美容看護師とは?仕事 内容やメリット・デメリット、向いている人の特徴を解説

美容クリニックで働く看護師は「美容看護師」と呼ばれ、病棟勤務とは異なるやりがいがあります。夜勤がなく規則的に働けることや、一般的に高収入が期待できる点から、転職を考える方も少なくないでしょう。
とはいえ、美容看護師の具体的な仕事内容や1日の流れ、自分が向いているのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、美容看護師の仕事内容や病棟との違い、メリット・デメリット、向いている人の特徴を解説します。
美容看護師とは
美容看護師とは、美容を目的とした医療機関で働く看護師のことです。
一般的な病棟勤務とは異なり、美容医療の施術補助やカウンセリング、機器管理などを行います。美容ナースと呼ばれる場合もあり、近年、美容医療の発展とともに需要が高まっています。
美容看護師の役割
美容看護師の役割は、患者さまの「美しくなりたい」という願いをサポートすることです。
美容クリニックは健康を回復・維持するための医療機関ではなく、外見の美しさを追求する自由診療が中心です。そのため、美容看護師には施術スキルだけでなく、接遇力や提案力も求められます。
病棟看護師との違い
美容看護師と病棟看護師の違いは、医療の目的と業務内容にあります。主な違いを、以下の表にまとめました。
美容看護師 | 病棟看護師 | |
医療の目的 | 美容を追求する自由診療 | 健康を回復・維持する保険診療 |
業務内容 | 施術の補助 カウンセリング 接客 | 入院患者さまのケア 急変対応 |
勤務形態 | 日勤が中心 | 日勤・夜勤シフト制 |
求められるスキル | 美容医療の知識 接遇スキル | 臨床看護の知識 救急対応能力 |
給与体系 | クリニックによっては高収入も可 | 病院規定による昇給制 |
美容看護師の1日のスケジュール例
美容看護師の1日は、クリニックの診療時間や担当する施術内容によって異なりますが、以下のような流れが一般的です。
9:30|出勤・準備
- 施術ルームの清掃・消毒、機器の動作確認
- 予約リストの確認、カルテの準備
10:00|午前の診療開始
- 患者さまの受付、カウンセリング対応
- 医師の施術補助(レーザー治療、ボトックス注射など)
12:30|昼休憩
13:30|午後の診療
- 手術のアシスト(二重整形、脂肪吸引など)
- 術後の経過観察、患者さまのアフターケア指導
- 電話対応・予約管理
18:00|片付け・終業
- 施術ルームの清掃・機器の管理
- 記録の入力、翌日の準備
クリニックによっては、診療時間が長く、遅番やシフト制を採用している場合もあります。また、土日祝日に営業しているクリニックも多く、勤務日や勤務時間が病棟勤務とは異なる点が特徴です。
施術内容によっては長時間の立ち仕事が続く場合もあり、体力が必要とされるケースもあります。
美容看護師の主な仕事内容
美容看護師の主な仕事内容には、以下のようなものが挙げられます。
施術のサポート
美容看護師は、医師が行う施術のサポートや、一部の施術を看護師自身が担当する場合もあります。具体的な施術の種類としては、以下のようなものがあります。
- レーザー治療(シミ・しわ・毛穴の改善)
- HIFU(高密度焦点式超音波)によるリフトアップ施術
- 脱毛施術(医療脱毛)
- 美容点滴・注射(ビタミン点滴、ボトックス、ヒアルロン酸注射)など
施術前には患者さまの肌状態や体調を確認し、安全に施術を行えるよう配慮しなければなりません。
医師の補助
美容外科では、看護師が医師の手術をサポートする役割も担います。二重整形や脂肪吸引など、クリニックによって手術の内容は異なります。
手術中、医師がスムーズに施術を進められるよう、器具の受け渡しや術野の確保を行うだけでなく、使用する手術器具の準備・管理も重要な業務のひとつです。
患者さまのカウンセリング・アフターケア
美容看護師は、施術前後の患者さまの対応も行います。特に美容医療では、患者さまの不安を軽減し、納得した上で施術を受けてもらうことが大切です。
【施術前のカウンセリング】
- 患者さまの悩みや希望をヒアリング
- 施術内容の説明、リスクやダウンタイムの案内など
【施術後のケア】
- ダウンタイム(腫れ・内出血など)の説明
- 自宅でのケア方法や注意点の指導など
特に、美容医療は自由診療であるため、患者さまとの信頼関係が重要になります。
事務・受付業務
美容看護師の業務には、医療行為だけでなく事務作業や受付対応も含まれます。
- 予約管理・電話対応
- カルテの入力・整理
- 会計業務のサポート
- 物品の在庫管理・発注など
クリニックの規模によっては、これらの業務を専門の受付スタッフが担当する場合もあります。
美容看護師に必要な主なスキル・経験
美容看護師として働くためには、一般的な看護技術に加えて、美容医療に関する知識や接遇スキルが求められます。必要なスキルや経験を事前に理解しておけば、スムーズに業務へ適応できるでしょう。
必要なスキルや経験には、以下のようなものが挙げられます。
- 点滴・注射・採血などの基本的な技術
- 清潔・無菌操作の知識
- 医療機器の操作スキル
- 美容医療の基礎知識・トレンド
- 接客スキル・コミュニケーション能力
未経験でも美容看護師として働くことは可能ですが、病棟勤務や外科・オペ室での経験、接客や販売経験があると、業務に活かしやすいでしょう。
美容看護師に向いている人の特徴
美容看護師は、一般的な病棟看護師とは異なり、美容医療の施術や患者さまへの対応を中心に行うため、求められる適性も異なります。以下のような特徴を持つ人は、美容看護師として活躍しやすいでしょう。
美容やスキンケアに興味がある
美容看護師は、美容医療の施術やスキンケアに関する知識が必要です。最新の美容トレンドを学ぶことが好きで、自分自身も美容に関心がある人に向いています。
接客やコミュニケーションが得意
美容クリニックでは患者さまと接する機会が多いため、丁寧な接客が求められます。患者さまの悩みに寄り添い、不安を和らげる対応ができる人に適しています。
丁寧で細かい作業が好き
美容医療は、繊細な施術や機器操作を伴うため、正確さが重要です。レーザー脱毛や美容注射など、細かい作業が苦にならない人に向いています。
人の変化や成長をサポートするのが好き
美容医療は、患者さまのコンプレックスを改善し、自信を持ってもらうための医療です。施術後の変化を一緒に喜び、サポートすることにやりがいを感じる人に適しています。
美容医療の知識を学ぶ意欲がある
美容医療は日々進化しており、新しい技術や施術が次々と登場します。未経験でも学び続ける姿勢がある人は、美容看護師として成長しやすいでしょう。
清潔感があり、身だしなみに気を使える
美容クリニックは「美」を提供する場であるため、看護師自身の清潔感も重要です。身だしなみに気を配り、健康的で明るい印象を与えられる人に向いています。
美容看護師になるメリット
美容看護師は、夜勤なしの働き方や高収入の可能性、美容知識を活かせる点など、多くの魅力があります。ここでは、美容看護師ならではのメリットについて紹介します。
夜勤がなく、規則正しい勤務ができる
美容クリニックは日勤が基本で、夜勤がありません。規則正しい生活を送りやすく、ワークライフバランスを重視したい人に向いています。
クリニックによっては高収入が期待できる
自由診療の美容クリニックでは、インセンティブ制度を導入しているところもあります。経験やスキル次第で、高収入を目指せる点が魅力です。
美容知識が増え、自分の美容にも活かせる
美容医療の施術や最新のスキンケア知識を学べるため、自分自身の美容にも役立ちます。仕事を通じて美意識を高めたい人にとって、メリットの1つだと言えるでしょう。
患者さまの「キレイになった」という喜びを直接感じられる
美容医療は、患者さまの見た目の変化を通じて自信を与える仕事です。「キレイになった!」と喜ぶ患者さまの姿を見られることが、やりがいにつながります。
最新の美容医療に触れられる
美容クリニックでは、最先端の医療機器や施術を扱うため、美容医療の進化を間近で体験できます。新しい技術やトレンドに触れながら、専門知識を深められる点も魅力です。
病棟勤務よりも体力的な負担が少ない
病棟看護師と比べて、身体介助や夜勤がないため体力的な負担が少なめです。体力面の不安がある人でも、長く働きやすい環境といえます。
施術の社員割引があることが多い
多くの美容クリニックでは、スタッフ向けの割引制度があり、自分自身も美容医療を受けることができます。高額な施術を割引価格で試せるため、美容に興味がある人にとって大きなメリットです。
美容看護師になるデメリット
美容看護師には魅力が多い一方で、看護スキルの偏りやクレーム対応、勤務体系の違いなど、注意すべき点もあります。転職を考える際に知っておきたいデメリットを解説します。
看護師としてのスキルが偏る可能性がある
美容医療は救急対応や全身管理の機会が少なく、病棟勤務のような幅広い看護技術が身につきにくい傾向があります。将来のキャリアプランを考えた選択が重要です。
クレーム対応が発生することがある
美容医療は自由診療のため、患者さまの期待が高く、仕上がりに対する不満や思い違いが原因で、クレームに発展することもあります。スタッフに対する厳しい要求や、対応次第で信頼を損なうリスクもあり、精神的な負担を感じる場面があるかもしれません。
採用競争が激しい
美容看護師は、人気のある職種です。特に、大手クリニックや待遇の良い職場では応募が集中しやすく、採用されることが難しい場合もあります。未経験可の求人もありますが、経験者が優遇される傾向が強く、希望の職場で働くためには事前の準備が求められます。
土日祝日や遅番勤務がある場合がある
美容クリニックは、患者さまの来院が多い土日祝日に営業していることが多く、平日休みになるケースがあります。また、夜遅くまで診療しているクリニックでは、遅番勤務が発生する可能性もあり、生活リズムの調整が必要になる場合があります。
まとめ
美容看護師は、夜勤なしで働けることや、美容知識を活かせる点が魅力です。その一方で、看護スキルの偏りやクレーム対応のリスクもあります。
自分の適性やキャリアプランを考えながら、美容看護師として活躍する道を検討してみましょう。

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