手術室看護師に向いている人とは?オペナースの仕事内容や向いていない人の特徴も解説
手術室看護師と聞くと、執刀医のサポートや患者さまの全身管理などをおこない、かっこいいイメージが浮かびます。一方で、膨大な知識量を必要とされ、立ち続けるイメージもあるためか身体的にも大変そうだと思う方もいるでしょう。
今回は手術室看護師とはどのような看護師なのか、また手術室看護師に向いている人とはどのような人なのか、いわゆるオペナースの仕事内容について解説します。
また向いていない人の特徴についても解説するので、転職を考えている方はぜひご覧みてください。
手術室看護師とは?
手術室看護師は、周手術期と呼ばれる術前・術中・術後において患者さまが安全安楽に手術を受けられるようにサポートし、手術が円滑に進行するように介助をする看護師を指します。
円滑にオペが進行できるように、患者さまへ知識を提供する役割もあります。さらに手術を受ける患者さまだけでなく、患者さまのご家族の援護者や代弁者としての役割も担っているのも特徴です。
オペナースと言うと、手術時に医師の介助をしている看護師と考える方もいます。しかし実際は、術前から術後まで多くの役割を担っているのが手術室看護師なのです。
参照:日本手術医学会「「手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)」の出版にあたってp.S61」
手術室看護師の仕事内容
手術室看護師の仕事内容は大きく「外回り」と「器械出し」の2つの役割に分けられます。
それぞれに分けて仕事内容を解説していきます。
外回りの看護師の仕事
術前には患者さまの病室へ訪問して、オペの説明やアセスメントをします。術後には入院病棟への申し送りや術後訪問をすることも、外回り看護師の役目です。
主に、器械出し以外の業務全般を担うのが外回り看護師といっても良いでしょう。
それぞれ実際の流れごとに細かく解説していきます。
術前の患者さまとそのご家族への手術の説明・アセスメント
手術前に、手術を受けられる患者さまとそのご家族へ手術の説明(オリエンテーション)を行うのが、外回り看護師の1つの業務です。
患者さまとご家族の不安や疑問点などを解消できるように話を伺いながら、患者さまの状態について把握し、術中や術後に考えられるリスクについてもアセスメントを行います。
手術当日には、手術室へ患者さまを受け入れる業務も外回り看護師が行います。
手術室の環境づくりや麻酔のサポート
外回り看護師は、手術室の温度調整や医療機器の準備などの環境づくりも行います。
また麻酔導入時における麻酔科医の介助や、薬剤、モニターの確認などのサポートもします。
器械のモニタリングや術中の記録
外回り看護師は、器械出しの看護師と執刀医が目を配りにくい点について観察し、未然に事故やトラブルを防ぎます。例えば出血量の確認や全身状態の確認、器械のモニタリングなどを指します。
また全体を観察しながら、術中の記録を行うのも外回り看護師の役目の1つです。
手術後の患者さまを病棟看護師へ送り出す
手術が終了したら、術後の患者さまを受け入れる病棟への送り出しと、適切な申し送りを行います。
また術後の経過観察のために、適宜患者さまの病室へ訪問します。
器械出し看護師の仕事
器械出し看護師は、主に執刀医に器械出しを行う看護師を指します。
器械出し看護師の業務についてもそれぞれみていきましょう。
手術に必要な器械や物品の事前準備
術前には、手術で必要な器械や物品の準備を行います。
手術ごとに必要な器械は異なるため、術式や手術部位に対応した器械を準備する必要があります。
必要な器械を執刀医に渡す
オペの状況や術式などから、必要な器械を先回りして考えつつ的確に執刀医に渡します。
解剖学に関する十分な知識から疾患、術式に関する十分な知識が求められる役割です。
手術室看護師に向いている人の特徴4選
次に手術室看護師に向いている人の特徴を4選紹介していきます。
向いている人の特徴として挙げられるのは、下記の4つです。
- 専門性を高めたいと考えている人
- チームで連携をとりながら働きたい人
- 体力・精神面ともにタフな人
- 先々を考えて状況判断をしながら動くことが得意な人
それぞれ解説していきます。
専門性を高めたいと考えている人
手術室看護師は、前述のように解剖学や術式、疾患などさまざまな知識を必要とする仕事です。
複数の診療科のオペ介助に入るため、働きながら幅広い知識を身につけられます。
学び続けることが苦ではなく、医療者として専門的な知識を高めていきたいと考えている方には向いている仕事といえるでしょう。
チームで連携をとりながら働きたい人
手術室看護師は、術前から術後まで、多職種や患者さま、ご家族とコミュニケーションを取る必要があります。
適切に連携をして、チーム医療の一員として働くやりがいを感じたいと考える方には向いている仕事です。
体力・精神面ともにタフな人
手術室の看護師は、外回りなら動き回り、器械出しの看護師なら立ちっぱなしのため、十分な体力が必要です。
また患者さまの周手術期に関わるという点から、医療者や患者さま、そのご家族から受けるプレッシャーも強く、精神的にもタフである必要があるでしょう。
自分自身は体力・精神面ともにタフだと感じている看護師の方には向いている仕事といえます。
ただし、体力や精神力に自信がなくても、働いていく中で身についていく場合もあるため大きく心配する必要はありません。
先々を考えて状況判断をしながら動くことが得意な人
外回りの看護師と器械出しの看護師ともに、先々を考えて冷静に状況判断をしながら動く必要があります。
もちろん病棟看護師でも必要なスキルではあるものの、手術室看護師には、状況判断の力がさらに求められます。
病棟で働きながら、先回りして動くのが得意と感じている方には手術室看護師が向いていると考えられるでしょう。
手術室看護師に向いていない人の特徴3選
手術室看護師に向いていない人の特徴は下記の3つです。
- 夜勤帯での勤務をしたい人
- 患者さまとのコミュニケーションを大切にしている人
- 幅広い範囲の勉強が得意ではない人
ただし当てはまるからといって必ずしも働けないとは限りません。働く中で適性が生まれる場合もあるため、参考程度にご覧ください。
夜勤帯での勤務をしたい人
手術室看護師は日勤帯での勤務を基本としており、オペによっては早めに出勤して準備が必要な場合もあります。
看護師の方の中には、早起きや日勤続きがあまり得意ではなく、夜勤帯での勤務の方が楽だと考える方もいるでしょう。
緊急オペなどで夜間帯に手術があるケースもありますが、基本の勤務は日勤帯のみのところが多いです。そのため夜勤帯での勤務をしたい方には向いていないでしょう。ただし、多くはないものの夜勤業務のある手術室もあるため、そのような職場を探してみるのも1つの手です。
患者さまとのコミュニケーションを大切にしている人
前述のように、外回り看護師の場合は術前術後の患者さまへのオリエンテーションなどで関わることは可能です。
ただし病棟のように毎日コミュニケーションをとるのは難しいでしょう。
看護師として働く上で、患者さまの意思を傾聴し、対話を大切にしている方は、手術室の看護師は物足りなさを感じるかもしれません。
幅広い範囲の勉強が得意ではない人
病棟看護師の場合は、消化器病棟なら消化器に関する疾患、循環器病棟なら循環器疾患に関する疾患など、ある程度範囲を絞って学習することも少なくありません。
ただしオペナースの場合、幅広い診療科の手術に対応するため、全身の解剖生理や疾患について幅広く詳しく学んでいく必要があります。
オペまでに知識を蓄えておく必要があるため、幅広い範囲の勉強を行うことが得意ではない方は、あまり手術室看護師に向いていないでしょう。
手術室看護師の魅力
ここまで手術室看護師に向いている人と向いていない人の特徴を解説しました。
手術室看護師として働く中で、感じられる魅力について解説していきます。
オペを終えた後の達成感を感じられる
手術室看護師は短時間の手術だけでなく、十数時間に及ぶ長時間の手術にも携わることがあります。
手術の介助は心身ともに疲労が大きいからこそ、手術を終えた後には大きな達成感を感じるでしょう。
このオペ後の達成感は、病棟看護師では感じられない特殊な魅力と言えるのではないでしょうか。
患者さまの変化を観察できる
外回り看護師の場合、術前の訪問はもちろん術後の訪問も行います。そのためオペによって大きく回復し、変化する患者さまの様子を観察できるのも魅力の一つと言えるでしょう。
また目視できる変化だけではなく、検査値や画像診断のデータなどの数値や画像的な変化を観察できることも、解剖生理や疾患についてよく学んでいる看護師としては、非常に学びになるでしょう。
手術室看護師の年収
手術室看護師は病棟看護師と異なり基本的に夜勤がないところも多く、日勤のみの手術室が一般的と前述しました。そのため実際の給料が気になるという方も多いでしょう。
手術室看護師の年収は下記が平均値とされています。
※正看護師・正社員の場合
・年収400〜500万円程度、月収30万〜35万円程度
緊急オペなどのオンコール対応や賞与によって給料が前後することはあるものの、基本的には上記の給料の範囲である職場が多いです。
他にも病院によって異なりますが、手術室手当や待機手当などさまざまな手当がついている職場もあり、上記の給料よりも上回る場合もあります。
手術室看護師は幅広い医療の知識を深めたい看護師に向いている仕事!
ここまで手術室看護師とはどのような看護師なのか、手術室看護師に向いている人や向いていない人の特徴、気になる年収まで解説しました。
手術室看護師は全身の解剖生理や疾患に関する幅広い知識が必要であり、日々多くの分野を勉強し続ける仕事です。
看護師としてのキャリアを歩む中で、幅広い医療の知識を深めていきたい方には向いている仕事といえるでしょう。
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