循環器病棟の看護師に向いている人5選!やりがいと難しいとされる理由
「循環器病棟の看護師に向いている人の特徴を知りたい」「循環器病棟で働くやりがいって何?」
このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。
心臓や血管を専門的に診療する循環器病棟。循環器病棟は「循環器内科」と「心臓血管外科」の2種類に区別されます。一般的に、循環器病棟は「循環器内科」を指し、内科的な治療や検査などをおこないます。
一方で「心臓血管外科」では循環器内科では対応できない、もしくは不適応となった患者さまに対して手術をおこないます。
この記事では、循環器病棟の看護師に向いている人の特徴や、その病棟で働くやりがいなどを紹介します。循環器病棟への転職を考えているものの、未経験であり不安を感じているあなたの助けになれば幸いです。
循環器病棟の看護師に向いている人5選
循環器病棟が対象とする疾患は、主に心筋梗塞や狭心症、心不全、不整脈などです。まずは、循環器病棟の看護師に向いている人の特徴を紹介します。
- 短期間で多くの経験を積みたい人
- 臨機応変な対応ができる人
- さまざまな症例を経験したい人
- 心電図を読みとるスキルが高い人
- 積極的に学ぼうとする意欲がある人
それぞれの特徴をみていきましょう。
短期間で多くの経験を積みたい人
循環器病棟では、主に以下の治療や検査をおこないます。
さらに、ほかの病棟と同じように採血検査やレントゲン撮影などもあり、さまざまな治療や検査をおこなうのが循環器病棟の特徴です。
そのため、循環器病棟で働くと、短期間でさまざまな経験ができます。
臨機応変な対応ができる人
循環器病棟の看護師にとって臨機応変な対応力は不可欠です。
というのも、循環器病棟では心疾患が中心となるため、急変のリスクが高い患者さまが多いからです。急変や緊急事態に素早く対応し、的確な判断をする能力が求められます。
この能力を発揮するためには、ストレスに耐える能力と冷静さが重要です。状況が急変した際にも焦らず、チームで協力しながら適切な行動をとらなければなりません。
さまざまな症例を経験したい人
循環器病棟でおこなう心臓カテーテル検査を主に実施しているところであれば、1泊2日の入院となるケースもあり、患者さまの入れ替わりが多いケースもあります。
一方で、心不全や心筋梗塞などを発症した患者さまは入院が長期化しやすいです。厚生労働省の調査によると「循環器系の疾患」の平均在院日数は41.5日と、「精神及び行動の障害」は294.2日、「神経系の疾患」は83.5日に次ぐ長さです。
循環器病棟と一言で言っても、対象とする疾患や患者さまの背景は異なるため、さまざまな症例を経験できるでしょう。
心電図を読みとるスキルが高い人
「循環器病棟=心電図を装着する患者さんばかり」というイメージを持っている方も多いでしょう。
循環器病棟の看護師にとって、心電図を読みとるスキルは重要です。
心電図は、心臓の電気活動をあらわしたものであり、正しく解釈することで患者さまの心臓の機能や異常を把握することができます。
ナースステーションには、患者さまが装着している心電図の波形を映し出すモニターがあります。
循環器病棟の看護師は、常にこのモニターに注意しながら業務をおこなわなければなりません。
積極的に学ぼうとする意欲がある人
循環器病棟に限らず、看護師は「保健師助産師看護師法」にて学び続けなければならないと定められています。
さらに、医療は日々進歩しており新しい治療や医療機器が導入されるため、学び続けることが不可欠です。
とくに、循環器病棟では、患者さまは生命にかかわる医療機器を装着したり、薬剤を投与していたりします。
循環器病棟の看護師の知識やスキルが不足することによって、担当の患者さまに不利益が生じる可能性もあります。
そのため、積極的に学びつつ、緊張感を持ってケアの向上に努めることが重要です。
循環器病棟における看護師の主な仕事内容
次に、循環器病棟における看護師の主な仕事内容を解説します。
- 心電図のモニタリング
- 点滴管理や内服の管理
- 手術や検査前後のケア
- 生活指導とリハビリテーション
それぞれの仕事内容を理解し、循環器内科の病院で働く際の参考にしてくださいね。
心電図のモニタリング
「心電図を見るのは苦手…」と感じている看護師の方も多いでしょう。
ただし、循環器病棟の看護師として働くためには、心電図のモニタリングは欠かせません。心電図から分かる情報のほかに、水分出納の管理と体重チェックなどから、患者さまの状態をアセスメントします。
このアセスメントが、患者さまの異常の早期発見につながるため、心電図を正確にモニタリンすることが重要です。
点滴管理や内服の管理
循環器の患者さまは、さまざまな病気があるため、看護師の方は多くの点滴や内服薬を管理しなければなりません。たとえば、以下のような代表的な薬があります。
- 降圧薬
- 抗血小板薬
- 抗不整脈薬
- 利尿剤
- 血管拡張薬
- β遮断薬
さらに、東京都健康長寿医療センターがおこなった研究では「75歳以上の約6割が3つ以上の併発疾患がある」としています。
つまり、多くの高齢者は複数の疾患があると言えます。自ずと薬を飲む種類や量は増えるため、看護師の方は薬を管理する仕事が煩雑になりやすいです。
手術や検査前後のケア
循環器病棟では、以下のような手術をおこないます。
- 経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVR)
- 経皮的僧帽弁縫合不全修復術(Mitra Clip)
- 左心耳閉鎖術
手術や検査前後のケアでは、バイタルサインの測定や症状の確認、検査の結果などから患者さまの全身状態を評価します。
手術前には、患者さまとそのご家族に手術の流れやケアの方法ついて説明し、心理的な支援を提供します。手術後は、バイタルサインの測定にくわえ、痛みの管理や創部のケアをおこない、早期回復を促すことが重要です。
さらに、医師から手術や検査などに関する説明の後には、患者さまの説明の理解度を確認して、不安や悩みの緩和に努めることも循環器病棟の看護師の役割です。
生活指導とリハビリテーション
生活指導とリハビリテーションは、患者さまの回復と生活の質を向上させるために大切です。生活指導では、以下のことを患者さまに指導します。
- 食事療法
- 薬の管理
- 定期通院の案内
- 適切な運動の指導
- 生活上の注意点の指導
退院後に、患者さまがご自宅や施設において、病気の予防や管理に役立てることが生活指導の目的です。
また、リハビリテーションでは、セラピストと協力しながら患者さまの体力や運動機能、日常生活能力などを回復・向上できるようにサポートします。
患者さまそれぞれに合ったプログラムで、ニーズに合わせたリハビリテーションを提供し、早期の社会復帰や健康維持を支援します。
循環器病棟における看護師のやりがい
ここでは、循環器病棟における看護師のやりがいを紹介します。
- 患者さまの回復を実感できる
- 看護師としてスキルアップができる
- 急性期~回復期を経験できる
それぞれにやりがいがあります。自分自身に置き換えて、どんなことに関心があるのか考え、循環器病棟の看護師に転職する際に役立てれば幸いです。
患者さまの回復を実感できる
循環器病棟における看護師としてのやりがいは、患者さまが病気から回復して退院するまでの過程に関わることができることです。
治療やケアにかかわる中でその努力が実を結び、患者さまが少しずつ回復していく過程を見ることに感動する看護師もいます。
また、患者さまとの信頼関係が築けたときに感じる喜びや患者さまの「ありがとう」という言葉が励みになります。
このように、循環器病棟の看護師としての業務は決して簡単ではありませんが、非常に充実感のある職業であることを実感できるでしょう。
看護師としてスキルアップができる
さまざまな臨床経験を積み看護師としてスキルアップができると、患者さまのあらゆる状況に対応できるようになります。
病院やクリニックによっては、医師や看護師だけではなく、医療機器メーカーや製薬会社が主催する勉強会もあるため、最新の知識を取り入れ専門的なケアの提供に役立つでしょう。
また、循環器病棟では、高度医療を提供する場面もあることから、チーム医療としての姿勢が重要です。他の診療科でも多職種連携は重要ですが、循環器病棟でもさまざまな職種と連携しながらケアしなければなりません。チームで関わるからこそ感じられるやりがいもあるでしょう。
急性期から回復期までを経験できる
循環器病棟では、心筋梗塞を発症して救急搬送された患者さまや、経カテーテル大動脈弁植え込み術を受けた患者さまを担当することがあります。
ここで働く看護師の魅力は、急性期から回復期に至るまで患者さまのケアを経験できることです。
急性期では、緊急の医療処置や集中的なケアが求められ、迅速かつ的確な対応が必要です。一方、回復期ではリハビリテーションや長期的なケアをおこない患者さまの回復を支え、日常生活への復帰をサポートします。
たとえば、心筋梗塞で急遽入院になった患者さまが、治療やリハビリテーションを頑張られて、笑顔で退院されていく姿を見られると、看護師として非常にうれしい気持ちがこみあげてくるものです。
このように、循環器病棟の看護師は急性期から回復期まで経験できる場合もあるため、やりがいを実感できるでしょう。
循環器病棟における看護師が難しいとされる理由
循環器病棟で働くメリットとやりがいがある一方で「難しい」や「大変」と言われることもあります。その3つの理由をくわしく解説します。
- 急な心停止・急変が多い
- 患者さまを介助する機会が多い
- アラーム音を聞くストレスが高い
循環器病棟に転職した後に「転職しなきゃよかった…」と後悔しないように、これらの理由も知っておきましょう。
急な心停止・急変が多い
循環器病棟に入院している患者さまは、主に心臓の病気を抱えているため急な心停止や急変が多い傾向です。
例えば、心筋梗塞や不整脈などが原因で、突然心停止を起こすケースがあります。急な心停止の場面では、CPR(心肺蘇生法)の実施や除細動器の操作、薬物投与などの応急処置が必要です。
「また急変するかもしれない」「急変したときにうまく動けない」と感じながら働くことは大きな負担と言えるでしょう。
患者さまを介助する機会が多い
循環器病棟の看護師にとって、患者さまの介助が多いことは身体的・精神的な負担を感じやすいでしょう。
とくに、患者さまは手術後に安静が必要です。医師の許可が降りるまでは、排泄の介助や体位変換などを実施しなければなりません。
さらに、安静が解除になっても、手術後の痛みや倦怠感などから患者さまは手術前のようにスムーズに動けない場合があります。
このように様々な場面で患者さまを介助する負担があるため、循環器病棟の看護師は大変と言われるのかもしれません。
アラーム音を聞くストレスが高い
ナースステーションには、心電図の波形を映し出すモニターがあります。
心電図のアラームは、患者さまに致死的な不整脈があらわれた場合だけではなく、心電図の装置が外れたり、患者さまが歯磨きをする際にノイズが発生したりすることでも鳴ります。
患者さまの入院状況によっては、沢山のモニターが並ぶため、常時どこかのアラーム音が聞こえることもあります。
とくに、新人の看護師や循環器病棟に異動したばかりの看護師にとっては、この心電図のアラームがストレスになることもあるでしょう。
循環器病棟の看護師に関するよくある質問
最後に、循環器病棟の看護師に関するよくある質問に回答しました。
Q1:循環器病棟で働く看護師はどんな性格が向いていますか?
循環器病棟で働く看護師に向いている性格は、以下のとおりです。
- 忍耐強い
- 注意深い
- 責任感が強い
- 協調性がある
循環器病棟は、急変の対応をしたり緊急入院を受け入れたりすることが多く「忙しい病棟」と言われることがあります。
そのため、上記4つの性格の看護師が循環器病棟に向いているでしょう。
Q2:循環器病棟の看護師で働きたいときの志望動機は?
循環器病棟の看護師を志望する理由はさまざまですが、その中でも重要な動機をいくつか挙げます。
- 循環器系の病気の予防や管理
- 循環器の専門知識を深めることへの関心
- 心臓や血管に関わる疾患や治療法への興味
- 慢性心不全認定看護師の資格の取得
こういった志望動機がある看護師が、循環器病棟を希望する傾向です。
Q3:循環器ナースの強みは?
循環器病棟の看護師には数多くの強みがあります。
- 全身の状態をアセスメントできる
- 心電図モニターを解釈できる
- 循環器特有の疾患の知識がある
- 患者さまやご家族に病態を分かりやすく説明できる
これらの強みを活かして、循環器病棟の看護師は患者さまにケアを提供しています。
まとめ
循環器病棟には心筋梗塞や心不全、不整脈などといった病気を抱えた患者さまが入院しています。
短期間で多くの経験を積みたい人や臨機応変な対応ができる人が、循環器病棟の看護師に向いているといえます。そこでは、心電図の読み取り、手術や検査前後の観察、医療機器の取り扱いなど循環器病棟ならではのスキルを身につけられるでしょう。
ただし、心臓の病気が対象であり急変のリスクが高いため、循環器病棟の看護師として働くことは難しいと感じる場面もあります。
転職するときに後悔しないように、ぜひこの記事を参考にしてくださると幸いです。
参考サイト・文献
保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)|e-GOV法令検索
Patterns of Co-Occurrence of Chronic Disease Among Older Adults in Tokyo, Japan
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