、勤務は16:30から翌朝8:30までであり、スケジュールは次のとおりです。
時間 | 業務 |
16:30 | ・出勤 ・日勤看護師からの引き継ぎ |
18:00 | ・夕食の準備と介助 ・口腔ケアの介助 |
20:00 | 交代で夕休憩 |
21:00~22:00 | ・病室の巡回 ・就寝前の準備 ・消灯 |
0:00 | ・交代で仮眠休憩 ・病棟巡回 |
7:00 | 病室の巡回 |
8:00 | ・朝食の準備と介助 ・口腔ケアの介助 |
8:30 | ・日勤看護師への引き継ぎ ・退勤 |
夜勤12時間の仮眠時間は1~2時間、夜勤16時間の場合は2~3時間くらいのところが多いです。
ただし、急変に対応したり、患者さまの緊急入院があったりした場合は仮眠できない場合もあります。
関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
看護師の夜勤時間のスケジュール【3交代制】
次に、3交代制の夜勤スケジュールをみていきましょう。
- 準夜勤のスケジュール
- 深夜勤のスケジュール
2交代制と比べて、3交代制の夜勤は短い勤務時間であるため、体力的な負担が軽減される一方、1週間のうちに何度も勤務時間が変わることによる生活リズムの乱れが課題です。準夜勤と深夜勤それぞれの具体的なスケジュールを紹介します。
準夜勤のスケジュール
準夜勤の場合、15:30から翌0:30までの勤務です。
時間 | 業務 |
15:30 | ・出勤 ・日勤看護師からの引き継ぎ |
18:00 | ・夕食の準備と介助 ・口腔ケアの介助 |
20:00 | 交代で休憩 |
21:00~22:00 | ・病室の巡回 ・就寝前の準備 ・消灯 |
0:30 | ・深夜勤の看護師への引き継ぎ ・退勤 |
この時間帯は夕方から夜にかけての業務が中心です。準夜勤では、日中の診療が終了した後の患者さまのケアが中心です。とくに、夕方から夜にかけては、患者さまの夕食の準備や就寝前のケアなど細やかな対応が求められます。
深夜勤のスケジュール
深夜勤の場合は、23:30から8:30までの勤務です。
時間 | 業務 |
23:30 | ・出勤 ・準夜勤の看護師からの引き継ぎ ・病棟巡回 |
4:00~6:00 | 交代で休憩 |
8:00 | ・朝食の介助 ・口腔ケアの介助 |
8:30 | ・日勤看護師への引き継ぎ ・退勤 |
深夜から早朝にかけての業務があり少人数での対応が求められるため、一人ひとりの役割が重要です。
深夜は患者さまが眠っている時間帯ですが、急変に備えたり、ナースコールに対応したりするため、勤務する日によってはゆっくりと勤務できないかもしれません。
看護師の1か月の夜勤平均回数
看護師の方の1か月あたりの夜勤回数は、次のとおりです。
- 2交代制:4.14回
- 3交代制:7.75回
ただし、夜勤回数は病院や施設によって異なります。この回数よりも多く夜勤をしており負担を強く感じている方は、転職を検討しても良いでしょう。
とくに、集中治療室や救命救急センターなど夜勤の回数が多いところで働いている場合は、体力的な負担が大きくなるため、無理せず休息することを心がけてください。
看護師が夜勤をするメリット
夜勤には体力的な負担が伴う一方で、さまざまなメリットもあります。
- 夜勤手当で給与がアップする
- 緊急時の対応のスキルアップにつながる
- 日中にゆっくりした時間が増える
- 業務量が比較的少ない
夜勤をすることによって収入面やスキルアップの機会に魅力を感じている方も多いでしょう。どのようなメリットがあるのか、理解を深められます。
夜勤手当で給与がアップする
夜勤をすることで夜勤手当が支給されるため、給与がアップします。厚生労働省のデータによる具体的な手当額は、次のとおりです。
勤務形態 | 平均手当額 |
3交代制の準夜勤の手当額 | 4,154円 |
3交代制の深夜勤の手当額 | 5,122円 |
2交代制の夜勤の手当額 | 11,286円 |
夜勤手当は、収入を増やしたい看護師の方にとっては魅力です。また、夜勤専従で働くことで、さらに高い給与を得られる可能性もあるため、まとまった収入が必要な方にとっては重要な選択肢となるでしょう。
関連記事:看護師で夜勤ありの年収は約508万円!夜勤手当や夜勤専従の実態を解説
緊急時の対応のスキルアップにつながる
日勤で勤務する看護師数と比べて、夜勤中は少人数で対応するケースが多いため、急変時には一人ひとりの役割が重要です。
夜勤での経験を積むことで、患者さまの状態の変化に気づく力や適切な処置を行う能力が鍛えられ、このスキルはキャリアアップにもつながるでしょう。
日中にゆっくりした時間が増える
夜勤前や夜勤明けの時間は、自分の時間として過ごせます。平日が休みになる場合もあり、混雑を避けて用事を済ませられます。
また、趣味や学びたいことに時間を使えるため、充実した時間を送ることが可能です。このような時間の使い方ができると、生活の質向上につながるでしょう。
業務量が比較的少ない
夜勤帯は、患者さまが就寝している時間帯であり業務量は比較的少ないため、落ち着いた環境で働けるときもあります。
また、処置や検査などは日中の時間帯でおこなわれ、予定入院の患者さまは日中来院します。
そのため、夜勤者同士で患者さまについて話し合ったり、眠れない患者さまの話をしっかり傾聴したりして向き合えることも夜勤をするメリットです。
看護師が夜勤をするデメリット
夜勤をするメリットがある一方で、生活リズムが乱れやすかったり、家族との時間が取れなかったりなど、さまざまなデメリットがあります。
- 体力的にきつい
- 生活が乱れやすい
- 家族や友人と時間が合わない
- 患者さまの状態がわかりにくい
ここでは、夜勤によって発生しやすい具体的な問題について詳しく解説します。夜勤の働き方に不安を感じている方にとって、どのようなデメリットがあるのかを理解することが重要です。
体力的にきつい
夜勤は長時間にわたり病院に拘束されるため、身体の負担が大きいです。
休憩時間が2~3時間設けられているものの、急変対応や緊急入院があると仮眠が取れないことがあります。自分が担当している患者さまの状態が悪いと、患者さまのことが気になって十分に休めない場合もあります。
また、仮眠室の環境が悪かったり、緊張していて眠れなかったりすることもあります。
体力が低下すると集中力も失われやすく、医療事故につながるミスを起こす可能性があるため、夜勤前には夜勤に備えて十分な休息を取り、夜勤が終わったあとは身体を休めることが大切です。
生活が乱れやすい
看護師の方の勤務は、日勤と夜勤の入れ替わりがよくあるため、生活リズムが乱れやすいです。
不規則な生活は身体に負担をかけます。たとえば、睡眠のリズムが乱れ睡眠不足であったり、身体のだるさから食事を簡単に済ませようとすることで栄養のバランスも崩れたりします。
夜勤後はしっかりとした睡眠を取りリラックスできる時間を確保しましょう。
家族や友人と時間が合わない
看護師の方は、シフト制であり夜勤があるため家族や友人と休みが合わないと感じやすいです。
とくに、週末に家族や求人と過ごす時間が取れないことが多く、疎遠になるケースもあります。
職場によっては、月に数日間、休みの希望を出せるところがあるため、事前に計画を立てられると一緒に過ごしやすくなるでしょう。
患者さまの状態がわかりにくい
夜勤明けや休みが続くと、患者さまの状態が変わり把握しにくくなります。夜勤帯では看護師の方は10人以上の患者さまを担当するケースもあり、入退院が多い場合は余計にわからなくなるでしょう。
申し送りをしっかりして情報の伝達をスムーズにおこなうことで、患者さまに質の高いケアを提供できます。
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看護師の夜勤時間に関するQ&A
看護師の夜勤に関するよくある質問を取り上げて、具体的な回答をお伝えします。これにより、夜勤に対する理解が深まり、働くうえでの不安を軽減できるでしょう。
Q1:看護師の2交代夜勤の休憩時間はどのくらい?何しているの?
2交代制の夜勤の休憩時間は2~3時間程度です。
休憩中は仮眠を取ったり、食事をしたりして身体を休めます。夜勤中の休憩時間は、次の業務に備えるために重要です。仮眠を取って集中力を保つことで、急変にも迅速に対応できます。
ただし、勤務中は急変時の対応や患者さまとのトラブルなどにより休憩中に呼び出されることもあり病院や施設から出て休憩はできないため、心をゆっくり休めることは難しいかもしれません。
Q2: 2交代と3交代はどちらが多いの?
2交代制と3交代制、いずれの勤務形態が多いのか、次の表を参照ください。
勤務形態 | 割合 |
2交代制 | 26.3% |
3交代制 | 37.6% |
2交代制と3交代制の混合 | 36.1% |
2交代制よりも3交代制が多い傾向です。
ただし、近年は2交代制を採用している病院が増えています。これは、夜勤回数を減らし、看護師の方の負担を軽減するためです。
2交代制は一度の勤務時間が長く体力の消耗が激しくなることもあるため、自分の体調や生活スタイルに合わせて、どちらの勤務体制が合っているかを考えることが大切です。
まとめ:看護師の夜勤でメリット・デメリットを踏まえて負担の大きさを感じるときは訪問看護への転職も一手
看護師の夜勤は体力的な負担が大きいですが、夜勤手当による給与アップやスキルアップなどのメリットもあるため、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
夜勤を続けるには、しっかりとした体調管理と生活リズムの調整が欠かせません。自分の健康を守りながら、患者さまに最良のケアを提供できるようにしましょう。
また、夜勤が合わないと感じた場合は、訪問看護ステーションで働くことも一手です。
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