デイサービスの看護師が辞めたい理由6つ!経験を活かせる転職先も紹介

「デイサービスを辞めたいけど、そのまま辞めても大丈夫?」「デイサービスは自分には向いていない」
このように不安を感じても、退職後の生活や子育てのことなどを考えると、なかなか決断できないでしょう。
この記事では、デイサービスの看護師が辞めたくなる理由や、現在の職場でできる対処法、夜勤・残業なしで働ける転職先の実例などを紹介します。これからの働き方について前向きに考えるため、自分らしく働ける方法を見つけられるでしょう。
デイサービスの看護師が辞めたいと感じるおもな理由6つ
デイサービスの看護師が「辞めたい」と感じる理由は、おもに次の6つです。
- 思ったより給料が低い
- 有給が取りづらく休みにくい
- 人間関係や職場の雰囲気が合わない
- 医療行為が少なくやりがいを感じにくい
- 看護以外の業務で忙しい
- 利用者さまやご家族とのトラブル対応がつらい
それぞれを詳しく解説します。

1.思ったより給料が低い
デイサービスは日勤のみの勤務であるため、ある程度、給料が減ることを予想していた場合でも「思ったよりもらえなかった」と感じるケースもあります。
「令和4年度介護事業経営概況調査結果」の調査によると、デイサービス看護師の平均年収は447万4,596円と推測できます。一方で「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1,300円です。
デイサービスの勤務では、夜勤がなく残業も少ないといったメリットがありますが、その分の手当が支給されないため、病院勤務と比べると給料は低めといえます。
この事実を知らず、仕事と家庭の両立を重視してデイサービスを選んだものの、生活費や将来の資金に対する不安から「辞めたい」と感じる方も多いようです。
2.有給が取りづらく休みにくい
デイサービスは少人数で運営されている施設が多く、看護師が1人体制で勤務しているケースも珍しくありません。
そのため、休みたいと思っても代わりのスタッフが見つかりにくく「迷惑をかけてしまうかもしれない」と申し出づらい雰囲気があります。
制度上は有給を取得できても、実際には休めない空気感があり「もう辞めたい」と感じる要因につながります。
3.人間関係や職場の雰囲気が合わない
人間関係のストレスから「辞めたい」と感じる看護師は少なくありません。
デイサービスでは、看護師だけでなく次のようにさまざまな職種が働いています。
- 介護職員
- 生活相談員
- 機能訓練指導員
そのため、コミュニケーションのズレや、業務に対する温度差を感じる場面もあるでしょう。
なかには「あの人は話が合わないのよね」「何か偉そうに見える」といった陰口が飛び交い、気まずい空気に悩まされている方もいるようです。
表立ったいじめでなくても、ちょっとした無視や冷たい態度が続くと大きなストレスになり、退職につながります。
4.医療行為が少なくやりがいを感じにくい
デイサービスの看護師の仕事は、基本的にバイタルサインのチェックや服薬管理、応急処置などの医療行為が中心です。
そのため、病棟での急変対応や重症患者さまの処置にやりがいを感じていた看護師にとっては、物足りなさを感じることがあります。
「看護師資格を持て余しているような感覚になる」「スキルが落ちてしまうのではと不安になる」といった気持ちが積み重なり、このままでいいのかと退職を考える原因になります。
5.看護以外の業務で忙しい
デイサービスでは、看護業務以外の仕事を任されることも多い傾向です。
具体的には、次の業務を任されるケースがあります。
- 送迎車の運転
- リハビリテーションの補助
- 誕生日会やイベントの進行役
このような業務に苦手意識がある看護師にとってはギャップを感じ、辞めたくなる要因になりやすいでしょう。
6.利用者さまやご家族とのトラブル対応がつらい
利用者さまのなかには、認知症の影響で感情のコントロールが難しくなっている方もいます。また、ご家族からの過剰な要望やクレームに対応しなければならない場面も少なくありません。
これらが続くと「自分は悪くないのに怒られてしまう」「理不尽な要求に応じざるを得ない」など、精神的につらくなる原因になり得ます。
とくに、看護師が1人で対応しなければならない場面では、孤独感や無力感を覚えてしまい、辞めたい気持ちが高まるでしょう。
デイサービスの看護師が「辞めたい」と感じたときの対処法
「もう限界かも」「辞めたいな」と感じたとき、辞める前に一度立ち止まって自分の気持ちを整理するのも大切です。
- 辞めたい理由を具体的に書き出す
- 信頼できる人に相談する
- 業務の見直しを検討する
- 上司や人事課に働き方の変更を打診してみる
- 副業や勉強など新しい刺激を取り入れる
- 転職を検討する
ここでは、心をすり減らす前に試してほしい対処法を解説します。
辞めたい理由を具体的に書き出す
まず、辞めたい理由をできるだけ具体的に紙に書き出してみてください。
人間関係がつらい、医療行為が少なくてやりがいがないなど、モヤモヤした気持ちを目に見える形で言葉にあらわすと、自分の本音に気づけます。
「本当に辞めるべきか」「職場で解決できることはあるか」「転職を考えるべきか」など、次の一歩を見つける材料にもなるでしょう。
信頼できる人に相談する
気持ちが不安でいっぱいになっているときは、一人で抱え込まず次のような身近な信頼できる人への相談も大切です。
- 友人・家族
- 看護師仲間
- 職場の理解ある同僚
- 看護師専門のキャリアアドバイザー
自分の立場を理解してくれる人に話すことで、心が少し軽くなるかもしれません。
「辞めたい」という気持ちを口に出すだけで自分の考えを整理できたり、意外な選択肢に気づけたりすることもあります。
業務の見直しを検討する
辞めたい理由が「業務がつらい」「負担が大きい」といったものであれば、仕事内容を見直す余地があるか検討してみてください。
たとえば、送迎の運転が苦手な場合は「運転業務から外してもらえないか」と上司に相談してみましょう。また、レクリエーションの企画が負担なら、介護職と役割分担を話し合うのも、働きやすさにつながります。
すぐにすべてを変えるのは難しくても「この部分だけでも軽くならないか」を考えてみるのをおすすめします。
上司や人事課に働き方の変更を打診してみる
「もう少し気持ちに余裕がほしい」「働く時間を減らしたい」と感じている場合は、勤務形態の変更を相談してみるのもひとつの方法です。
具体的に、以下の方法があげられます。
- 正社員からパートへ切り替える
- 勤務する曜日や時間帯を調整する
- 担当業務の範囲を限定してもらう
職場の状況にもよりますが、辞めずに働き続けるために一度提案してみるのもよいでしょう。
副業や勉強など新しい刺激を取り入れる
毎日同じ業務をくり返していると、刺激が少なく気持ちが沈みやすくなります。次のような新しいことにチャレンジしてみるのも効果的です。
- 看護スキルに関するオンライン講座を受講してみる
- 医療ライターをはじめとした副業を試してみる
- キャリアアップに向けて資格取得の勉強を始める
新しい刺激が、気分転換やモチベーションの向上につながるかもしれません。「毎日の仕事が単調でつらい」と感じるデイサービスの看護師におすすめしたい方法です。
転職を検討する
どうしても今の職場でつらい場合は、転職を視野に入れることも大切な選択肢です。
なかでも人間関係や労働環境によるストレスは、自力での改善が難しいケースも多く、無理して働き続けると心身の健康を損なう可能性もあります。
転職というと「自信がない」「ほかに行けるところがない」と不安になるかもしれませんが、デイサービスでの経験を活かせる職場はたくさんあります。
視野を広げて、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
デイサービスの看護師を辞めたい人が転職を成功させるコツ
「今の職場はもう限界かも」と感じている看護師こそ、すぐに辞めずに、次のステップを慎重に考えることが大切です。
- いきなり辞めず情報収集から始める
- 医療処置や急変対応が不安なら教育体制を重視する
- 求人サイト・転職エージェントの担当者に相談する
ここで紹介するデイサービスの看護師が転職を成功させるためのポイントを押さましょう。
いきなり辞めず情報収集から始める
施設や環境への不満から「すぐ辞めたい」と感じている場合でも、勢いで退職するのではなく情報収集から始めるのをおすすめします。
仕事を続けながら転職活動を進めることで、経済的な不安を抱えずに、自分に合った職場をじっくり探せるためです。
在職中であれば、現在の職場と比較しながら判断できるのもメリットです。
求人票だけではわかりにくい職場の雰囲気や残業の実態なども、口コミサイトや転職エージェントを活用して情報を集めましょう。
医療処置や急変対応が不安なら教育体制を重視する
デイサービスでは医療処置の機会が少なく、スキルの維持や向上に不安を感じている看護師も少なくありません。
そのような場合は、教育・研修制度が充実している職場を優先的に探すと安心です。
プリセプター制度や定期的な院内研修がある施設では、無理なくスキルアップが目指せるでしょう。
求人サイト・転職エージェントの担当者に相談する
働きながら一人で求人を探すのは、時間も手間もかかるため、看護師向けの求人サイトや転職エージェントの利用を検討しましょう。
担当者が希望に合う求人を代わりに探してくれるだけでなく、面接日程の調整や履歴書の添削など、転職活動全般をサポートしてくれます。
転職にまつわる悩み相談も気軽にできるため「転職に失敗したくない」という気持ちが強い看護師ほど、活用をおすすめします。
デイサービスの看護師の経験を活かせる転職先
デイサービスで培った経験は、ほかの現場でも十分に活かせます。
- 訪問看護ステーション
- 訪問入浴事業所
- クリニック・病院の外来
- 保育園
- 健診センター
- デイケア(通所介護)
それぞれの職場をチェックして、自分に合った転職先を見つけましょう。
訪問看護ステーション
高齢者とのかかわり方やバイタルサインのチェック、在宅における服薬管理など、デイサービスでの経験は訪問看護にも活かせます。
訪問看護では、医療処置の機会が多く、スキルアップややりがいを求める看護師に向いています。また、基本的には日勤のみの勤務が多く、スケジュール調整もしやすい職場です。
ただし、24時間体制をとるステーションではオンコール対応が求められる場合もあります。
体制があっても、実際の稼働はステーションごとに異なるため、対応に不安を感じる看護師は見学や面接時に質問してみるとよいでしょう。
転職先に迷う、直接聞く勇気がないといった看護師は、訪問看護に特化した転職サービス「NsPaceCareer」の活用をおすすめします。
訪問入浴事業所
訪問入浴の看護師は、利用者さまの体調チェックやバイタルサインの確認、軽度の医療処置を担当します。
デイサービス同様に高齢者と密にかかわりながら働ける点が特徴です。
チームで動くためブランクのある看護師でも始めやすく、介護との連携を経験してきた方にはとくに向いているでしょう。
クリニック・病院の外来
クリニックや病院の外来では、診察の補助や問診、採血、点滴といった医療処置に携わる機会が多く、スキルを活かしながら働けます。医療処置を通してスキルアップを目指したい看護師に、おすすめの職場です。
また、夜勤がなく規則正しい生活リズムを保てるのも、外来やクリニック看護師の魅力の一つです。
「デイサービスと同じように日勤を中心として働きたい」という看護師や、ワークライフバランスを重視したい看護師に人気があります。
保育園
保育園看護師のおもな業務は、園児の健康管理やケガ・発熱時の対応、保護者への報告などです。
コミュニケーション力が求められる点は共通しており、デイサービスの経験を活かせます。
土日休み・日勤のみの求人も多く、子育て中の看護師からも人気があります。
関連記事:保育園看護師とは?給料や5つの仕事内容、求人のポイントを紹介
健診センター
健診センターでは、採血・問診・身体測定などのルーティン業務が中心です。
比較的落ち着いた職場環境で、医療処置の経験を活かしながら無理なく働けるため、体力的な負担を減らしたい方やワークライフバランスを重視する看護師に向いています。
デイサービスが長く医療処置に自信のない看護師でも、なじみやすい職場といえるでしょう。
関連記事:健診センターの看護師がきついと言われる理由8つ!やりがいとおすすめの求人
デイケア(通所介護)
デイケアは、リハビリテーションに重点を置いており、理学療法士や作業療法士と協力して、利用者さまの機能回復を支援する施設です。
1日のスケジュールはデイサービスとほぼ同じであるため、流れをつかむのはスムーズでしょう。
デイサービスよりも、医療的な知識を求められる場面が多い傾向ですが、高度な医療処置はほとんどないため、専門性を少しずつ高めたい方にデイケアはおすすめです。
デイサービス看護師を辞めたいなら転職も視野に入れて働き方を考えましょう
デイサービスの看護師として働くなかで「辞めたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。
収入面の不満や医療処置の少なさ、人間関係の悩みなど、辞めたい理由は人それぞれです。
大切なのは、今の気持ちを無視せず、これからの働き方を前向きに見直すことです。
ただし、いきなり辞めるのではなく、現在の職場でできる対処法をおこなったり、情報収集から始めたりすることが、転職を成功させるカギとなります。
デイサービスで培った経験は、訪問看護や健診センター、保育園など、さまざまな職場で活かせます。
無理に我慢し続けるよりも、自分らしく働ける環境を見つけることが、長く看護師を続けるための第一歩となるでしょう。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。