看護師1年目でクリニックに転職できる?楽しい理由や転職の6つのコツ
「看護師1年目でクリニックに転職できるの?」「看護師1年目でクリニックに転職するコツを知りたい」
このように悩んだり心配になったりしていませんか。
クリニックでは、配置している看護師の数が少ないこともあり経験豊富な看護師を求めている場合が多いです。ただし、なかには未経験者歓迎のところもあります。
この記事では看護師1年目でクリニックに転職できるのか、また転職するコツなどを紹介します。転職1年目でクリニックに転職したいものの、現状や注意点などが分からず悩んでいるあなたの不安を解消できるきっかけになれれば幸いです。
(本記事で主に説明するクリニックは、無床クリニックを指します)
看護師1年目でクリニックに転職できる?
看護師1年目でもクリニックに転職できます。
ただし、クリニックの求人には「臨床経験◯◯年以上」「◯◯科での経験者を優遇」「新卒の看護師は不可」といった条件が記載されている場合もあります。
というのも、クリニックは少ない看護師で運営しているところがあり、看護師に求める経験や技術が高くなる傾向で実績を求められることがあるからです。
そのため、看護師1年目でクリニックに転職したい場合は「未経験者可」と記載されている求人に応募すると良いでしょう。
看護師1年目でのクリニックへの転職が楽しいと言われる理由
看護師1年目でのクリニックへの転職が「楽しい」と言われることもあります。ここでは、その理由を以下の3つ紹介します。
- 残業が少ない
- 介護ケアの負担が少ない
- ワークライフバランスを確保しやすい
それぞれの理由を詳しくみていきましょう。
残業が少ない
看護師1年目でクリニックに転職して楽しめる理由として「残業が少ない」ことが挙げられます。
ここで看護職員(看護師、助産師、保健師など)の1日の時間外労働時間について紹介します。
時間外労働時間 | 始業時間前 | 就業時間後 |
なし | 25.3% | 12.8% |
約15分 | 28.8% | 13.9% |
約30分 | 29.4% | 23.3% |
約45分 | 9.5% | 9.4% |
約60分 | 5.9% | 20.5% |
約90分 | 0.7% | 11,8% |
約120分以上 | 0.4% | 8.4% |
出典元:医療労働|日本医療労働組合連合会
看護師の方の多くが始業時間前と就業時間後に残業していることが分かります。というのも、病院で働く場合は、以下のような状況があり残業が多くなる傾向だからです。
- 緊急入院
- 患者さまの急変
- 重症な患者さまへのケア
- お看取りの対応
- 勉強会や研修会への参加
一方、クリニックで働くと、緊急入院に対応したり患者さまが急変したりする場面はあまりないため、残業が少なくなりやすいです。
たとえば、美容のクリニックは予約制であり、1日の患者さまの数がおおよそ決まっている場合があります。
クリニックで働くとストレスの軽減につながり、家族や趣味の時間を大切にできるため、楽しいと感じられるかもしれません。
ただし、クリニックによっては残業が多いところもあるため、求人情報の「平均の残業時間」を確認しましょう。
介護ケアの負担が少ない
病院で勤務する場合、看護師の方は重篤な患者さまや長期入院中の患者さまに対してケアをおこないます。このなかで、以下のような介護業務を担うケースがあります。
- 排泄介助(おむつ交換)
- 検査やリハビリへの移送(車いすやベッドへの移乗)
- 食事介助(見守りや介助)
これらに対して、クリニックの看護師の方は外来診療が主な業務であり、患者さまを介護する負担が軽減されます。
さらに、クリニックでは夜勤業務がないところがほとんどであり、これはメリットのひとつといえます。
そのため、病院での勤務と比べ、クリニックの勤務は身体的な負担が少なく、環境が整っているため、楽しいと感じられるでしょう。
ワークライフバランスを確保しやすい
クリニックに転職すると、ワークライフバランスを確保しやすいため「楽しい」と感じるのかもしれません。
一般的に、病院での勤務は夜勤の業務が避けられず、不規則な勤務になりやすいからです。
日本医療労働組合「2021年夜勤実態調査結果」によると、2交替制の平均夜勤回数は4.14回、3交替制の平均夜勤日数は7.62日とされています。いずれの勤務体制においても、多くの時間を夜勤にかかわる業務に費やしていることがわかります。
そんななか、クリニックでは日勤が中心で、勤務時間も規則的です。
そのため、家族との時間や趣味、自己研鑽のための時間を持ちやすくなります。プライベートの時間をしっかり確保できることで、心身のリフレッシュが図れ、仕事へのモチベーションも高まります。
ワークライフバランスを保ちながら働けることが、クリニック勤務の魅力と言えるでしょう。
看護師1年目でクリニックに転職する注意点
次に、看護師1年目でクリニックに転職する際の注意点を紹介します。
- スキルアップしにくい
- 急な休みを取りにくい
- 年収が下がりやすい
- 人間関係に悩まされることがある
それぞれのポイントを押さえて、転職する際に役立ててくださいね。
スキルアップしにくい
看護師1年目でクリニックに転職する際には「スキルアップしにくい」という注意点があります。
クリニックは主に外来診療が中心で診療内容も限られていることが多く、幅広いスキルを積む機会が少なくなりやすいからです。
とくに、急性期における急変の対応や医療処置の介助などのスキルの習得は難しいかもしれません。
ただし、患者さまとのコミュニケーション能力や特定の診療科での専門性を深められるため、新たな資格の取得に役立つでしょう。そのため、自分のキャリアプランをしっかりと考え、適切な選択をすることが重要です。
急な休みを取りにくい
「急な休みを取りにくい」ということも、看護師1年目でクリニックに転職する際には注意してください。
病院に比べて、クリニックはスタッフの数が少なく一人ひとりの役割が大きいため、急な欠勤が業務に影響をおよぼすからです。
とくに、小規模なクリニックでは代わりの人手が不足していることが多く、急な休みを取りにくいでしょう。
そのため、クリニックを選ぶ際にはこのようなリスクを考えたうえで、急な休みに対するサポート体制やスタッフ間で協力できる体制が整っているかを確認することが大切です。
年収が下がりやすい
看護師1年目でクリニックへの転職を検討する際は「年収が下がりやすい」というデメリットがあります。
日本看護協会の「2021年看護職員実態調査」によると、フルタイムで働く看護師の勤務別の給与は以下のとおりです。
勤務場所 | 平均基本総額(円) | 平均税込給与総額(円) |
診療所 | 259,062 | 354,563 |
病院 | 277,696 | 386,046 |
助産所 | 240,250 | 371,675 |
行政 | 314,765 | 397,324 |
訪問看護ステーション | 269,811 | 367,775 |
介護施設 | 257,822 | 346,236 |
看護系の教育機関 | 340,239 | 406,168 |
その他 | 294,867 | 364,930 |
病院の看護師に比べて、クリニックの給与水準は低めに設定されていることが多く、その差は約30,000円です。
というのも、クリニックには夜勤手当がなく、残業がないところもあるからです。クリニックは基本的に日勤のみで勤務時間も短いため、その分年収に影響が出やすいでしょう。
また、クリニックの規模や運営方針によっても給与に差があり、小規模なクリニックでは予算が限られているため、昇給やボーナスの面でも期待が持てない場合があります。
そのため、看護師1年目でクリニックに転職する際には、給与条件や福利厚生についてしっかり評価することが大事です。
人間関係に悩まされることもある
看護師1年目でクリニックに転職すると「人間関係に悩まされる」可能性があります。
クリニックは職場の規模が小さく、スタッフの数も限られているため、一人ひとりの関係がより密接になりやすいからです。
これにより、職場の人間関係がうまくいかない場合は、その影響が大きくなるかもしれません。とくに、新しい環境に馴染むまでの期間は、先輩スタッフや同僚とのコミュニケーションにストレスを感じることがあります。
そのため、転職を決める前にクリニックの職場環境やスタッフの雰囲気をよくリサーチしておくことをおすすめします。インターンシップに参加したり職場見学をおこなったりして、実際の働き方や人間関係を観察することで、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。
看護師1年目でクリニックに転職する6つのコツ
ここでは、看護師1年目でクリニックに転職する6つのコツを紹介します。
- 看護師の教育体制を確認する
- 予約制のクリニックを選ぶ
- 未経験者歓迎のクリニックを探す
- 求人サイトに登録して求人を探す
- スタッフ数が少ないところは避ける
- 単科のクリニックや経験したことがある診療科を選ぶ
これらのコツを知ることで転職の際に対策が取りやすくなります。
予約制のクリニックを選ぶ
「予約制のクリニックを選ぶ」ことは、看護師1年目でクリニックへの転職を成功させるためには欠かせません。
予約制のクリニックでは、患者さまの流れを把握することや、業務をスムーズに進行できたるなどのメリットがあるからです。また、予約制のクリニックでは、業務終了時間が安定していることが多く、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。
さらに、患者さまの来院時間が事前に決まっているため、急な対応が少なく精神的な負担が軽減されます。
これにより、事前に患者さま受け入れの準備を丁寧に行うなど業務に集中しやすくなり、患者さま一人ひとりに対するケアの質も向上できるでしょう。
看護師の教育体制を確認する
看護師1年目でクリニックに転職する際は、教育体制の確認は成功のカギです。
まずは、クリニックで実施される研修プログラムの内容やシステムを調べましょう。たとえば、プリセプター制度の有無や研修会の開催状況など、どのような教育をおこなっているのか確認することも重要です。
さらに、学会への参加や研修の受講など自己学習をサポートする環境が整っているのかを確認することで、看護師としてスキルアップできるでしょう。
未経験者歓迎のクリニックを探す
一般的に、クリニックは経験者を優遇する傾向です。
ただし、看護師の人手不足の影響で「未経験者歓迎」とするクリニックもあります。求人情報やクリニックのホームページで「未経験者歓迎」と書かれているところを探してみてください。
厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、2022年度の看護師・准看護師の有効求人倍率は2.20倍です。ほかの職業が1.19倍であるため、看護師・准看護師は人手不足であるといえます。
人手不足であると、看護師の実務経験がなくても採用される場合があります。
ただし、なかには未経験者歓迎のクリニックには教育体制が充実していなかったり、大量の退職者がいたりするところもあります。
そのため、未経験者歓迎のところに応募するときは、教育体制や退職者の有無について面接で確認しましょう。
求人サイトに登録して求人を探す
求人サイトに登録して、求人を探すことで忙しい中でも転職活動をすることができます。
まずは、自己紹介を含む詳しいプロフィールを作成してください。次に、勤務地や給与、勤務形態などの希望条件を明らかにして検索します。
求人サイトには全国の情報が載っているため、その中からあなたの希望合ったものを選ぶことができるでしょう。
スタッフ数が少ないところは避ける
スタッフ数が少ないクリニックは、注意が必要です。
なぜなら、スタッフの数が足りないことでは看護師の負担が増し、ストレスが溜まりやすい状況になるからです。
たとえば、スタッフ数が足りないクリニックの場合、看護師は診療の補助のほかに、電話の対応や会計の業務、機材の消毒などもおこなわなければなりません。さらに、看護師ひとりの負担が大きく、家庭の事情でも休みにくいこともあるでしょう。
このような状況では、ケアの質を維持するのは難しく、患者さまからクリニックへの不満につながる恐れがあります。
単科のクリニックや経験したことがある診療科を選ぶ
単科のクリニックや経験したことがある診療科を選ぶことは、看護師1年目でクリニックへの転職を成功させるためには必要です。
特定の診療科を選ぶことで、その分野の専門知識と技術を深めることができるからです。たとえば、小児科病棟で経験がある場合は、小児科のクリニックや子どもを対象としたアレルギー専門のクリニックなどを選ぶと良いでしょう。
さらに、美容に興味がある看護師の方は美容クリニックを選んでも良いかもしれません。
これにより、患者さまへのケアの質が向上し、業務への充実感も得られます。自身の興味や経験を活かした業務をおこなうことでモチベーションを高め、職場での満足度も向上するでしょう。
まとめ
看護師1年目でクリニックに転職することは可能です。
ただし、クリニックでは看護師に求めるスキルや経験が高くなる傾向あり「経験者優遇」としているところもあります。
そのため「未経験者歓迎」のクリニックを探したり、予約制のクリニックを選んだりすることが転職の成功のためには大切です。自分の希望に合った求人があれば、ぜひ面接を受けてみましょう。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。