看護師は夜勤で何している?8つの業務内容ときついときの対処法

「夜勤って本当にこんなに大変なの…?」と不安なあなたへ。
実は夜勤は、日中の業務をひとりで見ながら、急変対応や退院準備までこなす“多能工”の仕事。この記事では、夜勤の1日の流れを8つの業務ごとに詳しく解説します。さらに、辛い夜勤を乗り切る実践対処法や、夜勤あり求人を選ぶ際のチェック項目まで網羅。読むだけで“不安から安心”へ変わる一歩を支えます。
看護師の夜勤の業務内容8つとポイント
夜勤の看護師は、日中の業務を引き継ぎ、患者さまが安全に夜を過ごせるように、さまざまな業務をおこなっています。
- 病棟のラウンド
- バイタルサインのチェック
- 排泄介助やおむつ交換
- 食事介助や口腔ケアの介助
- 体位変換
- 急変対応と緊急入院の受け入れ
- 看護記録
- 翌日の退院の準備と書類の整理
これらの業務は、質の高いケアを提供するために不可欠です。それぞれの業務内容を詳しく見ていきましょう。
病棟のラウンド
夜勤の始めと終わり、必要に応じて定期的に病棟を巡回して、患者さまの状態を確認します。
夜間は患者さまが就寝した後も2時間おきに病棟をラウンドしますが、この時間やタイミングは職場や患者さまの状況によって異なるようです。
具体的には、患者さまの安否確認や呼吸状態、点滴の状況などを観察します。
これらの細やかな観察は、患者さまのわずかな変化を捉え、病状の悪化を防ぐためには欠かせません。
バイタルサインのチェック
定期的にバイタルサインを測定して記録することも看護師の重要な業務です。
日中の状態と比較したり、異常値がないかを確認したりすることで、患者さまの容態の変化を把握できます。この際、異常があればすぐに医師に報告して適切な処置をおこないます。
日勤看護師の受け持ち患者数は6~8人くらいである一方、夜勤看護師1人あたり12~15人ほど担当する傾向です。そのため、スムーズに対応することが夜勤業務を進めていくなかで大切です。
排泄介助やおむつ交換
夜間も、排泄が困難な患者さまの介助やおむつ交換をおこないます。
とくに、大部屋の患者さまのおむつ交換をおこなう際は、カーテンを閉めて患者さまの羞恥心に配慮しつつ、ほかの患者さまの安眠を妨げないように静かにおこなうことがポイントです。
食事介助や口腔ケアの介助
夜勤看護師は、18:00頃と翌朝の8:00頃に食事や口腔ケアの介助をおこないます。
安全に食事が摂れるようサポートしたり、口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎を予防したりします。
2時間おきの体位変換
夜勤看護師は、意識レベルが低下していたり、麻痺の症状があったりして長時間同じ体勢で寝ている患者さまの体位を定期的に変えます。
長時間同じ体勢で過ごしていると、皮膚への圧力が集中して床ずれのリスクが高まるからです。
基本的に看護師は2時間おきに訪室して、患者さまの呼吸の状況を確認しながら、仰向け、横向きなど適切な体位に調整します。患者さまの状態によっては2時間おきではなく、状況に合わせて個別性のある看護が求められます。
急変対応と緊急入院の受け入れ
夜間に患者さまの容態が急変した場合、適切な対応が求められます。また、救急搬送されてきた患者さまの入院の受け入れ準備や対応もおこないます。
一般病棟の場合、日勤帯と比べて、夜勤帯は看護師の人数が限られる傾向です。少ない人数で多くの業務をこなす必要があり、急変対応と並行して、ほかの患者さんのケアもおこなわなければならないため、看護師一人ひとりの役割が重要です。
看護記録
夜勤看護師は、日中の看護ケアを引き継ぎ、夜間の患者さまの状態や実施したケア、変化などを看護記録に記録します。
患者さまの状態をチーム全体で把握できるため、正確な記録は多職種との情報共有や継続したケアに不可欠です。夜間は、医療従事者が限られるため、記録がより一層重要性を増します。
翌日の退院の準備と書類の整理
翌日に退院する患者さまの書類を準備したり、持ち物の確認をしたりすることも、夜勤看護師の業務内容のひとつです。
翌日の朝9:00頃に退院するケースもあるため、スムーズに手続きが進められるように、退院指導書の確認や必要な物品の準備をおこないます。
看護師の夜勤のスケジュール
看護師の夜勤のスケジュールは、病院の勤務体制によって異なります。自身のライフスタイルや体力に合わせて、二交代制と三交代制、いずれの勤務体制が合っているかを知ることも大切です。
二交代制のスケジュール
二交代制では、日勤と夜勤の勤務時間があります。
夜勤は夕方16:00頃から始まり、翌朝9:00まで続くことが多いようです。二交代制の夜勤は、拘束時間が長い分、病院に行く回数は減る傾向があります。
この体制は、休息時間をまとめて確保したいと考える看護師に向いているかもしれません。ただし、勤務中の負担は大きくなりがちであるため、自分がどのような働き方をしたいのか考えることが大切です。
二交代制のスケジュールについて、下記の記事で事例をもとに詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
三交代制のスケジュール
三交代制では、日勤、準夜勤、深夜勤などの勤務があります。それぞれのおおよその時間は次のとおりです。
- 日勤:8:00~17:00
- 準夜勤:16:00~0:00
- 深夜勤:23:00~9:00
三交代制の深夜勤は、二交代制に比べて拘束時間が短いため、身体的な負担が少ないと感じる看護師もいます。
しかし、三交代制は病院に行く回数が増えたり、シフトによっては生活リズムが不規則になったりする側面があるため、自分に合った働き方を選ぶことが重要です。三交代制の具体的なスケジュールは下記の記事でチェックしてみてください。
関連記事:看護師の準夜勤の働き方とは?スケジュールやきついといわれる5つの理由
看護師が夜勤をするメリットとデメリット
看護師が夜勤をすることには、メリットとデメリットの両方があります。夜勤をするかどうかを検討する際には、これらの点を考慮することが大切です。
看護師が夜勤をするメリット
看護師が夜勤をするメリットは次のとおりです。
- 深夜手当で給与がアップする
- 緊急時の対応のスキルアップにつながる
- 日中にゆっくりした時間が増える
- 業務量が比較的少ない
労働基準法の第三七条では、22:00から翌5:00時までの間の勤務者に対して、深夜手当の支給(25%以上の割増賃金)を事業者に義務づけているため、給与アップにつながります。
また、夜間は予期せぬ事態に少人数で対応しなければならないため、実践的なスキルの習得が期待できるのです。
もちろん、夜勤には生活リズムへの影響など考慮すべき点もありますが、これらのメリットは、キャリアアップやライフスタイルの充実につながるでしょう。
看護師が夜勤をするデメリット
看護師が夜勤をするメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
- 体力的にきつい
- 生活が乱れやすい
- 家族や友人と時間が合わない
- 患者さまの状態がわかりにくい
夜間の勤務は、どうしても生活リズムが乱れやすく、体調を崩しやすい現状です。また、家族や友人との生活時間帯が異なるため、予定を合わせにくいこともあります。
これらのデメリットは、看護師の心身の健康やワークライフバランスに影響を与えるリスクがあります。
関連記事:看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤のスケジュールやメリット・デメリット
夜勤がきついと感じるときの対処法
夜勤は、身体的にも精神的にも負担がかかることがあります。きついと感じたときの対処法を知っておきましょう。
- 生活リズムをなるべく崩さないように生活する
- 夜勤明けの生活を見つめ直す
- 夜勤の回数を減らしてもらえるように看護師長にお願いする
- 夜勤のない部署への異動を願い出る
- 夜勤のない職場への転職を検討する
無理をして心身を壊してしまう前に、自分に合った対処法を見つけることが大切です。ひとりで悩まず、できることから試してみてください。
生活リズムをなるべく崩さないように生活する
夜勤のない日も、できるだけ規則正しい生活を意識することが、夜勤による負担を軽減する第一歩です。
睡眠時間をしっかり確保し、食事の時間を毎日ほぼ同じにすることで、身体のリズムを整えやすくなります。
具体的には、休日だからといって昼過ぎまで寝てしまうようなことは避け、できるだけ普段と同じ時間に起きるように心がけましょう。また、夜勤に入る前は、しっかりと睡眠時間を確保してください。
夜勤明けの生活を見つめ直す
夜勤明けの過ごし方で、その後の回復具合は変わってきます。
「夜勤明けは身体がだるい」と感じている看護師は、無理に予定を詰め込まず、まずはしっかりと身体を休ませることを意識することが大切です。
たとえば、夜勤明けはできるだけ予定を入れずに、静かな場所でゆっくりと過ごすようにすると良いでしょう。また、眠りを妨げるカフェインの摂取は控えめにしたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってリラックスしたりするのもおすすめです。
夜勤の回数を減らしてもらえるように看護師長にお願いする
「夜勤を続けるのが、正直しんどい…」と感じているなら、ひとりで悩まずに、まずは看護師長に相談してみるのも大切です。
勤務状況や人員配置によっては、夜勤の回数を調整してもらえる可能性があります。「このようなことお願いしても良いのかな」とためらってしまうかもしれませんが、体調や生活状況を率直に伝えて、夜勤の回数を相談することも、自分を守るために必要なことです。
夜勤のない部署への異動を願い出る
「夜勤をするのがきつすぎる」「やっぱり夜勤なしで働きたい」と感じたら、病院内で夜勤のない部署への異動希望を出してみましょう。たとえば、次のような部署であると、夜勤なしの働き方を選べます。
- 外来
- 透析室
- 内視鏡室
「今の病院は好きだけど、夜勤だけがネックなんだよね…」という看護師にとって、異動は働き続けるための良い選択肢になるかもしれません。
夜勤のない職場への転職を検討する
夜勤は避けたいという思いが強い場合、夜勤のない職場に思い切って転職するのもひとつの方法です。
- 訪問看護ステーション
- クリニック
- 献血センター
- 一般企業
このように、夜勤がない職場はあります。
オンコールはあるものの、夜勤に比べると負担が少ない訪問看護師への転職も選択肢のひとつです。「NsPaceCareer」は、訪問看護に特化した求人サイトであり、豊富な求人からあなたの希望や条件に合った職場を見つけられます。登録は無料であるため、ぜひ活用してみてください。
看護師の夜勤ありの求人を探す際に確認すべき項目
夜勤ありの求人を探す際には、いくつかの確認しておきたい項目があります。
- 夜勤帯の看護師の人数
- 夜勤の勤務時間と回数
- 夜勤手当
後悔のない転職をするために、これらの情報をしっかりと確認しましょう。
夜勤帯の看護師の人数
夜勤帯に配置されている看護師の人数は、業務の負担に大きく影響します。
夜勤帯の看護師の人数が少ないと、一人当たりの負担が増え、疲弊したりストレスを強く感じたりしてしまう可能性があります。
病院や施設のホームページで配置人数をチェックしたり、面接のときに質問したりして、夜勤体制について確認することがおすすめです。
夜勤の勤務時間と回数
夜勤の勤務時間や月あたりの夜勤回数を確認しましょう。体力や生活スタイルに合った勤務時間や回数であるかを確認することが大切です。二交代制と三交代制、それぞれの夜勤の平均回数を表にまとめました。
勤務形態 | 月平均の夜勤回数 |
二交代制 | 4.8回 |
三交代制 | 7.4回 |
無理のない範囲で働けるかどうか、上記の夜勤回数も確認したうえで求人を探すと良いでしょう。
夜勤手当
夜勤手当の金額は、給与に大きく影響します。二交代制と三交代制、それぞれの夜勤手当を次の表にまとめました。
勤務形態 | 平均の夜勤手当額 |
二交代制の夜勤 | 1万1,368円 |
三交代制の準夜勤 | 4,234円 |
三交代制の深夜勤 | 5,199円 |
この金額は、病院の規模や地域、看護師の経験年数などによって異なります。基本給だけでなく、夜勤手当を含めた年収で比較検討することが大切です。
看護師の夜勤についてのよくある質問
看護師の夜勤について、よくある質問にお答えします。夜勤に対する疑問や不安を解消しましょう。
Q1:夜勤中に暇な時、何をしますか?
夜勤中は、患者さまの状態観察や記録がおもな仕事内容ですが、患者さまが落ち着いている時間帯には、自己学習をしたり、記録の整理をしたりすることがあります。また、急変時に備えて、物品の準備や確認をすることもあります。
ただし、日本看護協会「安全、健康、生活を念頭においた看護師の1ヶ月72時間夜勤規制に関する研究報告書」によると、夜勤の休憩状況の問いに「きちんと取れた」と回答したのは、急性期病棟18.7%、回復リハビリテーション病棟30.6%という結果でした。
なかには、仮眠時間をしっかり取れず、患者さまにケアしたりナースコール対応に追われたりすることもあるようです。
そのため、夜勤看護師に暇な時間はあまりなく、業務に追われていることが推測されます。
Q2:看護師の夜勤明けあるあるを教えてください
夜勤明けは、眠くてぼーっとしたり、逆にハイテンションになったりすることがあります。
衝動買いをしたり、暴飲暴食したりするケースもあるようです。
また、朝食を食べるタイミングに困るという声もよく聞かれます。昼夜逆転の生活になりがち、夜勤明けの日中の光が眩しい、休みでもナースコールや心電図モニターの音が聞こえる気がするなどといった、夜勤ならではのあるあるがあります。
Q3:看護師の夜勤は身体に悪いですか?
夜勤は、生活リズムが乱れやすく、身体に負担がかかる恐れがあります。
しかし、適切な休息や体調管理をおこなうことで、夜勤による負担を軽減できるかもしれません。
質の高い睡眠を確保したり、バランスの取れた食事を心がけたりすることが大切です。体調に異変を感じたら、無理せず休息しましょう。
まとめ:看護師の夜勤では病棟のラウンドと日常生活のサポートをしている
看護師の夜勤では、病棟のラウンドを通して患者さまの安全を確認し、バイタルサイン測定や排泄介助など、日常生活のサポートをおこなっています。
また、急変時の対応や記録業務、退院準備なども大切な業務です。
夜勤は大変な面もありますが、患者さまにとってなくてはならない存在です。自分の身体の様子を見ながら働き方を見つめ直してみてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。