准看護師とは?准看護師と看護師の違いやできない4つのことを解説!

公開日:2024/08/29 更新日:2024/08/29
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「准看護師と看護師の違いって何?」「准看護師ができないことってあるの?」

このように悩んでいる方はいませんか。

医師や看護師と協同して、患者さまのケアをおこなう准看護師。

看護師と比べて、准看護師になるための養成期間は短く、働きながら資格取得ができるため人気の資格のひとつです。

この記事では、准看護師になるための方法や、准看護師と看護師との違いなどを詳しく解説します。准看護師になりたいと考えているものの、具体的な方法が分からず悩んでいるあなたの手助けになれれば幸いです。

准看護師とは?

准看護師とは、看護職の資格のひとつであり、医師(歯科医師も含む)や看護師の指示のもとで、診療の補助や患者さまのケアをおこなう専門職のことです。ここでは、次の2つについて解説します。

  • 准看護師の業務内容
  • 准看護師の1日のスケジュール

厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、准看護師数は25万4,329人(令和2年と比べて3万260人減)です。その准看護師の方がどのように働いているのか詳しくみていきましょう。

准看護師の業務内容

准看護師は、医師や看護師の指示を受けて、看護師の補助としての役割を担う医療の専門職です。

准看護師は、以下のような業務をおこない患者さまの療養生活をサポートしています。

  • バイタルサインのチェック
  • 体位変換
  • 排泄や食事の介助
  • 与薬の補助
  • カルテの記入

准看護師の業務には日常的なケアが含まれており、その内容は看護師と大きな違いはないといえます。

准看護師の1日のスケジュール

ここでは、准看護師の1日のスケジュールを紹介します。日勤の勤務帯の例をみていきましょう。

時間業務内容
8:00日勤開始。夜勤の准看護師からの引き継ぎ
8:30患者さまにあいさつ
9:00検温、清潔ケア、診察の介助、記録の作成
11:00食事の準備
12:00配膳、食事の介助、口腔ケア
13:00休憩(1時間)
14:00検温、清潔ケア、診察の介助、記録の作成
15:00カンファレンス
16:00夜勤の准看護師への引き継ぎ
17:00終業

基本的に、准看護師はこのようなスケジュールで業務をおこなっています。

ただし、緊急入院の患者さまが来院されたり、ケアが終わらなかったりすると休憩時間を1時間取れなかったり、時間外勤務をおこなったりする場合もあります。

さらに、准看護師の主な就業先は次のとおりです。

  • 病院:36.6%
  • 診療所:31.5%
  • 介護保険施設:24.2%

参考:令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 |厚生労働省 

准看護師の勤務先は、医療機関が多いことが分かります。働いている病院や診療所、介護施設などによってスケジュールは異なるため、採用面接のときに確認してみてくださいね。

准看護師になるには?

准看護師になるには、試験に合格して都道府県知事が認定する准看護師免許の取得が不可欠です。准看護師免許を取得するまでの大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 准看護師養成所に入学
  2. 准看護師養成所を卒業
  3. 都道府県がおこなう准看護師試験を受験
  4. 准看護師試験に合格して免許申請の手続き

准看護師試験を受験するためには、准看護師養成所での課程を修了しなければなりません。

准看護師養成所には全日制と定時制のカリキュラムがあるため、家庭や仕事の状況に合わせて空いた時間で資格取得を目指すこともできます。資格の取得を目指すそれぞれの生活スタイルに合わせられることがメリットといえます。

試験は毎年2月上旬~中旬に2回(平日・休日)に実施されています。

都道府県によって日程が異なるため、それぞれの場所で受験の申請をして、受験場所を変えると1年間で2回受験可能です。

試験の内容は「人体の仕組みと働き」「食生活と栄養」「薬物と看護」「疾病の成り立ち」などから出題されます。1問1点で150問の出題です。

過去5年間の准看護師試験の合格率の推移は次のとおりです。

年度受験者数合格者数合格率
2020年1万5,198人1万5,052人99.0%
2021年1万4,408人1万4,122人98.0%
2022年1万3,831人1万3,544人97.9%
2023年1万2,726人1万2,499人98.2%
2024年1万3,831人1万3,544人97.9%

参考:准看護師試験の実施状況|厚生労働省(2020年2021年2022年2023年2024年

准看護師試験の合格率は97%~99%で推移していることから、資格取得のハードルは比較的低いといえます。

准看護師になるための方法について下記の記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:40代から准看護師になるには?方法や注意点の解説 

准看護師にできないこと・できること

准看護師の方にできないことは「自らの判断による看護業務」です。

准看護師の方は、あくまで医師や看護師の指示のもとで業務をしなければならないからです。

例えば、看護計画の立案のほかに、看護師に指示を出したり、管理職に昇進したりできません。

一方で、准看護師の方ができることは、バイタルサインの測定や日常的なケア、医師の指示にもとづく与薬や注射、点滴などです。

准看護師は医療チームの一員として重要な役割を果たし、看護師や医師と連携しながら業務を遂行することが求められます。

准看護師と看護師の違い

ここでは、准看護師と看護師の違いについて解説します。

  • 定義の違い
  • 資格取得の違い
  • 給料の違い

3つのポイントそれぞれで違いを知っておきましょう。

定義の違い

准看護師と看護師の定義において、両者には明らかな違いがあります。具体的な違いについては、次の表を参考にしてください。

項目准看護師看護師
法律保健師助産師看護師法保健師助産師看護師法
要求される水準看護師が立案した看護計画をもとに看護を実践する能力科学的根拠にもとづいた看護を計画的に実践する能力
業務内容医師(歯科医師)や看護師の指示にもとづいた業務自らの判断での業務(医師の指示が必要なケースも)

参考:これから准看護師を目指す人|一般社団婦人 日本准看護師連絡協議会1 准看護師について|日本看護協会をもとに作成 

これらの違いを理解することで、准看護師としての役割が明らかになり、効果的に業務を遂行できるでしょう。

資格取得の違い

准看護師と看護師の資格取得は、教育過程や試験において異なります。

項目准看護師看護師
最終学歴中学校卒業高校卒業
年限2年以上3年以上
履修時間総時間数:1,890時間 ・基礎分野70、専門基礎分野350 ・専門分野1,470(うち臨地実習735)総単位数:102単位 ・基礎分野14、専門基礎分野22 ・専門分野66(うち臨地実習23)
資格都道府県知事の免許厚生労働大臣の免許

参考:これから准看護師を目指す人|一般社団婦人 日本准看護師連絡協議会

准看護師と看護師では、資格を取得するために必要な最終学歴や年限などさまざまな条件が異なります。それぞれの違いを知ったうえで、資格の取得を目指しましょう。

給料の違い

准看護師と看護師の間には、給料に差があります。詳しくは次の表を参考にしてください。

項目准看護師看護師
月収28万6,800円35万2,100円
賞与62万9,500円85万6,500円
年収407万1,100円508万1,700円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

一般的に、看護師の方が准看護師の方よりも高い給料を受け取る傾向があります。これは、看護師が国家資格であり、独立した判断で高度な看護業務をおこなえるためです。

准看護師と看護師の年収の差は約100万円程度であり、この差は資格や業務範囲の広さの違いによるものといえます。

ただし、准看護師の方も経験を積み、特定のスキルを持つことで給料が上がる可能性があります。准看護師としてのキャリアを積み重ねることで、報酬面でも評価されるでしょう。

准看護師と看護師の給料の違いについては、下記の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:准看護師と看護師の給料の違いとは?資格や仕事内容の違いも詳しく解説 

准看護師から看護師になる方法

准看護師になった方のなかには「看護師の資格を取得したい」と考える場合や、仕事や費用の関係で看護師の資格を取得する前提で准看護師の資格を取得する場合もあります。

准看護師の免許を取得した学歴によって看護師への道のりが異なります。

  • 中学校卒業後に准看護師になった場合
  • 高校卒業後に准看護師になった場合

准看護師から看護師になるためには、看護師養成所に2年通い、看護師国家試験に合格しなければなりません。それぞれのケースを詳しくみていきましょう。

中学校を卒業して准看護師になった場合

中学校を卒業して准看護師になった場合は、次のルートで看護師国家試験の受験資格を目指します。

  • 准看護師で実務経験3年積んだ後で看護師養成所の全日制(2年)または定時制(3年)に通う
  • 准看護師で実務経験7年積んだ後で看護師養成所の通信制(2年)に通う

准看護師として一定期間の実務経験を積んだ後で「全日制」「定時制」「通信制」の看護師養成所に進学することで、看護師国家試験の受験資格を得られます。

これらの課程では、准看護師としての経験が学びに活かされ、効率的に学業を進められるのがメリットです。

通信課程は働きながら学べるため、経済的な負担を軽減しつつキャリアアップを図ることができるでしょう。

高校を卒業して准看護師になった場合

高校を卒業して准看護師になった場合は、次のルートで看護師国家試験の受験資格を目指します。

  • 准看護師で働かずに、看護師養成所の全日制(2年)または定時制(3年)に通う
  • 准看護師で実務経験7年を積んだ後で、看護師養成所の通信制(2年)に通う

看護師養成所を卒業後は、国家試験に合格すれば資格を取得できます。

この進学方法は、高校卒業後の比較的スムーズなキャリアパスであり、准看護師としての経験を活かしながら、看護業務に挑戦できるでしょう。

看護師資格を取得することで、業務範囲が広がりキャリアの選択肢も増えるため、さらなる専門性と待遇の向上が期待できます。

准看護師に関するQ&A

最後に、准看護師に関するQ&Aを紹介します。ここで疑問を解消して、准看護師を目指しましょう。

准看護師は注射を打てますか?

准看護師は、医師や看護師の指示のもとで注射を打つことができます。

具体的には、採血やワクチン接種、点滴などの注射をおこなうことができ、必要な手順と衛生管理を守りながら実施します。

ただし、注射をおこなうには適切な教育と実務経験が求められるケースが多く、それぞれの病院や施設の研修を受けたうえで実施することが一般的です。

また、准看護師がおこなう注射は、看護師と同じように医師の指示にもとづくものであり、独自の判断での注射の実施はできません。

准看護師の学校はどこにありますか?

准看護師を養成する学校は全国各地に存在し、主に各都道府県が設置しています。これらの養成所には、専門的な医療技術と知識を学ぶためのカリキュラムがあり、通常2年間の教育課程が設けられています。

しかし、近年では准看護師を目指す方が減少してきたことが影響して、以下の都道府県では学生の募集を停止しています。

  • 福井県
  • 秋田県
  • 山形県
  • 沖縄県
  • 新潟県
  • 岡山県

准看護師の資格を目指す方は自身のライフスタイルや学びやすさに応じて、適切な養成所を選ぶことが大事です。

これから准看護師の学校を受験する予定です。無資格ですが医療機関で働くことはできますか?

無資格、未経験でも医療機関で働くことは可能です。実際に、看護学生を看護補助者として雇用する病院や施設があります。

ただし、資格がないため、医療行為に携わることはできません。

看護師や准看護師の指示を受けて、患者さまの身の回りの世話やシーツ交換、入浴介助、食事介助などをおこないます。

働き先によっては、准看護師の資格取得を支援する制度を設けているところもあるため、そのような制度があるところを就職先として選ぶと、経済的な負担を軽減できるでしょう。

准看護師が廃止されるのはいつから?

准看護師が廃止されるかどうか決まっていません。

ただし、准看護師が廃止されるかもしれないという声があるのは事実です。准看護師を廃止して、看護師と統合させようとする動きもあります。

というのも、准看護師は女性が高等教育を受ける機会が限られていたことを背景に創設された資格であり、現在は高校進学が当たり前となっているからです。

さらに、年々、准看護師を目指す人材が減少しており、准看護師の養成所が募集を停止した都道府県もあります。

こういった理由から、准看護師を廃止しようとしています。

ですが、看護師と比較して、准看護師は資格取得のための時間や費用を抑えられ、さまざまなタイプのカリキュラムがあり養成所に通いやすいことなどがメリットです。

また、近年は高齢者施設や在宅医療でのニーズが高まるなかで、慢性的な看護師不足を補う存在でもあります。

そのため、今後の流れに注目していくことが大切です。

まとめ

准看護師は、看護師とは異なる役割と資格を持ち、医療現場で重要な役割を果たしています。

准看護師の主な業務は、医師や看護師の指示のもとで患者さまのバイタルサインの測定や食事の補助、与薬などをおこなうことです。

准看護師と看護師では、業務内容や給料面で異なります。准看護師と比べて、看護師の方が業務範囲は広く、給料高い傾向にあります。

ただし、准看護師も経験やスキルに応じて給与が上がる可能性があります。

そのため、准看護師としての役割を理解し、キャリアアップに努めることが大切です。

参考サイト・文献

令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 |厚生労働省 

准看護師試験の実施状況|厚生労働省(2020年2021年2022年2023年2024年

これから准看護師を目指す人|一般社団婦人 日本准看護師連絡協議会

1 准看護師用整数の減少|厚生労働省 

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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