保育園看護師とは?給料や5つの仕事内容、求人のポイントを紹介
「保育園で働く看護師はどのような仕事をしているの?」「看護師として保育園で働くために求人を選ぶポイントを知りたい」
このように保育園看護師に興味を持っている方はいませんか。
保育園看護師は園児の健康管理やケガの対応だけではなく、職員や保護者への指導をおこないます。
この記事では保育園看護師の給料や仕事内容、求人を探すときのポイントを紹介します。保育園看護師に興味を持つ方の疑問を解決できれば幸いです。
保育園看護師とは
まずは、保育園看護師の役割や配置基準について解説します。
- 保育園看護師の役割
- 保育園看護師の配置基準
保育園看護師の実態について、それぞれみていきましょう。
保育園看護師の役割
保育園看護師の方の役割は、園児たちの健康管理やケガの対応、保護者や職員への指導をおこなうことです。具体的には、次のようにサポートします。
- 園児の定期的な健康チェック
- 保護者への健康に関するアドバイス
- 予防接種や検診のサポート
- アレルギーを持つ園児への配慮
- 感染症の予防・対策
園児たちの体調の変化にいち早く気づき、適切な対応を取ることが求められます。さらに、保育士との連携も欠かせません。
看護師としての知識を活かしながら、保育士が園児たちの健康を守れるようにアドバイスやサポートをおこないます。
これにより、保育園全体で安全な環境を確保できます。
保育園看護師は医療従事者としての専門性を活かしながら、園児たちの健やかな成長をサポートする存在です。
保育園看護師の配置基準
法律上、保育園看護師の配置が義務づけられているわけではありません。
ただし、近年では園児の健康管理や感染症対策の重要性が高まっています。とくに、大規模な保育園では、看護師もしくは准看護師の方を配置するケースが増えています。
内閣府の調査によると、平成29年時点で看護師・准看護師を配置している保育園は72%とされています。配置される看護師・准看護師の数については、受け入れ児童数や保育内容に応じて変わりますが、通常は1園に1名です。
また、保育園では看護師や准看護師を保育士の1人としてカウントすることが可能です。
そのため、保育園看護師は保育士やほかのスタッフと連携して園児たちの健康を守るために体制を整えなければなりません。園の環境や規模によって保育園看護師の役割が異なるため、どのように配置されるかを事前に確認することも重要です。
保育園看護師の給料事情
次に、保育園看護師の給料事情を解説します。
- 保育園看護師(常勤)の平均給料は34~39万円
- 保育園看護師(非常勤)の平均給料は20~24万円
それぞれの給料事情を知って、転職する際に役立ててください。
保育園看護師(常勤)の平均給料は34~39万円
保育園看護師として常勤で働く場合の平均給料は次の表のとおりです。
職種 | 看護師(保健師・助産師)、准看護師の給料 |
私立(平均勤続年数12.3年) | 34万142円 |
公立(平均勤続年数12.4年) | 39万6,931円 |
参考:幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査|政府統計の総合窓口(賞与込みの金額を記載)
保育園看護師(常勤)の方の給料は、私立と比べると公立の保育園看護師の方が約5万円高いです。
ただし、この給料は地域や施設の規模、経験年数によって変動します。
都市部や大規模な保育園では、給料がやや高めに設定されていることが多く、逆に地方や小規模な施設では少し低めの傾向があります。
また、保育園の経営状態や予算によって保育園看護師の給料は左右されるため、詳細な給与額は求人情報を確認することが重要です。
保育園看護師(非常勤)の平均給料は20~24万円
保育園看護師として、非常勤で働く場合の平均給料は、次の表のとおりです。
職種 | 看護師(保健師・助産師)、准看護師の給料 |
私立(平均勤続年数9.8年) | 24万8,833円 |
公立(平均勤続年数5.1年) | 20万8,389円 |
参考:幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査|政府統計の総合窓口(賞与込みの金額を記載)
保育園看護師(非常勤)の方の給料は、公立と比べると私立の保育園看護師の方が約4万円高いことがわかります。
一般的に、常勤に比べて非常勤の給料は低めに設定されています。これは、常勤と非常勤で業務の責任の範囲や時間的な制約が異なるためです。
非常勤のポジションでは、勤務時間やシフトが柔軟であることが多く、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい点がメリットです。
保育園看護師の5つの仕事内容
次に、保育園看護師の方の仕事内容を紹介します。
- 園児の体調管理と指導
- 病気やケガへの対応
- スタッフへの指導と健康管理
- 遠足や園外保育などのイベントへの同行
- 保護者への情報提供
それぞれの仕事内容を知って、保育園看護師に転職した際に後悔しないようにしてくださいね。
園児の体調管理と指導
保育園看護師の主な業務は「園児の体調管理と指導」であり、園児の日々の健康状態を観察し、体調不良や異変にいち早く気づくことが重要です。
というのも、園児は身体が十分に発達しておらず、抵抗力が弱いからです。
たとえば、朝の登園時に体温測定や視診をおこない園児の健康状態をチェックします。また、風邪や感染症が広がらないよう、手洗いやうがいも定期的に指導します。
とくに、感染症予防は集団生活における重要な課題であり、園内での衛生管理の徹底が不可欠です。
さらに、アレルギーを持つ園児に対しては、食事や環境面での配慮が欠かせません。アレルギーの管理や対応策を保育士と共有して食事の安全を確保します。
病気やケガへの対応
保育園看護師の方の重要な役割の1つに「病気やケガへの対応」があります。
保育園では、突然、園児が体調を崩したり、遊び中にケガをしたりすることが少なくありません。そのため、保育園看護師の方は迅速に対応し、適切な処置をおこなうことが求められます。
具体的には、発熱や嘔吐などの症状が現れた場合は園児の体調を観察しつつ、保護者に連絡し、医療機関への受診を促さなければなりません。軽いケガであれば応急処置をおこない、必要に応じて保護者に報告します。
また、保育士と連携して、安全な遊び環境を整えケガを未然に防ぐ対策を講じることも、保育園看護師の役割です。
スタッフへの指導と健康管理
保育園看護師の業務には「スタッフへの指導と健康管理」も含まれています。
保育園は多くの園児たちが集まる場所で感染症のリスクが高いため、スタッフ全員が健康管理や衛生対策に関する知識を持つことが重要だからです。
保育園看護師には、保育士や保育園で働くスタッフに対し手洗いや消毒の方法などを指導して保育園内の衛生環境を整える役割もあります。
また、スタッフ自身の健康管理も重要です。とくに、風邪やインフルエンザの流行期には、スタッフが体調不良を訴えることも多く、感染拡大に気をつけなければなりません。
さらに、保育現場で働くスタッフに対して、メンタルヘルスのケアや適切な働き方のアドバイスをおこなうことも、保育園看護師の大切な役割です。
遠足や園外保育などのイベントへの同行
保育園看護師の方は、遠足や園外保育などのイベントにも同行し、園児たちの健康と安全を守ります。
園外活動では、普段と異なる環境で生活するため園児たちが体調を崩したりケガをしたりすることがあります。さらに、活動中の熱中症や脱水症状を防ぐため、適切なタイミングでの水分補給や休憩を促すことも保育園看護師の仕事です。
イベント前には、保育士と連携して事前にリスクを予測し、安全な活動ができるよう計画を立てます。
保護者への情報提供
保育園看護師には「保護者への情報提供」という役割もあります。
園児の健康状態や発達状況を、保護者に適切に伝えることは、園児たちの健やかな成長を支えるために欠かせません。
日々の健康チェックや病気の兆候について報告することで、保護者は家庭でのケアに役立てられます。
たとえば、園で発熱や下痢などの感染症が疑われる症状がみられた場合は、保育園看護師から速やかに保護者に連絡し、医療機関を受診するようアドバイスします。
また、感染症が流行した際には、その予防策や家庭での対応方法を具体的に伝えることが不可欠です。
こうした対応は、保育園が保護者と信頼を築いていくために重要です。
保育園看護師の1日のスケジュール
ここでは、保育園看護師の1日のスケジュールと仕事内容を紹介します。
時間 | 仕事内容 |
8:00 | 出勤・ミーティング・ほかの保育士との情報共有 |
9:00 | 保育室の巡回と健康観察・保健だよりの作成・予防接種の確認・保育の補助 |
12:00 | 食堂・保育室の巡回、内服薬の対応 |
12:30 | 午睡の準備 |
13:00 | 休憩 |
14:00 | 園内の消毒作業・衛生用品の補充・保健日誌の記入 |
14:30 | 身体測定 |
15:00 | 保育 |
16:00 | 保護者の対応 |
17:00 | 退勤 |
大まかな流れはこのようになっています。
ただし、保育所によって保育園看護師に求める役割が異なるため、このスケジュールはあくまでも目安としてください。保育の補助も、保育園看護師の重要な役割です。
保育園看護師のメリット
ここでは、保育園看護師の方のメリットを紹介します。
- 園児とかかわる場面が多い
- 勤務が規則的でスケジュールを立てやすい
- 医療行為のプレッシャーが少ない
- 保育園の質向上に貢献できる
病院で働くときでは得られないメリットばかりです。4つのメリットについてそれぞれみていきましょう。
園児とかかわる場面が多い
保育園看護師のメリットは「園児とかかわる場面が多い」ことです。
日々、園児と密接に接することで、成長を身近に感じられる喜びがあります。看護師としての知識やスキルを生かしながら、健やかな成長をサポートすることで、大きなやりがいを得ることができます。
具体的には、健康管理や日常的なケア、病気やけがへの対応だけでなく、保育士と連携して健康教育をおこなったり、保育の補助に入ったりする場面も多くあります。
子どもが好きな看護師の方にとっては、保育園は格好の場所といえるでしょう。
勤務が規則的でスケジュールを立てやすい
保育園看護師のメリットは「勤務が規則的でスケジュールを立てやすい」点です。
病院やクリニックでの看護業務はシフト制や夜勤が多く、生活リズムが乱れやすい一方で、保育園では園の開園時間に合わせた日勤のみの勤務形態が一般的です。夜勤や休日出勤が発生することはほとんどありません。
そのため、規則正しい生活を送りやすく、プライベートな時間を確保しやすいのが保育園看護師の魅力です。とくに、子育て中の方やワークライフバランスを重視する方にとって、仕事と家庭生活を両立しやすい環境が整っています。
さらに、長期的なスケジュールも立てやすいため、旅行や趣味の時間を計画的に確保できることもメリットです。
医療行為のプレッシャーが少ない
「医療行為のプレッシャーが少ない」ことも保育園看護師のメリットに挙げられます。
病院やクリニックでは点滴や注射、急変対応などの医療行為が求められ、そのたびに迅速な対応が必要です。一方で、保育園看護師の業務では、こうした高度な医療行為を行う場面はほとんどありません。
そのため、医療行為に対する緊張感やプレッシャーを感じることが少ないのが特徴です。
先ほど述べたように、保育園看護師の方の業務は、園児の健康管理やけがの応急処置、感染症の予防対策などが中心です。
こうした業務は看護師としての知識を活かしつつも、緊急性の高い処置をおこなう必要がないため、心身の負担が軽減されるでしょう。
保育園の質向上に貢献できる
保育園看護師は、園児の体調や健康状態を把握し、早期に問題を発見することで、健全な園内環境の維持に貢献できます。
例えば、看護師の専門知識を生かして、保育士やほかのスタッフに健康教育をおこなうことで、保育園の医療リテラシーの向上を図ることが可能です。
これにより、スタッフがより良いケアを提供できるようになり、保育園の質の向上が期待できます。
保育園看護師のデメリット
保育園看護師の働き方は魅力的でメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。
- 給料が下がる可能性がある
- 看護師1名で対応しなければならない
- 保育業務を任されることがある
- 医療現場の情報から遠ざかる
メリットとデメリットを踏まえて、自身が希望する働き方と合っているか考えてみましょう。
給料が下がる可能性がある
保育園看護師のデメリットは「給料が下がる可能性がある」点です。
病院やクリニックに比べて、保育園での勤務は医療行為の範囲が限定され、緊急対応の機会も少ないため、一般的に給与水準が低めです。
実際に、保育園看護師(常勤:看護師(保健師・助産師)、准看護師)の年収は私立で408万1,704円、公立で476万3,172円となっています。
それに対して、厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、看護師(常勤)のの年収は482万9,100円、准看護師(常勤)の年収は403万400円です。
このため、保育園看護師として働く際には、給与面だけでなく、働きやすさやライフスタイルとのバランスも考慮することが重要です。
給与の低さがデメリットとなる場合もありますが、働きやすさや仕事の満足度といったほかの要素を総合的に評価することが必要です。
看護師1名で対応しなければならない
保育園看護師のデメリットの1つは「看護師1名で対応しなければならない」ことです。
多くの保育園では、看護師の方が1名だけ配置される場合が多く、広範な業務を1人で担うことが一般的です。
とくに、園児のケガや、急な体調不良の際には、複数の業務を並行しておこなう必要があり、業務が重なるとストレスが増す可能性もあります。自身の体調不良のときにも代わりの看護師がいないため、休みにくさを感じるかもしれません。
このように、保育園看護師の勤務環境では、役割の幅広さと1人での対応が求められるため、業務の負担やストレス管理が重要な課題です。
保育業務を任されることがある
「保育業務を任されることがある」点は保育園看護師のデメリットと捉える方もいるでしょう。
保育園看護師は、園児の健康管理や医療サポートが主な役割ですが、保育園の規模や運営方針によっては、保育関連業務も担わなければならないからです。
具体的には、園児の遊びや活動に参加したり、保育士と協力して園内のイベントや日常の保育業務にかかわったりするケースがあります。
これにより、保育業務の負担が看護業務に影響を及ぼすこともあります。
医療現場の情報から遠ざかる
保育園看護師のデメリットは「医療現場の情報から遠ざかる」ことです。
保育園での勤務は、主に園児の健康管理や予防的なケアに焦点を当てるため、急性期の医療や高度な医療技術にかかわる機会が少ないからです。
医療技術の進歩に遅れをとる可能性や急性期の医療知識が鈍るリスクがあります。
保育園勤務を選ぶ際は、この点も考慮して定期的に研修に参加することで医療知識やスキルを維持する努力が求められます。
保育園看護師になるには
実際に、保育園で働きたいと考えた場合、どのような資格やスキルが必要になるのでしょうか。ここでは、保育園看護師になる方法を紹介します。
- 保育園看護師に必要な資格
- 保育園看護師に必要なスキル
- 保育園看護師の志望動機
「知り合いに保育園で働いている看護師がいないからどうすればいいのかわからない…」という悩みを解決しましょう。
保育園看護師に必要な資格
保育園看護師として働くには、看護師・准看護師・保健師のいずれかの資格が必要です。
ほかに資格は必要ありませんが、子どもにかかわる仕事内容であるため、小児科での勤務経験があれば転職活動で有利に働きます。
「新卒OK」「未経験でも可」といった求人もありますが、病院で経験を積んでから保育園看護師になるのが一般的です。
保育園看護師に必要なスキル
保育園看護師の方には、小児看護の専門的な知識とスキルが必要です。
園児特有の健康問題や成長段階に応じたケアを理解し、適切に対応しなければならないからです。
また、園児や保護者、保育士との良好な関係を築くために、保育園看護師にはコミュニケーション能力やチームワークのスキルが求められます。
とくに、保護者への健康情報の提供やアドバイスをおこなう際には分かりやすく、かつ丁寧な説明が不可欠です。
保育園看護師の志望動機
保育園看護師を志望する動機には、園児の成長に貢献したいという意志が重要です。
保育園看護師は、園児たちの健康を守るだけでなく、彼らの健やかな成長をサポートする役割を担うからです。
保育園で働くための志望動機について、下記の記事で詳しく解説しているためぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【例文つき】保育園で働く看護師の志望動機!小児科経験なしでも採用される方法4つ
保育園看護師の求人を選ぶポイント
保育園看護師の求人を選ぶ際には、次のようなポイントでチェックしてください。
- 保育園の規模
- 勤務時間やシフトの柔軟性
- 給与や待遇
- キャリアアップの機会
大規模な保育園では、設備やスタッフのサポートが充実している場合が多く、安心して働ける環境が整っています。それに対して小規模な施設では、よりアットホームな雰囲気で仕事ができる利点があります。
実際の保育園やスタッフの雰囲気も確認しておくと良いでしょう。面接や見学を通じて、職場の雰囲気が自分に合った環境かどうかを見極めることが大切です。
まとめ
保育園看護師は、園児の健康管理やケガへの対応、保護者や職員への指導など重要な役割を担っています。
保育園によっては園児全員の看護を1人で担当することや、給料が低めに設定されているなどデメリットを感じることがあるかもしれません。
ただし、子どもたちの成長を間近で感じられる、やりがいのある仕事です。ほかにも、ワークライフバランスを整えやすく、保育園の質向上に貢献できるなどの魅力もあります。
現在の職場に不満を感じている看護師の方は、保育園への転職を検討してみてくださいね。
参考サイト
保育の担い手となれる看護師の対象拡大により、健康管理など保育の質が向上|内閣府ホームページ
○保育所等における准看護師の配置に係る特例について(通知)|厚生労働省
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。