看護師の給料は安い?割に合わない理由7つと給料アップするコツを解説
「仕事量は多いのに、給料は安すぎる」「看護師で給料アップできるコツはないの?」
看護師として働いていると、一度は感じたことがある悩みかもしれません。看護師の仕事は体力的にも精神的にもつらいため、仕事量に合った給料が欲しくなりますよね。
この記事では、看護師の給料を安く感じる理由や給料アップにつながるコツについて紹介します。
給料が安いと感じ、もっと給料アップしたい看護師の方は参考にしてみてください。
看護師の給料は安いと感じるのはなぜ?ほかの職種と比較
看護師の方で、給料が安いと感じている方はいませんか?
看護師の給料はほかの職種に比べると決して安くはありません。ほかの職種の給料と比べたときの看護師の給料の実態をみていきましょう。
ほかの医療福祉の職種と比較
医療福祉の職種のなかで最も給料が高いのは、医師で平均給料は109万6,100円です。次いで、薬剤師41万4,600円、助産師39万8,700円、放射線技師36万8,700円と続きます。
看護師の平均の給料は35万1,600円であるため、医療福祉の職種のなかでは給料が低めかもしれません。
ただし、病院の規模や手当、夜勤回数によって看護師の給料は変わります。ほかの職種との比較は参考程度にしておきましょう。
全職種と比較
全職種の平均の給料は31万1,800円です。
全職種と看護師の給料を比べると、看護師の給料は高い傾向であるといえるでしょう。
看護師の給料が割に合わないと感じる7つの理由
看護師の給料が割に合わないと感じる理由として、以下の7つがあります。
- 業務内容がハードで身体的な負担が大きい
- プレッシャーや責任が重く精神的な負担が大きい
- 拘束時間が長い
- 休日に勉強しなければならない
- 危険手当がつかない
- 時間外勤務手当がつかない
- 昇給率が低い
全職種と比べると、看護師の給料は高い傾向です。そのなかで、給料が割に合わないと感じる看護師がいる理由について、くわしくみていきましょう。
業務内容がハードで身体的な負担が大きい
看護師の業務はハードで身体的な負担が大きいです。
勤務中は、基本的に立ち続け、動き回ることも多いです。看護師は患者さまのバイタルサインの記録のほかに、下記のような介助やケアもおこなっています。
- 入浴の介助
- 移乗の介助
- 食事の介助
- 体位変換
ときには、急変した患者さまの対応も求められます。
さらに、夜勤による不規則な生活リズムや心身の疲れから、体調を崩す方も少なくありません。こういった状況であるため「給料が見合っていない」と感じる看護師が多くなるのかもしれません。
プレッシャーや責任が重く精神的な負担が大きい
看護師の小さなミスが、患者さまの命の危険につながる可能性があります。
そのため、一つひとつの仕事に対し、責任とプレッシャーがともないます。なかには、仕事が終わった後も、自分の仕事に対して「ミスはなかっただろうか」「点滴はちゃんと投与できただろうか」などの不安を感じる方もいるでしょう。
患者さまの命を預かるというプレッシャーに耐えきれず、離職を検討する看護師の方も多いです。実際に、日本医療労働組合連合会が行った調査では、「仕事を辞めたい」と回答した看護師の割合は75%でした。
この結果から、看護師として働く方々にとって業務の負担が大きいといえます。
看護師の方は、身体的な負担だけでなく精神面にも負担が大きくなるため、給料に見返りを求めるのかもしれません。
拘束時間が長い
看護師には夜勤があり、2交替の勤務であると勤務時間は17時間を超えます。
なぜなら、夜勤後に残業するケースや、所定の出勤時間よりも早く職場に行き情報収集するケースがあるためです。
さらに、患者さまの状態や緊急入院の受け入れ状況によっては、仮眠がとれない日もあるでしょう。
夜勤のときは、拘束時間が17時間を超えるケースもあるため、この拘束時間の長さが給料に不満を感じるきっかけになります。
休日に勉強しなければならない
職場によっては、休日や仕事終わりに勉強会への参加を求められるところもあります。
というのも、患者さまの安全を守るためにも、看護師の方は常に新しい知識を学び続けなければならないためです。
「勤務が終わったら仕事のことを忘れたい」「疲れきったから休みの日はゆっくりしたい」と考える看護師の方にとっては、勉強することを求められる状況はストレスでしょう。
仕事から離れられない日々が続くことが、給料が見合っていないと感じる要因といえます。
危険手当がつかない
看護師は感染リスクがあるにもかかわらず、危険手当が支給される診療科は限られています。
排泄物や嘔吐物、血液など感染する恐れがある物を取り扱っているのに見合った給料がもらえないことについて、疑問を感じている看護師の方も多いでしょう。
さらに、看護師の方は患者さまから暴力や暴言、脅迫、セクシャルハラスメントを受ける可能性もあります。近年の患者さまへのニーズや医療提供体制の変化から、暴力の発生件数は増加傾向です。日本看護協会でも、職場での暴力対策への取り組みの必要性が述べられています。
このようなリスクのあるところで働いているため、リスクの割に給料が低いと感じるのかもしれません。
時間外勤務手当がつかない
勤務時間内に終わらず、サービス残業をするところもあるようです。
法律上では残業代の申請ができますが、職場によってはサービス残業が当たり前になっているところもあります。
なかには、看護師長の認可が下りにくく申請できなかったり、ほかの看護師が申請していないため申請しづらかったりすることもあるでしょう。
さらに、看護師の方は患者さまの情報収集のために、前残業をする看護師の方が多い現状です。ただし、前残業に対して給料がもらえることはほとんどありません。
実際に働いている時間を考えると、もらえる給料よりが低くなるため不満を感じる看護師の方もいます。
昇給率が低い
看護師の給料は上がりにくい傾向があります。
20代前半では、全職種の平均給料よりも看護師の給料は高いですが、30代後半〜50代後半になると全職種の平均よりも低くなるためです。
ほかの職種の知人が昇給していく一方で、なかなか昇給しない給料に不満を感じている看護師の方がいます。
【設置主体別】看護師の給料の実態とは?
看護師の給料は、病院の設置主体によって異なります。実際に、どのくらい給与に違いがあるのか気になる方も多いでしょう。
病院の設置主体別による、看護師の給料の違いをそれぞれみていきましょう。
国立の看護師の給料は安い?
国立の病院とは、独立行政法人国立病院機構や国立大学法人などを指します。日本看護協会によると、勤続10年の看護師の税込給料の平均値は、34万1,930円です。
国立病院機構は「独立行政法人国立病院機構職員給与規定」にて定められており、地域手当以外の金額は全国の国立病院機構で変わりません。
国立病院機構は、ほかの病院やクリニックよりも給料が高い傾向であり、看護師の職場のなかでも高収入を狙える職場といえるでしょう。
ボーナスも4.1〜4.2か月分支給されるだけでなく、業績が良い病院だと年度末のボーナスが出る場合もあります。福利厚生は国家公務員に準じており、昇給も期待できます。
私立大学病院や社会福祉法人の看護師の給料は安い?
先述した資料によると、私立大学法人や社会福祉法人などの場合、看護師の平均給料は、33万4,350円です。
私立大学病院の場合では法人によって待遇が変わるため、勤める病院によって給料は異なります。
大学病院の多くは高度・先端医療を担う「特定機能病院」です。重症度や難易度の高い治療や手術もおこない診療報酬が高くなることから、看護師の方の給料も高くなります。
大学病院のボーナスは、ほかの病院やクリニックよりも高い点も魅力の1つです。1.5〜2倍になる場合もあり、ボーナスが高いことを理由に大学病院を選ぶ看護師の方もいます。
厚生連や日本赤十字社の看護師の給料は安い?
先述した資料によると、設置主体が公的医療機関の場合、看護師の平均給料は、34万2,620円です。
国立病院や私立大学病院に比べると低いです。
ただし、厚生連に所属する病院は全国に設置されており、給料やボーナスは以下の項目により異なります。
- 所在地
- 病床数
- 経験年数
- 年齢
- 学歴
そのため、厚生連の病院によっては国立病院や大学病院と同じくらいの給料になる場合もあります。
訪問看護師の給料は安い?
日本看護協会が公開している「2021年看護職員実態調査」によると、訪問看護師の平均の給料は36万7,775円です。
訪問看護師は、夜勤がないことから夜勤手当はつきませんが、ワークライフバランスを整えやすいと感じる方も多いようです。
夜間の利用者さまの緊急連絡に対応できるように、オンコール体制をとっている事業所が多数あるため、オンコール手当がつきます。
また、在宅療養のニーズが高くなっていることから、訪問看護師の給料は、今後上がる可能性があります。
訪問看護師の給料については以下の記事に詳しく記載されているので、興味がある方は是非ご覧ください。
関連記事:訪問看護師の給料は高い?手取りや給料を上げる4つの方法を徹底解説
保育園の看護師の給料は安い?
保育園の看護師の給料は、運営している母体や雇用の形態によって金額に違いがあります。
厚生労働省が公開している「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、公立保育所で働く常勤看護職の平均給料は39万6,931円。私立保育所で働く常勤看護職の平均給料は34万142円です。
公立の保育園はそれぞれの地域の自治体が運営しており公務員扱いとなるため、私立の保育所よりも給料が高くなります。
常勤、もしくは非常勤により給料は異なり、その差は約10万円です。
看護師の給料をあげてほしい!給料アップするコツ
看護師の方の給料形態は、年功序列であるところが多く、長く働くにつれて給料は少しずつ上がります。ですが、看護師の方のなかには、早く給料アップしたい方もいるでしょう。効率よく給料アップを実現するためには、以下のコツを知っておいてください。
- 夜勤やオンコールを多く担当する
- 手当がもらえる部署に異動する
- 資格を取得してキャリアアップする
- 管理職を目指す
- 副業・ダブルワークに取り組む
- より良い条件のところに転職する
給料アップを達成するためには、どの方法が適切であるかは一人ひとり異なります。それぞれの方法を理解して、自分に合った方法で実践しましょう。
夜勤やオンコールを多く担当する
夜勤やオンコールには手当がつくため、回数を増やすほど給料アップが見込めます。
「夜勤やオンコールがなければ普通の会社員の給料とほとんど変わらない」「基本給や賞与はほかの企業より安い」といった声を聞いたことがある方もいるでしょう。それほど、夜勤手当は看護師の方の給料に大きく影響するといえます。
とはいえ、夜勤やオンコールが多くなるほど生活リズムが崩れる可能性が高くなることに注意しなければなりません。体調管理しながら、夜勤やオンコールの回数を調整しましょう。
手当がもらえる部署に異動する
病棟によっては、先述した特殊業務手当と呼ばれる手当が支給される可能性があります。
具体的には、精神科のほかに手術室や救急救命センターなどが当てはまります。なかには、重度の精神疾患をもつ患者さまから暴力行為を受ける可能性があるため、危険手当がつく職場もあります。
手当がつく分、給料は高くなりますが夜勤やオンコール体制が続く勤務形態だと、プライベートの時間が取りにくくなるかもしれません。
異動を検討する前に、勤務形態を知っておきましょう。
資格を取得してキャリアアップする
職場によっては専門の資格の取得によって資格手当が支給されることがあります。
資格手当がもらえ以下の資格は上司から評価されて、給料アップにつながる可能性があります。
- 専門看護師
- 認定看護師
- 認定看護管理者
資格の取得は給料アップが見込めるだけでなく、勉強することで自分のスキルアップにもつながるという点もメリットといえるでしょう。
ですが、病院によって資格手当がもらえる資格は異なります。給料アップを目的として資格を取るときは、あらかじめ資格手当について調べておきましょう。
管理職を目指す
看護師は役職が上がるほど給料も高くなる傾向があります。日本看護協会によると、看護主任や看護師長、看護部長の平均の給料は以下のとおりです。
役職 | 平均の給料 |
看護部長 | 42万7,573円 |
看護師長 | 37万0,949円 |
看護主任 | 32万7,143円 |
参照元:2012 年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査|日本看護協会
役職につくためには、同じ職場で働き続けることが必要です。給料アップのために管理職への昇進を目指すことも選択肢の1つといえます。
ただし、管理職になると病院のマネジメントが主な業務内容になるため、患者さまとかかわる時間が少なくなることに注意してください。
さらに、ほかの看護師をまとめる立場になるため責任が増えます。患者さまとの関わりよりも職場の環境づくりやスタッフの育成に興味がある看護師の方には、管理職を目指すことはおすすめの給料アップ方法といえるでしょう。
副業・ダブルワークに取り組む
今の職場での給料アップが見込めないときには、副業やダブルワークに取り組むこともおすすめです。
副業している看護師の方のなかには、医療とまったく関係のない仕事や、スキルを活かした仕事をする方もいます。
とはいえ、職場によっては副業やダブルワークが禁止されている可能性もあります。
取り組む前に必ず職場の規約を見ておくことが大切です。また、副業やダブルワークが可能であっても、本業をおろそかにしないようにしましょう。
体調管理もおこないつつ、本業と副業やダブルワークとのバランスをとることが重要です。
より良い条件のところに転職する
給料が高い職場へ転職することも給料アップにつながる手段の1つです。同じような働き方でも職場によって給料が変わることがあります。
転職先の1つとして、近年需要が高まっている訪問看護ステーションがおすすめです。訪問看護ステップは、基本的には平日の日勤が主であるため、ワークライフバランスが取りやすいというメリットがあります。
家族との時間をもっと増やしたいと感じている場合は、転職サイトを見て検討してみましょう。
看護師の給料は安いわけではない!割に合わないと感じたら転職しよう
ほかの職種と比べてみると、看護師の給料は必ずしも安いというわけではありません。
ただし、身体的な負担の大きさや拘束時間の長さ、休日にも勉強を求められることから、今の職場の給料に納得できない看護師の方も多いでしょう。
これまでとは異なる働き方を検討したいと感じたら、訪問看護に特化した「NsPaceCareer」を活用して転職することもおすすめです。
専任のアドバイザーからの助言をもらい、自分に合った新しい働き方を見つけていきましょう。
参考サイト・文献
2017 年 看護職員の労働実態調査結果(概要)|日本医療労働組合連合会
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。