看護師で夜勤ありの年収は約508万円!夜勤手当や夜勤専従の実態を解説

公開日:2024/05/02 更新日:2024/11/15
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「看護師の給与は高い」といわれますが、その理由の1つが夜勤手当です。

看護師は、夜勤をすることで手当が加算されるため年収が高くなります。

しかし、夜勤をしている看護師の年収がどれくらいなのか、夜勤手当がどのくらい給与に反映されているのか、知っている看護師の方は少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、看護師の夜勤手当の実態についてくわしく解説します。最後までお読みいただくと、夜勤手当の相場やさらに高収入を得るための方法がわかります。ぜひご覧ください。

看護師の夜勤ありの年収は508万1,700円

厚生労働省の統計によると、夜勤をしている看護師の平均年収は508万1,700円です。内訳は以下のとおりです。

内訳給与
きまって支給する現金給与額 (うち所定内給与額)月35万2,100円 月31万9,300円
年間賞与、その他特別給与額年85万6,500円
合計(平均年収)508万1,700円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)|厚生労働省

きまって支給される現金給与額と所定内給与額の差を「所定外給与額」といい、深夜手当や残業手当、時間外手当などが含まれます。

その所定外給与額が月3万2,800円であるため、看護師の方は諸手当で年間39万3,600円が支給されます。そのため、看護師の年収は夜勤手当や残業手当などが大きく影響しているといえるでしょう。

また、保健師や准看護師、助産師などの年収と看護職の年収を比較しました。

職種年収
看護師508万1,700円
助産師566万9,500円
保健師451万500円
准看護師407万1,100円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)|厚生労働省

助産師がもっとも高い年収であり、看護師との年収の差は約58万円です。また、保健師の年収が看護師や助産師より低いのは、夜勤がなく手当が加算されないことが要因のひとつでしょう。

看護師の夜勤手当の平均は?         

夜勤手当は、2交代制もしくは、3交代制によって手当の金額が異なります。2023年の日本看護協会の調査によると、いずれの勤務形態でも手当額は増加傾向です。

2交代制と3交代制(準夜勤、深夜勤)それぞれの平均手当を、同調査をもとに紹介します。

2交代制の夜勤|夜勤手当は11,286円

2023年の2交代制の夜勤手当の平均は1回あたり11,368円です。2020年の日本看護協会の調査では11,286円であったため、82円の増額です。

2交代制の夜勤は、例えば15:00~翌日9:00まで長い時間の勤務であるため、その分高い手当が得られます。同調査によると、夜勤がある病院のうち75.7%の病棟で16時間以上の2交代制を導入しています。

このことから、2交代制の夜勤は長時間の勤務になることがほとんどであるため、多くの手当を受けられるでしょう。

3交代制の準夜勤|準夜手当は4,154円

2023年の3交代制の準夜勤の手当は平均4,234円で、2020年の4,154円より80円増えています。

準夜勤では割増対象の時間が深夜勤と比べて少なく、2交代制より勤務時間も短いため、手当額が低い傾向です。

割増対象とは、深夜に働く22時〜5時までと労働基準法で定められています。

3交代制の深夜勤|深夜勤手当は5,122円

先述した資料によると、2023年の3交代制の深夜勤の平均手当は5,199円です。2020年の5,122円と比べると75円の増額です。

深夜勤では2交代制の夜勤より短い時間であるものの、割増対象の時間が準夜勤よりも多いといえます。

そのため、準夜勤より多くの手当を得られるでしょう。

労働基準法で決められている看護師の深夜手当は?

深夜手当について「労働者が22時〜5時の間に働く場合、通常勤務の25%増しの賃金を支払う義務がある」と労働基準法で定められています。

法律で定められている内容を、紐解いてみます。

今回は以下の例で、労働基準法に沿った手当を準夜勤と深夜勤にわけて算出しました。

勤務時間・日勤:8時~17時 ・準夜勤:16時半~翌0時半 ・深夜勤:0時~8時半
基本給24万円
月間労働時間160時間
時給換算24万円÷160時間=時給1500円

準夜勤の手当

上記の例の場合、準夜勤1回あたりの手当は約937円です。計算方法は以下をご参照ください。

①割増対象時間:22時~0時半の2.5時間 ②1時間あたりの割増額:時給1500円×0.25(25%)=375円 ③準夜勤1回あたりの手当:375円×2.5時間=約937円

深夜勤の手当

準夜勤と同様に計算すると、深夜勤1回あたりの手当は1,875円です。

①割増対象時間:0時~5時の5時間 ②1時間あたりの割増額:時給1500円×0.25(25%)=375円 ③準夜勤1回あたりの手当:375円×5時間=1,875円

準夜勤と比べて割増対象時間が長いため、手当も準夜勤より多いです。

ただし、あくまでもこちらは一例です。夜勤のある病院の多くは、割増賃金以外に定額の夜勤手当を支給しているため、算出した手当よりも多くの手当を得られることがほとんどです。

今回算出した手当額は、法律によって最低限保証される金額であることを知っておきましょう。

看護師の夜勤専従の年収は

看護師の夜勤専従は、より高い収入を得られる傾向です。本項では夜勤専従の正社員とアルバイトの年収をそれぞれ算出しています。

夜勤専従の正社員の年収

夜勤専従の正社員の場合、平均年収は510万6,924円です。

条件や使用する金額は以下をご参照ください。

条件
・勤務形態:2交代勤務(16時間労働) ・労働時間:月144時間(16時間の夜勤を月9回)
計算に使用する金額
①所定内給与(月額):31万9,300円 ②夜勤手当:1回3,878円(1時間554円)※時給:31万9,300円÷144時間=2,217円で計算 ③賞与:年間85万6,500円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)|厚生労働省

日本看護協会は「夜勤専従者の負担軽減のため夜勤時間数の上限は月144時間以内を推奨」としています。

そのため、夜勤専従の正社員の労働時間を月144時間と設定しました。

年収の計算方法は、以下のとおりです。

(1)①+(②×9回=3万4,902円)=35万4,202円 (2)((1)×12か月)+③=510万6,924円

夜勤手当の算出は、労働基準法にもとづいて計算した割増賃金のみです。夜勤のある病院の多くは、割増賃金とは別に定額の手当を支給したり、割増賃金を含めた夜勤手当を支給したりしています。

そのため、今回算出された額よりも多くの年収を得られるでしょう。

夜勤専従のバイトの年収

夜勤専従のバイトの年収は、週1回(月4回)2交代制の夜勤をした場合、148万6,512円です。

夜勤専従のアルバイトの多くは、賞与がないため計算に含まれていません。

また夜勤に限らず、看護師のアルバイトは時給制か日給制であることがほとんどです。

そのため、今回は「看護師の短時間勤務の平均時給」をもとに年収を算出しました。

条件や計算に使用する金額は以下をご参照ください。

条件
・勤務形態:2交代勤務(16時間労働、1時間休憩、実働15時間) ・労働時間:週1回(月4回)
計算に使用する金額
①看護師の短時間勤務の平均時給:1,849円 ②夜勤手当:1回3,234円(1時間462円)

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査(短時間労働者 職種 第1表)|厚生労働省

計算方法は以下のとおりです。

(1)(①×15時間×月4回=11万940円)+(②×月4回=1万2,936円)=12万3,876円/月 (2)(1)×12か月=148万6,512円

看護師の夜勤専従のアルバイトは、平均よりも高い水準にあるため、年収額も高い傾向といえるでしょう。

また、夜勤専従のアルバイトは求人数も多いので、病院や施設、有床クリニックなど幅広い職場から選ぶことができるのも魅力の一つです。

看護師の夜勤専従で高収入を得る方法

看護師の夜勤専従は一般的な看護師の年収よりも高い額を得られます。今回はさらに高収入を手にする方法をご紹介します。その方法は以下のとおりです。

  • 夜勤に多く入る
  • 夜勤手当が高いところに転職する
  • 基本給や賞与が高いところに転職する
  • 夜勤専従で非常勤の仕事と掛け持ちする

それぞれくわしく解説します。

夜勤に多く入る

夜勤回数を多くすることで、収入アップが見込めます。

「夜勤に多く入っても法律に違反しないの?」と不安を感じている看護師の方もいるでしょう。

労働基準法では夜勤の回数の制限はありません。夜勤回数が増えれば夜勤手当や深夜割増賃金を得られるため、多くの収入を得られるでしょう。

ただし、日本看護協会は夜勤専従者の負担軽減のために、月あたり144時間以内の夜勤時間が望ましいとしています。

というのも、夜勤はからだやこころの負担が大きく、夜勤に入りすぎて体調を崩す看護師の方が少なくないためです。

そのため、月144時間の夜勤時間を守ることが大切であり、2交代の場合では16時間の夜勤を月9回までが限度といえるでしょう。

夜勤手当が高いところに転職する

夜勤手当を多く支給している病院や施設への転職は、高い収入を得られる可能性があります。

たとえば基本給や賞与、夜勤回数が同じ水準で夜勤手当が増えれば、年収アップが期待できるでしょう。

2交代制の平均夜勤手当:11,368円 3交代制の準夜勤の平均手当:4,234円 3交代制の深夜勤の平均手当:5,199円

参照:2023年病院看護実態調査報告書|日本看護協会

この夜勤手当の平均額を参考に病院や施設の転職をすれば、平均以上の手当を得られます。

また、夜勤をおこなった回数に応じて、さらに手当が支給される病院もあります。つまり、夜勤回数が多ければその分上乗せで手当がもらえるのです。

そのような制度が設けられている場合、さらなる年収アップできるでしょう。

基本給や賞与が高いところに転職する

基本給や賞与が高いところに就職することで、高い年収を得られます。

たとえば基本給が1万円増額するだけで年間12万円、つまり年収額が12万円増えます。

賞与についても同じことがいえます。

そのため、転職をするときの比較対象として基本給や賞与がどれほど増えるのかを確認することが大切です。

夜勤専従で非常勤の仕事と掛け持ちする

たとえば、夜勤専従と非常勤の仕事を掛け持ちすることで、多くの収入を得ることができます。

ただし、病院や施設によってはダブルワークが禁止されている場合もあります。勤務する病院や施設の労働規定を確認してから、掛け持ちを検討しましょう。

看護師の夜勤がつらい7つの理由

看護師の夜勤は高い収入が得られる一方で、「つらい」といわれる理由があります。それは以下のとおりです。

  1. 体調管理が難しい
  2. 看護師が少ないから業務の負担が大きい
  3. 夜勤は拘束時間が長い
  4. 生活のリズムが乱れやすい
  5. 体調が悪くても休みにくい
  6. 家族や友人と予定が合わない
  7. 転職しにくくなることがある

それぞれくわしく解説します。

1.体調管理が難しい

夜勤がつづくことで体調管理が難しくなります。その理由は以下のとおりです。

  • 体内時計がくずれ睡眠の質が低下しやすい
  • 疲労が回復しにくい
  • 規則的に食事をすることが難しい
  • 夜勤中の休憩時間が短く、休息が十分にとれない
  • 長時間の勤務や業務量の多さにより、ストレスがたまりやすい

夜勤ではこのように身体的・精神的な負担が増えるため、体調管理が難しいといえるでしょう。

2.看護師が少ないから業務の負担が大きい

夜勤では、1人の看護師が受け持つ患者数が増えるため、看護師それぞれの業務の負担が大きくなりやすいです。

多くの病院では、夜勤は少数の看護師で患者さまの対応をします。業務量の増加にくわえて、緊急時の対応や重症度の高い患者さまのケアも求められるため、精神的な負担も大きくなりがちです。

このように、夜勤は身体的にも精神的にも看護師の負担が大きくなることから「つらい」と感じる看護師が多い傾向です。

3.夜勤は拘束時間が長い

2交代制の場合、多くの病院で16時間以上の夜勤勤務をしています。

日本看護協会の調査によると、夜勤がある病院のうち2交代制を導入している病棟が70%を超え、そのうちの大半が16時間以上の勤務です。

長時間勤務による疲労やストレスから、からだもこころも休まらず「つらい」と感じる看護師がいます。

4.生活のリズムが乱れやすい

夜勤がつづくことで、結果的に生活のリズムの乱れにつながりやすいです。

人間のからだにはいわゆる「体内時計」が備わっています。このリズムにあわせて睡眠や体温調節、ホルモンの分泌などが調整されます。

夜勤が続くことで体内時計が崩れ、食事時間や趣味の時間などが確保できなかったり十分な睡眠がとれなかったりと、日常生活の乱れにつながりやすいです。

5.体調が悪くても休みにくい

夜勤の看護師の人数が限られているため、体調が悪くても休みづらいと感じる看護師がいます。

看護師1人が休むとその分1人あたりの業務量が増えてしまいます。

そのため、「同僚に申し訳ない」という気持ちがうまれやすく「休みにくい」と看護師は思いやすいのです。

6.家族や友人と予定が合わない

夜勤がつづくと、働く人の大半と違う生活リズムで過ごすことになり、家族や友人と予定が合わせづらくなります。

プライベート時間が充実していないと、リフレッシュできずメンタルヘルスに影響をおよぼしかねません。

そのため、仕事とプライベートのバランスが保てず、心身ともにつらい思いをする看護師が多いです。

7.転職しにくくなることがある

看護師の採用の選考基準として「夜勤ができるかどうか」を重視する病院もあります。

そのため、夜勤がつらくて転職したい場合は限られた中から転職先を探さなければなりません。

こうしたことから、夜勤がつらくて転職を検討する場合、夜勤の可否が転職活動に影響をおよぼす可能性があります。

まとめ

看護師の夜勤ありの年収は508万1,700円です。

そのうち所定外給与の額が占める割合が多いことから、夜勤手当や残業手当などが看護師の年収に大きく影響していることがわかります。

夜勤手当の相場はどの勤務形態でも増加傾向であり、より多くの収入を得たい場合は夜勤回数を増やしたり、夜勤専従になったりするのも方法のひとつでしょう。

しかし、長時間の夜勤勤務は疲労やストレスがたまりやすく、健康面での問題も起こりやすいです。精神的な負担も大きくなるため、心身ともに休まりにくいことが課題といえます。

まずは自分の勤務する病院や施設の夜勤手当額が、平均と比べてどうか確認してみましょう。

平均以下であった場合、手当がより多くもらえる病院や施設に就職することで夜勤回数を増やさずに収入を増やすことができます。

より多くの収入を得たいという看護師の方は、転職先を夜勤手当で比較することもポイントになるでしょう。

参考文献・サイト

令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)|厚生労働省

看護職の給与に関するデータ|日本看護協会

2023年病院看護実態調査報告書|日本看護協会

労働基準法 第三十七条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)|e-Gov法令検索 

夜勤専従者の「過重負担」を防ぎましょう!|日本看護協会 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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